フェルゼン屋敷の舞踏会、だそうですよ。(お茶会潜入記)
2006年3月5日 宝塚湖月茶行って参りました。
タイトルは「フェルゼン屋敷の舞踏会」。別に踊りませんでしたが(当たり前)。プログラムにはフェルゼン邸と思しき絵が。ストックホルムのお屋敷の方と思われます、セットと似ている。凝ってるなあ。
以下、記憶で書いてますので誤り等あるかもしれませんが、ご容赦のほどを。
と、その前に。
会場に着いたら「愛と平和のラダメス募金」やってました。へーこれが、と私も協力させていただきました。集まったお金はユニセフと赤十字に寄付されるそうです。
募金したらお土産もらいました。中身は、前のお茶会の写真、2005年賀状、サイン入り2005年パソカレ、「湖月わたる」タグつき和柄のポーチ、ルキーニのイラスト入りメモ帳、あと風共のときの会報。
……廃品利用?(笑)。でも持ってないものばかりなので有難くいただきました。
ちなみにお茶会自体のお土産はミラー付き油取り紙入れ。実用的だ。
ご本人はほぼ19:30定刻に到着。入場で歓声、ぎちぎちに詰められたテーブルの間を縫って壇上へ。行く先々で嬌声が上がるのが小気味よい(笑)。
まずは乾杯。が、ここでハプニング。各テーブルにはお茶と水のグラスが各自1つずつ置いてあったのですが、肝心のご本人の前にお茶が無い。スタッフさんがすぐ用意しますと言うものの「皆さん飲みたいですよね?」と言って水のグラスを手に取って乾杯を始めようとする。それなら私も、と続々と水に持ち替える参加者。その光景に「別に皆さんは水でなくても」と逆に慌てるワタさん。そう言っているうちにお茶が届いて無事乾杯と相成りました。
早速質問。まずは公演関係から。順番は前後しているかも。
好きな衣装は?に対して、新人公演を見たときフェルゼン邸での水色の衣装を見て「うわーなんてきれいなんだろう、あんなきれいな衣装を自分はいつも着てるんだ」と思ったそうです。が、最終的に選んだのは軽竜騎兵の軍服。「いいですよね渋くて。一番男らしい感じで」つか、王妃様と同じ趣味ってことですか。
フェルゼンでここは見てほしい、と言うところはどこですか?と言われて、うーんどこだろう、と悩む悩む。場内困惑の空気になってきたところで「ピンクの衣装で出てきたときの、きんさんとのアイコンタクト」。フェルゼンめがけて突進してくるきんさんに「近づきすぎですよ」等と言っているのでそこを見てほしいと(笑)。
ステファン人形の代わりにお稽古場で使っているクマのぬいぐるみについては「私のです」。最初白いクマさんだったのですが「お稽古しているうちに王妃様の涙とファンデーションで黄ばんできてしまって」代役の茶色いクマさんになったんだそうです。ちなみにゴディバ製。「今はうちにあります」とのこと。
パリへ行く馬車にジェローデルは乗っていないんですか?に対しては、「乗ってません」。「色々な人に聞かれるし、ジェローデル本人にも『置いていくんですね』と言われるんですが、自分から離れていくんですよ」と。いやそりゃそうでしょうけど(笑)。たぶん後ろを走っていると思います、とのことでした。
牢獄で一人取り残されたフェルゼンはその後どうしたんですか?には場内笑いが。「笑い事じゃないですよ!」とワタさん。「舞台では格好よくせり下がっていきますけど」で、実際は「ステファン人形と二人、民衆にまぎれてとぼとぼと」せ、切ない(笑)。
フィナーレについて。「小雨」では男役さんと踊ってますがいかがですか、と。ふとした瞬間のアイコンタクトが男役ならではと言う感じかな、とのことでした。「ずっとくっついて踊っているわけじゃなくて、ユニゾンで離れていたりもするので、すれ違う瞬間に見交わす目線が人それぞれで面白い」と。
ボレロで階段を上がるときは段を数えているんですか、という問いに「数えてませんよ、数えてるわけないじゃないですか!」。曲のカウントで覚えているそうです。でも、曲と関係ないパレードのとき等は、数えている場合もあるとのこと。
男役の黒タキシードは、と言いかけた司会者に「タキシード?黒燕尾です!」とすかさずツッコミ。さすが。みんなが道をあけてくれている真ん中を階段を下りて、スポットライトが当たって、となると「ああ、トップスターだなあ」と改めて実感するとか。あと「これでもかというくらいためて、最後の最後まで一人だけ残っているときも思います」とのことでした。
大劇場公演のオスカル役替りはいかがでしたか?に対して「一人ずつ答えるの?」。一人ずつお願いしますときっぱり言われ「強気ですね」と苦笑。
と言う訳で一人ずつコメント。
「コムちゃんとは『月夜歌声』でも『風と共に去りぬ』でも男役と女役で組んでいたので」でもお互い組を背負った立場でまた違った感じで、共演できてよかった、と。凛々しくてでも甘さもあって、オスカルって本当にいたらこういう人だったのかなあと思ったそうです。雪組さんのお稽古場に参加したときも、アランと剣を交えるところも本当に機敏で、と。
「かしげちゃんも『1914』でも共演したけれど」かしげオスカルは恋するオスカルの部分がよく出ていて、可愛かったと。「プロローグでもはっと目をそらすところとか、恋してる感じで、本来、フェルゼンがオスカルの思いに気づく場面より前に、もしかして?と思うような」。
「次はきりやん?」ここで何故か笑ってしまうご本人。客席もつられて笑うと「何笑ってるんですか!」だって今あなたが。「きりやんは、健康的で、たのもしくて、失恋してもたくましく生きていけそうだなって感じで」って結局笑ってるじゃないですか。
きりやんは一番お稽古期間が短くてベルばら出演も初めてで、大変そうだったそうです。でも、体当たりですごく頑張っていて、ああ頑張りやさんなんだなえらいなあと思ったと。
「次はミズ。ミズはオスカル経験者ですよね」だから安心してできましたと。でも、思ったより繊細なオスカルで揺れ動いている感じで、予想外な面もあった、そんなところも「さすが経験者」と思ったとのこと。
「ゆうひちゃんは、一番大きいオスカルだということを本人とても気にしていて」私こんなに肩幅あるんですよー、と言っていたとジェスチャーつきで説明してくれました。でも儚げな、ゆうひちゃんらしくオスカルらしいオスカルになったと。ワタさん千秋楽のご挨拶でも言ってましたよね「儚げ」って。出演期間が一番長かったのだけれど、その間にメイクを変えたり工夫していってどんどんオスカルになって行った、と言ってました。「ゆうひちゃんは、私が月組の『長い春の果てに』に出たときも女役だったんですよね。普通あの身長の男役には女役はあまり回ってこないんですけど……いいなあ」いいなあって!「うらやましい」うらやましいのか!
最後、東宝のトウコさん。「トウコちゃんはアイーダもあったので」女役も違和感なく。「でも、東宝までの間が短くて私も雪組に出ていたのであまりお稽古できなくて、可哀想だった」と。「でも毎日どんどん良くなってきて、東宝ではずっとトウコちゃんなので、千秋楽まで深めていけたらと思います」とのことでした。
ここで握手コーナー、と言った司会者さんに「今ので時間がなくなっちゃったんじゃないですか?」。何はともあれ握手。1000人を超える人とひとりずつ目を見て握手して、大変だなあ。いやトップさんはみんなやっていることなんだろうけど。
握手の後はクイズ。フェルゼン様のお部屋当て。つまり、ソファーとか本棚とか15枚のアイテムカードからフェルゼンの部屋にある8アイテムを選べと。実際の舞台ではなく、あくまでもご本人と同じ選択が正解。1つだけ全部正解したテーブルがありまして、ご本人も「同じ部屋を想像した人がいたんてすねー」と感心してました。
正解発表で意外なアイテムには悲鳴も。ピアノに対して上がった疑問の声に「フェルゼンはピアノ弾くんですよ」とややムキに。「医学と音楽を学んだって言ってたじゃないですか」。あと、飼っている犬の名前を聞かれて「マリーです」寂しくて飼ってしまいました、だそうです。
クイズの後は抽選会だったかな(記憶が怪しい)。愛用品コーナーでは、宝塚から入浴剤を入れてきたバッグ、白い革のベルト、黒いマフラー。ベルトを当てたのが和服の女性で、その姿を見て「……その辺に巻いといて下さい」。
質問コーナー再び。オフについて質問します、と前置きして「入間市で一日消防所長をされましたが」え、それってオフ?
「あいにくの雨で、消防署の方から「雨女なんですか?」と言われました」何でも消防署に問合せした人が「天気予報では雨なんですよね、わたるさん雨女だから仕方ないですけど」とわざわざ言ったそうで。おかげて消防署中に知れ渡っていたとか。よっぽど言われたのかひっかかっているらしく、その問合せした人がこの中にいるんじゃないですか?と言いたげに客席を見回してました(笑)。
入間でイベントをやるのは初めてで、同級生が消防士になっていたり驚くこともあって、楽しかったと。「でも皆様が入間に来てくださるのは、何だか恥ずかしいですね」と照れ笑い。
ドライブのときはどんな曲を聴いてますか?対し「ラテン系ですね」。6月の『COPACABANA』のCDとか聴いてるんだそうです。
オリンピックはご覧になりましたか?には「ご覧に……なりたかったんですけどねえ」と残念そう。見ていると寝られないので睡眠をとりました、ニュースで見ました、と。「フィギュアスケート!あれすごいですね!」と椅子に座ったまま反る真似をしてました(笑)。「あの腰は一体どうなってるんでしょうね」と何度も。私は硬いので無理、と。あと中国のペアに感動したとか色々言って「オリンピックはいい!」と力技でコメントをまとめてました(笑)。
もうすぐ春ですが(いきなりですね、とご本人)お花見にこれは必ず持っていくというものは何ですか?これは答えに窮してました。「お花見に持っていくものぉ!?」食べ物とか、と言う司会に「食べ物……食べ物は持って行きますね」と言いながら答えは「ゴザ」。微妙な空気が(笑)。
冷蔵庫に必ず入っているものは何ですか?には、必ずではないですけど「牛乳は切らさないようにしています」。コーヒーはオーレ派なので、牛乳がないと飲めないんだそうです。つか、牛乳と聞いて会場の納得したような空気が何とも(笑)。
東京公演で上京するときの楽しみは?にすかさず「皆さんにお会いすることです」客席拍手。
この辺で、参加者一同からのプレゼント。「実は既にいただいてしまいました!」と言う訳で、本日のお衣装。くるっと回って見せてくれました。えーと、ベージュのチノクロスの、丈の長い上着と膝下で絞ったパンツ。「フェルゼンを意識していただいて」と言ってましたが、『ワンダーランド』のオープニングの衣装にちょっと似ていると思ったのは私だけですか。
ここで司会から、もうひとつプレゼントのお知らせが。プレゼンテーターは参加者からマリー・アントワネットと同じ誕生日の方。色々考えるなあ。そしてそのプレゼントは革ジャンでした。ダンスリサイタルで着る革ジャンを探していると聞いたので、と。「うわーありがとうございます、言ってみるもんですねえ」と「本当に舞台で着るかもしれません。私の一存では決められないですけど」。
そして逆に「わたるくんからプレゼントをお願いします」と言われて「私から皆様にプレゼントできるものは、歌しかございません」場内拍手で大歓迎。「色々考えたのですが、やはり私のために書いてくださった」と言う訳で『愛の三叉路』でした。喋り声から歌の男役声に変わる瞬間はお茶会の醍醐味のひとつだと思うのですがどうでしょう。ああ、いい声だなあ、いい歌だなあ(あんた散々ケチつけてたくせに)(そんな昔のことは忘れたなあ)。
そして、最後にご挨拶。今後の予定について、4/2まではフェルゼンに全力投球、そしてその後念願のダンスリサイタル。明日からお稽古が始まるのでまだどうなるかはっきりとはわかりませんが「1部は、青の洞窟を振付けてくださった上島先生に演出もお願いして、80年代J-Popを使ったラフな感じのステージ。2部は荻田先生で「That’s 湖月わたる」という感じのものになる」予定だそうです。
その後は『COPACABANA』。「ミュージカルで主演させていただくのは初めてで楽しみ」。ラテン系で明るく楽しいミュージカルだそうです。アルフォンソ先生に教えていただいたラテンの血を呼び覚まして頑張ります、大阪でしかやらないのは残念ですが、是非大阪まで見に来てください、とのことでした。
で。
皆様ご存知のとおり、11月12日で卒業します、と。
最後まで男役を磨き続け、これぞ湖月わたる!と言うものをお見せしたいと思います。最後まで応援よろしくお願いします、と。
明るくきっぱりした言葉と表情に、なかなか鳴り止まない会場の拍手。
退場も客席の間を縫って。入場のときと逆のサイドから。
最後に両手で投げキスを繰り返し、拍手と嬌声が上がっていました。
明るく和気藹々とした、楽しいお茶会でした。
今はまだ、感傷にはまだ早い、ですから。
タイトルは「フェルゼン屋敷の舞踏会」。別に踊りませんでしたが(当たり前)。プログラムにはフェルゼン邸と思しき絵が。ストックホルムのお屋敷の方と思われます、セットと似ている。凝ってるなあ。
以下、記憶で書いてますので誤り等あるかもしれませんが、ご容赦のほどを。
と、その前に。
会場に着いたら「愛と平和のラダメス募金」やってました。へーこれが、と私も協力させていただきました。集まったお金はユニセフと赤十字に寄付されるそうです。
募金したらお土産もらいました。中身は、前のお茶会の写真、2005年賀状、サイン入り2005年パソカレ、「湖月わたる」タグつき和柄のポーチ、ルキーニのイラスト入りメモ帳、あと風共のときの会報。
……廃品利用?(笑)。でも持ってないものばかりなので有難くいただきました。
ちなみにお茶会自体のお土産はミラー付き油取り紙入れ。実用的だ。
ご本人はほぼ19:30定刻に到着。入場で歓声、ぎちぎちに詰められたテーブルの間を縫って壇上へ。行く先々で嬌声が上がるのが小気味よい(笑)。
まずは乾杯。が、ここでハプニング。各テーブルにはお茶と水のグラスが各自1つずつ置いてあったのですが、肝心のご本人の前にお茶が無い。スタッフさんがすぐ用意しますと言うものの「皆さん飲みたいですよね?」と言って水のグラスを手に取って乾杯を始めようとする。それなら私も、と続々と水に持ち替える参加者。その光景に「別に皆さんは水でなくても」と逆に慌てるワタさん。そう言っているうちにお茶が届いて無事乾杯と相成りました。
早速質問。まずは公演関係から。順番は前後しているかも。
好きな衣装は?に対して、新人公演を見たときフェルゼン邸での水色の衣装を見て「うわーなんてきれいなんだろう、あんなきれいな衣装を自分はいつも着てるんだ」と思ったそうです。が、最終的に選んだのは軽竜騎兵の軍服。「いいですよね渋くて。一番男らしい感じで」つか、王妃様と同じ趣味ってことですか。
フェルゼンでここは見てほしい、と言うところはどこですか?と言われて、うーんどこだろう、と悩む悩む。場内困惑の空気になってきたところで「ピンクの衣装で出てきたときの、きんさんとのアイコンタクト」。フェルゼンめがけて突進してくるきんさんに「近づきすぎですよ」等と言っているのでそこを見てほしいと(笑)。
ステファン人形の代わりにお稽古場で使っているクマのぬいぐるみについては「私のです」。最初白いクマさんだったのですが「お稽古しているうちに王妃様の涙とファンデーションで黄ばんできてしまって」代役の茶色いクマさんになったんだそうです。ちなみにゴディバ製。「今はうちにあります」とのこと。
パリへ行く馬車にジェローデルは乗っていないんですか?に対しては、「乗ってません」。「色々な人に聞かれるし、ジェローデル本人にも『置いていくんですね』と言われるんですが、自分から離れていくんですよ」と。いやそりゃそうでしょうけど(笑)。たぶん後ろを走っていると思います、とのことでした。
牢獄で一人取り残されたフェルゼンはその後どうしたんですか?には場内笑いが。「笑い事じゃないですよ!」とワタさん。「舞台では格好よくせり下がっていきますけど」で、実際は「ステファン人形と二人、民衆にまぎれてとぼとぼと」せ、切ない(笑)。
フィナーレについて。「小雨」では男役さんと踊ってますがいかがですか、と。ふとした瞬間のアイコンタクトが男役ならではと言う感じかな、とのことでした。「ずっとくっついて踊っているわけじゃなくて、ユニゾンで離れていたりもするので、すれ違う瞬間に見交わす目線が人それぞれで面白い」と。
ボレロで階段を上がるときは段を数えているんですか、という問いに「数えてませんよ、数えてるわけないじゃないですか!」。曲のカウントで覚えているそうです。でも、曲と関係ないパレードのとき等は、数えている場合もあるとのこと。
男役の黒タキシードは、と言いかけた司会者に「タキシード?黒燕尾です!」とすかさずツッコミ。さすが。みんなが道をあけてくれている真ん中を階段を下りて、スポットライトが当たって、となると「ああ、トップスターだなあ」と改めて実感するとか。あと「これでもかというくらいためて、最後の最後まで一人だけ残っているときも思います」とのことでした。
大劇場公演のオスカル役替りはいかがでしたか?に対して「一人ずつ答えるの?」。一人ずつお願いしますときっぱり言われ「強気ですね」と苦笑。
と言う訳で一人ずつコメント。
「コムちゃんとは『月夜歌声』でも『風と共に去りぬ』でも男役と女役で組んでいたので」でもお互い組を背負った立場でまた違った感じで、共演できてよかった、と。凛々しくてでも甘さもあって、オスカルって本当にいたらこういう人だったのかなあと思ったそうです。雪組さんのお稽古場に参加したときも、アランと剣を交えるところも本当に機敏で、と。
「かしげちゃんも『1914』でも共演したけれど」かしげオスカルは恋するオスカルの部分がよく出ていて、可愛かったと。「プロローグでもはっと目をそらすところとか、恋してる感じで、本来、フェルゼンがオスカルの思いに気づく場面より前に、もしかして?と思うような」。
「次はきりやん?」ここで何故か笑ってしまうご本人。客席もつられて笑うと「何笑ってるんですか!」だって今あなたが。「きりやんは、健康的で、たのもしくて、失恋してもたくましく生きていけそうだなって感じで」って結局笑ってるじゃないですか。
きりやんは一番お稽古期間が短くてベルばら出演も初めてで、大変そうだったそうです。でも、体当たりですごく頑張っていて、ああ頑張りやさんなんだなえらいなあと思ったと。
「次はミズ。ミズはオスカル経験者ですよね」だから安心してできましたと。でも、思ったより繊細なオスカルで揺れ動いている感じで、予想外な面もあった、そんなところも「さすが経験者」と思ったとのこと。
「ゆうひちゃんは、一番大きいオスカルだということを本人とても気にしていて」私こんなに肩幅あるんですよー、と言っていたとジェスチャーつきで説明してくれました。でも儚げな、ゆうひちゃんらしくオスカルらしいオスカルになったと。ワタさん千秋楽のご挨拶でも言ってましたよね「儚げ」って。出演期間が一番長かったのだけれど、その間にメイクを変えたり工夫していってどんどんオスカルになって行った、と言ってました。「ゆうひちゃんは、私が月組の『長い春の果てに』に出たときも女役だったんですよね。普通あの身長の男役には女役はあまり回ってこないんですけど……いいなあ」いいなあって!「うらやましい」うらやましいのか!
最後、東宝のトウコさん。「トウコちゃんはアイーダもあったので」女役も違和感なく。「でも、東宝までの間が短くて私も雪組に出ていたのであまりお稽古できなくて、可哀想だった」と。「でも毎日どんどん良くなってきて、東宝ではずっとトウコちゃんなので、千秋楽まで深めていけたらと思います」とのことでした。
ここで握手コーナー、と言った司会者さんに「今ので時間がなくなっちゃったんじゃないですか?」。何はともあれ握手。1000人を超える人とひとりずつ目を見て握手して、大変だなあ。いやトップさんはみんなやっていることなんだろうけど。
握手の後はクイズ。フェルゼン様のお部屋当て。つまり、ソファーとか本棚とか15枚のアイテムカードからフェルゼンの部屋にある8アイテムを選べと。実際の舞台ではなく、あくまでもご本人と同じ選択が正解。1つだけ全部正解したテーブルがありまして、ご本人も「同じ部屋を想像した人がいたんてすねー」と感心してました。
正解発表で意外なアイテムには悲鳴も。ピアノに対して上がった疑問の声に「フェルゼンはピアノ弾くんですよ」とややムキに。「医学と音楽を学んだって言ってたじゃないですか」。あと、飼っている犬の名前を聞かれて「マリーです」寂しくて飼ってしまいました、だそうです。
クイズの後は抽選会だったかな(記憶が怪しい)。愛用品コーナーでは、宝塚から入浴剤を入れてきたバッグ、白い革のベルト、黒いマフラー。ベルトを当てたのが和服の女性で、その姿を見て「……その辺に巻いといて下さい」。
質問コーナー再び。オフについて質問します、と前置きして「入間市で一日消防所長をされましたが」え、それってオフ?
「あいにくの雨で、消防署の方から「雨女なんですか?」と言われました」何でも消防署に問合せした人が「天気予報では雨なんですよね、わたるさん雨女だから仕方ないですけど」とわざわざ言ったそうで。おかげて消防署中に知れ渡っていたとか。よっぽど言われたのかひっかかっているらしく、その問合せした人がこの中にいるんじゃないですか?と言いたげに客席を見回してました(笑)。
入間でイベントをやるのは初めてで、同級生が消防士になっていたり驚くこともあって、楽しかったと。「でも皆様が入間に来てくださるのは、何だか恥ずかしいですね」と照れ笑い。
ドライブのときはどんな曲を聴いてますか?対し「ラテン系ですね」。6月の『COPACABANA』のCDとか聴いてるんだそうです。
オリンピックはご覧になりましたか?には「ご覧に……なりたかったんですけどねえ」と残念そう。見ていると寝られないので睡眠をとりました、ニュースで見ました、と。「フィギュアスケート!あれすごいですね!」と椅子に座ったまま反る真似をしてました(笑)。「あの腰は一体どうなってるんでしょうね」と何度も。私は硬いので無理、と。あと中国のペアに感動したとか色々言って「オリンピックはいい!」と力技でコメントをまとめてました(笑)。
もうすぐ春ですが(いきなりですね、とご本人)お花見にこれは必ず持っていくというものは何ですか?これは答えに窮してました。「お花見に持っていくものぉ!?」食べ物とか、と言う司会に「食べ物……食べ物は持って行きますね」と言いながら答えは「ゴザ」。微妙な空気が(笑)。
冷蔵庫に必ず入っているものは何ですか?には、必ずではないですけど「牛乳は切らさないようにしています」。コーヒーはオーレ派なので、牛乳がないと飲めないんだそうです。つか、牛乳と聞いて会場の納得したような空気が何とも(笑)。
東京公演で上京するときの楽しみは?にすかさず「皆さんにお会いすることです」客席拍手。
この辺で、参加者一同からのプレゼント。「実は既にいただいてしまいました!」と言う訳で、本日のお衣装。くるっと回って見せてくれました。えーと、ベージュのチノクロスの、丈の長い上着と膝下で絞ったパンツ。「フェルゼンを意識していただいて」と言ってましたが、『ワンダーランド』のオープニングの衣装にちょっと似ていると思ったのは私だけですか。
ここで司会から、もうひとつプレゼントのお知らせが。プレゼンテーターは参加者からマリー・アントワネットと同じ誕生日の方。色々考えるなあ。そしてそのプレゼントは革ジャンでした。ダンスリサイタルで着る革ジャンを探していると聞いたので、と。「うわーありがとうございます、言ってみるもんですねえ」と「本当に舞台で着るかもしれません。私の一存では決められないですけど」。
そして逆に「わたるくんからプレゼントをお願いします」と言われて「私から皆様にプレゼントできるものは、歌しかございません」場内拍手で大歓迎。「色々考えたのですが、やはり私のために書いてくださった」と言う訳で『愛の三叉路』でした。喋り声から歌の男役声に変わる瞬間はお茶会の醍醐味のひとつだと思うのですがどうでしょう。ああ、いい声だなあ、いい歌だなあ(あんた散々ケチつけてたくせに)(そんな昔のことは忘れたなあ)。
そして、最後にご挨拶。今後の予定について、4/2まではフェルゼンに全力投球、そしてその後念願のダンスリサイタル。明日からお稽古が始まるのでまだどうなるかはっきりとはわかりませんが「1部は、青の洞窟を振付けてくださった上島先生に演出もお願いして、80年代J-Popを使ったラフな感じのステージ。2部は荻田先生で「That’s 湖月わたる」という感じのものになる」予定だそうです。
その後は『COPACABANA』。「ミュージカルで主演させていただくのは初めてで楽しみ」。ラテン系で明るく楽しいミュージカルだそうです。アルフォンソ先生に教えていただいたラテンの血を呼び覚まして頑張ります、大阪でしかやらないのは残念ですが、是非大阪まで見に来てください、とのことでした。
で。
皆様ご存知のとおり、11月12日で卒業します、と。
最後まで男役を磨き続け、これぞ湖月わたる!と言うものをお見せしたいと思います。最後まで応援よろしくお願いします、と。
明るくきっぱりした言葉と表情に、なかなか鳴り止まない会場の拍手。
退場も客席の間を縫って。入場のときと逆のサイドから。
最後に両手で投げキスを繰り返し、拍手と嬌声が上がっていました。
明るく和気藹々とした、楽しいお茶会でした。
今はまだ、感傷にはまだ早い、ですから。
破壊力∞(死ぬかと思った)。(星組『ベルサイユのばら』)
2006年3月4日 宝塚本日3月4日11時公演。2幕の冒頭。
かっ、可愛い。可愛い可愛い可愛い。どうしよう可愛いったら可愛いじゃないか。うわー可愛い可愛いよぉーっ。
あ、終っちゃった。
はい。「第2場 ストックホルム・フェルゼン邸の庭」花祭りの男Aの話です。
今日から礼音くんからしぃちゃんに役替りなのは知ってました。
と言うか、最初聞いたときは、何でここがベルナール役と連動する必要があるんだよ、今更礼音くんでもしぃちゃんでもなく、誰か他の人にやらせればいいじゃん。そもそもしぃちゃんの学年でやる役なのか? とか思っていた訳ですが。
すいません私が悪うございました。
すごい可愛かった。見ている最中ずーっと頭の中真っ白で、可愛いしか言葉が出てこなかった。
何あの笑顔、何あのキラキラスマイル。何あのアイドルオーラ。カワイコちゃん二人両手に花、いや逆にコトコトとうめがうらやましー。
白いブラウスの大きな袖、民族衣装風のベストも似合いすぎ。
つか、何でそんなに若いんだ。何でそんなにきらきらした若い男の子の可愛らしさが出せるんだ。『ドルチェ・ヴィータ!』の水兵さんをかるーく超えたよ、もう!
と言う訳で、立見席の手すりにへばりついて悶絶してました。心拍数は上がるは体温は上がるは、死ぬかと思った。動悸が収まらなくて頭が芝居モードに戻るまで、オスカルの銀橋ソロが終るくらいまでかかっちゃいましたよ(お前誰のファンだ)。
とんでもねー破壊力でした。恐るべし立樹遥。
終演後に緑野さんじゅんたさんと合流してまたみんなで絶賛。いや、私らの意見は必ずしも世間様と同じとは限らないし、と少し落ち着いて、でもやっぱり大絶賛。
あの場面のために通おうかな……(落ち着けたかが何分だと思ってるんだ)(でも回数は増える予定)。
……こほん(ちょっと落ち着いた)。
久々のベルナールさんは、やっぱり格好よかったです。
アンドレの死〜バスティーユで泣ける泣けないの話になったとき、ベルナールの慟哭に感情移入すると泣けた、と言って緑野さんとじゅんたさんには笑われたけどさ。アンドレの死に取り乱すオスカルを止めるところ、トウカルはすごく激しく暴れるんだけど、びくともしない感じがいい。そしてオスカルが撃たれたときもうめロザリーを片手で抱えて止められてしまう、その姿に説得力があるって、いいよなー。
ムラと変わっていたのは、アンドレの死の後、東宝ではベルナールとロザリーが寄り添わないで暗転してまうこと。暗転のタイミングが早くなったせいか。アンドレの死に呆然として立ち上がる様子がすごくつらそうなので、ロザリーと支えあう姿まで見たかったんですけどね。
あと、国王救出の計画に動揺するロザリーを抱きしめるところ、ロザリーへの笑顔ではなく真顔になってました。ここ、礼音くんもそうだったので演出の指示かもしれない。夫婦愛よりも革命の闘士であり行動する人としてのベルナールに比重を移したのかなあ。ベタ甘にロザリーを愛しているベルナールが好きだったので、ちょっと残念。
って、しぃベルナールの変更点の話をしてますが、そもそも本日は柚ドレ初日のために見に来たはずでした。あれ、おかしいなあ?
と言う訳で、アンドレ役替りについては後日別途。
ひとつ思ったのは、やっぱりアンドレって難しい役なんだろうな、と言うことでした。
あ、もうひとつの役替り、フィナーレの小雨の淑女=しゅんちゃん。
何と言うか、普通に健康的で可愛い女の子でした。まだまだ初日でいっぱいいっぱいに見えたので、これから個性とかアピールとか出てくるのを期待。
かっ、可愛い。可愛い可愛い可愛い。どうしよう可愛いったら可愛いじゃないか。うわー可愛い可愛いよぉーっ。
あ、終っちゃった。
はい。「第2場 ストックホルム・フェルゼン邸の庭」花祭りの男Aの話です。
今日から礼音くんからしぃちゃんに役替りなのは知ってました。
と言うか、最初聞いたときは、何でここがベルナール役と連動する必要があるんだよ、今更礼音くんでもしぃちゃんでもなく、誰か他の人にやらせればいいじゃん。そもそもしぃちゃんの学年でやる役なのか? とか思っていた訳ですが。
すいません私が悪うございました。
すごい可愛かった。見ている最中ずーっと頭の中真っ白で、可愛いしか言葉が出てこなかった。
何あの笑顔、何あのキラキラスマイル。何あのアイドルオーラ。カワイコちゃん二人両手に花、いや逆にコトコトとうめがうらやましー。
白いブラウスの大きな袖、民族衣装風のベストも似合いすぎ。
つか、何でそんなに若いんだ。何でそんなにきらきらした若い男の子の可愛らしさが出せるんだ。『ドルチェ・ヴィータ!』の水兵さんをかるーく超えたよ、もう!
と言う訳で、立見席の手すりにへばりついて悶絶してました。心拍数は上がるは体温は上がるは、死ぬかと思った。動悸が収まらなくて頭が芝居モードに戻るまで、オスカルの銀橋ソロが終るくらいまでかかっちゃいましたよ(お前誰のファンだ)。
とんでもねー破壊力でした。恐るべし立樹遥。
終演後に緑野さんじゅんたさんと合流してまたみんなで絶賛。いや、私らの意見は必ずしも世間様と同じとは限らないし、と少し落ち着いて、でもやっぱり大絶賛。
あの場面のために通おうかな……(落ち着けたかが何分だと思ってるんだ)(でも回数は増える予定)。
……こほん(ちょっと落ち着いた)。
久々のベルナールさんは、やっぱり格好よかったです。
アンドレの死〜バスティーユで泣ける泣けないの話になったとき、ベルナールの慟哭に感情移入すると泣けた、と言って緑野さんとじゅんたさんには笑われたけどさ。アンドレの死に取り乱すオスカルを止めるところ、トウカルはすごく激しく暴れるんだけど、びくともしない感じがいい。そしてオスカルが撃たれたときもうめロザリーを片手で抱えて止められてしまう、その姿に説得力があるって、いいよなー。
ムラと変わっていたのは、アンドレの死の後、東宝ではベルナールとロザリーが寄り添わないで暗転してまうこと。暗転のタイミングが早くなったせいか。アンドレの死に呆然として立ち上がる様子がすごくつらそうなので、ロザリーと支えあう姿まで見たかったんですけどね。
あと、国王救出の計画に動揺するロザリーを抱きしめるところ、ロザリーへの笑顔ではなく真顔になってました。ここ、礼音くんもそうだったので演出の指示かもしれない。夫婦愛よりも革命の闘士であり行動する人としてのベルナールに比重を移したのかなあ。ベタ甘にロザリーを愛しているベルナールが好きだったので、ちょっと残念。
って、しぃベルナールの変更点の話をしてますが、そもそも本日は柚ドレ初日のために見に来たはずでした。あれ、おかしいなあ?
と言う訳で、アンドレ役替りについては後日別途。
ひとつ思ったのは、やっぱりアンドレって難しい役なんだろうな、と言うことでした。
あ、もうひとつの役替り、フィナーレの小雨の淑女=しゅんちゃん。
何と言うか、普通に健康的で可愛い女の子でした。まだまだ初日でいっぱいいっぱいに見えたので、これから個性とかアピールとか出てくるのを期待。
ただでは起きない。(星組『ベルサイユのばら』新人公演)
2006年3月1日 宝塚星新公『ベルサイユのばら』感想の続き。
主要キャストについては昨日分で書いたので、後はシーンを追って。
と思ったが、その前にこれだけは書いておきたい。
ブイエ将軍=彩海早矢。
なんなんだその胡散臭い美中年は!!(笑)
青帯ばっちりで目はぱっちり、と言うか一歩間違えるとぎょろ目。髭をたくわえ体型も補正してすっかりおじさまなのだけれど、ダンディと言うには胡散臭すぎる美形。
そしてすごいのはビジュアルだけでなく、その演技。本役さんが単純な頑固親父風なのに比べて、常に腹に一物ありそうな全て承知してそうな感じがまた胡散臭い。眼光鋭く言葉は重みがあり、若くて感情的な麻尋オスカルでは太刀打ちできません。市民達につくというオスカルの前に引き下がるときもどこか余裕があり、強大な敵という印象。革命大丈夫かなと心配させられるような。
そのキャラクタを作り出せたのは、技術の力でもあると思う。新人公演の中では実力者のあかし君。ブイエ将軍と言う脇役でも、きっちり存在感を、しかも独自のキャラ立てで出してきた。老け役を逆手に取り、若さが目立つ登場人物の中で異彩を放っている。
配役発表の時には、そんな脇でなくてもっといい役やらせてやればいいのに、と思ったけれど、あかしは転んでもただでは起きない奴だった。流石。
勿論、それは上手いからできることで。意図がありそれを表現する技術があるから実現することで。新公学年で、その両方があるというのは素晴らしいと思う。本公演での普段から小まめな客席アピールも含めて、これからもとても楽しみだ、あかし君。
ついでに、ブイエ将軍とのカーテン前芝居で登場するジャルジェ将軍=一輝慎くん。こちらは技術はまだまだで老け役もできておらず若いまんまでしたが、めちゃ暑苦しい体当たりの大熱演でした。オスカルと二人でこの父にしてこの娘あり。ブイエ将軍には完全に格負けしていたけれど、でもそれも面白かった。与えられた場面に全力投球する姿は新公を見る醍醐味ですよね。
では、カットされたシーンについてのメモも含めて、最初から。
・ご覧なさい。小公子=天寿光希。小公子はこのくらい若い子だと安心して見ていられる(笑)。可愛いし元気一杯溌剌。歌も上手かった。
・絵から出てくるアントワネット、オスカル、フェルゼン。ばらの青年Aが天霧、ぎんがみ、あかし、天緒っち。ばらの娘Aがしげちゃん、ふあり、ひより、花愛瑞穂ちゃん。ぎんがみふありは本公でも組んでますな。かわいー。
・シェーンブルン宮。マリア・テレジア=華美ゆうかちゃんはふつーに上手い。無理して老けようとはしていないけれど、ゆったりとした台詞回しと態度で堂々としたオーストリア女帝だった。メルシー伯=七風宇海くんも同様に上手。そして意味もなく美形な侍従長=紅ゆずる(笑)。
・夢の馬車。子アントワネット=蒼乃夕妃ちゃんは本役より大人っぽい。うめアントワネットの少女時代にはいいキャスティングだと思う。ビジュアルイメージが近い。
・ベルサイユ宮。どうもうめアントワネットは「アントワネット」という型をはめられて窮屈そうだ。ルイ16世天霧真世くんはなまじ美形なのでアブない人度が上がっていてちょっと恐い(苦笑)。
・プランタンは無くフェルゼンの銀橋ソロ。ばらのスーベニールだったっけ?れおんくん、すげー格好いい。
・そしてフェルゼンとオスカルのカーテン前芝居。つなぎの台詞は加えられているが本公演とほぼ同じ。自分の思いしか見えていないフェルゼンなだけに、オスカルの報われなさが際立つ。しゅんくんは恋するモードがとっても乙女、と言うか少女。
・庭園。ルイ16世の夜のお散歩。この場面が残っているとは思わなかった。天霧くんはなまじ美形なので(略)。
・運河。フェルゼンとアントワネットのデート。許されざる愛、と言う言葉の重みが本役とは違うような。本公演の方が大人なので、世間的な制約がより重い。それに比べてやはり新公は若いので、世間よりも何よりも二人の愛、許されなくても構わない、というニュアンスになっているような気がしました。
・ブイエ将軍、オスカル、ジェローデル、アンドレ、ジャルジェ将軍のカーテン前芝居。
・フェルゼン邸。メルシー伯の説教シーン。どうもこれは削ってはいけないらしい。そして「アン・ドゥ・トロワ」。
・庭園。アントワネットとフェルゼンの別れと、その後のフェルゼンとオスカルの会話。れおんもタイプは違えど「もー男って鈍くて馬鹿」という感じを出せる人だなあと(笑)。
・王宮。ざーますソング。モンゼットは花愛瑞穂ちゃん、シッシーナはしげちゃん。わ、若い子達がいっぱいいっぱいにやっていると寒くて大変。力ずくで笑える場面にしたタキさんやエンディ、しのぶさんきんさんらベテランの技はすごかったんだな。ブリジット=南帆サリちゃんの「衛兵隊なんだそうですよっ(意地悪)(楽しそう)」の言い方がひかちゃん踏襲で笑えた。そしてそんな中でも可愛くて目立つせあら。でもノリは誰にも負けてない。
・カーテン前、アンドレとジェローデル。
・宮廷大広間。アントワネットの歌と舞踏会はカットで、フェルゼンが愛を語り出立。今までアブない人に見えていた天霧ルイ16世が、ここに来て誠実な人に見えた。それを表現できる台詞と、演技の力。無駄に熱いジャルジェ将軍。誰よりも賢そうなブイエ将軍。
・銀橋。マントを翻し旅発つフェルゼンはやはり格好いい。
・プロローグ。1幕ものにまとめたんだから何も2回やらなくても。でも天寿くんの小公子は可愛い。
・フェルゼン邸。花祭りは無しでジェローデル来訪。デュガゾン=ぎんがみくん出番これだけか(泣)。シモーヌ=ふありが柚美さんの衣装がだぶだぶ気味で可愛かった。
・ジェローデルの回想で今宵一夜。しゅんくんテンション高(笑)。少年少女だなあ。
・ベルナールとロザリーのカーテン前芝居。みなみちゃん、髪型のせいもあってまんまる。でも可愛い。
・パリ市内、衛兵隊と市民達。市民に国王陛下とかジャルジェ将軍が混ざっているのが可笑しい。特に天霧くんは目に付くなあ。アラン=美弥るりかは元々可愛い子ちゃんだけど男っぽく作っていてなかなか良かったです。そして衛兵隊士では朝都まおが目に付く私。ファニーフェイスでまだまだお子様なんだけど、何だか頑張っているように見えるんだよなあ。市民では南帆サリちゃん(多分)に「みんな行くよ!」みたいな台詞がありました。
・アンドレの死。オスカルの取り乱し方絶好調。そしてぶち切れてバスティーユ。
・バスティーユではつい泣けてしまった。いや、作品がじゃなくて、たった1回の新公に賭ける下級生たちの熱気に当てられて、つい(年寄りは涙もろくなっていかん)。みやるりアランは意外と男役らしいいい声で「バスティーユに白旗が」を決めてました。
・回想終ってフェルゼン邸。また、本公演には無いフェルゼンの銀橋ソロ(いいなー)。知らない曲でした。
・アントワネットと夫や子供の別れ、ベルナールとロザリー、国境の村、行けフェルゼンと気前よくカットして、舞台は一気に牢獄。
・ラスト、フェルゼンのせり下がりは無しで、幕。
意外とカットされてませんね。フィナーレを除くとあまり長くないということか。
個人的には行けフェルゼンが見たかったなー。あと村の男女で普段台詞の無い下級生が小芝居してくれたら楽しかったかも(例えば紅ゆずるとか朝都まおとか)。
全体的に、カットによる出番の増減のせいもありますが、役の比重と言うのは演じ手によって変わるものだなあと思った新人公演でした。(そして恐らくは観る側の好みにもよるのだろうけど)
主要キャストについては昨日分で書いたので、後はシーンを追って。
と思ったが、その前にこれだけは書いておきたい。
ブイエ将軍=彩海早矢。
なんなんだその胡散臭い美中年は!!(笑)
青帯ばっちりで目はぱっちり、と言うか一歩間違えるとぎょろ目。髭をたくわえ体型も補正してすっかりおじさまなのだけれど、ダンディと言うには胡散臭すぎる美形。
そしてすごいのはビジュアルだけでなく、その演技。本役さんが単純な頑固親父風なのに比べて、常に腹に一物ありそうな全て承知してそうな感じがまた胡散臭い。眼光鋭く言葉は重みがあり、若くて感情的な麻尋オスカルでは太刀打ちできません。市民達につくというオスカルの前に引き下がるときもどこか余裕があり、強大な敵という印象。革命大丈夫かなと心配させられるような。
そのキャラクタを作り出せたのは、技術の力でもあると思う。新人公演の中では実力者のあかし君。ブイエ将軍と言う脇役でも、きっちり存在感を、しかも独自のキャラ立てで出してきた。老け役を逆手に取り、若さが目立つ登場人物の中で異彩を放っている。
配役発表の時には、そんな脇でなくてもっといい役やらせてやればいいのに、と思ったけれど、あかしは転んでもただでは起きない奴だった。流石。
勿論、それは上手いからできることで。意図がありそれを表現する技術があるから実現することで。新公学年で、その両方があるというのは素晴らしいと思う。本公演での普段から小まめな客席アピールも含めて、これからもとても楽しみだ、あかし君。
ついでに、ブイエ将軍とのカーテン前芝居で登場するジャルジェ将軍=一輝慎くん。こちらは技術はまだまだで老け役もできておらず若いまんまでしたが、めちゃ暑苦しい体当たりの大熱演でした。オスカルと二人でこの父にしてこの娘あり。ブイエ将軍には完全に格負けしていたけれど、でもそれも面白かった。与えられた場面に全力投球する姿は新公を見る醍醐味ですよね。
では、カットされたシーンについてのメモも含めて、最初から。
・ご覧なさい。小公子=天寿光希。小公子はこのくらい若い子だと安心して見ていられる(笑)。可愛いし元気一杯溌剌。歌も上手かった。
・絵から出てくるアントワネット、オスカル、フェルゼン。ばらの青年Aが天霧、ぎんがみ、あかし、天緒っち。ばらの娘Aがしげちゃん、ふあり、ひより、花愛瑞穂ちゃん。ぎんがみふありは本公でも組んでますな。かわいー。
・シェーンブルン宮。マリア・テレジア=華美ゆうかちゃんはふつーに上手い。無理して老けようとはしていないけれど、ゆったりとした台詞回しと態度で堂々としたオーストリア女帝だった。メルシー伯=七風宇海くんも同様に上手。そして意味もなく美形な侍従長=紅ゆずる(笑)。
・夢の馬車。子アントワネット=蒼乃夕妃ちゃんは本役より大人っぽい。うめアントワネットの少女時代にはいいキャスティングだと思う。ビジュアルイメージが近い。
・ベルサイユ宮。どうもうめアントワネットは「アントワネット」という型をはめられて窮屈そうだ。ルイ16世天霧真世くんはなまじ美形なのでアブない人度が上がっていてちょっと恐い(苦笑)。
・プランタンは無くフェルゼンの銀橋ソロ。ばらのスーベニールだったっけ?れおんくん、すげー格好いい。
・そしてフェルゼンとオスカルのカーテン前芝居。つなぎの台詞は加えられているが本公演とほぼ同じ。自分の思いしか見えていないフェルゼンなだけに、オスカルの報われなさが際立つ。しゅんくんは恋するモードがとっても乙女、と言うか少女。
・庭園。ルイ16世の夜のお散歩。この場面が残っているとは思わなかった。天霧くんはなまじ美形なので(略)。
・運河。フェルゼンとアントワネットのデート。許されざる愛、と言う言葉の重みが本役とは違うような。本公演の方が大人なので、世間的な制約がより重い。それに比べてやはり新公は若いので、世間よりも何よりも二人の愛、許されなくても構わない、というニュアンスになっているような気がしました。
・ブイエ将軍、オスカル、ジェローデル、アンドレ、ジャルジェ将軍のカーテン前芝居。
・フェルゼン邸。メルシー伯の説教シーン。どうもこれは削ってはいけないらしい。そして「アン・ドゥ・トロワ」。
・庭園。アントワネットとフェルゼンの別れと、その後のフェルゼンとオスカルの会話。れおんもタイプは違えど「もー男って鈍くて馬鹿」という感じを出せる人だなあと(笑)。
・王宮。ざーますソング。モンゼットは花愛瑞穂ちゃん、シッシーナはしげちゃん。わ、若い子達がいっぱいいっぱいにやっていると寒くて大変。力ずくで笑える場面にしたタキさんやエンディ、しのぶさんきんさんらベテランの技はすごかったんだな。ブリジット=南帆サリちゃんの「衛兵隊なんだそうですよっ(意地悪)(楽しそう)」の言い方がひかちゃん踏襲で笑えた。そしてそんな中でも可愛くて目立つせあら。でもノリは誰にも負けてない。
・カーテン前、アンドレとジェローデル。
・宮廷大広間。アントワネットの歌と舞踏会はカットで、フェルゼンが愛を語り出立。今までアブない人に見えていた天霧ルイ16世が、ここに来て誠実な人に見えた。それを表現できる台詞と、演技の力。無駄に熱いジャルジェ将軍。誰よりも賢そうなブイエ将軍。
・銀橋。マントを翻し旅発つフェルゼンはやはり格好いい。
・プロローグ。1幕ものにまとめたんだから何も2回やらなくても。でも天寿くんの小公子は可愛い。
・フェルゼン邸。花祭りは無しでジェローデル来訪。デュガゾン=ぎんがみくん出番これだけか(泣)。シモーヌ=ふありが柚美さんの衣装がだぶだぶ気味で可愛かった。
・ジェローデルの回想で今宵一夜。しゅんくんテンション高(笑)。少年少女だなあ。
・ベルナールとロザリーのカーテン前芝居。みなみちゃん、髪型のせいもあってまんまる。でも可愛い。
・パリ市内、衛兵隊と市民達。市民に国王陛下とかジャルジェ将軍が混ざっているのが可笑しい。特に天霧くんは目に付くなあ。アラン=美弥るりかは元々可愛い子ちゃんだけど男っぽく作っていてなかなか良かったです。そして衛兵隊士では朝都まおが目に付く私。ファニーフェイスでまだまだお子様なんだけど、何だか頑張っているように見えるんだよなあ。市民では南帆サリちゃん(多分)に「みんな行くよ!」みたいな台詞がありました。
・アンドレの死。オスカルの取り乱し方絶好調。そしてぶち切れてバスティーユ。
・バスティーユではつい泣けてしまった。いや、作品がじゃなくて、たった1回の新公に賭ける下級生たちの熱気に当てられて、つい(年寄りは涙もろくなっていかん)。みやるりアランは意外と男役らしいいい声で「バスティーユに白旗が」を決めてました。
・回想終ってフェルゼン邸。また、本公演には無いフェルゼンの銀橋ソロ(いいなー)。知らない曲でした。
・アントワネットと夫や子供の別れ、ベルナールとロザリー、国境の村、行けフェルゼンと気前よくカットして、舞台は一気に牢獄。
・ラスト、フェルゼンのせり下がりは無しで、幕。
意外とカットされてませんね。フィナーレを除くとあまり長くないということか。
個人的には行けフェルゼンが見たかったなー。あと村の男女で普段台詞の無い下級生が小芝居してくれたら楽しかったかも(例えば紅ゆずるとか朝都まおとか)。
全体的に、カットによる出番の増減のせいもありますが、役の比重と言うのは演じ手によって変わるものだなあと思った新人公演でした。(そして恐らくは観る側の好みにもよるのだろうけど)
本役の影響。(星組『ベルサイユのばら』新人公演)
2006年2月28日 宝塚星新公観て参りました。久々の1階席。つか、本公演2階席ばっかりなのに何故新公が1階。
それはさておき、まず、礼音くんが格好良かった件について。
「ごらんなさい」が終わり絵から出てくるアントワネット、オスカル、フェルゼン。アントワネットうめ嬢、うーん鬘が似合ってない、何故。オスカルしゅんちゃん、立ち姿はともかく顔が丸い、というかほっぺたがふくふくしていて、可愛いけどちょっとオスカルのビジュアルじゃないなあ。
で、その二人に続いてフェルゼンれおん。これがめちゃくちゃ格好よかった!
いや、格好いいのは知っていたけど。でも知っているのと、うわ格好いい、と感嘆するのは違う。本当に、すごく格好よかった。
そして芝居が始まり、銀橋ソロ。花道に立つ姿をひと目見て思った。
憂愁の貴公子。
登場の瞬間から、許されざる愛、決して満たされることのない思いに愁い沈んでいることがわかる、その表情、その眼差し。
そして、オスカルとのやり取り。「私だけは王妃様を守ってみせる」と言う周りの見えていなさ、「君にはわかるまい」と言う無神経さ。それら全ての根底にある傲慢さ。
そう、傲慢なのだけれど、これほどに若く美しい貴公子であれば仕方あるまいと思わせられる。その周りの見えていない様子も、若さ純粋さ何も知らないが故の傲慢さであると思えば、魅力にすら映る。
そんなフェルゼンのキャラクタに、礼音くんの美丈夫ぶり、若さ鋭さ、そして表裏一体の周囲を見る余裕のなさがぴたりとはまっていた。
余談だが、この礼音フェルゼンを見て、ワタさんが何故いまひとつフェルゼンキャラでないのか初めてわかったような気がする。
ワタさんの持つ、おおらかさやあたたかさ、包容力や大人の部分が、その「憂愁の貴公子」のキャラクタを微妙に裏切るのだ。
勿論、ワタさんは自分なりのフェルゼン像を創り上げ、特に1幕最後と2幕最後で答えを出しているのだけれど。
余談は置いておいて。
礼音フェルゼンはそんな風に格好よかったけれど、それよりも圧巻だったのは麻尋オスカルだったりする。
いや、凄かった、麻尋しゅんのオスカル。
最初は、ビジュアルがなあ、まだ若いから仕方ないけれどちょっと可愛らしすぎるなあ、とか思っていたのだけれど、段々そんなことは忘れてしまった。
だって、あのテンション。ものすごい火の玉体当たり爆走演技。最初のフェルゼンとのやり取りも恋心を吐露する姿も乙女っぷりもすごいと思ったが、次のカーテン前芝居、ブイエ将軍に食って掛かるあたりのムキになり方、父ジャルジェ将軍への「女の幸せなんですか!」の半べそかいて逆切れしているような言い方。
終演後、聞きたいことがあってサトリさんを捕まえた。彼女はムラの新公も見ているので。そしたら、逆に言われた。
「オスカルすごいですよね、主役じゃないですか!」
「ムラでもあんなだったの?」
「全然違います」
やっぱり。
この激しさは、本役であるトウコさんの影響じゃないかと。トウカルの振り幅に影響されてしゅんくんなりに再現しようとした結果、あのとんでもないテンションと激しさのオスカルになってしまったのではないかと。
1幕でこれだから2幕はもっとすごい。今宵一夜ではやたらと可愛くなっちゃって「私が好きか」いやその前の「私の生き方は間違っていなかったろうな」あたりから声が高く甘い。アンドレに縋りつくところは、もうすっかり女の子でどうしようかと。
アンドレの死の嘆きも予想を裏切らず、そして「シトワイヤン、行こうー!」は男役声で咆哮。テンション上がりすぎてこめかみが引きつっている感じ。そして更に言うならば、オスカルという役としてではなく「麻尋しゅん」が素でぶち切れている感じ(笑)。
いや、ぽかーんと口をあけて見守っちゃいました。振り幅が大きすぎて次に何が出てくるか予想がつかない。しかも本役さんと違いそれらを統合して「オスカル」という役にまとめ切るまではいかず、本人もどこに行くかわからずに暴走しているように見える。
いや、面白かった。実に面白かった。
しゅんくんに対しては優等生タイプという印象があったのですがいい意味で裏切られました。1回だけの新公、暴走でもいいじゃないか。小さくまとまらず全力投球の熱演が気持ちいい。これからもガンガンやってほしい。
実際、これだけ熱演されると吸引力があって目が離せない。アンドレの死からバスティーユまでは、本当にオスカル編かと思っちゃう勢いでした。
夢乃聖夏くんのアンドレも、本役の影響を受けているかなと。
オスカルを庇ってジャルジェ将軍に呼びかけるあたりの言い方は、ムラのトウドレ踏襲。
が、その後は東宝のしぃドレに似ている。真っ直ぐでさわやか。「白ばらの人」の歌い方の晴れやかさ、ジェローデルとの会話で「この思いは自分の胸に秘めているだけで幸せ」と言う言葉の迷いのなさ。そして、死の場面のオスカルに向ける笑顔。
もっとも、このあたりは聖夏くん自身のキャラクタにもよるのかもしれない。キャラクタ、もしくは若さ。新人公演初めての大役、初めての銀橋ソロに胸弾ませて精一杯取り組んでいる感じ。
そう、新公だから当然だけれど、夢乃アンドレは若い。麻尋オスカルも若くて、まるで少年少女のようなオスカルとアンドレ。
そんな二人の今宵一夜は甘酸っぱい初恋のようでした。熱さとキャラ立ての方向性は、多分本役の影響大なのだけれど、全然違うものが見られました。なんだか微笑ましいと言うか、可愛かった(笑)。
立ち姿や鬘など、ビジュアル的にもなかなか良かったと思います、夢乃アンドレ。
うめアントワネットは……うーん、やっぱりうめちゃんは王妃とか女王とかがあんまり似合わないんだなあと(苦笑)。豪華な鬘(船は乗ってませんでした)やドレスがいまいち映えない。と言うか、鬘はちゃんと誂えたんだろうに何故どれも微妙なのだろうか。鬘に対して顔が小さすぎるんだろうか。
良かったのは、牢獄の場面。シンプルな衣装と髪型、そしてアントワネット自身。余計なものが全てそぎ落とされたアントワネットを、自然に体現していた。「嬉しいのです、私をまだ思ってくれる人がいることが」「ありがとう」といった台詞がすんなりと心に沁みた。
シンプルとかナチュラルとかと言うのが、うめちゃんの魅力なのかなあと思ったり。前半でも、フェルゼンに向ける恋する視線は可愛かったもの。植田芝居の王妃役が似合わなくても、うめちゃんにしか出来ない魅力的なキャラクタがあるのだから(花蓮とか)全然構わない。がんばれー。
まあ今回は新公は勉強の場であると思うと、わっかのドレス着ておけ鬘もつけておけ、と言う意味でアントワネット役も経験して良かったと思います。
ところでうめちゃんの歌がやばいとこんなに思った新公は初めてです。それって本役さんとの比較か(いやその)。
場面か転換の都合かフェルゼンの銀橋ソロが2曲増えており、逆にアントワネットは夫や子供との別れがカットされていました。礼音くんのスターぶりとあいまって、フェルゼンとアントワネット編じゃなくてフェルゼン編と言った方がいいような新人公演。
礼音くんは終始安定したテンションと緊張感で演じ切り、最後の場面では頬に涙が。恐らく、これが最後の新人公演であることも意識して全力を出し切ったのだと思います。
以下余談。
最後のご挨拶で礼音くん曰く、
「個人的なことですが、湖月わたるさんには一から育てていただいて」
場内拍手、そして客席のワタさんも立ち上がって拍手。
……ばかやろーそんなこと言われたら泣くじゃねーかよ。
拍手するワタさんのシルエットを遠くに見つつ、このために今日は1階席が回ってきたのかなあとぼんやり思っていました。
それはさておき、まず、礼音くんが格好良かった件について。
「ごらんなさい」が終わり絵から出てくるアントワネット、オスカル、フェルゼン。アントワネットうめ嬢、うーん鬘が似合ってない、何故。オスカルしゅんちゃん、立ち姿はともかく顔が丸い、というかほっぺたがふくふくしていて、可愛いけどちょっとオスカルのビジュアルじゃないなあ。
で、その二人に続いてフェルゼンれおん。これがめちゃくちゃ格好よかった!
いや、格好いいのは知っていたけど。でも知っているのと、うわ格好いい、と感嘆するのは違う。本当に、すごく格好よかった。
そして芝居が始まり、銀橋ソロ。花道に立つ姿をひと目見て思った。
憂愁の貴公子。
登場の瞬間から、許されざる愛、決して満たされることのない思いに愁い沈んでいることがわかる、その表情、その眼差し。
そして、オスカルとのやり取り。「私だけは王妃様を守ってみせる」と言う周りの見えていなさ、「君にはわかるまい」と言う無神経さ。それら全ての根底にある傲慢さ。
そう、傲慢なのだけれど、これほどに若く美しい貴公子であれば仕方あるまいと思わせられる。その周りの見えていない様子も、若さ純粋さ何も知らないが故の傲慢さであると思えば、魅力にすら映る。
そんなフェルゼンのキャラクタに、礼音くんの美丈夫ぶり、若さ鋭さ、そして表裏一体の周囲を見る余裕のなさがぴたりとはまっていた。
余談だが、この礼音フェルゼンを見て、ワタさんが何故いまひとつフェルゼンキャラでないのか初めてわかったような気がする。
ワタさんの持つ、おおらかさやあたたかさ、包容力や大人の部分が、その「憂愁の貴公子」のキャラクタを微妙に裏切るのだ。
勿論、ワタさんは自分なりのフェルゼン像を創り上げ、特に1幕最後と2幕最後で答えを出しているのだけれど。
余談は置いておいて。
礼音フェルゼンはそんな風に格好よかったけれど、それよりも圧巻だったのは麻尋オスカルだったりする。
いや、凄かった、麻尋しゅんのオスカル。
最初は、ビジュアルがなあ、まだ若いから仕方ないけれどちょっと可愛らしすぎるなあ、とか思っていたのだけれど、段々そんなことは忘れてしまった。
だって、あのテンション。ものすごい火の玉体当たり爆走演技。最初のフェルゼンとのやり取りも恋心を吐露する姿も乙女っぷりもすごいと思ったが、次のカーテン前芝居、ブイエ将軍に食って掛かるあたりのムキになり方、父ジャルジェ将軍への「女の幸せなんですか!」の半べそかいて逆切れしているような言い方。
終演後、聞きたいことがあってサトリさんを捕まえた。彼女はムラの新公も見ているので。そしたら、逆に言われた。
「オスカルすごいですよね、主役じゃないですか!」
「ムラでもあんなだったの?」
「全然違います」
やっぱり。
この激しさは、本役であるトウコさんの影響じゃないかと。トウカルの振り幅に影響されてしゅんくんなりに再現しようとした結果、あのとんでもないテンションと激しさのオスカルになってしまったのではないかと。
1幕でこれだから2幕はもっとすごい。今宵一夜ではやたらと可愛くなっちゃって「私が好きか」いやその前の「私の生き方は間違っていなかったろうな」あたりから声が高く甘い。アンドレに縋りつくところは、もうすっかり女の子でどうしようかと。
アンドレの死の嘆きも予想を裏切らず、そして「シトワイヤン、行こうー!」は男役声で咆哮。テンション上がりすぎてこめかみが引きつっている感じ。そして更に言うならば、オスカルという役としてではなく「麻尋しゅん」が素でぶち切れている感じ(笑)。
いや、ぽかーんと口をあけて見守っちゃいました。振り幅が大きすぎて次に何が出てくるか予想がつかない。しかも本役さんと違いそれらを統合して「オスカル」という役にまとめ切るまではいかず、本人もどこに行くかわからずに暴走しているように見える。
いや、面白かった。実に面白かった。
しゅんくんに対しては優等生タイプという印象があったのですがいい意味で裏切られました。1回だけの新公、暴走でもいいじゃないか。小さくまとまらず全力投球の熱演が気持ちいい。これからもガンガンやってほしい。
実際、これだけ熱演されると吸引力があって目が離せない。アンドレの死からバスティーユまでは、本当にオスカル編かと思っちゃう勢いでした。
夢乃聖夏くんのアンドレも、本役の影響を受けているかなと。
オスカルを庇ってジャルジェ将軍に呼びかけるあたりの言い方は、ムラのトウドレ踏襲。
が、その後は東宝のしぃドレに似ている。真っ直ぐでさわやか。「白ばらの人」の歌い方の晴れやかさ、ジェローデルとの会話で「この思いは自分の胸に秘めているだけで幸せ」と言う言葉の迷いのなさ。そして、死の場面のオスカルに向ける笑顔。
もっとも、このあたりは聖夏くん自身のキャラクタにもよるのかもしれない。キャラクタ、もしくは若さ。新人公演初めての大役、初めての銀橋ソロに胸弾ませて精一杯取り組んでいる感じ。
そう、新公だから当然だけれど、夢乃アンドレは若い。麻尋オスカルも若くて、まるで少年少女のようなオスカルとアンドレ。
そんな二人の今宵一夜は甘酸っぱい初恋のようでした。熱さとキャラ立ての方向性は、多分本役の影響大なのだけれど、全然違うものが見られました。なんだか微笑ましいと言うか、可愛かった(笑)。
立ち姿や鬘など、ビジュアル的にもなかなか良かったと思います、夢乃アンドレ。
うめアントワネットは……うーん、やっぱりうめちゃんは王妃とか女王とかがあんまり似合わないんだなあと(苦笑)。豪華な鬘(船は乗ってませんでした)やドレスがいまいち映えない。と言うか、鬘はちゃんと誂えたんだろうに何故どれも微妙なのだろうか。鬘に対して顔が小さすぎるんだろうか。
良かったのは、牢獄の場面。シンプルな衣装と髪型、そしてアントワネット自身。余計なものが全てそぎ落とされたアントワネットを、自然に体現していた。「嬉しいのです、私をまだ思ってくれる人がいることが」「ありがとう」といった台詞がすんなりと心に沁みた。
シンプルとかナチュラルとかと言うのが、うめちゃんの魅力なのかなあと思ったり。前半でも、フェルゼンに向ける恋する視線は可愛かったもの。植田芝居の王妃役が似合わなくても、うめちゃんにしか出来ない魅力的なキャラクタがあるのだから(花蓮とか)全然構わない。がんばれー。
まあ今回は新公は勉強の場であると思うと、わっかのドレス着ておけ鬘もつけておけ、と言う意味でアントワネット役も経験して良かったと思います。
ところでうめちゃんの歌がやばいとこんなに思った新公は初めてです。それって本役さんとの比較か(いやその)。
場面か転換の都合かフェルゼンの銀橋ソロが2曲増えており、逆にアントワネットは夫や子供との別れがカットされていました。礼音くんのスターぶりとあいまって、フェルゼンとアントワネット編じゃなくてフェルゼン編と言った方がいいような新人公演。
礼音くんは終始安定したテンションと緊張感で演じ切り、最後の場面では頬に涙が。恐らく、これが最後の新人公演であることも意識して全力を出し切ったのだと思います。
以下余談。
最後のご挨拶で礼音くん曰く、
「個人的なことですが、湖月わたるさんには一から育てていただいて」
場内拍手、そして客席のワタさんも立ち上がって拍手。
……ばかやろーそんなこと言われたら泣くじゃねーかよ。
拍手するワタさんのシルエットを遠くに見つつ、このために今日は1階席が回ってきたのかなあとぼんやり思っていました。
オリジナルミュージカル・コメディー『OH ダディー!』観て参りました。一応初日初回。
作・作詞・演出・福田陽一郎。昨年の作品の再演だそうですが、初演は見ておらず。
雄一は26歳フリーター。母は彼が子供のときに亡くなり、父も彼が18歳のときに一人で旅に出てしまい年に1度のクリスマスカードを寄越すだけ。ところが今年のクリスマス、その父が亡くなったと知らせが届いた。遺言は航空券と彼が訪ねるべき見知らぬ人のリスト。
楽しかったです。
亡き父と関わりのあった人々を訪ねるうち、知らなかった父の姿や自分とのつながりを知り、自分自身を見つめなおすロードムービー風の物語。他愛無く笑えて楽しい、そして心温まるコメディ。
主人公・雄一は川平慈英。フリーターというのは昨年見た『最悪な人生のためのガイドブック』と同じだけれど、あっちがそれでもいいじゃん、という態度なのに対し、こちらの雄一はそんな生き方をしている自分を肯定できない。
正直、最初は雄一に感情移入できませんでした。だって彼は18歳で父に捨てられたことに対して26になるまでわだかまりを引きずってるんですよ。そして父の残した言葉「やりたいことをやりなさい」に反して自分が何をやりたいかわからずフリーター暮らしをしている自分に不満を持っている。18にもなれば、「お前はもう大人だから好きにしていい」と親が出て行ったらかえって嬉しいんじゃないのか?と、首をひねりつつ見てました。それに、川平慈英に無気力なフリーターと言うのもちょっとキャラ違いな気が。
でも、彼が遺言に従って旅を始め、物語が動き出してからはそんな違和感は忘れてしまいました。
次々に出会う登場人物が皆個性的で楽しい。カリカチュアされた典型的お約束なキャラクタばかりなので演者の力に負うところが大きいのだけれど、皆芸達者で生き生きしている。
高嶺ふぶきの弁護士はいかにもニューヨークのキャリアウーマン風ハイテンション。花山佳子は人生経験豊かなビッグママ。佐藤輝と平澤智のマフィア親子もいかにもなルックスいかにもな芝居。マフィア父がオペラ好きと言うことで、最後の登場時の白いハンカチににやりとさせられたり。娯楽に乏しい何もない田舎町の警官・藤浦功一とバス停で日がな一日暇つぶしをしている男達・平澤智と佐藤輝のやりとりもお約束なんだけれど可笑しい。(旅先で出会う人々は殆どひとり2役)
そして、最後に出会う若い娘・ビアンカは堀内敬子。田舎町のマドンナ、素朴で可愛らしい女の子。いやもうどうして堀内敬子はいつもこんなに可愛いんでしょうねえ(笑)。ちょっと古臭い、でも古き良きといった感じのワンピースが似合うこと。
個性的な人々との出会いを、雄一の目線で楽しみました。いや雄一を演じる川平氏本人も持ちネタ(?)「いいんです!」やってたけど(笑)。
そして様々な出会いの後に父へのわだかまりを乗り越え、いつしか気がつくと前向きに自分を肯定して生きて行こうと思っている雄一。いやそんな真面目なだけの話じゃなくて、コメディなんだけれど(笑)。
終演後の客席はみんな何となく笑顔で、暖かい空気が流れていて心も軽くて。うん、楽しかった。いい舞台でした。
あ、「家族」というテーマに肯定的な思い入れのある人なら、もっと感動したかも。私は冒頭で雄一の父への態度に感情移入できなかったことからわかるようにそのあたりへの興味が薄いので。
ミュージカルと言うことで歌もダンスもふんだんに盛り込まれています。盛り込まれすぎてその分ストーリーが薄くなったのかも、と思うほど(失礼)。でもこういう難しいことを考えず素直に楽しめるオリジナルミュージカルがあってもいいと思うので、これはこれで好きです。
歌はどれもいい曲で耳に心地よかったです。高嶺ふぶき演じる弁護士キャサリンの「Lawyer’s Song」が面白かったなあ。最初は振り回されっぱなしだった雄一が旅から帰ってのリプライズではしっかり言い返すのが上手い使い方だと思ったし。主題歌CD「予期せぬ出会い」「いつもON YOUR SIDE」はうっかり買ってしまいました。川平慈英と堀内敬子のデュエット曲。爽やかな感じでなかなか良かった。
ダンスでは、クラブで高嶺ふぶき(ここではマフィアの情婦ミランダ役)が平澤智、藤浦功一と踊る場面が格好よかった! セクシーかつシャープな場面。ここもストーリーのバランス的に長いかなと思わなくもありませんが、格好いいからいいや(笑)。見て得した感のある場面。
と言う訳で、とても楽しんだ1時間45分でした。
が、ひとつ気になったのはチケット料金。
長ければいいというものではないけれど、S席7,800円A席6,500円と言うのは、2時間に満たない1幕ものの料金としては若干高いような気がします。気軽に誰にでも楽しめる内容なので、値段ももう少し敷居が低いといいかなと思いました。まあ色々そうもいかんのでしょうが。(ちなみに私はオクで安くゲットしたのでそういう意味では不満はないのですが←をい)
またキャストを変えたり、そのキャストに合わせて細部を変えたりしながら再演を繰り返してくれたら面白いだろうな、また見に行きたいな、と思っています。
***
しかし、去年から見ている数少ない舞台で、宝塚男役出身者の役がハイテンションなキャリアウーマンばかりなのは何故だろう(笑い)。『最悪な人生のためのガイドブック』伊織直加、『風を結んで』絵麻緒ゆう、そして今回の高嶺ふぶき。やはりそういうキャラがイメージしやすいのか。(あ、さえちゃんは違ったけど)
作・作詞・演出・福田陽一郎。昨年の作品の再演だそうですが、初演は見ておらず。
雄一は26歳フリーター。母は彼が子供のときに亡くなり、父も彼が18歳のときに一人で旅に出てしまい年に1度のクリスマスカードを寄越すだけ。ところが今年のクリスマス、その父が亡くなったと知らせが届いた。遺言は航空券と彼が訪ねるべき見知らぬ人のリスト。
楽しかったです。
亡き父と関わりのあった人々を訪ねるうち、知らなかった父の姿や自分とのつながりを知り、自分自身を見つめなおすロードムービー風の物語。他愛無く笑えて楽しい、そして心温まるコメディ。
主人公・雄一は川平慈英。フリーターというのは昨年見た『最悪な人生のためのガイドブック』と同じだけれど、あっちがそれでもいいじゃん、という態度なのに対し、こちらの雄一はそんな生き方をしている自分を肯定できない。
正直、最初は雄一に感情移入できませんでした。だって彼は18歳で父に捨てられたことに対して26になるまでわだかまりを引きずってるんですよ。そして父の残した言葉「やりたいことをやりなさい」に反して自分が何をやりたいかわからずフリーター暮らしをしている自分に不満を持っている。18にもなれば、「お前はもう大人だから好きにしていい」と親が出て行ったらかえって嬉しいんじゃないのか?と、首をひねりつつ見てました。それに、川平慈英に無気力なフリーターと言うのもちょっとキャラ違いな気が。
でも、彼が遺言に従って旅を始め、物語が動き出してからはそんな違和感は忘れてしまいました。
次々に出会う登場人物が皆個性的で楽しい。カリカチュアされた典型的お約束なキャラクタばかりなので演者の力に負うところが大きいのだけれど、皆芸達者で生き生きしている。
高嶺ふぶきの弁護士はいかにもニューヨークのキャリアウーマン風ハイテンション。花山佳子は人生経験豊かなビッグママ。佐藤輝と平澤智のマフィア親子もいかにもなルックスいかにもな芝居。マフィア父がオペラ好きと言うことで、最後の登場時の白いハンカチににやりとさせられたり。娯楽に乏しい何もない田舎町の警官・藤浦功一とバス停で日がな一日暇つぶしをしている男達・平澤智と佐藤輝のやりとりもお約束なんだけれど可笑しい。(旅先で出会う人々は殆どひとり2役)
そして、最後に出会う若い娘・ビアンカは堀内敬子。田舎町のマドンナ、素朴で可愛らしい女の子。いやもうどうして堀内敬子はいつもこんなに可愛いんでしょうねえ(笑)。ちょっと古臭い、でも古き良きといった感じのワンピースが似合うこと。
個性的な人々との出会いを、雄一の目線で楽しみました。いや雄一を演じる川平氏本人も持ちネタ(?)「いいんです!」やってたけど(笑)。
そして様々な出会いの後に父へのわだかまりを乗り越え、いつしか気がつくと前向きに自分を肯定して生きて行こうと思っている雄一。いやそんな真面目なだけの話じゃなくて、コメディなんだけれど(笑)。
終演後の客席はみんな何となく笑顔で、暖かい空気が流れていて心も軽くて。うん、楽しかった。いい舞台でした。
あ、「家族」というテーマに肯定的な思い入れのある人なら、もっと感動したかも。私は冒頭で雄一の父への態度に感情移入できなかったことからわかるようにそのあたりへの興味が薄いので。
ミュージカルと言うことで歌もダンスもふんだんに盛り込まれています。盛り込まれすぎてその分ストーリーが薄くなったのかも、と思うほど(失礼)。でもこういう難しいことを考えず素直に楽しめるオリジナルミュージカルがあってもいいと思うので、これはこれで好きです。
歌はどれもいい曲で耳に心地よかったです。高嶺ふぶき演じる弁護士キャサリンの「Lawyer’s Song」が面白かったなあ。最初は振り回されっぱなしだった雄一が旅から帰ってのリプライズではしっかり言い返すのが上手い使い方だと思ったし。主題歌CD「予期せぬ出会い」「いつもON YOUR SIDE」はうっかり買ってしまいました。川平慈英と堀内敬子のデュエット曲。爽やかな感じでなかなか良かった。
ダンスでは、クラブで高嶺ふぶき(ここではマフィアの情婦ミランダ役)が平澤智、藤浦功一と踊る場面が格好よかった! セクシーかつシャープな場面。ここもストーリーのバランス的に長いかなと思わなくもありませんが、格好いいからいいや(笑)。見て得した感のある場面。
と言う訳で、とても楽しんだ1時間45分でした。
が、ひとつ気になったのはチケット料金。
長ければいいというものではないけれど、S席7,800円A席6,500円と言うのは、2時間に満たない1幕ものの料金としては若干高いような気がします。気軽に誰にでも楽しめる内容なので、値段ももう少し敷居が低いといいかなと思いました。まあ色々そうもいかんのでしょうが。(ちなみに私はオクで安くゲットしたのでそういう意味では不満はないのですが←をい)
またキャストを変えたり、そのキャストに合わせて細部を変えたりしながら再演を繰り返してくれたら面白いだろうな、また見に行きたいな、と思っています。
***
しかし、去年から見ている数少ない舞台で、宝塚男役出身者の役がハイテンションなキャリアウーマンばかりなのは何故だろう(笑い)。『最悪な人生のためのガイドブック』伊織直加、『風を結んで』絵麻緒ゆう、そして今回の高嶺ふぶき。やはりそういうキャラがイメージしやすいのか。(あ、さえちゃんは違ったけど)
甘く儚い青春の感傷。(二期会『ラ・ボエーム』@オーチャードホール)
2006年2月24日 オペラ二期会『ラ・ボエーム』観て参りました。
指揮・ロベルト・リッツィ・ブリニョーリ、演出・鵜山仁。管弦楽・東京フィルハーモニー交響楽団。
ポエームを観るのは久しぶり。久しぶりに観たら、楽しいシーンは楽しくて楽しくて、悲しいシーンは泣けて仕方がなかった。
好きなオペラではあるけれど特別に大好きな訳ではないと思っていたので、正直意外だった。
年を取ったせいかなあ。
ポエームの主人公達は皆それぞれに芸術家志望でその日の食費にも事欠いているが、仲間がいればそれでも楽しい貧乏暮らし。でも、だからって家賃を取りに来た大家を追い出したりするのは倫理的にどうなの、とか。仲間の恋人を愛人にしているイヤな爺さんとは言え騙くらかして付けを払わせるのはひどいなあ、とか。そんな若さと貧乏ゆえ何をしても許されると思っていそうな青春の暴走を時に覚めた目で見ていたりしたんだが。今回、何だかもうそれすら楽しそうでいいか、と見えてしまった。
自分が若くなくなったからかなあ。若くなくなって青春と呼ばれるものがはるか遠くに過ぎ去ってしまったから、その若さの暴力(と言うには可愛いもんだけど)も微笑ましく見えるのかもしれない。
主人公たちロドルフォとミミの恋も、貧乏な詩人とお針子が出会って恋に落ちたが貧しさゆえに別れ、再会したが彼女の病は重く彼の部屋で息を引取る、と言うべったべたなお約束の物語なのだけれど。今だから、その感傷の甘さを面映く思いつつ、美しいフィクションとして受け止めて心が洗われるように泣けるのかもしれない。
あと、出演者が比較的若手の歌手で、出演者も演出家も日本人であるということも、いつも以上に受け入れやすかった理由のひとつかもしれない。我々日本人の観客にとってより自然で魅力的な若者像を描き出せるのだと思う。演出と歌手の演技と両方の成果なのだと思うが、きめ細かく繊細な動きや仕草が心に残った。
私にとって特に印象深かったのは、4幕で瀕死のミミを前に、皆それぞれできることをしよう、とコッリーネがショナールに言うところ。俺に出来ることなんか無い、と言うように首を振るショナールに、コッリーネが彼の肩を叩いて、二人きりにしてあげよう、と言う。ショナールはそうか、と顔を上げて部屋を見回し、出かける言い訳になるものを探し、水の入った瓶を手に取り、いつものようにおどけた様子を装ってそれをロドルフォに示し、部屋を出て行く。
その自然な感じ。それが、この物語を素直に受け止める手助けをしてくれる。
演出は基本的に奇を衒わず、衣装もセットもオーソドックスなもの。
1幕、4幕の仲間達の部屋は家具等は普通だが、やや狭いのかな。4幕の食事をしたりふざけあう場面では、その度に慌しく片付けて場所を空ける様子が、狭いところに工夫して4人暮らしているんだなあと思わせられる。部屋は孤島のように舞台中央に浮かび、背景に時間の推移をあらわすように街明かりが映し出される。そして最後は夕映えのように赤く明るい。
2幕のカルチェ・ラタンも超豪華とは行かないものの、クリスマスの賑わいに十分な華やかさがあった。3幕の街外れも雪の風景がシンプルで美しかった。
激しさよりも甘い感傷が心に沁みる繊細な舞台。オーソドックスな舞台装置や衣装の上で、現代に通じる感覚の演技を見せた、いい上演だったと思う。
以下、キャストについて。
ミミ=木下美穂子
清らかで張りのある美声で、ミミのイメージにぴったりの歌だった。後半に行くにつれてどんどん良くなって、3幕のロドルフォとの別れ、4幕の再会の二重唱はとても良くて、泣けた。
ムゼッタ=安藤赴美子
こちらも堂々たるもの。2幕の歌は迫力で良かったけれど、べノアを振り回しマルチェッロを陥落させるコケットリーはちょっと物足りない気も。4幕の実は真面目で心優しい面は良かった。
と、どちらかと言うと女声陣の方が聞かせてくれたけれど、男声陣ももちろん良かった。
ロドルフォ=山田精一
この人が主役だというので観に来ました。とてもとても甘いけれど甘ったるくはない繊細な美声で、とにかく好きな声。
でも、このホールには若干線が細すぎたかなあ。もう少し小さい空間で聞いてみたい人かも。あと高音になるとちょっと弱いのが気になった。
でも、3幕4幕はその声の若さ(=甘さと細さ)がロドルフォそのもののようで引き込まれました。ミミとロドルフォ、二人とも本当にこの繊細な物語の恋人達にふさわしい美しい声で、良かった。
まだ若手で今回が二期会本公演デビューだそうなので、これからを楽しみに聞き続けたいと思います。
しかし、この方かなり太った気が。オペラ歌手は容姿は二の次とは言え、体型まで伝統的なイタリアンテノール並みにならなくてもと言う気はします(失礼!)。
マルチェッロ=成田博之
この人も割と好みの声。歌、演技とも安定した感じで、安心して観ていられた。
その他、ショナール=萩原潤、コッリーネ=黒木純、それぞれ良かったです。ショナールは1幕で賑やかし的な出方をするんですが、その演技が軽妙で楽しかった。コッリーネは「外套の歌」いい声で聞かせてくれました。
あとこれは個人的な好みですが、コッリーネはぼーっとした感じで長身、ショナールは割と小柄で機敏というイメージがあるので、今回はそのイメージどおりで、楽しかったです(笑)。
やや不満があるとしたら、やはりホールのせいもあるんだろうなあと。今回3階後方席のせいかいまひとつ声が届いていないようなもどかしさが。オーチャードでは私は割とそういう感想を抱きがちなのですが、まあ仕方ないのかなあ。
あとこれはどうでもいいことですが何故二期会の公演のプログラムはいつも微妙に内輪っぽいんだろうか。別に色々なジャンルの人による紹介文でなく、普通のキャスト紹介だけでいいのに、と少し思いました。
***
演出と歌手にしか言及してなくてすみません。その程度の素人の感想と思ってください。(と、たまたま検索で来てしまった方向けにお断り)
指揮・ロベルト・リッツィ・ブリニョーリ、演出・鵜山仁。管弦楽・東京フィルハーモニー交響楽団。
ポエームを観るのは久しぶり。久しぶりに観たら、楽しいシーンは楽しくて楽しくて、悲しいシーンは泣けて仕方がなかった。
好きなオペラではあるけれど特別に大好きな訳ではないと思っていたので、正直意外だった。
年を取ったせいかなあ。
ポエームの主人公達は皆それぞれに芸術家志望でその日の食費にも事欠いているが、仲間がいればそれでも楽しい貧乏暮らし。でも、だからって家賃を取りに来た大家を追い出したりするのは倫理的にどうなの、とか。仲間の恋人を愛人にしているイヤな爺さんとは言え騙くらかして付けを払わせるのはひどいなあ、とか。そんな若さと貧乏ゆえ何をしても許されると思っていそうな青春の暴走を時に覚めた目で見ていたりしたんだが。今回、何だかもうそれすら楽しそうでいいか、と見えてしまった。
自分が若くなくなったからかなあ。若くなくなって青春と呼ばれるものがはるか遠くに過ぎ去ってしまったから、その若さの暴力(と言うには可愛いもんだけど)も微笑ましく見えるのかもしれない。
主人公たちロドルフォとミミの恋も、貧乏な詩人とお針子が出会って恋に落ちたが貧しさゆえに別れ、再会したが彼女の病は重く彼の部屋で息を引取る、と言うべったべたなお約束の物語なのだけれど。今だから、その感傷の甘さを面映く思いつつ、美しいフィクションとして受け止めて心が洗われるように泣けるのかもしれない。
あと、出演者が比較的若手の歌手で、出演者も演出家も日本人であるということも、いつも以上に受け入れやすかった理由のひとつかもしれない。我々日本人の観客にとってより自然で魅力的な若者像を描き出せるのだと思う。演出と歌手の演技と両方の成果なのだと思うが、きめ細かく繊細な動きや仕草が心に残った。
私にとって特に印象深かったのは、4幕で瀕死のミミを前に、皆それぞれできることをしよう、とコッリーネがショナールに言うところ。俺に出来ることなんか無い、と言うように首を振るショナールに、コッリーネが彼の肩を叩いて、二人きりにしてあげよう、と言う。ショナールはそうか、と顔を上げて部屋を見回し、出かける言い訳になるものを探し、水の入った瓶を手に取り、いつものようにおどけた様子を装ってそれをロドルフォに示し、部屋を出て行く。
その自然な感じ。それが、この物語を素直に受け止める手助けをしてくれる。
演出は基本的に奇を衒わず、衣装もセットもオーソドックスなもの。
1幕、4幕の仲間達の部屋は家具等は普通だが、やや狭いのかな。4幕の食事をしたりふざけあう場面では、その度に慌しく片付けて場所を空ける様子が、狭いところに工夫して4人暮らしているんだなあと思わせられる。部屋は孤島のように舞台中央に浮かび、背景に時間の推移をあらわすように街明かりが映し出される。そして最後は夕映えのように赤く明るい。
2幕のカルチェ・ラタンも超豪華とは行かないものの、クリスマスの賑わいに十分な華やかさがあった。3幕の街外れも雪の風景がシンプルで美しかった。
激しさよりも甘い感傷が心に沁みる繊細な舞台。オーソドックスな舞台装置や衣装の上で、現代に通じる感覚の演技を見せた、いい上演だったと思う。
以下、キャストについて。
ミミ=木下美穂子
清らかで張りのある美声で、ミミのイメージにぴったりの歌だった。後半に行くにつれてどんどん良くなって、3幕のロドルフォとの別れ、4幕の再会の二重唱はとても良くて、泣けた。
ムゼッタ=安藤赴美子
こちらも堂々たるもの。2幕の歌は迫力で良かったけれど、べノアを振り回しマルチェッロを陥落させるコケットリーはちょっと物足りない気も。4幕の実は真面目で心優しい面は良かった。
と、どちらかと言うと女声陣の方が聞かせてくれたけれど、男声陣ももちろん良かった。
ロドルフォ=山田精一
この人が主役だというので観に来ました。とてもとても甘いけれど甘ったるくはない繊細な美声で、とにかく好きな声。
でも、このホールには若干線が細すぎたかなあ。もう少し小さい空間で聞いてみたい人かも。あと高音になるとちょっと弱いのが気になった。
でも、3幕4幕はその声の若さ(=甘さと細さ)がロドルフォそのもののようで引き込まれました。ミミとロドルフォ、二人とも本当にこの繊細な物語の恋人達にふさわしい美しい声で、良かった。
まだ若手で今回が二期会本公演デビューだそうなので、これからを楽しみに聞き続けたいと思います。
しかし、この方かなり太った気が。オペラ歌手は容姿は二の次とは言え、体型まで伝統的なイタリアンテノール並みにならなくてもと言う気はします(失礼!)。
マルチェッロ=成田博之
この人も割と好みの声。歌、演技とも安定した感じで、安心して観ていられた。
その他、ショナール=萩原潤、コッリーネ=黒木純、それぞれ良かったです。ショナールは1幕で賑やかし的な出方をするんですが、その演技が軽妙で楽しかった。コッリーネは「外套の歌」いい声で聞かせてくれました。
あとこれは個人的な好みですが、コッリーネはぼーっとした感じで長身、ショナールは割と小柄で機敏というイメージがあるので、今回はそのイメージどおりで、楽しかったです(笑)。
やや不満があるとしたら、やはりホールのせいもあるんだろうなあと。今回3階後方席のせいかいまひとつ声が届いていないようなもどかしさが。オーチャードでは私は割とそういう感想を抱きがちなのですが、まあ仕方ないのかなあ。
あとこれはどうでもいいことですが何故二期会の公演のプログラムはいつも微妙に内輪っぽいんだろうか。別に色々なジャンルの人による紹介文でなく、普通のキャスト紹介だけでいいのに、と少し思いました。
***
演出と歌手にしか言及してなくてすみません。その程度の素人の感想と思ってください。(と、たまたま検索で来てしまった方向けにお断り)
祝祭準備。(公式に反応)
2006年2月23日 宝塚公式サイトのニュースに反応。
その1。
6月の立樹バウの解説ページ出ました。
タイトルも仮題が取れて『フェット・アンペリアル−帝国の祝祭−』で決まりのようです。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/06/03star/index.html
……とりあえず、写真見て格好よくて一安心。いや、ほら今年のバウのポスターは出来が色々だからさ(色々と言うかその)。
あらすじも、しがらみや苦い現実といった大野作品の特色である要素を持ちつつ、しぃちゃんの舞台上のキャラクタの持ち味である(と私が思っている)大人になりきれない青さや真っ直ぐさと表裏一体の不器用さを活かした作品になりそうで、今から机叩いてのたうちまわるほど楽しみです。
そしてそのあらすじだけで既に脳内上演が止められなくなっている私は我ながらちょっとどうかと思います。実際の舞台を見るまでは何とも言えないのは承知の上ですが、でも止められないものはしょうがないよな(開き直り)。
私もそろそろ6月の予定を考えないと。今、梅芸のコパカバーナとどちらにどれだけ通うか、チケット配分をものすごく真剣に悩んでいます(もっと他に考えることがあるだろう社会人)。
その2。
涼氏ディナーショータイトル、出演者決定。
タイトルは『L’Avenir』、未来・将来と言う意味だそうで。
出演者は、華美ゆうか、壱城あずさ、如月蓮、南風里名。うーん、華美ゆうかちゃんしか当たらなかったか。
男役娘役2名ずつなのは予想通り。きっとすごくタカラヅカっぽいディナーショーになるのではないかと勝手に期待しております。楽しみです。
その3。
星ベルばらDVD著作権カット(映像のみ収録)について。
……今更何でボレロの著作権でひっかかるかなあ。せっかくのトップコンビお披露目デュエットダンスが。しっかりしてくださいよ劇団御担当者様。
その1。
6月の立樹バウの解説ページ出ました。
タイトルも仮題が取れて『フェット・アンペリアル−帝国の祝祭−』で決まりのようです。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/06/03star/index.html
……とりあえず、写真見て格好よくて一安心。いや、ほら今年のバウのポスターは出来が色々だからさ(色々と言うかその)。
あらすじも、しがらみや苦い現実といった大野作品の特色である要素を持ちつつ、しぃちゃんの舞台上のキャラクタの持ち味である(と私が思っている)大人になりきれない青さや真っ直ぐさと表裏一体の不器用さを活かした作品になりそうで、今から机叩いてのたうちまわるほど楽しみです。
そしてそのあらすじだけで既に脳内上演が止められなくなっている私は我ながらちょっとどうかと思います。実際の舞台を見るまでは何とも言えないのは承知の上ですが、でも止められないものはしょうがないよな(開き直り)。
私もそろそろ6月の予定を考えないと。今、梅芸のコパカバーナとどちらにどれだけ通うか、チケット配分をものすごく真剣に悩んでいます(もっと他に考えることがあるだろう社会人)。
その2。
涼氏ディナーショータイトル、出演者決定。
タイトルは『L’Avenir』、未来・将来と言う意味だそうで。
出演者は、華美ゆうか、壱城あずさ、如月蓮、南風里名。うーん、華美ゆうかちゃんしか当たらなかったか。
男役娘役2名ずつなのは予想通り。きっとすごくタカラヅカっぽいディナーショーになるのではないかと勝手に期待しております。楽しみです。
その3。
星ベルばらDVD著作権カット(映像のみ収録)について。
……今更何でボレロの著作権でひっかかるかなあ。せっかくのトップコンビお披露目デュエットダンスが。しっかりしてくださいよ劇団御担当者様。
ミュージカル『アルジャーノンに花束を』初日見て参りました。
原作は言わずと知れたダニエル・キイス。脚本・作詞・演出・荻田浩一。主演・浦井健治。
緑野さんドリーさんサトリちゃんジュンタさんと5人で団体。みんなオギー好きだから(笑)。
泣いた。
特に、2幕の後半からラストにかけては、涙が止まらなかった。
でも、何故泣けたのかよくわからない。論理的にも情緒的にも説明できない。
割と冷静に見ている自分がいた。初日ということもあり、なんとなくまだ役者の動きや流れがぎこちない。構成やストーリーの運びも、何だかスムーズに流れていないような、ぎくしゃくとひっかかりつつ進んでいるような印象。ミュージカルということで歌も多いのだが、まだこなれていない感があり、もっと上手い人だったらどう聞えるのかな、等と考えてしまう時もあり。
とりたてて登場人物の誰かに共感した訳でもない。通し役は主人公のチャーリー・ゴードン=浦井健治と、アリス・キニアン=安寿ミラの二人だけれど、特にどちらかに感情移入した訳でもなく、彼らの言動、物語を追っていたと言う感覚が強い。
カタルシス、と言うのも違う。少なくとも私は、結局答えはないんだな、と感じた。答え=明示される救いはない。ただ物語があり、それが終るだけ。これは、原作を読んだときにも思ったことだけれど。
でも、1幕ラストと2幕後半から終わりの、集中する感じは何だろう。しんと息を詰めて見守ってしまうような感じは。
静謐な空気と透明な白い光の中で向かい合う、青年と子供(もしくはネズミ)の姿が脳裏から離れない。
今書けるのはこのくらい。整いきっていなくて、どこかとっつきにくくて、でも研ぎ澄まされた美しさのある、見る価値のある作品ではあったのだけれど、うまく言えない。
もう1回見るので、そのときまた何か書けたら書きます。
ひとつ言えるのは、これは「荻田浩一の見た『アルジャーノンに花束を』」なんだと言うこと。原作をどう読むか、強烈な視点が貫かれている。
観劇後、一緒に見た他の人にとっても感想が語りづらい作品だったのか、あまり舞台の話は出なかった。でも、原作を読んでいた人は、読み方自分とが全然違う、と言うことは言っていた。
私はずっと昔に一度読んだきりで、印象はおぼろなのだけれど。次に見るまでに読み返しておこうと思います。
原作は言わずと知れたダニエル・キイス。脚本・作詞・演出・荻田浩一。主演・浦井健治。
緑野さんドリーさんサトリちゃんジュンタさんと5人で団体。みんなオギー好きだから(笑)。
泣いた。
特に、2幕の後半からラストにかけては、涙が止まらなかった。
でも、何故泣けたのかよくわからない。論理的にも情緒的にも説明できない。
割と冷静に見ている自分がいた。初日ということもあり、なんとなくまだ役者の動きや流れがぎこちない。構成やストーリーの運びも、何だかスムーズに流れていないような、ぎくしゃくとひっかかりつつ進んでいるような印象。ミュージカルということで歌も多いのだが、まだこなれていない感があり、もっと上手い人だったらどう聞えるのかな、等と考えてしまう時もあり。
とりたてて登場人物の誰かに共感した訳でもない。通し役は主人公のチャーリー・ゴードン=浦井健治と、アリス・キニアン=安寿ミラの二人だけれど、特にどちらかに感情移入した訳でもなく、彼らの言動、物語を追っていたと言う感覚が強い。
カタルシス、と言うのも違う。少なくとも私は、結局答えはないんだな、と感じた。答え=明示される救いはない。ただ物語があり、それが終るだけ。これは、原作を読んだときにも思ったことだけれど。
でも、1幕ラストと2幕後半から終わりの、集中する感じは何だろう。しんと息を詰めて見守ってしまうような感じは。
静謐な空気と透明な白い光の中で向かい合う、青年と子供(もしくはネズミ)の姿が脳裏から離れない。
今書けるのはこのくらい。整いきっていなくて、どこかとっつきにくくて、でも研ぎ澄まされた美しさのある、見る価値のある作品ではあったのだけれど、うまく言えない。
もう1回見るので、そのときまた何か書けたら書きます。
ひとつ言えるのは、これは「荻田浩一の見た『アルジャーノンに花束を』」なんだと言うこと。原作をどう読むか、強烈な視点が貫かれている。
観劇後、一緒に見た他の人にとっても感想が語りづらい作品だったのか、あまり舞台の話は出なかった。でも、原作を読んでいた人は、読み方自分とが全然違う、と言うことは言っていた。
私はずっと昔に一度読んだきりで、印象はおぼろなのだけれど。次に見るまでに読み返しておこうと思います。
星の歌姫。と言うかうちの子をよろしく(←馬鹿)。(公式に反応)
2006年2月21日 宝塚以下公式より。
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2006/02/21
新譜(企画CD)のご案内 2006年4月1日発売分
緊急告知 企画CD『Quatre Saisons〜日本の四季を歌う〜』
■2006年4月1日発売
○Quatre Saisons〜日本の四季を歌う〜(企画CD)
タカラヅカ・スカイ・ステージではお馴染みのニュース後に流れていた唱歌・童謡を、視聴者の皆様からの反響にお応えして、CDとして発売することが決定いたしました!
華城季帆・晴華みどり・音花ゆり・和音美桜の同期4人による、美しく懐かしい四季折々の唱歌・童謡を、スカイ・ステージ未放送曲を含む全36曲でお贈りいたします。
TCAC-273 2,000円(税込)
----------------------------------------
うわー! すごいやコロちゃん!(音花ゆりちゃん愛称呼び強化月間)
と言う訳で、きっと買います。
こういう企画CDって珍しいのでは。娘役だけというのもいいよね。楽しみです。
「音花ゆりって誰?」と言う方は、東宝公演中の星ベルばらでプロローグが終わってすぐのオーストリア宮廷マリア・テレジアの場面、上手端にいる女官長にご注目ください。「お姫様がご挨拶に」とか台詞言ってます。なかなか堂々としていてわっかのドレスも良く似合ってます。新人公演では貴族令嬢で百花さんの役です(実は今確認した。楽しみ・笑)。
……って、やっぱりすごいよなあ。他はみんな新公やバウヒロイン経験者なのに。ほんとにバウヒロやっちゃったらどうしようね緑野さん(私信)。。
***
ところで。
19日のヒーリングコンサート、結局行きませんでした。いや、ちょっとへろへろしていて……(2日連続でベルばらなんか見てるからだよ)。検索してうっかり来てしまった方、すみません。
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2006/02/21
新譜(企画CD)のご案内 2006年4月1日発売分
緊急告知 企画CD『Quatre Saisons〜日本の四季を歌う〜』
■2006年4月1日発売
○Quatre Saisons〜日本の四季を歌う〜(企画CD)
タカラヅカ・スカイ・ステージではお馴染みのニュース後に流れていた唱歌・童謡を、視聴者の皆様からの反響にお応えして、CDとして発売することが決定いたしました!
華城季帆・晴華みどり・音花ゆり・和音美桜の同期4人による、美しく懐かしい四季折々の唱歌・童謡を、スカイ・ステージ未放送曲を含む全36曲でお贈りいたします。
TCAC-273 2,000円(税込)
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うわー! すごいやコロちゃん!(音花ゆりちゃん愛称呼び強化月間)
と言う訳で、きっと買います。
こういう企画CDって珍しいのでは。娘役だけというのもいいよね。楽しみです。
「音花ゆりって誰?」と言う方は、東宝公演中の星ベルばらでプロローグが終わってすぐのオーストリア宮廷マリア・テレジアの場面、上手端にいる女官長にご注目ください。「お姫様がご挨拶に」とか台詞言ってます。なかなか堂々としていてわっかのドレスも良く似合ってます。新人公演では貴族令嬢で百花さんの役です(実は今確認した。楽しみ・笑)。
……って、やっぱりすごいよなあ。他はみんな新公やバウヒロイン経験者なのに。ほんとにバウヒロやっちゃったらどうしようね緑野さん(私信)。。
***
ところで。
19日のヒーリングコンサート、結局行きませんでした。いや、ちょっとへろへろしていて……(2日連続でベルばらなんか見てるからだよ)。検索してうっかり来てしまった方、すみません。
At Home。(星組『ベルサイユのばら』東宝)
2006年2月18日 宝塚星東宝初日は、ワタさん退団発表後の最初の舞台でもある訳で。
1幕最後のフェルゼンの銀橋には完全にはけるまでいつも以上の拍手が送られ、オマージュの最後も完全に姿が消えてエトワールの歌が始まるまで拍手が鳴り止むことはありませんでした。
私も、「とうとう来たのね、その日が」「ベルサイユにフェルゼンが居なくなるなんて太陽が欠けるようなもの」といった言葉に今までと違う意味を思ったりしたのですが、それはまあ置いといて。
終演後の組長のご挨拶で役替りについて話したとき、しぃちゃんが隣のれおんくんの方を向いて顔を見合わせてニコッとしたのが印象的でした(カワイイ)。
ワタさんの挨拶では「私事ですが」と自身の退団についてさらっと触れ、しかし「この公演は白羽ゆりとのコンビお披露目公演です」と。場内拍手。
そしてカーテンコールはスタンディングオベーション。勿論作品ではなく、そして恐らく今日の舞台にでもなく、退団するワタさんに対しての意味合いが強かったと思います(私も立った)。幕が開いてその様子を見たワタさんは流石に驚いた顔で一瞬絶句していましたが、いつものように笑顔で客席へお礼を述べていました。
が、そのカーテンコールで異変が。
ワタさんの隣にすずみんがいる、つか、トウコさんは?
一通り見渡してもいない。別の席で見ていたじゅんたさんに「トウコさんは?」と聞くとやっぱりいなかった、と。
外に出ると雪がちらほら。ギャラリーしながら道行く人の話に耳をそばだてていると、具合が悪くて病院へ行ったらしいと言っている人が。怪我ではないらしいとちょっとほっとしたものの、よくわからないし気になる。
と言う訳で、18日も急遽行って参りました。予定外の観劇が増えちゃったよ(苦笑)。
当然立見。と言うか今回の公演当日は立見しかないんですね、知らなかった。ちなみに立見席からは旗はおろかバスティーユそのものすら見えません(笑)。
トウコさんは無事出演で一安心。昨日と違って台詞も噛まなかったし、薔薇タンでもバランスを崩したりもしていなかった。今思えばやっぱり昨日はちょっとおかしかったんだな。
しかし2日連続でベルばらは辛いものが。場面によっては全然舞台と関係ないことを考えたりしてました(駄目駄目)。
と言う訳で、昨日に引き続き役替りの話など。
れおんベルナールは、若かったです。若くて青い。
そしてロザリーとの夫婦愛より、革命の闘士としての面がより強く出たベルナールになっていました。
国王一家救出の計画を聞いて動揺するロザリーを抱きしめるところ、抱きしめた後ですごく鋭い目をするんですね。彼の思いは腕の中のロザリーでなく、失敗した革命への怒りと危険な計画への挑戦に向いている。
その分、危険な橋を渡ろうとする理想家肌の夫を心配するロザリーの思いが強く見えるようになってました。でも初日より2日目の方が、その後またロザリーに笑いかけるように微笑んでいたので、試行錯誤中なのかもしれない。
しかしあの鬘が気になるのは私だけですか? 後ろ髪がもしゃもしゃしているように見えるんですが、あれはどうなっているのだろうか。もうちょっとすっきりした方が格好いいのでは(失礼)。
ゆかりアランは、初日手に汗握って見てましたが絶叫台詞もちゃんと決まって一安心。が、18日11時の回は「バスティーユに白旗が!」で見事に声がひっくり返ったのを聞いて脱力した私(笑)。がんばれ、応援してるぞ。
外見は黒髪オールバックでメイクもキリリと男っぽく、なかなか決まっているのではないかと。が、れおんアランと比べてリーダー格に見えないのは否めない。外見だけだと線は細いしその印象を覆すエピソードはないし、まあ仕方ないわな。
で、ひとつ面白いと思ったことが。
市民達に責められて動揺する隊士たちに、真っ先に落ち着けと言うのはアンドレ。そしてアランがそれに同意する。大劇では、衛兵隊士たちとの関係が描かれていないので(オスカル編である雪ベルばらでもそれは描かれていないという恐ろしい話は置いといて)、オスカルが居ないと何故アンドレがここにいてそういうことを言っているのか妙な気がしたのですが、そのくらいの妙なことはいくらでもあるしな、とスルーしていたんですね。
でも、衛兵隊がれおんが抜けてアンドレがしぃちゃんだと、違和感がなくなったんですよ。いやビジュアル的に。だってあの中で一番強そうだし、命令してても何となく納得(笑)。いやまあどうでもいい話ですが。
あと、役替りと言うか、フィナーレ「小雨降る径」の淑女S=すずみん!
もうわっくわくして待ってました。
感想は……えーと、そのまんま?
そのままと言うか、男役・涼紫央とオフのとよこさんが両方、交互に出てくるような? きれいだしスタイルもいいけど、どう解釈(解釈って)していいかちょっと戸惑うような。でもワタさんは意に介さずどーんと相手役として踊ってましたが。スカートをはいていれば誰でも(from『ドン・ジョヴァンニ』)、って訳じゃないんだろうけども。
髪型はターバン(羽山ダンスリサイタルのキムくんと同じ)。そのせいで余計男っぽく見えるのかな。2日とも同じでちょっと残念。
そして何より残念だったのは、せり下がりで横を向いたままだったこと。ドルチェ・ヴィータだったのはコムちゃんだけだったけど、大劇ではみんな下がるときに正面向いたり微笑んだりしてたじゃないですか。期待したのにー。そのうち何かやってくれないかしら。
……その後、お稽古場映像を見たんですが。
小雨は稽古場映像の方がいいかも(をい)。もっと見たいです(笑)。
とにかく、これから色々と変化があると思うので、楽しみに待ちたいと思います。
すずみんが抜けた薔薇タンにはドイちゃんが入ってました。元気元気。ムラ千秋楽で薔薇タンはみらんあかしを見ているのが一番楽しいと書きましたが、ドイちゃんもいいです。と言うか本編で出番がない人ほどここではじけるしかない!と思っているのではと邪推が……(やめなさい)。
***
初日に思ったのが、やっぱり落ち着くなあ、と言うことで。
そりゃ、特出は楽しかったし面白かったし、そのために何度もムラまで通ったし、短い期間で力を発揮してくれた特出組の方々にはとても感謝と敬意を感じているけれど。
でも、東宝で組子だけでの公演にほっとしているのは、どこかの組ファンである方にはわかっていただけるのではと思います。
こんな作品でも、同じ面子で深めていくということもあるかもしれないし。
しかしバスティーユ、と言うかオスカルの死の場面のうるささには参りました(苦笑)。みんな口々に叫んで慟哭芝居してるの。いやあ好きだなあ。
でもそれを谷氏に褒められているのがちょっと不安です(プログラムでバスティーユの熱演を「異常なほどのエネルギー」と書いてくれている)。いやもうベルばらはやんなくていいからね。
1幕最後のフェルゼンの銀橋には完全にはけるまでいつも以上の拍手が送られ、オマージュの最後も完全に姿が消えてエトワールの歌が始まるまで拍手が鳴り止むことはありませんでした。
私も、「とうとう来たのね、その日が」「ベルサイユにフェルゼンが居なくなるなんて太陽が欠けるようなもの」といった言葉に今までと違う意味を思ったりしたのですが、それはまあ置いといて。
終演後の組長のご挨拶で役替りについて話したとき、しぃちゃんが隣のれおんくんの方を向いて顔を見合わせてニコッとしたのが印象的でした(カワイイ)。
ワタさんの挨拶では「私事ですが」と自身の退団についてさらっと触れ、しかし「この公演は白羽ゆりとのコンビお披露目公演です」と。場内拍手。
そしてカーテンコールはスタンディングオベーション。勿論作品ではなく、そして恐らく今日の舞台にでもなく、退団するワタさんに対しての意味合いが強かったと思います(私も立った)。幕が開いてその様子を見たワタさんは流石に驚いた顔で一瞬絶句していましたが、いつものように笑顔で客席へお礼を述べていました。
が、そのカーテンコールで異変が。
ワタさんの隣にすずみんがいる、つか、トウコさんは?
一通り見渡してもいない。別の席で見ていたじゅんたさんに「トウコさんは?」と聞くとやっぱりいなかった、と。
外に出ると雪がちらほら。ギャラリーしながら道行く人の話に耳をそばだてていると、具合が悪くて病院へ行ったらしいと言っている人が。怪我ではないらしいとちょっとほっとしたものの、よくわからないし気になる。
と言う訳で、18日も急遽行って参りました。予定外の観劇が増えちゃったよ(苦笑)。
当然立見。と言うか今回の公演当日は立見しかないんですね、知らなかった。ちなみに立見席からは旗はおろかバスティーユそのものすら見えません(笑)。
トウコさんは無事出演で一安心。昨日と違って台詞も噛まなかったし、薔薇タンでもバランスを崩したりもしていなかった。今思えばやっぱり昨日はちょっとおかしかったんだな。
しかし2日連続でベルばらは辛いものが。場面によっては全然舞台と関係ないことを考えたりしてました(駄目駄目)。
と言う訳で、昨日に引き続き役替りの話など。
れおんベルナールは、若かったです。若くて青い。
そしてロザリーとの夫婦愛より、革命の闘士としての面がより強く出たベルナールになっていました。
国王一家救出の計画を聞いて動揺するロザリーを抱きしめるところ、抱きしめた後ですごく鋭い目をするんですね。彼の思いは腕の中のロザリーでなく、失敗した革命への怒りと危険な計画への挑戦に向いている。
その分、危険な橋を渡ろうとする理想家肌の夫を心配するロザリーの思いが強く見えるようになってました。でも初日より2日目の方が、その後またロザリーに笑いかけるように微笑んでいたので、試行錯誤中なのかもしれない。
しかしあの鬘が気になるのは私だけですか? 後ろ髪がもしゃもしゃしているように見えるんですが、あれはどうなっているのだろうか。もうちょっとすっきりした方が格好いいのでは(失礼)。
ゆかりアランは、初日手に汗握って見てましたが絶叫台詞もちゃんと決まって一安心。が、18日11時の回は「バスティーユに白旗が!」で見事に声がひっくり返ったのを聞いて脱力した私(笑)。がんばれ、応援してるぞ。
外見は黒髪オールバックでメイクもキリリと男っぽく、なかなか決まっているのではないかと。が、れおんアランと比べてリーダー格に見えないのは否めない。外見だけだと線は細いしその印象を覆すエピソードはないし、まあ仕方ないわな。
で、ひとつ面白いと思ったことが。
市民達に責められて動揺する隊士たちに、真っ先に落ち着けと言うのはアンドレ。そしてアランがそれに同意する。大劇では、衛兵隊士たちとの関係が描かれていないので(オスカル編である雪ベルばらでもそれは描かれていないという恐ろしい話は置いといて)、オスカルが居ないと何故アンドレがここにいてそういうことを言っているのか妙な気がしたのですが、そのくらいの妙なことはいくらでもあるしな、とスルーしていたんですね。
でも、衛兵隊がれおんが抜けてアンドレがしぃちゃんだと、違和感がなくなったんですよ。いやビジュアル的に。だってあの中で一番強そうだし、命令してても何となく納得(笑)。いやまあどうでもいい話ですが。
あと、役替りと言うか、フィナーレ「小雨降る径」の淑女S=すずみん!
もうわっくわくして待ってました。
感想は……えーと、そのまんま?
そのままと言うか、男役・涼紫央とオフのとよこさんが両方、交互に出てくるような? きれいだしスタイルもいいけど、どう解釈(解釈って)していいかちょっと戸惑うような。でもワタさんは意に介さずどーんと相手役として踊ってましたが。スカートをはいていれば誰でも(from『ドン・ジョヴァンニ』)、って訳じゃないんだろうけども。
髪型はターバン(羽山ダンスリサイタルのキムくんと同じ)。そのせいで余計男っぽく見えるのかな。2日とも同じでちょっと残念。
そして何より残念だったのは、せり下がりで横を向いたままだったこと。ドルチェ・ヴィータだったのはコムちゃんだけだったけど、大劇ではみんな下がるときに正面向いたり微笑んだりしてたじゃないですか。期待したのにー。そのうち何かやってくれないかしら。
……その後、お稽古場映像を見たんですが。
小雨は稽古場映像の方がいいかも(をい)。もっと見たいです(笑)。
とにかく、これから色々と変化があると思うので、楽しみに待ちたいと思います。
すずみんが抜けた薔薇タンにはドイちゃんが入ってました。元気元気。ムラ千秋楽で薔薇タンはみらんあかしを見ているのが一番楽しいと書きましたが、ドイちゃんもいいです。と言うか本編で出番がない人ほどここではじけるしかない!と思っているのではと邪推が……(やめなさい)。
***
初日に思ったのが、やっぱり落ち着くなあ、と言うことで。
そりゃ、特出は楽しかったし面白かったし、そのために何度もムラまで通ったし、短い期間で力を発揮してくれた特出組の方々にはとても感謝と敬意を感じているけれど。
でも、東宝で組子だけでの公演にほっとしているのは、どこかの組ファンである方にはわかっていただけるのではと思います。
こんな作品でも、同じ面子で深めていくということもあるかもしれないし。
しかしバスティーユ、と言うかオスカルの死の場面のうるささには参りました(苦笑)。みんな口々に叫んで慟哭芝居してるの。いやあ好きだなあ。
でもそれを谷氏に褒められているのがちょっと不安です(プログラムでバスティーユの熱演を「異常なほどのエネルギー」と書いてくれている)。いやもうベルばらはやんなくていいからね。
東宝初日行って参りました。2階4列センター目の前はすぐSS席というベルばら初の見やすい良席、新鮮な視界でした(笑)。
で、初日。
びっくりした。
舞踏会の出会いについてオスカルの説明台詞が増えているとか、おおプランタンが長くなってるとか駒鳥の歌が長くなってるとか驚くことは色々ありましたが、それはまあどうでもいい。
そんなことより何より驚いたのは。
橋の場面、アンドレの死ぬシーンが、オスカルとアンドレ二人の世界だった。
何これ、私こんなの初めて見たよ。初の良席だから?(多分違う)東宝の照明のせい?(多分違う)今までベルナールばかり見てたから気が付かなかっただけ?(これはあるかもしれない)
泣きじゃくって必死で手を伸ばすオスカルがあまりに痛々しくて。そのオスカルを安心させようと最期まで笑顔を向けるアンドレが悲しくて。二人ともお互いしか見ていなくて。
アンドレの死に時が凍りつき、オスカルの慟哭で時が動き出す。
いや、本当にびっくりした。
ここって、こういうシーンだったんだ。お笑いじゃなかったんだ(一言多い)。
雪ベルばらでワタさんアンドレの時でさえ、この場面はやっぱり微妙だなと思いながら見ていたのに。
今回トウコさんの上手さに感服しました。
オスカルという役は、男として生きる軍人から恋に悩む乙女までの幅があり、色々な人がそれぞれの幅で演じているけれど。
今回の安蘭オスカルは、その振り幅がとてつもなく大きい。
登場シーンは男らしく、慇懃に貴婦人達をいなす人を食ったような様子もクール。声も男役らしく。そしてフェルゼンとの会話も男友達として(ここのフェルゼン軟弱だし←また一言多い)。
が、一人残り恋心を吐露し始めると。声のトーンは上がり目はきらきら潤み「愛の巡礼」は切なく。
次も、ブイエ将軍にくってかかる時は熱血な理想家肌の若き軍人として。そしてジェルジェ将軍との会話では気を許した娘の顔を見せ、声も口調も若干ゆるむ。家庭での顔を想像させられる変化。
帰国を決めたフェルゼンに対しても、うっかり恋心を滲ませた直後の「しまった」と言う表情。フェルゼンが察するのも無理はない。と言うか、女の子モードがとても可愛いんで最初から軍人以外の面を見せていればフェルゼンも振り向いたんじゃないかと一瞬思いましたが、フェルゼンは王妃様一途だからそれはナシだな(余談)。
どの場面でも、表情の変化がとてもきめ細かい。
丁寧で自然、なのに振り幅は大きい豊かな表現力。
まさに変幻自在。目が離せない。
元々上手い人なのは承知していたけれど、このオスカルというある意味しどころのない、やりにくい役でここまで見せてくれるとは思っていなかった。安録山(へっへっへと笑いながら人妻を押し倒す蛮族の将軍)からアイーダ(運命に翻弄されながら愛だけを頼りに生きる亡国の王女)まで何でもできるトウコさんならではのオスカル。
オスカルという役はここまでできるんだ、と今までにない可能性を見せられたような気がした。
上手さだけでなくもう一つ刮目したのは、その吸引力。
オスカルが舞台の中央に立ちその思いを語り出すと、目が離せないのだ。
例えば、フェルゼンになじられて恋の苦悩を吐き出す場面や、市民の側に立って戦う決意を語る場面。
安蘭オスカルは客を魅了する。『フェルゼンとマリー・アントワネット編』の枠を越えて、主役としての吸引力を発揮する。
オスカルという役で、ここまでできるんだ。
そのオスカルの振り幅のうち、女としての顔が最高潮に達するのは、言わずと知れた今宵一夜の場面。
1幕の「愛の巡礼」がフェルゼンに対するどうすることもできない思いを持て余しての悩める歌だったのに対し、2幕で同じ歌を歌うオスカルはアンドレの思いを受け入れると心は決まっている。その差に気付いたのも初めてだ(私がボケなだけか)。
いつものように自然に肩に回されたアンドレの腕から離れる戸惑い、そして告白。
アンドレにしがみつく場面は声も完全に女の子になっちゃって、もう可愛くて可愛くてどうしようかと。キスする直前の顔はアイーダ再びでオペラで覗いてると赤面ものでした。(ここのキスシーンがENAKのSTAGE GRAPHに載ってて狼狽しました。でも生で舞台を見ていなければそれほど破壊力は感じないのかも)
で。一夜明けたパリ進駐でブイエ将軍に見得を切る姿は凛々しく格好良く衛兵隊士たちの信服も納得の堂々とした姿。生き生きしているんだよな。
こんな変幻自在で生命力に溢れてでも理想に誠実すぎてどこか危なっかしい女の子(敢えて「女の子」と言う。変化が計算ではなく自然でまた生命力がありすぎて「大人の女性」という印象は受けなかった)。ずっと側にいたらアンドレならずとも惚れるってもんだろう。
と言う訳で、安蘭オスカルに対する立樹アンドレ。
登場シーン、ジャルジェ将軍に殴られたオスカルに駆け寄ってその肩を抱く手が、もう、壊れ物を扱うようなこの上なく大切な物を支えるような、愛しくてたまらない手つきで。
最初からそんなに愛情だだ漏れでいいのか。それ全然「秘めた思い」じゃないだろ!(笑)
ジャルジェ将軍に呼びかける言い方も本当に心配そうで、大劇のトウドレの明るくいなすような言い方とは全然違っていて(でも立場的にこっちの方が正しいのかなとも)、その後もずーっと心配そうで。
でもオスカルはそんなアンドレを全然気にしてないんですよ。自分の肩を抱く腕の存在をこれっぽっちも意識していない。恐らく、それはいつも当然のように存在しているものだから。
なんか、すごいなと思ってしまった(いや別にすごくないのか?)。
小石の場面は、トウカルもやっぱり可愛くなっちゃってました。「待てー!」と走っていくのが可愛くて微笑ましい。バカップルとまでは行かなくてほっとしましたが(いやちょっと残念?)、幼なじみの気安さ、親密さがでていて、微笑ましかったです。
と言うか、しぃドレの「相手が可愛くて仕方がない」笑顔で見守られると、オスカルは誰がやっても可愛くなるしかないような気がしてきました(笑)。
全ツの時も書いたけれど、ここのアンドレ結構オスカルを馬鹿にしたようなことを言ってるんですよ。でもしぃドレはオスカルが大切で可愛くてたまらないオーラを出しているので、言葉の意味がごまかされてしまうなあと。
「白ばらの人」は何だかとても真っ直ぐで、晴れやかでした。その後の「この思いは自分の心に秘めているだけで幸せなんです」が100%真実なんだなあと。(トウドレはそれでも一抹の切なさ寂しさ苦悩が感じられた)
いや秘めてはいないけども。
と言うか私の方もしぃちゃんの銀橋ソロ!と緊張してよくわかってない感がありますが。格好良かった、良かったー(一応説明すると2度目の良かったは安堵)。
しぃドレは思いを秘めてはいないけれど抑えている、身を退いてはいるのだと思います。
そう思ったのが、フェルゼン出立の場面。アンドレは2度、前に出る場面がある。1度はフェルゼンが「身を退く愛」と言うとき、2度目は思わず身を乗り出したオスカルを止めるとき。
そのどちらも、アンドレはすぐにまた後ろに下がる、出過ぎたことをしてはならない、と言うような逡巡の表情で。
今宵一夜は熱いです。前述の通りトウカルが恋する乙女で儚げで色っぽくてえらいことになってるし。しぃドレは期待に違わず暑苦しいくらいにオスカルを愛しているし。なんかもう見ていて恥ずかしいくらいなのは私だけですかそうですか。あとやっぱり体格差がね、このくらいあるといいよねー。
でもこれ以上植田芝居にしない方がいいと思います。どうかこの辺で止めといてください。
驚いたのが、その後。
「この戦闘が終わったら結婚式だ!」と明るく言うオスカルに、アンドレは「オスカル……」と意外そうな声で答える。
え、その反応は何故?(ちなみに大劇のトウドレは苦笑と困惑交じりですが同意しているように見えました)
もしかして、本当に「今宵一夜」だと思っていたとか?
人生の岐路に不安になったオスカルの心の迷いゆえで、本気で自分の思いに応えてくれるはずがないと思っていたとか? 結婚なんて、永続的な関係を望むなんて考えもしなかったとか?
……馬鹿だ。なんて大馬鹿者。
あの世でオスカルに怒られるよ。私を見損なうな、って。
でも。そういう馬鹿な男も嫌いじゃないです。
そこまで諦めて、それでもそこまで愛していたのかと思うと。そして、それでも「今日まで生きてきて良かった」という言葉が出たのかと思うと。馬鹿で愛しくて切ない。
うん、オスカルも怒るだろうけれど、アンドレが「悪かった」とか本気で謝って悄然としてたら、怒りながら許してくれると思うよ。
ま、以上全て私の深読みですので、その点は御了承ください。
とにかく立樹アンドレ、ひたすらオスカルを愛し見守る男で、良かったです、良かった(2度目の良かったは(略))。
アンドレを失ったオスカルは、とても痛々しい(と言うか、トウコさんが痛々しい役をやると、本当に痛々しく見えるので)。
勿論、「シトワイヤン、行こう!」は迫力だしバスティーユの戦闘は凛々しいけれど。「お前はもう居ないのか」はもう、泣くしかないだろう。
と言う訳で、非常に面白かったです。いや、面白いというのは語弊があるかな、とにかく、良かったです。
これからもまた変化して行くんだろうな。楽しみにしています(ってやっぱり通うのかよ)。
***
ところで。
「アンドレが最初から諦めているのはそもそも結婚なんかできる身分じゃないから」と思って書いてたんですが。
よく考えたら今回の星ベルばら、アンドレは平民だって説明がどこにもないじゃん! その上、マントあり勲章つき軍服着てるし、ジェローデルとの会話もですます調ではあるけれどちょっと立場が下なだけって感じだし、何より国王の御前にもいるし。
これじゃ原作知らない人はわからないよ! 恋の障害はオスカルがフェルゼンに恋しているからだけになっちゃうよ!
……いいのかそれで(反語)。
で、初日。
びっくりした。
舞踏会の出会いについてオスカルの説明台詞が増えているとか、おおプランタンが長くなってるとか駒鳥の歌が長くなってるとか驚くことは色々ありましたが、それはまあどうでもいい。
そんなことより何より驚いたのは。
橋の場面、アンドレの死ぬシーンが、オスカルとアンドレ二人の世界だった。
何これ、私こんなの初めて見たよ。初の良席だから?(多分違う)東宝の照明のせい?(多分違う)今までベルナールばかり見てたから気が付かなかっただけ?(これはあるかもしれない)
泣きじゃくって必死で手を伸ばすオスカルがあまりに痛々しくて。そのオスカルを安心させようと最期まで笑顔を向けるアンドレが悲しくて。二人ともお互いしか見ていなくて。
アンドレの死に時が凍りつき、オスカルの慟哭で時が動き出す。
いや、本当にびっくりした。
ここって、こういうシーンだったんだ。お笑いじゃなかったんだ(一言多い)。
雪ベルばらでワタさんアンドレの時でさえ、この場面はやっぱり微妙だなと思いながら見ていたのに。
今回トウコさんの上手さに感服しました。
オスカルという役は、男として生きる軍人から恋に悩む乙女までの幅があり、色々な人がそれぞれの幅で演じているけれど。
今回の安蘭オスカルは、その振り幅がとてつもなく大きい。
登場シーンは男らしく、慇懃に貴婦人達をいなす人を食ったような様子もクール。声も男役らしく。そしてフェルゼンとの会話も男友達として(ここのフェルゼン軟弱だし←また一言多い)。
が、一人残り恋心を吐露し始めると。声のトーンは上がり目はきらきら潤み「愛の巡礼」は切なく。
次も、ブイエ将軍にくってかかる時は熱血な理想家肌の若き軍人として。そしてジェルジェ将軍との会話では気を許した娘の顔を見せ、声も口調も若干ゆるむ。家庭での顔を想像させられる変化。
帰国を決めたフェルゼンに対しても、うっかり恋心を滲ませた直後の「しまった」と言う表情。フェルゼンが察するのも無理はない。と言うか、女の子モードがとても可愛いんで最初から軍人以外の面を見せていればフェルゼンも振り向いたんじゃないかと一瞬思いましたが、フェルゼンは王妃様一途だからそれはナシだな(余談)。
どの場面でも、表情の変化がとてもきめ細かい。
丁寧で自然、なのに振り幅は大きい豊かな表現力。
まさに変幻自在。目が離せない。
元々上手い人なのは承知していたけれど、このオスカルというある意味しどころのない、やりにくい役でここまで見せてくれるとは思っていなかった。安録山(へっへっへと笑いながら人妻を押し倒す蛮族の将軍)からアイーダ(運命に翻弄されながら愛だけを頼りに生きる亡国の王女)まで何でもできるトウコさんならではのオスカル。
オスカルという役はここまでできるんだ、と今までにない可能性を見せられたような気がした。
上手さだけでなくもう一つ刮目したのは、その吸引力。
オスカルが舞台の中央に立ちその思いを語り出すと、目が離せないのだ。
例えば、フェルゼンになじられて恋の苦悩を吐き出す場面や、市民の側に立って戦う決意を語る場面。
安蘭オスカルは客を魅了する。『フェルゼンとマリー・アントワネット編』の枠を越えて、主役としての吸引力を発揮する。
オスカルという役で、ここまでできるんだ。
そのオスカルの振り幅のうち、女としての顔が最高潮に達するのは、言わずと知れた今宵一夜の場面。
1幕の「愛の巡礼」がフェルゼンに対するどうすることもできない思いを持て余しての悩める歌だったのに対し、2幕で同じ歌を歌うオスカルはアンドレの思いを受け入れると心は決まっている。その差に気付いたのも初めてだ(私がボケなだけか)。
いつものように自然に肩に回されたアンドレの腕から離れる戸惑い、そして告白。
アンドレにしがみつく場面は声も完全に女の子になっちゃって、もう可愛くて可愛くてどうしようかと。キスする直前の顔はアイーダ再びでオペラで覗いてると赤面ものでした。(ここのキスシーンがENAKのSTAGE GRAPHに載ってて狼狽しました。でも生で舞台を見ていなければそれほど破壊力は感じないのかも)
で。一夜明けたパリ進駐でブイエ将軍に見得を切る姿は凛々しく格好良く衛兵隊士たちの信服も納得の堂々とした姿。生き生きしているんだよな。
こんな変幻自在で生命力に溢れてでも理想に誠実すぎてどこか危なっかしい女の子(敢えて「女の子」と言う。変化が計算ではなく自然でまた生命力がありすぎて「大人の女性」という印象は受けなかった)。ずっと側にいたらアンドレならずとも惚れるってもんだろう。
と言う訳で、安蘭オスカルに対する立樹アンドレ。
登場シーン、ジャルジェ将軍に殴られたオスカルに駆け寄ってその肩を抱く手が、もう、壊れ物を扱うようなこの上なく大切な物を支えるような、愛しくてたまらない手つきで。
最初からそんなに愛情だだ漏れでいいのか。それ全然「秘めた思い」じゃないだろ!(笑)
ジャルジェ将軍に呼びかける言い方も本当に心配そうで、大劇のトウドレの明るくいなすような言い方とは全然違っていて(でも立場的にこっちの方が正しいのかなとも)、その後もずーっと心配そうで。
でもオスカルはそんなアンドレを全然気にしてないんですよ。自分の肩を抱く腕の存在をこれっぽっちも意識していない。恐らく、それはいつも当然のように存在しているものだから。
なんか、すごいなと思ってしまった(いや別にすごくないのか?)。
小石の場面は、トウカルもやっぱり可愛くなっちゃってました。「待てー!」と走っていくのが可愛くて微笑ましい。バカップルとまでは行かなくてほっとしましたが(いやちょっと残念?)、幼なじみの気安さ、親密さがでていて、微笑ましかったです。
と言うか、しぃドレの「相手が可愛くて仕方がない」笑顔で見守られると、オスカルは誰がやっても可愛くなるしかないような気がしてきました(笑)。
全ツの時も書いたけれど、ここのアンドレ結構オスカルを馬鹿にしたようなことを言ってるんですよ。でもしぃドレはオスカルが大切で可愛くてたまらないオーラを出しているので、言葉の意味がごまかされてしまうなあと。
「白ばらの人」は何だかとても真っ直ぐで、晴れやかでした。その後の「この思いは自分の心に秘めているだけで幸せなんです」が100%真実なんだなあと。(トウドレはそれでも一抹の切なさ寂しさ苦悩が感じられた)
いや秘めてはいないけども。
と言うか私の方もしぃちゃんの銀橋ソロ!と緊張してよくわかってない感がありますが。格好良かった、良かったー(一応説明すると2度目の良かったは安堵)。
しぃドレは思いを秘めてはいないけれど抑えている、身を退いてはいるのだと思います。
そう思ったのが、フェルゼン出立の場面。アンドレは2度、前に出る場面がある。1度はフェルゼンが「身を退く愛」と言うとき、2度目は思わず身を乗り出したオスカルを止めるとき。
そのどちらも、アンドレはすぐにまた後ろに下がる、出過ぎたことをしてはならない、と言うような逡巡の表情で。
今宵一夜は熱いです。前述の通りトウカルが恋する乙女で儚げで色っぽくてえらいことになってるし。しぃドレは期待に違わず暑苦しいくらいにオスカルを愛しているし。なんかもう見ていて恥ずかしいくらいなのは私だけですかそうですか。あとやっぱり体格差がね、このくらいあるといいよねー。
でもこれ以上植田芝居にしない方がいいと思います。どうかこの辺で止めといてください。
驚いたのが、その後。
「この戦闘が終わったら結婚式だ!」と明るく言うオスカルに、アンドレは「オスカル……」と意外そうな声で答える。
え、その反応は何故?(ちなみに大劇のトウドレは苦笑と困惑交じりですが同意しているように見えました)
もしかして、本当に「今宵一夜」だと思っていたとか?
人生の岐路に不安になったオスカルの心の迷いゆえで、本気で自分の思いに応えてくれるはずがないと思っていたとか? 結婚なんて、永続的な関係を望むなんて考えもしなかったとか?
……馬鹿だ。なんて大馬鹿者。
あの世でオスカルに怒られるよ。私を見損なうな、って。
でも。そういう馬鹿な男も嫌いじゃないです。
そこまで諦めて、それでもそこまで愛していたのかと思うと。そして、それでも「今日まで生きてきて良かった」という言葉が出たのかと思うと。馬鹿で愛しくて切ない。
うん、オスカルも怒るだろうけれど、アンドレが「悪かった」とか本気で謝って悄然としてたら、怒りながら許してくれると思うよ。
ま、以上全て私の深読みですので、その点は御了承ください。
とにかく立樹アンドレ、ひたすらオスカルを愛し見守る男で、良かったです、良かった(2度目の良かったは(略))。
アンドレを失ったオスカルは、とても痛々しい(と言うか、トウコさんが痛々しい役をやると、本当に痛々しく見えるので)。
勿論、「シトワイヤン、行こう!」は迫力だしバスティーユの戦闘は凛々しいけれど。「お前はもう居ないのか」はもう、泣くしかないだろう。
と言う訳で、非常に面白かったです。いや、面白いというのは語弊があるかな、とにかく、良かったです。
これからもまた変化して行くんだろうな。楽しみにしています(ってやっぱり通うのかよ)。
***
ところで。
「アンドレが最初から諦めているのはそもそも結婚なんかできる身分じゃないから」と思って書いてたんですが。
よく考えたら今回の星ベルばら、アンドレは平民だって説明がどこにもないじゃん! その上、マントあり勲章つき軍服着てるし、ジェローデルとの会話もですます調ではあるけれどちょっと立場が下なだけって感じだし、何より国王の御前にもいるし。
これじゃ原作知らない人はわからないよ! 恋の障害はオスカルがフェルゼンに恋しているからだけになっちゃうよ!
……いいのかそれで(反語)。
DUET。(わたとなトップコンビ雑感)
2006年2月16日 宝塚よかった探し、と言う訳ではないけれど。
宝塚のベルばらはつっこみどころ満載の退屈な駄作だし、フェルゼンという役はいまひとつニンにあっていないことを認めた上で、それでも『フェルゼンとアントワネット編』でよかったと思うことがある。
それは、トップコンビが愛し合う物語だということ。
オスカルやアンドレが主人公になるバージョンだと、その、宝塚ではお約束の物語ではなくなってしまうので。
檀ちゃんとのお披露目だった『王家』はトップコンビが愛し合う物語では無かったけれど、それでも、三角関係と言う形での愛はあったし、二人の間にドラマはあった(作品も良かった)。
でも、ベルばらの別バージョンでは、それもあるかどうかあやしいし。
何はともあれ、トップコンビが向かい合うことの出来る作品であることは、良かったと思う。
少々古い話だけれど。
宝塚GRAPH2月号の、わたとなポート「DUET」がとても良くて。ああ、こんな写真が撮れるようになったんだなあ、と思った。
今だから言えるが、檀ちゃんの次の星組トップ娘役がとなみちゃんに決まって、正直少し不安だった。
檀ちゃんとのコンビが、とてもお似合いだったので。そして、私はどうしてもわたるくんを中心に考えてしまうので。失礼な話なのは承知しているが、トップ経験があり学年も近い檀ちゃんと比べて、下級生で若く舞台姿はともかく素は天然なお嬢さんぽい彼女では、ワタさんがやりにくくないかな、つい思ってしまったのだ。
そんなときに見た二人の初めてのツーショットポート。GRAPHの『ダル・レークの恋』扮装写真。撮影時はまだトップ就任前だから当然かもしれないが、正直、ぎこちない雰囲気を感じてしまった。となみちゃんが必死にワタさんについていこうとしているのに対して、ワタさんがそれを受け止めあぐねて戸惑っているような。いや、写真から受けた勝手な印象で、私の思い込みに過ぎないのだけれど。
それから、全ツで初めてお互いを相手役として演じ(芝居だけでなくショーも。大人の男と初心な少女の恋、という彼らの置かれた状況に似つかわしいデュエットダンスを作ってくれた藤井君とヤンさんには心からお礼を言いたい)。韓国ツアーを経て、大劇場お披露目。
いつの間にか二人はすっかりお似合いのコンビになっていた。
この二人がフィナーレで踊るボレロが好き。特に、最後の静止した姿が。今にも彼女の胸に顔を埋めようとする、直前の一瞬のようで。色っぽい、と言うだけでなく、愛。
2月号の写真はどれも雰囲気があってとても素敵だけれど、敢えて言うなら左頁右下の1枚が好きだ(でも左頁左側も捨てがたい)。
無邪気な毒と魔性、そして裏腹な母性を持ち合わせた美少女。彼女を腕に抱き陶然とした安らぎの中にいる男。彼の手は彼女の手を握り、彼女の手は彼の髪を愛しげに撫でている。その密接な空気。
こんな写真が撮れるようになったんだなあ、と思った。
まあ、ベルばらでなくても、トップコンビが真っ当に愛し合う作品ならもっと別のものでも(と言うか、の方が)良かったとは思うけれど。それでも、ベルばらなら「フェルゼンとアントワネット編」で良かったと思う。
と言う訳で、明日は東宝初日です。
***
メール下さった方、ありがとうございます。
・見てのとおり私は元気です。ええ、ディナーショーに何着て行こうか今から考えているくらい暢気に元気です。いやでも本当に季節的に難しいぞ。9月末はまだ暑いですよね(チケットは心配するより何が何でも取る気でいる)。
・過分なお言葉も、ありがとうございます。多分ご本人のキャラゆえかワタさんのファンにはこんな風にWebで長々と書いているようなオタクは少ないんじゃないかと思うんですよね(苦笑)。私だからどうこうというより、そういうことなんじゃないかと思っております。
宝塚のベルばらはつっこみどころ満載の退屈な駄作だし、フェルゼンという役はいまひとつニンにあっていないことを認めた上で、それでも『フェルゼンとアントワネット編』でよかったと思うことがある。
それは、トップコンビが愛し合う物語だということ。
オスカルやアンドレが主人公になるバージョンだと、その、宝塚ではお約束の物語ではなくなってしまうので。
檀ちゃんとのお披露目だった『王家』はトップコンビが愛し合う物語では無かったけれど、それでも、三角関係と言う形での愛はあったし、二人の間にドラマはあった(作品も良かった)。
でも、ベルばらの別バージョンでは、それもあるかどうかあやしいし。
何はともあれ、トップコンビが向かい合うことの出来る作品であることは、良かったと思う。
少々古い話だけれど。
宝塚GRAPH2月号の、わたとなポート「DUET」がとても良くて。ああ、こんな写真が撮れるようになったんだなあ、と思った。
今だから言えるが、檀ちゃんの次の星組トップ娘役がとなみちゃんに決まって、正直少し不安だった。
檀ちゃんとのコンビが、とてもお似合いだったので。そして、私はどうしてもわたるくんを中心に考えてしまうので。失礼な話なのは承知しているが、トップ経験があり学年も近い檀ちゃんと比べて、下級生で若く舞台姿はともかく素は天然なお嬢さんぽい彼女では、ワタさんがやりにくくないかな、つい思ってしまったのだ。
そんなときに見た二人の初めてのツーショットポート。GRAPHの『ダル・レークの恋』扮装写真。撮影時はまだトップ就任前だから当然かもしれないが、正直、ぎこちない雰囲気を感じてしまった。となみちゃんが必死にワタさんについていこうとしているのに対して、ワタさんがそれを受け止めあぐねて戸惑っているような。いや、写真から受けた勝手な印象で、私の思い込みに過ぎないのだけれど。
それから、全ツで初めてお互いを相手役として演じ(芝居だけでなくショーも。大人の男と初心な少女の恋、という彼らの置かれた状況に似つかわしいデュエットダンスを作ってくれた藤井君とヤンさんには心からお礼を言いたい)。韓国ツアーを経て、大劇場お披露目。
いつの間にか二人はすっかりお似合いのコンビになっていた。
この二人がフィナーレで踊るボレロが好き。特に、最後の静止した姿が。今にも彼女の胸に顔を埋めようとする、直前の一瞬のようで。色っぽい、と言うだけでなく、愛。
2月号の写真はどれも雰囲気があってとても素敵だけれど、敢えて言うなら左頁右下の1枚が好きだ(でも左頁左側も捨てがたい)。
無邪気な毒と魔性、そして裏腹な母性を持ち合わせた美少女。彼女を腕に抱き陶然とした安らぎの中にいる男。彼の手は彼女の手を握り、彼女の手は彼の髪を愛しげに撫でている。その密接な空気。
こんな写真が撮れるようになったんだなあ、と思った。
まあ、ベルばらでなくても、トップコンビが真っ当に愛し合う作品ならもっと別のものでも(と言うか、の方が)良かったとは思うけれど。それでも、ベルばらなら「フェルゼンとアントワネット編」で良かったと思う。
と言う訳で、明日は東宝初日です。
***
メール下さった方、ありがとうございます。
・見てのとおり私は元気です。ええ、ディナーショーに何着て行こうか今から考えているくらい暢気に元気です。いやでも本当に季節的に難しいぞ。9月末はまだ暑いですよね(チケットは心配するより何が何でも取る気でいる)。
・過分なお言葉も、ありがとうございます。多分ご本人のキャラゆえかワタさんのファンにはこんな風にWebで長々と書いているようなオタクは少ないんじゃないかと思うんですよね(苦笑)。私だからどうこうというより、そういうことなんじゃないかと思っております。
思い出話。(宙組『エリザベート』DVD)
2006年2月15日 宝塚宙組『エリザベート』のDVDを見た。私が「湖月わたる」の存在を初めて知ったのは、この公演なので。
この、エリザベートもフランツもルキーニも今年宝塚を去るんだと思いながら。
さららんがいた。まだ可愛い、可愛くてきれいなだけの(悪い意味でなく。まだ若いから)男役さん。数年後にあの暑苦しいエルマーに成長するとは誰も想像しないだろう。
ともちもいた。大使でアメリカ美女と組んでいた。確かに、あの自由の女神コスプレ被り物にも負けない長身。病院では車椅子を使っていた。確かに、他の入院患者がさららんやたまちゃんだと立っていたらバランスが取れなかろう。
となみちゃんもいた。映っているのは一瞬だけど、当時からものすごい美少女ですぐわかった。
ワタさんのルキーニは。
まあ、一番良いのがフィナーレでその次がマダム・ヴォルフとのシーンと言うのは、ルキーニという役としてはアレなのかもしれない、私の目から見ても(苦笑)。
フィナーレはやたらとカメラ目線が決まっているのでぼーっと見ていると不意をつかれて心臓が止まりそうになるし、マダム・ヴォルフとのシーンは女と絡むと生き生きしているのは相変わらず(笑)。
でも。初めて宝塚の『エリザベート』を見て、トートでもフランツでもルドルフでもなく「ルキーニの人が格好いい」と思った私の目は、私的には確かだったのだと思う。
あの、ニヤリとして悪そうなのに、どこかやんちゃな人なつこい少年のような笑顔に惹かれた。そして、背中とそこから伸びる腕の線に。
今は無い1000days劇場の、山手線の電車の音が響く後方の座席で見た日の興奮を思い出した。
この、エリザベートもフランツもルキーニも今年宝塚を去るんだと思いながら。
さららんがいた。まだ可愛い、可愛くてきれいなだけの(悪い意味でなく。まだ若いから)男役さん。数年後にあの暑苦しいエルマーに成長するとは誰も想像しないだろう。
ともちもいた。大使でアメリカ美女と組んでいた。確かに、あの自由の女神コスプレ被り物にも負けない長身。病院では車椅子を使っていた。確かに、他の入院患者がさららんやたまちゃんだと立っていたらバランスが取れなかろう。
となみちゃんもいた。映っているのは一瞬だけど、当時からものすごい美少女ですぐわかった。
ワタさんのルキーニは。
まあ、一番良いのがフィナーレでその次がマダム・ヴォルフとのシーンと言うのは、ルキーニという役としてはアレなのかもしれない、私の目から見ても(苦笑)。
フィナーレはやたらとカメラ目線が決まっているのでぼーっと見ていると不意をつかれて心臓が止まりそうになるし、マダム・ヴォルフとのシーンは女と絡むと生き生きしているのは相変わらず(笑)。
でも。初めて宝塚の『エリザベート』を見て、トートでもフランツでもルドルフでもなく「ルキーニの人が格好いい」と思った私の目は、私的には確かだったのだと思う。
あの、ニヤリとして悪そうなのに、どこかやんちゃな人なつこい少年のような笑顔に惹かれた。そして、背中とそこから伸びる腕の線に。
今は無い1000days劇場の、山手線の電車の音が響く後方の座席で見た日の興奮を思い出した。
備忘のために。(退団記者会見のこととか)
2006年2月14日 宝塚退団記者会見の模様。
公式(多分DiaryNoteだとリンクが切れる)
http://kageki.hankyu.co.jp/kageki-bin/kageki/news/view.cgi?no=113988886466401&;;genre=star
ENAK
http://www.sankei.co.jp/enak/sumirestyle/2006/feb/kiji/14watarukaiken.html
退団後は大学を受験するそうです。
予想外でしたが「宝塚を受験するときからの父との約束」と言うのがなんとも、しっかりして前向きでいいご家庭で育ったんだなと思えて、わたるくんらしくて、嬉しかったです。
「大検の準備も進めていてラストスパートの段階」って、あのハードスケジュールの中勉強していたのかと思うと、すごいなあと。
何だか、何を感傷に酔ってるんだよ、と頭をはたかれたような気分です。
それに引き換え、自分は何ぐだぐだ無為に生きてるんだろうね、背筋を伸ばしてがんばらなきゃね、と思わせられるような。
この人はいつもそうだ。
ディナーショーの予定も発表になりました。
9月24日(日)、25日(月)に東京(パレスホテル)、10月2日(月)に大阪(阪急インターナショナル)だそうです。
大劇と東宝の短い間の開催で大変だと思いますが、楽しみにしています。
公式(多分DiaryNoteだとリンクが切れる)
http://kageki.hankyu.co.jp/kageki-bin/kageki/news/view.cgi?no=113988886466401&;;genre=star
ENAK
http://www.sankei.co.jp/enak/sumirestyle/2006/feb/kiji/14watarukaiken.html
退団後は大学を受験するそうです。
予想外でしたが「宝塚を受験するときからの父との約束」と言うのがなんとも、しっかりして前向きでいいご家庭で育ったんだなと思えて、わたるくんらしくて、嬉しかったです。
「大検の準備も進めていてラストスパートの段階」って、あのハードスケジュールの中勉強していたのかと思うと、すごいなあと。
何だか、何を感傷に酔ってるんだよ、と頭をはたかれたような気分です。
それに引き換え、自分は何ぐだぐだ無為に生きてるんだろうね、背筋を伸ばしてがんばらなきゃね、と思わせられるような。
この人はいつもそうだ。
ディナーショーの予定も発表になりました。
9月24日(日)、25日(月)に東京(パレスホテル)、10月2日(月)に大阪(阪急インターナショナル)だそうです。
大劇と東宝の短い間の開催で大変だと思いますが、楽しみにしています。
あの人はトップスターだから。(湖月わたる退団発表)
2006年2月13日 宝塚以下公式サイトより。
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2006/02/13
星組主演男役 湖月わたる 退団のお知らせ
星組主演男役 湖月わたるが2006年11月12日の東京宝塚劇場公演『愛するには短すぎる』『ネオ・ダンディズム』の千秋楽をもって退団することになりましたのでお知らせいたします。
なお、退団記者会見の模様は当ホームページで追ってご紹介いたします。
--------------------------------
本日、宝塚歌劇団星組の湖月わたるさんが、2006年11月12日をもって退団することが発表されました。
あの人はトップスターだから、そう遠くないいつかこの日が来ることはわかっていました。
約3年半、大劇場で6作(うち主演5作)というのは、決して短い任期ではなかったと思います。
残りあと8ヶ月、今までどおり元気で充実した舞台を務めてくれることを祈っております。
記者会見は明日14日だそうです。
あの人らしい、誠実で前向きな、すがすがしい会見になるのだろうと思います。
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2006/02/13
星組主演男役 湖月わたる 退団のお知らせ
星組主演男役 湖月わたるが2006年11月12日の東京宝塚劇場公演『愛するには短すぎる』『ネオ・ダンディズム』の千秋楽をもって退団することになりましたのでお知らせいたします。
なお、退団記者会見の模様は当ホームページで追ってご紹介いたします。
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本日、宝塚歌劇団星組の湖月わたるさんが、2006年11月12日をもって退団することが発表されました。
あの人はトップスターだから、そう遠くないいつかこの日が来ることはわかっていました。
約3年半、大劇場で6作(うち主演5作)というのは、決して短い任期ではなかったと思います。
残りあと8ヶ月、今までどおり元気で充実した舞台を務めてくれることを祈っております。
記者会見は明日14日だそうです。
あの人らしい、誠実で前向きな、すがすがしい会見になるのだろうと思います。
さよならふーちゃん。(花組『落陽のパレルモ』『ASIAN WINDS』)
2006年2月12日 宝塚本日は花組東宝千秋楽です。
すなわち、ふーちゃんことふづき美世さん退団の日です。
ちょっと前の2/9(木)18:30公演、花組を見て来ました。服部克久、服部有吉両氏が観劇して、オサさんが「有吉、おじいちゃんだよ」とアドリブを飛ばした日です。
東宝はマイ初日にしてマイ楽。立見センターブロック端というなかなかいい位置でした。
『落陽のパレルモ』見るのは大劇の中ごろ以来。
びっくりしました。
大劇で見たときも感想を書きましたが、正直、ストーリーを頭で理解したものと目で見たものと心で感じたものがばらばらで、非常に書きにくかったんですね。で、どちらかと言うと頭で書いた訳ですが。腑に落ちない理由を「主役の二人に愛が無いから」と片付けてしまうのは安易なような気がして違う表現を探して抵抗(笑)していたし。
そして東宝。主役二人の恋物語がすとんと腑に落ちました。そりゃもうものすごい勢いで落ちた。
それは、ふーちゃんがすごく良くなっていたから。
「良くなっていた」などと言うのはムラでの私の目が節穴だっただけかもしれませんが、友人に聞いても変わったのは確かなようです。
アンリエッタに、ヴィットリオへの愛が見えました。
しかも、全てを包み込むような、深い愛。
アンリエッタが恋に落ちたのはカヴァーレ邸で。颯爽と現れた若い将校に。
しかし愛を知ったのは田舎村の教会。暴れ狂う傷を抱えた危険な若者に。
そう感じたのは、オサさんのヴィットリオが妙に柄が悪くなっていたせいもあります。
柄が悪いと言うか、取り繕いきれていないと言うか。教会でアンリエッタに自分の生い立ちを語り、父を恨んではいないと言うのだけれど、言葉と裏腹に癒えない傷、救われない苛立ちが見える。語る理想と裏腹の人間としての欠落や魂の飢餓が見える。
恐らくは自覚していないのだと思います。自覚していたらもっと取り繕うはず。自分では気づかず、声の調子や目の色の中に暗く危険な横顔を晒している。
そして、アンリエッタはそんな彼を愛した。
その傷、その苛立ちごと。
前向きに理想を語る姿も、明るく村祭りの踊りに誘う手も、そして刻まれた心の傷に荒々しく慟哭する暗い瞳も、全てがヴィットリオだから。
その傷、その苛立ちごと愛している。
自分を求めるのは100%愛ゆえではなく、欠落や飢餓ゆえであると知りながら、彼の求めに答える。その悲しみさえも喜び。
わたしがあなたの側に居てあげる。
と、一気に全てがつながって腑に落ちました。そう思うと、その歌声も透明で美しくて、最後白いドレスで微笑む姿も聖母のようで。ああ、ふーちゃん素敵だなあ、最後にいいものを見せてもらえたなあ、と感謝の気持ちで一杯です。
(しかし主役カップルの物語に納得すると逆に曾孫カップルの話要らないんじゃ?と思ったり。バランスって難しい)
ちなみに、ドンブイユ公爵もわかっていたと思います。「母の祈りが届いた」と言うヴィットリオの瞳に暗く荒々しい感情が荒れ狂っていることを。
それでも、彼はヴィットリオを息子として迎え入れ、彼が掲げる理想を実現する後押しをしようと思った。例えその本人も知らない暗い部分が、破滅を招き寄せるとしても。
もう一人。ロドリーゴ伯爵=まとぶんも良くなってました。すごく良くなってた。
大劇初日はいっぱいいっぱいで手に汗握り(組替え直後で初めての大役だから仕方が無い)、その後見たときも深読みで埋めていった部分がありましたが、もう全然そんな必要ありませんでした。
脚本にも情勢を説明する細かい台詞がたくさん追加されてわかりやすくなり、それを手がかりに役者もやりやすくなったということもあると思います。
とにかく、ロドリーゴもまたぎりぎりのところに居るのだということがわかるようになりました。
彼もまた落陽に立つ人。シチリア貴族が今までと同じように体面を維持していくのは難しくなっていく時代、それでも彼は貴族としての矜持を持って生きようとしている。自分は落陽の側の人間なのだと知りつつ。
アンリエッタ、貴族と言う同じ立場の人間、自分の結婚相手にふさわしい女性。この厳しい時代、彼女は自分と同じように感じ、共に生きてくれると思っただろう。安らぎになってくれることを望んだろう。
それなのに、彼女は平民の男を選んだ。貴族であるという枠から踏み出した。
「貴方の心が見えない」というロドリーゴの叫びが悲痛に響く。矜持ゆえ背筋を伸ばして立っていても、いや、だからこそ彼の苦悩は深い。
しかし、ヴィットリオの暗い瞳を愛し彼を選んでしまったアンリエッタには、ロドリーゴの苦悩は見えない。
この苦悩っぷりが良くてねえ。良くて、と言うのは変かもしれないけれど、見ていて苦しいくらいに胸に迫ってきました。
でも、アンリエッタには伝わらないんだな。
最後、ドンブイユ家の舞踏会で紹介されるヴィットリオの姿を見、公爵の演説を聞き、ロドリーゴは目を伏せる。全てが終った、と言うように。
そして、吹っ切れたように微笑んで目を開ける。
アンリエッタに言う「あなたの幸せをお祈りします」。
ただ単に、愛する男と結ばれる幸せだけでなく。落陽たる貴族社会から踏み出し、新しい時代の人間としての未来が待つ彼女のために、その幸せを祈る。
そしてアンリエッタもまた、彼の祝福に答えて微笑むのだ。この物語で初めて、二人の心が通い合った瞬間かもしれない。
いや、いい男だなあ。いい男になったなあ。
大丈夫、君を愛する女性はきっと現れるから(つか、カヴァーレ家の妹二人で奪い合いになるのではと推測)。
まとぶんはショーでも良かったです。余裕が出てきた。「青い山脈」の生き生きしていること。そして「サンパギータ」でも表現がパワーアップして切なさ倍増です。
良かったね。もう立派な花組の一員だね。
ちなみに、せっかくの昭和メドレーなのにどうしてまとぶんとらんとむのレトロハンサム二人を並べてくれないのよー!とぶーたれていた私ですが、中詰でおさふーを挟んで両側に居たのに気づきちょっと機嫌を直しました(笑)。でも見たかったな、この二人がマイクの前で並ぶところ。いやチャイナ女装じゃなくて(笑)。
あと私のひそかな大好物は上善如水のまとぶんとみわっちです。まとぶんは男っぽく魅せることもできるけれど本来的には美人さんで、みわっちと並ぶと同じタイプですげー耽美な世界になりますよね。特にこの上善如水の後半、上手側で二人で静止しているところが。まとぶんは正面を見ていて、みわっちはそのまとぶんを見上げているのが、踊った後で一生懸命息を静めて静止している様子と相まって、耽美でどきどきします(私だけ?)。
もちろん、組替えのらんとむとそのか、そしてあすかちゃんも。
ロードダンスはそのかが一番好き。帽子かぶっているのでなかなか顔が見えづらいのですけどね。でも動きと時々帽子の下から見える瞳が格好いい。
とむあすかは相変わらずカンカン娘が最高です。らんとむさんの娘役相手に鼻の下を伸ばす姿が宙組でも健在でありますように。芝居のニコラも、元々良かったけれど更に熱く、そしてやりきれなさもにじませて良くなってました。妹ルチアへのでれでれ可愛がりもいいよね。とむいちか万歳。
そして、勿論ふーちゃんもショーでも可愛く美しかったです。特に沖縄のところと、最後の白い衣装が。失礼ながら、こんなにふーちゃんをきれいで魅力的だと思ったのは初めてで、これが退団者オーラと言うものかと思いながら見ていました。
今日の千秋楽はどうだったのかな。あらためて、素敵な姿を見せてくれてありがとう。卒業してからも、どうか幸せに。
すなわち、ふーちゃんことふづき美世さん退団の日です。
ちょっと前の2/9(木)18:30公演、花組を見て来ました。服部克久、服部有吉両氏が観劇して、オサさんが「有吉、おじいちゃんだよ」とアドリブを飛ばした日です。
東宝はマイ初日にしてマイ楽。立見センターブロック端というなかなかいい位置でした。
『落陽のパレルモ』見るのは大劇の中ごろ以来。
びっくりしました。
大劇で見たときも感想を書きましたが、正直、ストーリーを頭で理解したものと目で見たものと心で感じたものがばらばらで、非常に書きにくかったんですね。で、どちらかと言うと頭で書いた訳ですが。腑に落ちない理由を「主役の二人に愛が無いから」と片付けてしまうのは安易なような気がして違う表現を探して抵抗(笑)していたし。
そして東宝。主役二人の恋物語がすとんと腑に落ちました。そりゃもうものすごい勢いで落ちた。
それは、ふーちゃんがすごく良くなっていたから。
「良くなっていた」などと言うのはムラでの私の目が節穴だっただけかもしれませんが、友人に聞いても変わったのは確かなようです。
アンリエッタに、ヴィットリオへの愛が見えました。
しかも、全てを包み込むような、深い愛。
アンリエッタが恋に落ちたのはカヴァーレ邸で。颯爽と現れた若い将校に。
しかし愛を知ったのは田舎村の教会。暴れ狂う傷を抱えた危険な若者に。
そう感じたのは、オサさんのヴィットリオが妙に柄が悪くなっていたせいもあります。
柄が悪いと言うか、取り繕いきれていないと言うか。教会でアンリエッタに自分の生い立ちを語り、父を恨んではいないと言うのだけれど、言葉と裏腹に癒えない傷、救われない苛立ちが見える。語る理想と裏腹の人間としての欠落や魂の飢餓が見える。
恐らくは自覚していないのだと思います。自覚していたらもっと取り繕うはず。自分では気づかず、声の調子や目の色の中に暗く危険な横顔を晒している。
そして、アンリエッタはそんな彼を愛した。
その傷、その苛立ちごと。
前向きに理想を語る姿も、明るく村祭りの踊りに誘う手も、そして刻まれた心の傷に荒々しく慟哭する暗い瞳も、全てがヴィットリオだから。
その傷、その苛立ちごと愛している。
自分を求めるのは100%愛ゆえではなく、欠落や飢餓ゆえであると知りながら、彼の求めに答える。その悲しみさえも喜び。
わたしがあなたの側に居てあげる。
と、一気に全てがつながって腑に落ちました。そう思うと、その歌声も透明で美しくて、最後白いドレスで微笑む姿も聖母のようで。ああ、ふーちゃん素敵だなあ、最後にいいものを見せてもらえたなあ、と感謝の気持ちで一杯です。
(しかし主役カップルの物語に納得すると逆に曾孫カップルの話要らないんじゃ?と思ったり。バランスって難しい)
ちなみに、ドンブイユ公爵もわかっていたと思います。「母の祈りが届いた」と言うヴィットリオの瞳に暗く荒々しい感情が荒れ狂っていることを。
それでも、彼はヴィットリオを息子として迎え入れ、彼が掲げる理想を実現する後押しをしようと思った。例えその本人も知らない暗い部分が、破滅を招き寄せるとしても。
もう一人。ロドリーゴ伯爵=まとぶんも良くなってました。すごく良くなってた。
大劇初日はいっぱいいっぱいで手に汗握り(組替え直後で初めての大役だから仕方が無い)、その後見たときも深読みで埋めていった部分がありましたが、もう全然そんな必要ありませんでした。
脚本にも情勢を説明する細かい台詞がたくさん追加されてわかりやすくなり、それを手がかりに役者もやりやすくなったということもあると思います。
とにかく、ロドリーゴもまたぎりぎりのところに居るのだということがわかるようになりました。
彼もまた落陽に立つ人。シチリア貴族が今までと同じように体面を維持していくのは難しくなっていく時代、それでも彼は貴族としての矜持を持って生きようとしている。自分は落陽の側の人間なのだと知りつつ。
アンリエッタ、貴族と言う同じ立場の人間、自分の結婚相手にふさわしい女性。この厳しい時代、彼女は自分と同じように感じ、共に生きてくれると思っただろう。安らぎになってくれることを望んだろう。
それなのに、彼女は平民の男を選んだ。貴族であるという枠から踏み出した。
「貴方の心が見えない」というロドリーゴの叫びが悲痛に響く。矜持ゆえ背筋を伸ばして立っていても、いや、だからこそ彼の苦悩は深い。
しかし、ヴィットリオの暗い瞳を愛し彼を選んでしまったアンリエッタには、ロドリーゴの苦悩は見えない。
この苦悩っぷりが良くてねえ。良くて、と言うのは変かもしれないけれど、見ていて苦しいくらいに胸に迫ってきました。
でも、アンリエッタには伝わらないんだな。
最後、ドンブイユ家の舞踏会で紹介されるヴィットリオの姿を見、公爵の演説を聞き、ロドリーゴは目を伏せる。全てが終った、と言うように。
そして、吹っ切れたように微笑んで目を開ける。
アンリエッタに言う「あなたの幸せをお祈りします」。
ただ単に、愛する男と結ばれる幸せだけでなく。落陽たる貴族社会から踏み出し、新しい時代の人間としての未来が待つ彼女のために、その幸せを祈る。
そしてアンリエッタもまた、彼の祝福に答えて微笑むのだ。この物語で初めて、二人の心が通い合った瞬間かもしれない。
いや、いい男だなあ。いい男になったなあ。
大丈夫、君を愛する女性はきっと現れるから(つか、カヴァーレ家の妹二人で奪い合いになるのではと推測)。
まとぶんはショーでも良かったです。余裕が出てきた。「青い山脈」の生き生きしていること。そして「サンパギータ」でも表現がパワーアップして切なさ倍増です。
良かったね。もう立派な花組の一員だね。
ちなみに、せっかくの昭和メドレーなのにどうしてまとぶんとらんとむのレトロハンサム二人を並べてくれないのよー!とぶーたれていた私ですが、中詰でおさふーを挟んで両側に居たのに気づきちょっと機嫌を直しました(笑)。でも見たかったな、この二人がマイクの前で並ぶところ。いやチャイナ女装じゃなくて(笑)。
あと私のひそかな大好物は上善如水のまとぶんとみわっちです。まとぶんは男っぽく魅せることもできるけれど本来的には美人さんで、みわっちと並ぶと同じタイプですげー耽美な世界になりますよね。特にこの上善如水の後半、上手側で二人で静止しているところが。まとぶんは正面を見ていて、みわっちはそのまとぶんを見上げているのが、踊った後で一生懸命息を静めて静止している様子と相まって、耽美でどきどきします(私だけ?)。
もちろん、組替えのらんとむとそのか、そしてあすかちゃんも。
ロードダンスはそのかが一番好き。帽子かぶっているのでなかなか顔が見えづらいのですけどね。でも動きと時々帽子の下から見える瞳が格好いい。
とむあすかは相変わらずカンカン娘が最高です。らんとむさんの娘役相手に鼻の下を伸ばす姿が宙組でも健在でありますように。芝居のニコラも、元々良かったけれど更に熱く、そしてやりきれなさもにじませて良くなってました。妹ルチアへのでれでれ可愛がりもいいよね。とむいちか万歳。
そして、勿論ふーちゃんもショーでも可愛く美しかったです。特に沖縄のところと、最後の白い衣装が。失礼ながら、こんなにふーちゃんをきれいで魅力的だと思ったのは初めてで、これが退団者オーラと言うものかと思いながら見ていました。
今日の千秋楽はどうだったのかな。あらためて、素敵な姿を見せてくれてありがとう。卒業してからも、どうか幸せに。
神よ正しき道を教えたまえ。(雪組『ベルサイユのばら』−オスカル編−)
2006年2月11日 宝塚2週連続のムラ通い。だって雪ベルばら特出・わたるアンドレを見逃すわけには参りません。
星組の『フェルゼンとアントワネット編』に対して、雪組は『オスカル編』アントワネットもフェルゼンも出てこないバージョン。
一言で言うと、えらいことになっていました。
抱腹絶倒。二つ折れで笑いをこらえるのに必死でまともに舞台を見ていられません。噂のペガサスの破壊力は予想通りでしたが、それを上回る脚本の破壊力。コムちゃんが「我が名はオスカル」を歌うたびに、そうだね何が正しいのか私ゃもうわからないよ、と遠い目になってしまいましたよ。特にロザリーのキャラがとんでもないことに。いいのかあれ。
と言う訳で以下突っ込みつつ箇条書き。パンフ買ってないのでシーンの流れとか間違ってたらすみません。
・幕開き。雪組さんは小公子3人ですか。
・ワタさんとその後ろにかしげ水を中心に雪組男役主要メンバー。
・コムカルは娘役たちに囲まれて登場。
・ピンクのドレスで歌いながら大階段を下りてくるまーちゃん。
・シャンシャン持ってみんなで銀橋パレードって、これで終り?(そんなはずはない)
・本編が始まってジャルジェ家の娘達。花籠を持ってぴょんぴょん跳ねながら歌う。何歳の設定だか知らないが、キツいよこれ(特にあいようこお姉様)
・今日はアンドレがやってくる日だと怒涛の説明台詞。
・出てきたオスカルとアンドレは子役。なら姉達も子役にすればいいのに。
・剣の稽古をしながら木の後ろに隠れて出てきたら大人になっているオスカルとアンドレ。
・今日から衛兵隊に転属、なのに迎えに来るジェローデル。今まで毎日迎えに来ていたらしい、すげー。
・星版と同じ衣装同じ髪型なので一瞬誰だか混乱(苦笑)。でもかしげ氏かっこいー。やっぱりノーブルなのが似合うねえ。
・間抜けな衛兵隊(楽しそう)。
・女は出て行けといわれても落ち着き払って余裕綽々の新任隊長オスカル。すげー男前。格好いい。
・突っかかる荒くれ色男、アラン水くんも格好いい。隊士たちに信頼される兄貴分。
・場面変わってジャルジェ家。ロザリーを訪ねてきたベルナール。
・そのフリルブラウスと袖口のレースはやめたほうがいいと思います。似合ってないから。ベルナールというキャラにもハマコ氏にも。
・ロザリーがジャルジェ家に来たきっかけ、黒い騎士の話、ベルナールの現在の状況と怒涛の説明台詞会話。
・つか、つい癖で熱血演説口調って、そういうキャラか君(笑)。
・実は貴族の子と言う境遇、と話が混乱する余計な話までする二人。「他人とは思えないわ、同じ境遇なんですもの」と言うロザリーに「本当かい」と浮かれるベルナール。実は、と何事か切り出そうとする。もしかして君プロポーズするためにお洒落して来たんかい。
・いいところで人が来て退場する二人。現れたのはジャルジェ家の娘達と長女の娘ルルー。両親を囲んで末娘オスカルの恋話に盛り上ってかしましい。
・しょっちゅう実家に娘全員揃うって何なんだそのホームドラマ。渡鬼?
・あのクールで低体温なオスカルが日記に「フェルゼンが好き」何て書く訳無いじゃんー!!(大笑) そもそも日記をつけているかどうかも怪しいぞ。
・恐らく仕事のスケジュール帳に「フェルゼン帰国(王妃様の警護のために必要な情報)」とか書いてあるのをルルーが拡大解釈したものと思われます。
・つか、ルルーうるさすぎ。この母にしてこの娘あり。
・そもそもここでフェルゼンの名前を出す必要があるのか。出てこないのに。
・ロザリーに「ベルナールがお前に結婚を申し込みに来た」と告げるオスカル。答えられず走り去るロザリーに「突然のことで動揺したのだろう」と言うのーてんきなオスカル。うわこいつわかってねぇ。
・オスカル様が好き、と泣き濡れるロザリー。そして舞台はロザリーの幻想に。夢の中振り返る赤い軍服白いマントブロンドのその人は……まちかめぐる!?
・次々現れるオスカルの幻に翻弄されるロザリー、な訳ですが。コスプレして立っているだけなら、イメージのついていない下級生にやらせるわけには行かなかったのだろうか。まあまちか氏にはいい記念なのかもしれないけれども。
・涙ながらに「私はパリに行きます」と言うロザリー。って、オスカルへの思いを断ち切れぬまま嫁に行くのか!? ベルナール可哀想……。
・衛兵隊。へたれ夫壮くんを尻に敷く妻いづるん。いづるんすげーうるさい(笑)。壮くんはこういう飄々と明るく情けない役をやらせると絶品だな。
・君たちが家族に食料を渡していることを咎めはしないと言うオスカル。それでも反発し続ける隊士たち。そして出た、必殺の子守唄!
・何故かオスカルだけでなく隊士の家族たちも一緒に歌います。そうかそのために美穂圭子女史がアランの母親役なのか。
・さてずーっと出てこないアンドレは何をしているのかと思ったら、ジャルジェ家でオスカルは自分が守ると見得を切ってました。そんな暇があったらオスカルの側にいてやれよ。
・オスカルは自分の肖像画を描かせた、とアンドレの説明台詞。しかし自分の目はもうそれをはっきり見ることはできない。
・銀橋のアンドレが振り返ると本舞台の幕が肖像画に……いいのかあのひどい絵で(失笑)。見えなくて良かったよアンドレ。
・そしてその幕の向こうからペガサスクレーンに乗ったコムカルが。
・こーれーかー!(大爆笑)
・結構長い間上がったり下がったりした挙句1幕終了。場内のざわめき収まらず。
・終始にこやかな笑顔のコムちゃん。大変やな……。
・2幕、衛兵隊。アンドレがマント着て勲章つけてるのは変だから! 他の隊士と同じ格好させとけよ。
・オスカルとブイエ将軍との言い争い、既にオスカルにすっかり心服している隊士たち。そしてジャルジェ将軍登場。星組版とほぼ同じ会話だが、この流れならまだおかしくないか。
・オスカルにジェローデルとの縁談が。ショックを受けるアンドレ「お前を他の男に渡すくらいなら殺してでも」。
・そして「心の人オスカル」。そうかこの歌こういう流れで歌われるのか!「天に呼べど君は答えず」の意味合いの悲痛さが全然違うよ。
・母と姉の前でバイオリンを弾くオスカル。
・女らしい態度がどうも不自然なコムカル、母上と姉上がうるさいから大人しくしているか、と言うように見えます。
・毒殺未遂シーン。ここは特に違和感なく。やっぱり比較的原作に忠実な場面はおかしくないんだよねぇ。
・ジェローデルの求婚を断るオスカル。潔く身を引くジェローデルはとても格好いい。やっぱり比較的原作に忠実な場面は(略)。
・「愛の巡礼」を歌うオスカル。そうかこの歌こういう流れで(略)。
・オスカルのパリ出動を止めてくださいと姉達勢揃い。そりゃジャルジェ将軍ならずともうるさいって言うよこれは。
・出撃前夜のオスカル。カーテンが揺れて「誰だ!?」。
・アンドレかと思いきや、そこにいたのは何とロザリー(ええー!)。
・危険だからパリに来ないでと懇願するロザリー。そして「愛しています!」
・それ言っちゃいかんやろ! つか、まだ思い切れてなかったのか! 結婚して何年だよ。ベルナール可哀想……。
・心配してくれて嬉しいよ、はははっという感じのオスカル。駄目だ、こいつわかってねぇ。
・そして二人はかみ合わないままデュエット突入。
・「もうお帰り」とロザリーを馬車で送らせるオスカル。
・そして「星が綺麗だ。アンドレー!」ってロザリーの告白と愛のデュエットの直後に今宵一夜突入かよ!
・オスカル忙しいな、つかこの流れだと早くアンドレと二人きりになりたくてロザリーを追い返したように見えるんですけど。
・今宵一夜は熱演で見ている方の動揺も納まる(笑)。
・ロザリーに、オスカルを説得しにベルサイユに行けと言うベルナール。
・しかしロザリー「あの方は信念のお方です、私の言うことなど聞き入れてくださらないでしょう」って星組版と同じ台詞でいいんですか!?
・夕べ説得に行ったことは内緒? まだオスカルを愛していてベルナールを愛してないから?
・ベルナール本当に可哀想……。
・パリ、市民達と軍隊の衝突を聞き動揺する衛兵隊。
・しかし「私達に銃を向けるの!?」と言う市民達が家族だと言うのは変。一般的な「市民達」を守るべく立ち上がるから、自由・平等・友愛でフランス万歳!なのに。家族を守るのは人情として当然、話変わっちゃうよ。
・ちなみにディアンヌは生きていて「お兄ちゃん私達を撃つの?」とアランに迫っております。
・出撃しろと言うブイエ将軍にオスカル登場。何だその不敵な笑みは。楽しそーだなオスカル(笑)。
・アンドレの死は誰がやっても無理がある。オスカル「目が見えないのか!」って、アンドレの目が見えないのが1幕最後のアンドレの独白とこの場面しかないのはいかがなものか。
・そしてアンドレの死後寄り添わない雪版シャトレ夫妻。やはり愛が無いのか。
・バスティーユのコムカルは格好いいです。死の大天使。
・最後はやはりガラスの馬車(ペガサスつき)なんだね……。
・フィナーレはピンクの衣装で男役によるベルばらヒットメドレー。そして黒い衣装でワタコム中心に男役総踊り。星組が全編リバイバルだったのに対しこちらは新作なようです。
・総踊りのコムちゃんは長いブロンドの鬘にパンツスタイル、しかし他の男役とは違うデザイン。そして一際小柄なシルエット。
・あれ男でも女でもないよ。魔物だよ、魔物が一匹混じってるよ。
・かし水の並びがすげー格好いい。何故この二人をきちんと使いこなした演目が出来なかったんだ。
・エトワールは美穂圭子お姉様。しかしアントワネットが出ていないのに「青きドナウの岸辺に」はどうだろう。
長くなりました(最近3000文字制限がなくなったのでいくらでも書ける)。
すげーぶっ壊れた話でした。いいのかこれ。星ベルばらは腹が立ってげんなりしたけれど、これはそれ以前の問題と言うかとにかく笑えた。これだけ笑えたのは『さすらいの果てに』以来かもしれない。しかし2回目も笑えるかどうかはわかりませんが(腹が立つかもしれない)。
特にぶっ壊れているのはロザリーの話(まーちゃん大変)。そしてうるさくて要らない失笑モノなのはジャルジェ家ホームドラマ。
オスカルとロザリーの話を書きたいなら、原作の出会いから嫁に行くまでをそのままやれば良かったのに。コムまーで原作のオスカルとロザリーなら素晴らしいものが見られたろうに。
それが清らかな顔で夫を裏切る恐怖の思いつめ女と、何にもわかっていない鈍感男になっちゃって(ロザリーに対している時のオスカルは、その感覚が男にしか見えない)。
ああ勿体無い。本当に植爺は乙女心がわかってないのな……。
本来、原作のロザリーはオスカルを恋い慕うけれど。生涯彼女への思慕は変わらないものの、それは憧れとして卒業する。そして愛し合い共に生きる男性としてベルナールを選ぶ。
でも、植爺にはその差がわからないんだろうな。
ロザリーがずっとオスカルに恋して最後に「愛しています」なんて告白しちゃうと、オスカルが男も女も魅了する両性具有の魔性の存在にすら見えてしまって、落ち着かないんですけど。元々コムちゃんがそういうキャラが出来ちゃう人だし。
またハマコさんのベルナールがまーちゃんロザリーよりかなり年上に見えるので(2回も親子役やってるしね)、若く美しい娘を思いがけず妻にした男が、喜びに有頂天で何も気づかず欺かれているように見えるんだよね。ハマコさんいい人オーラ全開でやってるし。
せめて、お前の本心はわかっているけれど、それでもお前を愛しているよ、という話なら馬鹿には見えないのかもしれないけれど。ルイ16世風に。ってそれじゃどんどん話が変わっちゃいますが。
そして演出面ではどう見てもお笑いなこけおどしのクレーンペガサス。無駄にあんなことして安全面は大丈夫なんだろうな。
現雪組は、オスカルとロザリーだけでなくジェローデル=かしげもアラン=水も原作イメージそのままのベストキャストなのに、どうしてこんなお笑い作品になってしまうのか。世の不条理を感じます。
が、世間的な評判はどうなんでしょうねえ。
どうも私の言うことは少数派な場合が多いようで(ゆひカルが女に見えなかったのも少数派かもしれない)、これから見る人の感想がどうなのか、気になるところです。
そして、今回の目的、わたるアンドレはと言うと。
格好よかったです。見に行った甲斐がありました(所詮ファンですから)。
最初の剣の稽古のシーン、濃いブルーのシャツで剣を構える姿に、ひゃー格好いいーと声を上げそうになりましたよ。マロン・グラッセおばあちゃんとのやりとりも、私の好きな原作前半っぽい明るいアンドレでやんちゃな面が出て楽しかった(ついでに灯さんをリフトしてた・笑)。なかなかこういう役回ってこないからなあ、最近。
オスカルを他の男に渡すなんてと苦しむ銀橋の歌も、毒殺しようとしたことを告白する激しさもすごく良かったし。今宵一夜も、窓際に並んだ後姿の肩の位置の違いで既に男女カップルに見えて、オスカルが終始座っている演出が不自然なくらいでした。と言うか、雪組にいるとワタさんでかいよ(笑)。
残念だったのは、オスカルやジャルジェ家の人々以外との絡みが殆どないこと。特出スケジュールゆえの制約だと思いますが、出番が少ないので「ずっと側に居てくれた」と言う言葉に説得力がない。衛兵隊士たちとの関係もわからない。オスカルの出る場面、常に舞台に居るだけでも違うと思うんですが。それこそ立ってるだけでいいから。あと、目が見えないことをアランに知られる場面を入れるとかね。
しかし、アンドレを見てしまうと、比較するとやはりフェルゼンはやりにくそうであることを認めざるを得ません。残念ながら。
まあ仕方ないんだけども。
コムオスカルは、常に冷静沈着で腹の底が見えず余裕な態度なので、軍人として有能に見えました。女らしい場面より衛兵隊を指揮している姿の方が断然魅力的。
だから子守唄の場面が変。多分元々変なんだろうけど(洗脳?)。何故衛兵隊士たちが説得されるかと言うと、それはオスカルが女性であるから、という意図だと思うので。荒くれ男達は女に弱い(恋愛対象としての女ではなく、母や妹や娘という関係の女性的なるもの。だから家族達が唱和することが意味を持つ)、というのが説得される理由。でもコムカルは、彼女が衛兵隊を掌握した理由はそんなことではなく、並の男以上の豪胆さ冷静さ決断力ゆえに見えるので。
そして今宵一夜の「何かに縋りたいと常に甘えを許している人間」と言う台詞が非常に嘘臭かったです。自立した自分ひとりでも生きていける人間が、自分を愛してくれる人間の中で一番ふさわしい相手を選んだ、ように見えました。
それでも男女カップルと言うかコムカルが可憐に見えたのは、やはりあの男にしか見えない体格、そして包容力というワタさんのキャラゆえかなあと。毒入りワインの話でオスカルが抱きすくめられる場面も、あの圧倒的な体格差で捕まえられれば普段は物事に動じないオスカルが怯えた顔を見せるのも納得だし。
雑誌『CREA』の対談でコムちゃんが「(原作から読み取った)自分のオスカル像と宝塚のオスカル像に違いがあって悩んでいる」と言っていて、この、軍務についている時の方が格好いいオスカルは、悩んだ結果生まれたものなのかなあと。いや、もう外野に惑わされずに自分のいいと思った方向に進んで行ってくれればいいと思います。こんな脚本こんな演出だけど。がんばれー。
(余談ながら『CREA』の宣伝ポスターが駅のコンコースにべたべた貼ってあってびびりました。何故こんなところでワタコムどアップを見ているのだ私は)
次に雪ベルばらを見るのは東宝。それまでにどうなっているか、楽しみです(笑)。そして本当に難儀な役に当たってしまったまーちゃん、が、がんばれー。
星組の『フェルゼンとアントワネット編』に対して、雪組は『オスカル編』アントワネットもフェルゼンも出てこないバージョン。
一言で言うと、えらいことになっていました。
抱腹絶倒。二つ折れで笑いをこらえるのに必死でまともに舞台を見ていられません。噂のペガサスの破壊力は予想通りでしたが、それを上回る脚本の破壊力。コムちゃんが「我が名はオスカル」を歌うたびに、そうだね何が正しいのか私ゃもうわからないよ、と遠い目になってしまいましたよ。特にロザリーのキャラがとんでもないことに。いいのかあれ。
と言う訳で以下突っ込みつつ箇条書き。パンフ買ってないのでシーンの流れとか間違ってたらすみません。
・幕開き。雪組さんは小公子3人ですか。
・ワタさんとその後ろにかしげ水を中心に雪組男役主要メンバー。
・コムカルは娘役たちに囲まれて登場。
・ピンクのドレスで歌いながら大階段を下りてくるまーちゃん。
・シャンシャン持ってみんなで銀橋パレードって、これで終り?(そんなはずはない)
・本編が始まってジャルジェ家の娘達。花籠を持ってぴょんぴょん跳ねながら歌う。何歳の設定だか知らないが、キツいよこれ(特にあいようこお姉様)
・今日はアンドレがやってくる日だと怒涛の説明台詞。
・出てきたオスカルとアンドレは子役。なら姉達も子役にすればいいのに。
・剣の稽古をしながら木の後ろに隠れて出てきたら大人になっているオスカルとアンドレ。
・今日から衛兵隊に転属、なのに迎えに来るジェローデル。今まで毎日迎えに来ていたらしい、すげー。
・星版と同じ衣装同じ髪型なので一瞬誰だか混乱(苦笑)。でもかしげ氏かっこいー。やっぱりノーブルなのが似合うねえ。
・間抜けな衛兵隊(楽しそう)。
・女は出て行けといわれても落ち着き払って余裕綽々の新任隊長オスカル。すげー男前。格好いい。
・突っかかる荒くれ色男、アラン水くんも格好いい。隊士たちに信頼される兄貴分。
・場面変わってジャルジェ家。ロザリーを訪ねてきたベルナール。
・そのフリルブラウスと袖口のレースはやめたほうがいいと思います。似合ってないから。ベルナールというキャラにもハマコ氏にも。
・ロザリーがジャルジェ家に来たきっかけ、黒い騎士の話、ベルナールの現在の状況と怒涛の説明台詞会話。
・つか、つい癖で熱血演説口調って、そういうキャラか君(笑)。
・実は貴族の子と言う境遇、と話が混乱する余計な話までする二人。「他人とは思えないわ、同じ境遇なんですもの」と言うロザリーに「本当かい」と浮かれるベルナール。実は、と何事か切り出そうとする。もしかして君プロポーズするためにお洒落して来たんかい。
・いいところで人が来て退場する二人。現れたのはジャルジェ家の娘達と長女の娘ルルー。両親を囲んで末娘オスカルの恋話に盛り上ってかしましい。
・しょっちゅう実家に娘全員揃うって何なんだそのホームドラマ。渡鬼?
・あのクールで低体温なオスカルが日記に「フェルゼンが好き」何て書く訳無いじゃんー!!(大笑) そもそも日記をつけているかどうかも怪しいぞ。
・恐らく仕事のスケジュール帳に「フェルゼン帰国(王妃様の警護のために必要な情報)」とか書いてあるのをルルーが拡大解釈したものと思われます。
・つか、ルルーうるさすぎ。この母にしてこの娘あり。
・そもそもここでフェルゼンの名前を出す必要があるのか。出てこないのに。
・ロザリーに「ベルナールがお前に結婚を申し込みに来た」と告げるオスカル。答えられず走り去るロザリーに「突然のことで動揺したのだろう」と言うのーてんきなオスカル。うわこいつわかってねぇ。
・オスカル様が好き、と泣き濡れるロザリー。そして舞台はロザリーの幻想に。夢の中振り返る赤い軍服白いマントブロンドのその人は……まちかめぐる!?
・次々現れるオスカルの幻に翻弄されるロザリー、な訳ですが。コスプレして立っているだけなら、イメージのついていない下級生にやらせるわけには行かなかったのだろうか。まあまちか氏にはいい記念なのかもしれないけれども。
・涙ながらに「私はパリに行きます」と言うロザリー。って、オスカルへの思いを断ち切れぬまま嫁に行くのか!? ベルナール可哀想……。
・衛兵隊。へたれ夫壮くんを尻に敷く妻いづるん。いづるんすげーうるさい(笑)。壮くんはこういう飄々と明るく情けない役をやらせると絶品だな。
・君たちが家族に食料を渡していることを咎めはしないと言うオスカル。それでも反発し続ける隊士たち。そして出た、必殺の子守唄!
・何故かオスカルだけでなく隊士の家族たちも一緒に歌います。そうかそのために美穂圭子女史がアランの母親役なのか。
・さてずーっと出てこないアンドレは何をしているのかと思ったら、ジャルジェ家でオスカルは自分が守ると見得を切ってました。そんな暇があったらオスカルの側にいてやれよ。
・オスカルは自分の肖像画を描かせた、とアンドレの説明台詞。しかし自分の目はもうそれをはっきり見ることはできない。
・銀橋のアンドレが振り返ると本舞台の幕が肖像画に……いいのかあのひどい絵で(失笑)。見えなくて良かったよアンドレ。
・そしてその幕の向こうからペガサスクレーンに乗ったコムカルが。
・こーれーかー!(大爆笑)
・結構長い間上がったり下がったりした挙句1幕終了。場内のざわめき収まらず。
・終始にこやかな笑顔のコムちゃん。大変やな……。
・2幕、衛兵隊。アンドレがマント着て勲章つけてるのは変だから! 他の隊士と同じ格好させとけよ。
・オスカルとブイエ将軍との言い争い、既にオスカルにすっかり心服している隊士たち。そしてジャルジェ将軍登場。星組版とほぼ同じ会話だが、この流れならまだおかしくないか。
・オスカルにジェローデルとの縁談が。ショックを受けるアンドレ「お前を他の男に渡すくらいなら殺してでも」。
・そして「心の人オスカル」。そうかこの歌こういう流れで歌われるのか!「天に呼べど君は答えず」の意味合いの悲痛さが全然違うよ。
・母と姉の前でバイオリンを弾くオスカル。
・女らしい態度がどうも不自然なコムカル、母上と姉上がうるさいから大人しくしているか、と言うように見えます。
・毒殺未遂シーン。ここは特に違和感なく。やっぱり比較的原作に忠実な場面はおかしくないんだよねぇ。
・ジェローデルの求婚を断るオスカル。潔く身を引くジェローデルはとても格好いい。やっぱり比較的原作に忠実な場面は(略)。
・「愛の巡礼」を歌うオスカル。そうかこの歌こういう流れで(略)。
・オスカルのパリ出動を止めてくださいと姉達勢揃い。そりゃジャルジェ将軍ならずともうるさいって言うよこれは。
・出撃前夜のオスカル。カーテンが揺れて「誰だ!?」。
・アンドレかと思いきや、そこにいたのは何とロザリー(ええー!)。
・危険だからパリに来ないでと懇願するロザリー。そして「愛しています!」
・それ言っちゃいかんやろ! つか、まだ思い切れてなかったのか! 結婚して何年だよ。ベルナール可哀想……。
・心配してくれて嬉しいよ、はははっという感じのオスカル。駄目だ、こいつわかってねぇ。
・そして二人はかみ合わないままデュエット突入。
・「もうお帰り」とロザリーを馬車で送らせるオスカル。
・そして「星が綺麗だ。アンドレー!」ってロザリーの告白と愛のデュエットの直後に今宵一夜突入かよ!
・オスカル忙しいな、つかこの流れだと早くアンドレと二人きりになりたくてロザリーを追い返したように見えるんですけど。
・今宵一夜は熱演で見ている方の動揺も納まる(笑)。
・ロザリーに、オスカルを説得しにベルサイユに行けと言うベルナール。
・しかしロザリー「あの方は信念のお方です、私の言うことなど聞き入れてくださらないでしょう」って星組版と同じ台詞でいいんですか!?
・夕べ説得に行ったことは内緒? まだオスカルを愛していてベルナールを愛してないから?
・ベルナール本当に可哀想……。
・パリ、市民達と軍隊の衝突を聞き動揺する衛兵隊。
・しかし「私達に銃を向けるの!?」と言う市民達が家族だと言うのは変。一般的な「市民達」を守るべく立ち上がるから、自由・平等・友愛でフランス万歳!なのに。家族を守るのは人情として当然、話変わっちゃうよ。
・ちなみにディアンヌは生きていて「お兄ちゃん私達を撃つの?」とアランに迫っております。
・出撃しろと言うブイエ将軍にオスカル登場。何だその不敵な笑みは。楽しそーだなオスカル(笑)。
・アンドレの死は誰がやっても無理がある。オスカル「目が見えないのか!」って、アンドレの目が見えないのが1幕最後のアンドレの独白とこの場面しかないのはいかがなものか。
・そしてアンドレの死後寄り添わない雪版シャトレ夫妻。やはり愛が無いのか。
・バスティーユのコムカルは格好いいです。死の大天使。
・最後はやはりガラスの馬車(ペガサスつき)なんだね……。
・フィナーレはピンクの衣装で男役によるベルばらヒットメドレー。そして黒い衣装でワタコム中心に男役総踊り。星組が全編リバイバルだったのに対しこちらは新作なようです。
・総踊りのコムちゃんは長いブロンドの鬘にパンツスタイル、しかし他の男役とは違うデザイン。そして一際小柄なシルエット。
・あれ男でも女でもないよ。魔物だよ、魔物が一匹混じってるよ。
・かし水の並びがすげー格好いい。何故この二人をきちんと使いこなした演目が出来なかったんだ。
・エトワールは美穂圭子お姉様。しかしアントワネットが出ていないのに「青きドナウの岸辺に」はどうだろう。
長くなりました(最近3000文字制限がなくなったのでいくらでも書ける)。
すげーぶっ壊れた話でした。いいのかこれ。星ベルばらは腹が立ってげんなりしたけれど、これはそれ以前の問題と言うかとにかく笑えた。これだけ笑えたのは『さすらいの果てに』以来かもしれない。しかし2回目も笑えるかどうかはわかりませんが(腹が立つかもしれない)。
特にぶっ壊れているのはロザリーの話(まーちゃん大変)。そしてうるさくて要らない失笑モノなのはジャルジェ家ホームドラマ。
オスカルとロザリーの話を書きたいなら、原作の出会いから嫁に行くまでをそのままやれば良かったのに。コムまーで原作のオスカルとロザリーなら素晴らしいものが見られたろうに。
それが清らかな顔で夫を裏切る恐怖の思いつめ女と、何にもわかっていない鈍感男になっちゃって(ロザリーに対している時のオスカルは、その感覚が男にしか見えない)。
ああ勿体無い。本当に植爺は乙女心がわかってないのな……。
本来、原作のロザリーはオスカルを恋い慕うけれど。生涯彼女への思慕は変わらないものの、それは憧れとして卒業する。そして愛し合い共に生きる男性としてベルナールを選ぶ。
でも、植爺にはその差がわからないんだろうな。
ロザリーがずっとオスカルに恋して最後に「愛しています」なんて告白しちゃうと、オスカルが男も女も魅了する両性具有の魔性の存在にすら見えてしまって、落ち着かないんですけど。元々コムちゃんがそういうキャラが出来ちゃう人だし。
またハマコさんのベルナールがまーちゃんロザリーよりかなり年上に見えるので(2回も親子役やってるしね)、若く美しい娘を思いがけず妻にした男が、喜びに有頂天で何も気づかず欺かれているように見えるんだよね。ハマコさんいい人オーラ全開でやってるし。
せめて、お前の本心はわかっているけれど、それでもお前を愛しているよ、という話なら馬鹿には見えないのかもしれないけれど。ルイ16世風に。ってそれじゃどんどん話が変わっちゃいますが。
そして演出面ではどう見てもお笑いなこけおどしのクレーンペガサス。無駄にあんなことして安全面は大丈夫なんだろうな。
現雪組は、オスカルとロザリーだけでなくジェローデル=かしげもアラン=水も原作イメージそのままのベストキャストなのに、どうしてこんなお笑い作品になってしまうのか。世の不条理を感じます。
が、世間的な評判はどうなんでしょうねえ。
どうも私の言うことは少数派な場合が多いようで(ゆひカルが女に見えなかったのも少数派かもしれない)、これから見る人の感想がどうなのか、気になるところです。
そして、今回の目的、わたるアンドレはと言うと。
格好よかったです。見に行った甲斐がありました(所詮ファンですから)。
最初の剣の稽古のシーン、濃いブルーのシャツで剣を構える姿に、ひゃー格好いいーと声を上げそうになりましたよ。マロン・グラッセおばあちゃんとのやりとりも、私の好きな原作前半っぽい明るいアンドレでやんちゃな面が出て楽しかった(ついでに灯さんをリフトしてた・笑)。なかなかこういう役回ってこないからなあ、最近。
オスカルを他の男に渡すなんてと苦しむ銀橋の歌も、毒殺しようとしたことを告白する激しさもすごく良かったし。今宵一夜も、窓際に並んだ後姿の肩の位置の違いで既に男女カップルに見えて、オスカルが終始座っている演出が不自然なくらいでした。と言うか、雪組にいるとワタさんでかいよ(笑)。
残念だったのは、オスカルやジャルジェ家の人々以外との絡みが殆どないこと。特出スケジュールゆえの制約だと思いますが、出番が少ないので「ずっと側に居てくれた」と言う言葉に説得力がない。衛兵隊士たちとの関係もわからない。オスカルの出る場面、常に舞台に居るだけでも違うと思うんですが。それこそ立ってるだけでいいから。あと、目が見えないことをアランに知られる場面を入れるとかね。
しかし、アンドレを見てしまうと、比較するとやはりフェルゼンはやりにくそうであることを認めざるを得ません。残念ながら。
まあ仕方ないんだけども。
コムオスカルは、常に冷静沈着で腹の底が見えず余裕な態度なので、軍人として有能に見えました。女らしい場面より衛兵隊を指揮している姿の方が断然魅力的。
だから子守唄の場面が変。多分元々変なんだろうけど(洗脳?)。何故衛兵隊士たちが説得されるかと言うと、それはオスカルが女性であるから、という意図だと思うので。荒くれ男達は女に弱い(恋愛対象としての女ではなく、母や妹や娘という関係の女性的なるもの。だから家族達が唱和することが意味を持つ)、というのが説得される理由。でもコムカルは、彼女が衛兵隊を掌握した理由はそんなことではなく、並の男以上の豪胆さ冷静さ決断力ゆえに見えるので。
そして今宵一夜の「何かに縋りたいと常に甘えを許している人間」と言う台詞が非常に嘘臭かったです。自立した自分ひとりでも生きていける人間が、自分を愛してくれる人間の中で一番ふさわしい相手を選んだ、ように見えました。
それでも男女カップルと言うかコムカルが可憐に見えたのは、やはりあの男にしか見えない体格、そして包容力というワタさんのキャラゆえかなあと。毒入りワインの話でオスカルが抱きすくめられる場面も、あの圧倒的な体格差で捕まえられれば普段は物事に動じないオスカルが怯えた顔を見せるのも納得だし。
雑誌『CREA』の対談でコムちゃんが「(原作から読み取った)自分のオスカル像と宝塚のオスカル像に違いがあって悩んでいる」と言っていて、この、軍務についている時の方が格好いいオスカルは、悩んだ結果生まれたものなのかなあと。いや、もう外野に惑わされずに自分のいいと思った方向に進んで行ってくれればいいと思います。こんな脚本こんな演出だけど。がんばれー。
(余談ながら『CREA』の宣伝ポスターが駅のコンコースにべたべた貼ってあってびびりました。何故こんなところでワタコムどアップを見ているのだ私は)
次に雪ベルばらを見るのは東宝。それまでにどうなっているか、楽しみです(笑)。そして本当に難儀な役に当たってしまったまーちゃん、が、がんばれー。
難儀な人々に、敬意。(星組『ベルサイユのばら』)
2006年2月10日 宝塚2/8日記でジェローデルとベルナールを語っております。
いい役ですよねこの二人。言うことはまともだしやることは筋が通ってるし。
そんなの当然と言われそうですが、そうはいかないのが植爺クオリティ。主要人物の中では希少価値ではないかと。
もっとも『長崎』の時も「まともなのは館岡さんだけじゃん」と思ったので、私がつくづく植田作品と感覚が合わないだけかもしれませんが。
で。
そろそろ主人公の話しをします。あ、一応断っておくと、アントワネットじゃなくてフェルゼンの方ね。
これだけ有名な作品の有名な役だと既に観客がイメージを持っているので「湖月わたるがフェルゼンという役のために足りているか」「フェルゼンという役が湖月わたるにふさわしいか」と二つの観点があると思うのですが。
「湖月わたるがフェルゼンに足りているか」は。
そりゃ、私はファンですし。
フェルゼンは主人公としてラストの「行けフェルゼン(正式名称「駆けろペガサスの如く」)で盛り上げ、牢獄の別れで観客の心を動かさねばならないと思っているので、わたるフェルゼンは正解です。(以前『狸』でツレちゃんの行けフェルゼンを聞いて、そうかこの歌は気合とテンションで暑苦しく歌い上げないと格好がつかないんだと開眼した私)前半の物静かな図書室の君もたまにはこういうのもいいなあと(結局何でもいいのか)(いや決してそういう訳では)。
そして。「フェルゼンという役が湖月わたるのためにふさわしいか」は。
今更、ねえ(苦笑)。
だって、その前は全ツ版フェルゼンで、その前は卯之助で、その前は玄宗だよ?
私たちは今まで耐えに耐えてきたではありませんか、今更文句を言うだけ虚しい、ってなもんで。
全ツからは大分改善されたとは言え、宝塚版のフェルゼンはしょうもない男。オスカルに対しては無神経な勘違い野郎だし、正当な理由で王妃と別れろと言うメルシー伯に対する反論はどう見ても筋が通っていない。唯一の主人公らしい点であるアントワネットとの愛だって「同病相哀れむ」だ。そもそも16年間留学生のままってその設定どうなのよ。
原作のフェルゼンは、もっと男らしい人間なんだけどな。昔読んだきりなので記憶が定かでないけれど、確か仮面舞踏会での出会いは物慣れない様子のアントワネットを半ば強引に誘うんだし、自ら身を引いてアメリカ独立戦争の義勇軍に志願して旅立つし(軍服はなんちゃってコスプレではない)。オスカルの思いに気づくくだりも、正体を隠した貴婦人姿の彼女と踊る、ずっと納得のいくロマンチックなものだったし。
まあ、今更言っても仕方ないことだから。
大丈夫、1幕ラストをフェルゼンの正しい決断で幕を下ろすことによって、全ツよりははるかにマシになっているから。あの銀橋と行けフェルゼンと牢獄の場面があれば、その美しい思い出を胸にムラから帰国することができるというものです。
それでも、このしょうもない役をその持ち味と熱い演技と舞台に対する誠実さで主人公として成立させているあの人を、敬愛せずにはおれません。
ええ、所詮ファンですから。
アントワネットは、エピソードが追加されてかなり良くなった。前半は狭い世界で自分を哀れんでいる愚かさがあるけれど、後半苦難の中で王妃としての自覚を持ち、夫と子供を愛し、そしてその誇りと愛を胸に毅然として死に臨む、その過程がちゃんと追加されたエピソードで描かれているので。それは原作のアントワネットそのものであり、マリー・アントワネットという歴史上の人物に対するイメージそのものなので。
そして、演じるとなみちゃんも良くなった。全ツの時も良かったけれど、それでもまだ硬かったし、いっぱいいっぱいだったり迷ってやりすぎているように見える時もあった。
でも今は、登場の歌から立派に堂々たるロココの女王だ。
良かったね。全ツと韓国公演を経て本当に華麗に花開いてくれた、立派なトップ娘役さんだね。
しかしオープニングの鬘はちょっとどうかと思うぞ(苦笑)。前楽見たときいきなり変わっていてえらいことになっていて驚いた。
オスカルも、なかなか難儀な役だと思う。定型的なお約束場面が多いし。新しく加えられた場面は原作の台詞つぎはぎで意味不明だし。これで芯の通ったキャラクターを表現するのは難しいだろう。
でも、みんな健闘していたし、個性の違いが面白い。特出の皆様お疲れ様でした。
アンドレもオスカル以上にお約束の場面ばかりで、やはり難儀だなあと。今宵一夜と死ぬ場面なんてイベント。まして死ぬ場面は何故そんな橋の上にいるって感じで間抜けだし、撃たれても撃たれても立ち上がって歌うのも、現代人の感覚ではシリアスとして成立させるのは難しいだろう。
あと、主な出番は小石と、ジェローデルとのカーテン前芝居。後者は悪くない場面だけれど、それでも大きな役ではないという印象になってしまう。
このフェルゼンとアントワネット編のアンドレはオスカル編と違い、「主人公を愛する女性の恋人」に過ぎないので。銀橋ソロはあるけれど、2幕で話を動かすジェローデルやベルナールの方がおいしい役にすら見える。
それでも、トウコさんは流石だったけれど。5人のオスカル相手にどうなることやらと一部心配されましたが、熱くオスカルを愛し包容力のあるアンドレでした。特に1幕ラストでフェルゼンの言葉に動揺するオスカルに対する細かい演技とか、良かった。まあオヤジくさくはありましたが。
トウコさんは東宝ではオスカル。役としてはオスカルの方がいい役だけれど、実は男役としてはアンドレの方がいい役だよね。だってオスカルは女性だもの。
難しい。どちらにしてもトウコさんの使い方として、勿体無いなあ、と思う。
なかなか難儀なメインキャラの皆様です。話が壊れていると真ん中ほど被害甚大。
が、脇でもかなりしんどそうなキャラも。
その筆頭がジャルジェ将軍だと思うんですが、いかがでしょう。
だって、出番は2つ、カーテン前のオスカルとのやり取りと1幕最後のフランス宮廷だけ。オスカルとのやり取りは原作のジャルジェ将軍が出てくる場面の台詞をとにかく切り張りしてみましたという感じで全然辻褄が合ってないし、フランス宮廷では愛のために身を引くと言うフェルゼンに「何故だ」とそれこそ何であんたがそれを聞くんだ的な台詞を言わされてるし。これじゃ筋の通った人物像なんか作れないよ。
しかし、そんな中で言葉や態度の端々に「娘オスカルを愛する父親」を表現するにしきさんは流石だと思いました。偉い。
あとプロバンス伯も筋の通っていなさは相当なものです。1幕では兄ルイ16世を馬鹿にしているようで嫌味ったらしくアントワネットの不貞を嘲笑ったりしていたのが、2幕でいきなり「お供します兄上」って何だそれ。どういう人物かさっぱりわかりません(史実では上手く難を逃れた人だよね、確か)。
と、まあ不満たらたらな訳ですが。
それでも、英真組長が「宝塚の宝物」と言い、組子みんな張り切って演じているのも、わからなくはない。
と言うか、楽の後で緑野さんじゅんたさんと話していて気づいてしまったのですが、もし自分が中堅どころでベルばらに出ていたら、楽しかったかもしれない。
壊れた台本を自力で埋めなければならない立場の人は大変だと思うけれど、脇で、プロローグでは白ピンクブルーこれぞベルばらな衣装で踊って、プランタンやってざーますやって、2幕ではバスティーユで鍬持って戦ってたりしたら、きっと楽しいんじゃないだろうか。男役も、1幕は宮廷で優雅にワルツ、2幕は衛兵隊で激しく踊りオスカルの死に慟哭芝居をし、ついでに村の男女で勝手にラブコメ設定作ってたりしたら、きっと楽しいよ。
だってその前は長崎だし、その前は長安だし。作品は駄作でロクな出番がないと言う点ではどっちが悪いかわかりゃしないですからね。それならみんな知っているベルばらの方がまだ楽しいですよ(あ、また毒が)。
ちなみにじゅんたさんも出てもいいそうです。緑野さんは駄目らしいです(笑)。
と言う訳で、次回は脇役やモブの皆様の話をしたいと思っております(まだ続くのかよ)。
いい役ですよねこの二人。言うことはまともだしやることは筋が通ってるし。
そんなの当然と言われそうですが、そうはいかないのが植爺クオリティ。主要人物の中では希少価値ではないかと。
もっとも『長崎』の時も「まともなのは館岡さんだけじゃん」と思ったので、私がつくづく植田作品と感覚が合わないだけかもしれませんが。
で。
そろそろ主人公の話しをします。あ、一応断っておくと、アントワネットじゃなくてフェルゼンの方ね。
これだけ有名な作品の有名な役だと既に観客がイメージを持っているので「湖月わたるがフェルゼンという役のために足りているか」「フェルゼンという役が湖月わたるにふさわしいか」と二つの観点があると思うのですが。
「湖月わたるがフェルゼンに足りているか」は。
そりゃ、私はファンですし。
フェルゼンは主人公としてラストの「行けフェルゼン(正式名称「駆けろペガサスの如く」)で盛り上げ、牢獄の別れで観客の心を動かさねばならないと思っているので、わたるフェルゼンは正解です。(以前『狸』でツレちゃんの行けフェルゼンを聞いて、そうかこの歌は気合とテンションで暑苦しく歌い上げないと格好がつかないんだと開眼した私)前半の物静かな図書室の君もたまにはこういうのもいいなあと(結局何でもいいのか)(いや決してそういう訳では)。
そして。「フェルゼンという役が湖月わたるのためにふさわしいか」は。
今更、ねえ(苦笑)。
だって、その前は全ツ版フェルゼンで、その前は卯之助で、その前は玄宗だよ?
私たちは今まで耐えに耐えてきたではありませんか、今更文句を言うだけ虚しい、ってなもんで。
全ツからは大分改善されたとは言え、宝塚版のフェルゼンはしょうもない男。オスカルに対しては無神経な勘違い野郎だし、正当な理由で王妃と別れろと言うメルシー伯に対する反論はどう見ても筋が通っていない。唯一の主人公らしい点であるアントワネットとの愛だって「同病相哀れむ」だ。そもそも16年間留学生のままってその設定どうなのよ。
原作のフェルゼンは、もっと男らしい人間なんだけどな。昔読んだきりなので記憶が定かでないけれど、確か仮面舞踏会での出会いは物慣れない様子のアントワネットを半ば強引に誘うんだし、自ら身を引いてアメリカ独立戦争の義勇軍に志願して旅立つし(軍服はなんちゃってコスプレではない)。オスカルの思いに気づくくだりも、正体を隠した貴婦人姿の彼女と踊る、ずっと納得のいくロマンチックなものだったし。
まあ、今更言っても仕方ないことだから。
大丈夫、1幕ラストをフェルゼンの正しい決断で幕を下ろすことによって、全ツよりははるかにマシになっているから。あの銀橋と行けフェルゼンと牢獄の場面があれば、その美しい思い出を胸にムラから帰国することができるというものです。
それでも、このしょうもない役をその持ち味と熱い演技と舞台に対する誠実さで主人公として成立させているあの人を、敬愛せずにはおれません。
ええ、所詮ファンですから。
アントワネットは、エピソードが追加されてかなり良くなった。前半は狭い世界で自分を哀れんでいる愚かさがあるけれど、後半苦難の中で王妃としての自覚を持ち、夫と子供を愛し、そしてその誇りと愛を胸に毅然として死に臨む、その過程がちゃんと追加されたエピソードで描かれているので。それは原作のアントワネットそのものであり、マリー・アントワネットという歴史上の人物に対するイメージそのものなので。
そして、演じるとなみちゃんも良くなった。全ツの時も良かったけれど、それでもまだ硬かったし、いっぱいいっぱいだったり迷ってやりすぎているように見える時もあった。
でも今は、登場の歌から立派に堂々たるロココの女王だ。
良かったね。全ツと韓国公演を経て本当に華麗に花開いてくれた、立派なトップ娘役さんだね。
しかしオープニングの鬘はちょっとどうかと思うぞ(苦笑)。前楽見たときいきなり変わっていてえらいことになっていて驚いた。
オスカルも、なかなか難儀な役だと思う。定型的なお約束場面が多いし。新しく加えられた場面は原作の台詞つぎはぎで意味不明だし。これで芯の通ったキャラクターを表現するのは難しいだろう。
でも、みんな健闘していたし、個性の違いが面白い。特出の皆様お疲れ様でした。
アンドレもオスカル以上にお約束の場面ばかりで、やはり難儀だなあと。今宵一夜と死ぬ場面なんてイベント。まして死ぬ場面は何故そんな橋の上にいるって感じで間抜けだし、撃たれても撃たれても立ち上がって歌うのも、現代人の感覚ではシリアスとして成立させるのは難しいだろう。
あと、主な出番は小石と、ジェローデルとのカーテン前芝居。後者は悪くない場面だけれど、それでも大きな役ではないという印象になってしまう。
このフェルゼンとアントワネット編のアンドレはオスカル編と違い、「主人公を愛する女性の恋人」に過ぎないので。銀橋ソロはあるけれど、2幕で話を動かすジェローデルやベルナールの方がおいしい役にすら見える。
それでも、トウコさんは流石だったけれど。5人のオスカル相手にどうなることやらと一部心配されましたが、熱くオスカルを愛し包容力のあるアンドレでした。特に1幕ラストでフェルゼンの言葉に動揺するオスカルに対する細かい演技とか、良かった。まあオヤジくさくはありましたが。
トウコさんは東宝ではオスカル。役としてはオスカルの方がいい役だけれど、実は男役としてはアンドレの方がいい役だよね。だってオスカルは女性だもの。
難しい。どちらにしてもトウコさんの使い方として、勿体無いなあ、と思う。
なかなか難儀なメインキャラの皆様です。話が壊れていると真ん中ほど被害甚大。
が、脇でもかなりしんどそうなキャラも。
その筆頭がジャルジェ将軍だと思うんですが、いかがでしょう。
だって、出番は2つ、カーテン前のオスカルとのやり取りと1幕最後のフランス宮廷だけ。オスカルとのやり取りは原作のジャルジェ将軍が出てくる場面の台詞をとにかく切り張りしてみましたという感じで全然辻褄が合ってないし、フランス宮廷では愛のために身を引くと言うフェルゼンに「何故だ」とそれこそ何であんたがそれを聞くんだ的な台詞を言わされてるし。これじゃ筋の通った人物像なんか作れないよ。
しかし、そんな中で言葉や態度の端々に「娘オスカルを愛する父親」を表現するにしきさんは流石だと思いました。偉い。
あとプロバンス伯も筋の通っていなさは相当なものです。1幕では兄ルイ16世を馬鹿にしているようで嫌味ったらしくアントワネットの不貞を嘲笑ったりしていたのが、2幕でいきなり「お供します兄上」って何だそれ。どういう人物かさっぱりわかりません(史実では上手く難を逃れた人だよね、確か)。
と、まあ不満たらたらな訳ですが。
それでも、英真組長が「宝塚の宝物」と言い、組子みんな張り切って演じているのも、わからなくはない。
と言うか、楽の後で緑野さんじゅんたさんと話していて気づいてしまったのですが、もし自分が中堅どころでベルばらに出ていたら、楽しかったかもしれない。
壊れた台本を自力で埋めなければならない立場の人は大変だと思うけれど、脇で、プロローグでは白ピンクブルーこれぞベルばらな衣装で踊って、プランタンやってざーますやって、2幕ではバスティーユで鍬持って戦ってたりしたら、きっと楽しいんじゃないだろうか。男役も、1幕は宮廷で優雅にワルツ、2幕は衛兵隊で激しく踊りオスカルの死に慟哭芝居をし、ついでに村の男女で勝手にラブコメ設定作ってたりしたら、きっと楽しいよ。
だってその前は長崎だし、その前は長安だし。作品は駄作でロクな出番がないと言う点ではどっちが悪いかわかりゃしないですからね。それならみんな知っているベルばらの方がまだ楽しいですよ(あ、また毒が)。
ちなみにじゅんたさんも出てもいいそうです。緑野さんは駄目らしいです(笑)。
と言う訳で、次回は脇役やモブの皆様の話をしたいと思っております(まだ続くのかよ)。
やはりマイクは金色ですか?(公式に反応)(少々追記)
2006年2月9日 宝塚星ベルばら語りの最中ですが、公式サイトのニュースに反応。
----------------------------------------
2006/02/09
涼 紫央ディナーショー
<タイトル> 未定
<構成・演出>中村 暁 <制作>宝塚クリエイティブアーツ
<出演者>(星組)涼 紫央 他
<料金>25,000円(各ホテル共・税込み)
■宝塚ホテル
<日時>
2006年4月27日(木)・28日(金)
ディナー18:30〜/ショー19:45〜
<場所>6階「宝寿の間」
■第一ホテル東京
<日時>
2006年4月30日(日)・5月1日(月)
ディナー18:00〜/ショー19:30〜
<場所>
5階ボールルーム「ラ・ローズ」
※タイトル・その他の出演者につきましては、決定次第ご案内致します。
----------------------------------------
うわーすげー楽しみ!
と思ったら、ワタさんダンスリサイタルin東京と日程が丸々かぶってるじゃないですか。えーと、4/30ならダンスリサイタルが1回公演だから行けるのか。
しかし、他の出演者はどうなるんだろう。
ダンスリサイタル組は出られないし、エンカレ組も多分無理ですよね。
と言う訳で、どちらにも出演しないメンバーを眺めつつ、出演者の面子を想像してみました(ヒマだなあんた)。
パターン1:オーソドックスに男役娘役二人ずつ
ぎんがみくん、はなみゆうかちゃん、みやるり、あと下級生のかわいいこちゃんを誰か。
ぎんがみくんは勿論『それ船』要員です。ジョニーとマイクのデュエット再現を期待。
そして下級生ながらしっとりと大人っぽい実力派はなみゆうかちゃん、華を添えるスカフェのみやるり。
あと一人は、誰かすずみんに似合う下級生の娘役ちゃんを抜擢してください(せあらが出られないのが残念)。
パターン2:娘役ちゃんで揃えてみる
しげちゃん、ふあり、はなみゆうかちゃん、あと下級生のかわいいこちゃんを誰か。
パターン1の二人+しげちゃん。しげちゃんも手堅い実力派なので、ゆうかちゃんとタイプの違うおねえさま二人という感じで良いのではないかと。
すみませんふありは趣味です。かわいいけど、涼氏との相性はどうかなあ。ちょっと硬質すぎる気もします。かつきちゃんやエレナ嬢もいいけど、同期が出るとは考えにくいので。
パターン3:男役だけで揃えてみる
ぎんがみくん、あまぎりまよくん、ベニー、みやるり。
パターン1の二人+あまぎりくんとベニー。
ビジュアル重視のつもり。ぎんがみあまぎり同期コンビはタイプの違うアイドル系で私的には楽しい。そしてかわいこちゃん揃いの中ベニーは違うタイプでアクセントになって良いのではないかと。芸達者だしな(笑)。
ま、実際のところはオーソドックスに来るのではないかと思います。男役だけというのはなさそうな気がする。娘役ちゃんとデュエットとかしたいだろうしな。そして色々並べて見ましたが正直出演するだろうと比較的自信があるのはぎんがみくんとはなみゆうかちゃんだけです(笑)。
いやでも本当に真面目な話、3分割はなかなかきついかも……。
本日は花東宝も見て参りました。ムラの中盤以来のパレルモ、役者の変化のおかげかすごく良かった。違うものを見ている感じでした。その話はまたいずれ。
***
2/10追記。
もしかしたらエンカレメンバーからも出るかもしれないなあと思い始めました。だってご本人の外部(?)出演だって結構なハードスケジュールだし。
その外部出演、イープラスからプレオーダーのお知らせが来ました。
「毎年恒例となった中国琵琶コンサート「弦奏紀行」にとどまらず、三宅一生氏のファッションショーで演奏するなど、多方面で注目を浴びる中国琵琶奏者 閻杰(エンキ)と、元来宝塚の大ファンであり、常にファンの視点からのファンサービスを徹底して行う独特の個性を持った男役スター涼紫央の夢のコラボレート!!」
……イープラスGJ!(抱腹絶倒)
誰が書いたんだ素晴しすぎる。
----------------------------------------
2006/02/09
涼 紫央ディナーショー
<タイトル> 未定
<構成・演出>中村 暁 <制作>宝塚クリエイティブアーツ
<出演者>(星組)涼 紫央 他
<料金>25,000円(各ホテル共・税込み)
■宝塚ホテル
<日時>
2006年4月27日(木)・28日(金)
ディナー18:30〜/ショー19:45〜
<場所>6階「宝寿の間」
■第一ホテル東京
<日時>
2006年4月30日(日)・5月1日(月)
ディナー18:00〜/ショー19:30〜
<場所>
5階ボールルーム「ラ・ローズ」
※タイトル・その他の出演者につきましては、決定次第ご案内致します。
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うわーすげー楽しみ!
と思ったら、ワタさんダンスリサイタルin東京と日程が丸々かぶってるじゃないですか。えーと、4/30ならダンスリサイタルが1回公演だから行けるのか。
しかし、他の出演者はどうなるんだろう。
ダンスリサイタル組は出られないし、エンカレ組も多分無理ですよね。
と言う訳で、どちらにも出演しないメンバーを眺めつつ、出演者の面子を想像してみました(ヒマだなあんた)。
パターン1:オーソドックスに男役娘役二人ずつ
ぎんがみくん、はなみゆうかちゃん、みやるり、あと下級生のかわいいこちゃんを誰か。
ぎんがみくんは勿論『それ船』要員です。ジョニーとマイクのデュエット再現を期待。
そして下級生ながらしっとりと大人っぽい実力派はなみゆうかちゃん、華を添えるスカフェのみやるり。
あと一人は、誰かすずみんに似合う下級生の娘役ちゃんを抜擢してください(せあらが出られないのが残念)。
パターン2:娘役ちゃんで揃えてみる
しげちゃん、ふあり、はなみゆうかちゃん、あと下級生のかわいいこちゃんを誰か。
パターン1の二人+しげちゃん。しげちゃんも手堅い実力派なので、ゆうかちゃんとタイプの違うおねえさま二人という感じで良いのではないかと。
すみませんふありは趣味です。かわいいけど、涼氏との相性はどうかなあ。ちょっと硬質すぎる気もします。かつきちゃんやエレナ嬢もいいけど、同期が出るとは考えにくいので。
パターン3:男役だけで揃えてみる
ぎんがみくん、あまぎりまよくん、ベニー、みやるり。
パターン1の二人+あまぎりくんとベニー。
ビジュアル重視のつもり。ぎんがみあまぎり同期コンビはタイプの違うアイドル系で私的には楽しい。そしてかわいこちゃん揃いの中ベニーは違うタイプでアクセントになって良いのではないかと。芸達者だしな(笑)。
ま、実際のところはオーソドックスに来るのではないかと思います。男役だけというのはなさそうな気がする。娘役ちゃんとデュエットとかしたいだろうしな。そして色々並べて見ましたが正直出演するだろうと比較的自信があるのはぎんがみくんとはなみゆうかちゃんだけです(笑)。
いやでも本当に真面目な話、3分割はなかなかきついかも……。
本日は花東宝も見て参りました。ムラの中盤以来のパレルモ、役者の変化のおかげかすごく良かった。違うものを見ている感じでした。その話はまたいずれ。
***
2/10追記。
もしかしたらエンカレメンバーからも出るかもしれないなあと思い始めました。だってご本人の外部(?)出演だって結構なハードスケジュールだし。
その外部出演、イープラスからプレオーダーのお知らせが来ました。
「毎年恒例となった中国琵琶コンサート「弦奏紀行」にとどまらず、三宅一生氏のファッションショーで演奏するなど、多方面で注目を浴びる中国琵琶奏者 閻杰(エンキ)と、元来宝塚の大ファンであり、常にファンの視点からのファンサービスを徹底して行う独特の個性を持った男役スター涼紫央の夢のコラボレート!!」
……イープラスGJ!(抱腹絶倒)
誰が書いたんだ素晴しすぎる。
大劇公演は終ってしまいましたが、まだ全然感想を書いていない。
と言う訳で、まずはジェローデルの話とベルナールの話から(SSしただけじゃ足りなかったのか)(全然)。
【ジェローデル:秘めたる思い】
もう1ヶ月以上も前のことになりますが(苦笑)。
初めて涼ジェローデルを見たときはまずその声の低さに驚いた。全ツオスカルのイメージが残っていたせいか、スチール写真があまりにもお目目キラキラで可愛らしかったせいか(笑)。
スチールが可愛らしかったので見る前ちょっと不安だったのですが、声まで含めた役作りの結果、こげ茶の巻き毛で貴族らしさはそのままに、いい感じに大人の男になっていました。
もっとも、そのせいで妙になってしまった場面もありますが。夜中の警護「近衛隊は大変だなあ」の台詞が。全ツの麻尋ジェローデルは中学生生徒会副会長風だったので、男の子のぼやきという感じで違和感無かったんですが、涼ジェローデルは何だか変。オスカルに話しかけているにしては自分も近衛隊だし、自分のことだとしたらいい大人がそんなぼやき方をするのは変だし。まあ台本が悪いんだけれども。
アンドレと、同じ女性を愛した男同士としてそれぞれの道を貫くと誓い合う場面も格好いいし、2幕もフェルゼンに助力を求めにスウェーデンに赴いたりと活躍。今回の星組版におけるジェローデルは結構美味しいのではないかと。
が、涼ジェローデルの真骨頂は、台詞の無い場面にこそある。
オスカルとジャルジェ将軍とのやりとり。ここでジェローデルは台詞は無く、ただその場にいる。
が、彼はオスカルをずっと見ている。
ずっと静かに見つめている。そして最後、オスカルが「私は剣に生きる」と言うのを聞いて、彼は笑うのだ。
誇らしげに、満足そうに。それでこそ我が敬愛する隊長だ、と言うように。
そして更に、フェルゼンがフランス宮廷を去る場面。
ここでジェローデルは、愛について語るフェルゼンの話を真剣に聞いている。それはもう恐ろしく真剣に。自分もまた、白ばらのひとオスカルを愛する、この愛の物語の登場人物の一人なのだ、と言うように。
それだけフェルゼンの話に真剣に耳を傾け共感しているからこそ、2幕で彼を訪ねるのが納得。あのフェルゼンなら必ず王妃の危機に駆けつけるだろう、応えてくれるだろうと思ってくれたんだね。
とにかくこの、物語に参加する熱意にはすごいものがあります。本当に、場を与えられれば張り切って真剣に誠実に演じる人なんだなあと再認識。いや、好きだなあ。
ところで、涼ジェローデル、初日から楽までの間に役の年齢が上がってませんか? トウドレがあまりにオヤジなので目立たないけど、涼ジェロもオヤジとまではいかないまでも、結構「それ以上行ったら大人の男で済まなくなるから」みたいな領域に足を踏み入れているような気がするのですが(笑)。
まあそりゃ、他組スターさんをお迎えしてのオスカルに対し見守り身を引く大人の男でなければならない訳だし、そのオスカルに対して大人の包容力を発揮しているトウドレに対しても同じ女性を愛する対等な、しかも身分は上の人間としてやりあわなければならない訳だから、それも当然といえば当然なのですが。
いや本当に、大人で誠実で包容力があってお貴族様なジェローデル。そしてオスカルの立場が変わろうとその行いが裏切りに見えようと、そして死んでしまってもなお秘めた思いでオスカルを愛し敬愛し続ける男、マジで格好いいです。
【ベルナール:護る手】
いや、格好いいよねぇ立樹ベルナール!(いきなり)
この星組版ベルばらでは、ベルナールは常に、誰かを護る者、助けようとする者として現れる。
それが、演じているしぃちゃんの熱さ、大きさ、優しさやおおらかさに見事にはまってすごく素敵なのですよ。
登場は2幕。登場するやいきなりものすごい勢いでオスカルの身を案じるベルナール・ロザリー夫婦。君たち誰?オスカルとどういう関係?という観客の疑問を吹き飛ばすテンション(笑)。でも、そのテンションで言い争っているのに、ベルナールがロザリーのことを愛しくてたまらないというのが、態度の端々からわかる。
いいなあ、華奢で可愛らしい少女のような妻と、その妻が愛しくてたまらない夫。いい夫婦だなあ。
結局、衛兵隊を率いて市民の側についたオスカルの元に駆けつけるベルナールとロザリー。感極まってその手を握る姿から、言葉にならない感謝の気持ちが伝わってきて、ここもすごく好き。(ちなみにこの場面は水カルが一番好きでした。水カルもいい感じに温度が高いし、生身の人間らしいので気持ちが通じている気がするんだよね。それに同期芝居だし)
そしてアンドレの死の場面。何気に逃げ遅れた市民の女性を助けた後で戻ってきたベルナールは、アンドレの死に弾丸飛び交う中に飛び出していこうとするオスカルをしっかりと抱き留めて護ろうとする。
ガタイいいから説得力あります。5人のオスカル誰が来たって大丈夫。そしてそれだけではなく、彼自身アンドレの死を悼んで、駆けつけたいオスカルの気持ちをわかって、それでも止めなければならない辛そうな様子が見える。その辛そうな様子のまま、オスカルを放した後ロザリーの元に行く姿もいいです。いい夫婦だなあ。
その後バスティーユで、オスカルと目を見交わして頷くところも好きです。
そして、オスカルが撃たれて飛び出していこうとするロザリーを片腕で抱いて留める。あんなに暴れているのに片腕でいいんだ。ロザリー細い、ベルナール格好いい。しきりと、行くな、危ない、と言うようにロザリーに一生懸命話しかけている様子がまたたまりません。
バスティーユが落ちた瞬間ぱっと笑顔になり、しかしオスカルの死に天を仰ぎ慟哭するさまも。(余談ですがここ衛兵隊士たちも一人一人真剣に演技していて、すごい群像劇になっております。とても全員見切れないのが悔しい)
次の出番もまたカーテン前でロザリーと。国王一家を救出する計画を打ち明けられて動揺するロザリーをしっかりと抱きしめる。このときの、大丈夫だ、心配ないよ、と安心させるような笑顔がよくてねー。あの笑顔を向けられたらいいだろうなーとついうっかり思ってしまいましたよ。
牢獄のシーンでは、アントワネットに「一口だけでも」とスープをすすめるところが良いです。明るく優しく、励ますように言うんですよね。北風と太陽の太陽さんみたいだ。たかがスープ一口、栄養を取るということではどれほどの意味もないけれど、暖かい食物を口にすることで生きる意欲を取り戻してはくれないかと言う微かな期待があったのかもしれない、とか思ったりしました。そして、彼にとってはアントワネットもまた、護るべき相手だったのだなあと。
初日から楽にかけて、うめロザリーへのでろでろ甘々っぷりがどんどん上がってきて、それにつれて私もしぃベルナールがどんどん素敵に見えてきてしまいました。
全ツアンドレのときも思ったけど、本当に相手役をべたべたに愛する人だなあと(笑)。そーゆーところが大好きです。
すずみんもしぃちゃんも、大劇場でこれだけ意味のある大きい役がついたのは、私が星組を見るようになってから(つまりワタさんトップ期)初めてだと思うんですよ。
それでこうやって、それぞれ魅力的な役で魅力を発揮してくれて良かったなあ、嬉しいなあと、心から思います。
あ、全ツでは人が少ないので彼らも舞踏会とかでモブのアルバイトしてましたが(そしてそっちの方が格好いいんじゃ?とか失礼なことを思ったりした訳ですが)、大劇ではそういうお楽しみは無し。
が、プロローグのばらの青年Aで、白とピンクとブルーの宮廷服できらきらして踊っております。未見の方お楽しみに。ちなみに面子はあとれおんとみらん。
すいません私ここは専らしぃちゃん見てます。だって、わたるフェルゼンの真後ろで踊ってるんだもん。オペラで二人一度に捕獲できるという非常に美味しい場面なのですよ(私にとっては。つか私だけなんだろうなそういう奴は)。
ここ、曲は「愛あればこそ」なのですが、愛あればこそ生きる喜び、という歌詞を聞いて、あー本当に生きる喜びって感じだなあと思いつつ、しぃちゃんの笑顔を眺めております(馬鹿)。
もうすぐ東宝。
今度は組内役替り。しぃちゃんアンドレも、すずみんの小雨の淑女Sも楽しみです。
と言う訳で、まずはジェローデルの話とベルナールの話から(SSしただけじゃ足りなかったのか)(全然)。
【ジェローデル:秘めたる思い】
もう1ヶ月以上も前のことになりますが(苦笑)。
初めて涼ジェローデルを見たときはまずその声の低さに驚いた。全ツオスカルのイメージが残っていたせいか、スチール写真があまりにもお目目キラキラで可愛らしかったせいか(笑)。
スチールが可愛らしかったので見る前ちょっと不安だったのですが、声まで含めた役作りの結果、こげ茶の巻き毛で貴族らしさはそのままに、いい感じに大人の男になっていました。
もっとも、そのせいで妙になってしまった場面もありますが。夜中の警護「近衛隊は大変だなあ」の台詞が。全ツの麻尋ジェローデルは中学生生徒会副会長風だったので、男の子のぼやきという感じで違和感無かったんですが、涼ジェローデルは何だか変。オスカルに話しかけているにしては自分も近衛隊だし、自分のことだとしたらいい大人がそんなぼやき方をするのは変だし。まあ台本が悪いんだけれども。
アンドレと、同じ女性を愛した男同士としてそれぞれの道を貫くと誓い合う場面も格好いいし、2幕もフェルゼンに助力を求めにスウェーデンに赴いたりと活躍。今回の星組版におけるジェローデルは結構美味しいのではないかと。
が、涼ジェローデルの真骨頂は、台詞の無い場面にこそある。
オスカルとジャルジェ将軍とのやりとり。ここでジェローデルは台詞は無く、ただその場にいる。
が、彼はオスカルをずっと見ている。
ずっと静かに見つめている。そして最後、オスカルが「私は剣に生きる」と言うのを聞いて、彼は笑うのだ。
誇らしげに、満足そうに。それでこそ我が敬愛する隊長だ、と言うように。
そして更に、フェルゼンがフランス宮廷を去る場面。
ここでジェローデルは、愛について語るフェルゼンの話を真剣に聞いている。それはもう恐ろしく真剣に。自分もまた、白ばらのひとオスカルを愛する、この愛の物語の登場人物の一人なのだ、と言うように。
それだけフェルゼンの話に真剣に耳を傾け共感しているからこそ、2幕で彼を訪ねるのが納得。あのフェルゼンなら必ず王妃の危機に駆けつけるだろう、応えてくれるだろうと思ってくれたんだね。
とにかくこの、物語に参加する熱意にはすごいものがあります。本当に、場を与えられれば張り切って真剣に誠実に演じる人なんだなあと再認識。いや、好きだなあ。
ところで、涼ジェローデル、初日から楽までの間に役の年齢が上がってませんか? トウドレがあまりにオヤジなので目立たないけど、涼ジェロもオヤジとまではいかないまでも、結構「それ以上行ったら大人の男で済まなくなるから」みたいな領域に足を踏み入れているような気がするのですが(笑)。
まあそりゃ、他組スターさんをお迎えしてのオスカルに対し見守り身を引く大人の男でなければならない訳だし、そのオスカルに対して大人の包容力を発揮しているトウドレに対しても同じ女性を愛する対等な、しかも身分は上の人間としてやりあわなければならない訳だから、それも当然といえば当然なのですが。
いや本当に、大人で誠実で包容力があってお貴族様なジェローデル。そしてオスカルの立場が変わろうとその行いが裏切りに見えようと、そして死んでしまってもなお秘めた思いでオスカルを愛し敬愛し続ける男、マジで格好いいです。
【ベルナール:護る手】
いや、格好いいよねぇ立樹ベルナール!(いきなり)
この星組版ベルばらでは、ベルナールは常に、誰かを護る者、助けようとする者として現れる。
それが、演じているしぃちゃんの熱さ、大きさ、優しさやおおらかさに見事にはまってすごく素敵なのですよ。
登場は2幕。登場するやいきなりものすごい勢いでオスカルの身を案じるベルナール・ロザリー夫婦。君たち誰?オスカルとどういう関係?という観客の疑問を吹き飛ばすテンション(笑)。でも、そのテンションで言い争っているのに、ベルナールがロザリーのことを愛しくてたまらないというのが、態度の端々からわかる。
いいなあ、華奢で可愛らしい少女のような妻と、その妻が愛しくてたまらない夫。いい夫婦だなあ。
結局、衛兵隊を率いて市民の側についたオスカルの元に駆けつけるベルナールとロザリー。感極まってその手を握る姿から、言葉にならない感謝の気持ちが伝わってきて、ここもすごく好き。(ちなみにこの場面は水カルが一番好きでした。水カルもいい感じに温度が高いし、生身の人間らしいので気持ちが通じている気がするんだよね。それに同期芝居だし)
そしてアンドレの死の場面。何気に逃げ遅れた市民の女性を助けた後で戻ってきたベルナールは、アンドレの死に弾丸飛び交う中に飛び出していこうとするオスカルをしっかりと抱き留めて護ろうとする。
ガタイいいから説得力あります。5人のオスカル誰が来たって大丈夫。そしてそれだけではなく、彼自身アンドレの死を悼んで、駆けつけたいオスカルの気持ちをわかって、それでも止めなければならない辛そうな様子が見える。その辛そうな様子のまま、オスカルを放した後ロザリーの元に行く姿もいいです。いい夫婦だなあ。
その後バスティーユで、オスカルと目を見交わして頷くところも好きです。
そして、オスカルが撃たれて飛び出していこうとするロザリーを片腕で抱いて留める。あんなに暴れているのに片腕でいいんだ。ロザリー細い、ベルナール格好いい。しきりと、行くな、危ない、と言うようにロザリーに一生懸命話しかけている様子がまたたまりません。
バスティーユが落ちた瞬間ぱっと笑顔になり、しかしオスカルの死に天を仰ぎ慟哭するさまも。(余談ですがここ衛兵隊士たちも一人一人真剣に演技していて、すごい群像劇になっております。とても全員見切れないのが悔しい)
次の出番もまたカーテン前でロザリーと。国王一家を救出する計画を打ち明けられて動揺するロザリーをしっかりと抱きしめる。このときの、大丈夫だ、心配ないよ、と安心させるような笑顔がよくてねー。あの笑顔を向けられたらいいだろうなーとついうっかり思ってしまいましたよ。
牢獄のシーンでは、アントワネットに「一口だけでも」とスープをすすめるところが良いです。明るく優しく、励ますように言うんですよね。北風と太陽の太陽さんみたいだ。たかがスープ一口、栄養を取るということではどれほどの意味もないけれど、暖かい食物を口にすることで生きる意欲を取り戻してはくれないかと言う微かな期待があったのかもしれない、とか思ったりしました。そして、彼にとってはアントワネットもまた、護るべき相手だったのだなあと。
初日から楽にかけて、うめロザリーへのでろでろ甘々っぷりがどんどん上がってきて、それにつれて私もしぃベルナールがどんどん素敵に見えてきてしまいました。
全ツアンドレのときも思ったけど、本当に相手役をべたべたに愛する人だなあと(笑)。そーゆーところが大好きです。
すずみんもしぃちゃんも、大劇場でこれだけ意味のある大きい役がついたのは、私が星組を見るようになってから(つまりワタさんトップ期)初めてだと思うんですよ。
それでこうやって、それぞれ魅力的な役で魅力を発揮してくれて良かったなあ、嬉しいなあと、心から思います。
あ、全ツでは人が少ないので彼らも舞踏会とかでモブのアルバイトしてましたが(そしてそっちの方が格好いいんじゃ?とか失礼なことを思ったりした訳ですが)、大劇ではそういうお楽しみは無し。
が、プロローグのばらの青年Aで、白とピンクとブルーの宮廷服できらきらして踊っております。未見の方お楽しみに。ちなみに面子はあとれおんとみらん。
すいません私ここは専らしぃちゃん見てます。だって、わたるフェルゼンの真後ろで踊ってるんだもん。オペラで二人一度に捕獲できるという非常に美味しい場面なのですよ(私にとっては。つか私だけなんだろうなそういう奴は)。
ここ、曲は「愛あればこそ」なのですが、愛あればこそ生きる喜び、という歌詞を聞いて、あー本当に生きる喜びって感じだなあと思いつつ、しぃちゃんの笑顔を眺めております(馬鹿)。
もうすぐ東宝。
今度は組内役替り。しぃちゃんアンドレも、すずみんの小雨の淑女Sも楽しみです。