フォスター・プランというNGOがある。
http://www.plan-japan.org/
曰く「途上国で子どもに焦点を当てた地域開発を支援する国際援助団体」。
そのプロジェクトの分野には「教育と学習(子どもたちが将来の可能性を広げられるよう教育機会を提供する。また、大人、特に女性を対象として学習の場を設ける)」「住民と生計(子どもが貧しさゆえに労働を余儀なくされ、教育機会や健康を奪われることがないよう、家族、特に母親の収入を増やすための職業訓練や小規模事業支援を行う)」等がある。

ここの、フォスター・ペアレントという支援制度を申し込みました。

ええ。
今も世界のどこかにいるであろうウクレレのような女の子と、そのお母さんのために。
そしてついでに、生まれた時代と場所が違っていたらこんなに安閑と生きていないだろう自分のために。

偽善的で不快に思う人がいたら申し訳ないが、これが私の『タック』感想の最終回です。

元々、興味はあった。でも、めんどくさいとか、こんなはした金たいした役に立たないだろうとか、ちゃんと使われるのかなあとか色々考えて、そのままだった。
今回こんな形で背中を押されて、自分でも驚いている。
こんな形でフィクションに行動をとらされるなんて、今までなかった気がする。
(違う形ならありましたよ。『C翼』でサッカー好きになるとか、『エロイカ』で西洋美術オタクになるとか)

うん。
ジョーの台詞じゃないけど、人生やり直してみようかと思って。
と言ってもほかに具体的にやることは決めていないんだけど、考え方を変えてみようかと。できることはやってみようかと。
どうせ人生半分降りてるから、みたいな生き方はやめようかと。

多分、タイミングだったんだと思う。
「人間には愛することと夢を見ることが与えられている」と言うアリスティドの台詞を、自分はどちらも持ってないなーと思いつつなんとなく寂しい気持ちで舞台を見上げていた、あの日から続いているんだと思う。
見たもの、会った人、いろいろ。去年の退団者祭りも含めて。
で、このタイミングだったんだと思う。

ともあれ、ちょっと考え方を変えてみようかと。

Lo giuro al mio angelo.

***

あーでも、これ書いてるヒトは多分これからもこの調子ですからー(笑)。
今週末は月エリザ初日だしー。星中日マイ初日もあるしー。

てな訳で、また。
隣席の方に「どなたのファンですか?」と聞かれて、思い切り挙動不審に「……立樹さんです」と答えてしまった自分。

そしたら、
「背、高いですよねー。健ちゃん(坂元健児さんのファンである由)負けてる!って思っちゃいました。宝塚の男役ってみんなあんなに大きいんですか!?」
い、いや、この人背高い方です。172cmあるそうです。
「最前列で見たとき思ったんですけど、地顔派手な人ですねー。びっくりしちゃいました」
そ、そうですね、口でかいですよね。

何でしぃちゃんが外部出演?と思ったけど。
背が高くて、舞台顔の美人さんで、技術的に突出しているものはないけど歌もダンスも両方普通にこなせる人、と言うのは、使う側として悪くない選択なのかもな。と、思いました。(それもまたファンビジョンですかそうですか)


あと「立樹さんが出てるから今回チケットが取れない」って聞いてびっくりしましたよ。タカラジェンヌの集客力がそんなにあるなんて思ってなかったからさ。あと普通は客席が埋まらないもんだってことも。そう言えば、TVに出ているような人の舞台でも簡単にチケット取れたりするなあ。いや素で驚きました。


初日「大劇場でもこの経験を活かせる場を」と書いたけれど、そのあと見て、ちょっと違うのかな、と言う気がした。

やっぱり、ジャンルが違うのかな。男役とかそういうことでなしに、タカラヅカというジャンル。歌舞伎役者が現代劇に出る、という程ではないと思うけれど、ある種の様式美と突き詰めた虚構とまず人を見るスターシステムと、いろいろ。
勿論、歌やダンスの技術面での経験は是非役立ててほしいし、ミュージカルナンバーにおけるぎらぎらした不良少年の見せ方は応用できるかもしれないな、と思うけれど。
「タカラヅカ」からはみ出した部分で見せてくれたところもたくさんあるのかなと。

でも、そのはみ出した部分でも魅力的だったことで。
今回しぃちゃんのファンは増えなかったと思うけど(元々好きな人しか見てないから・苦笑)もしいつか宝塚を辞めても追いかけ続けよう、と言うファンは増えたかもしれない、とふと思いました。

これも禁句かもしれませんが、本人がこっちの方が合ってるとか思っちゃったらどうしようと一抹の不安を抱いたりしたんですけどね。つーか実は見る前からそれ心配してたんですけどね(実はkineさんは今回の外部出演について無駄な心配を山のようにしてました)。
今のところご本人の発言を聞くと、この経験を宝塚で活かしたい的なことを言ってるので、まだいてくれるのかなととりあえず安心することにします。

いや、私もね。「しぃちゃん」でなくて「立樹遥さん」と言う見たことの無い女優さんを見ているような気分になることもあって、今回のしぃちゃんの姿と外部出演の意義をどう捉えたらいいかわからない部分もあるのですが。

ま、いいや。
先のことはわからないけど、楽しかったから。
明日は明日の風が吹く。

でも、その風がいい風だといいな、と願っているけれど。

……うわー何ピュアファンみたいなこと書いてるんだ自分! キャラ間違ってるよ!
ま、いいか。これはサトリちゃんの分ってことで。(他力本願)(いやそれも日本語間違ってるから)

***

余談ですが、ワタさん外部出演『フォーチュンクッキー』はどうだったのかなあ。当時はこんなにヅカファンでなかったので見てないんだけど。あれも謝先生演出だけど、普通のボーイッシュな女の子の役だよね。
ワタさん、実は結構可愛い顔してるから(と言ったらホテルドリーで沈黙しか帰ってこなかったが)、それはそれで魅力的だったかもとは思うけど。

***

とか書きながら『王家』のDVD見て(中日の予習中)また何だかよくわからなくなってきました。基本的には同じことなのかなあ。
(サトリちゃんが「あの人がだーだー泣いているところが好きなんです」と言っていたのを思い出しつつ)

ま、いいや。(エンドレス)

昨日は千秋楽。

2005年1月31日
良い千秋楽でした。
出演者一人一人のご挨拶もあって、「家族のような兄弟のようなカンパニー」って駒田さんが言っていたけど、本当に雰囲気のよさが伝わってきて。
客席もスタンディングオベーションで。前楽もでしたが。
客もみんなリピーター状態だったし(笑)。
この作品が好きな、出演者が好きな人たちばかりの空間。
ほんっとうに、楽しかったよ。

12月の時点で押さえていたチケットは1枚。それが初日の時点で3枚になっていて、最終的には6回観ました。
ありえねー。全部で13回公演なのに。
サトリちゃんの7回(これもすごいが)より、ある意味更にありえねー数字だ。
でも、これを見ることが今の自分には必要だという気がしたから、その気分に素直に従いました。
楽は当日券並んだし(オクでの高騰ぶりに当日券しかないと思った)。この寒いのに(笑)。
終幕後はサトリちゃんとがっちり握手。お互いよくがんばったよな(笑)。

『タック』に対しては、作品が見たい、しぃちゃんが見たい、ウクレレが見たい、というモチベーションがそれぞれ異常に高くて、私はえらいことになってました。(「しぃちゃんが見たい」と「ウクレレが見たい」は違うんですか?)(厳密には違います)
登場人物のひとりひとり、出演者のみんな、全部好きになった。

「もうこの舞台が見られないなんてー!」って。
約1ヶ月前も同じこと言ってたよね。
あっちは8月博多初日から12月東宝楽のフルマラソン、今回は9日間の短距離走と言う違いはあれど、こりねーな全く(笑)。

感想はおいおい書きます(本日分もそのうち訂正加筆するかも)が、とりあえず生存報告ってことで。

***

やっとここまでたどり着きました(笑)。
(書いた順番。1/31前半→1/28,29,30→1/31後半)
と言っても追記するほどのこともないんですが。あ、緑野さんもサトリちゃんも検索にご苦労されているようですが、うちほんと全然ないんですよ。たまには賢いな検索エンジン。

あと当日券待ちの間の小ネタをちょっと追記しときますか。

同じく並んでいた川本さんファンの方に「立樹さん男性と同じ振りこなしててすごいですよね。川本さんの方が振り遅れてるー、ってはらはらですよ!」。
サトリさん冷静に「しぃちゃん振り遅れてますよ」ばっさり。
みんなご贔屓への目って厳しいよな(苦笑)。
(私は誰に対しても厳しくない……ような気がする。だいたい振り遅れって全体と個別両方見てないと判別できないじゃん。動体視力がダメダメな私にはわかりません)
「かっこいいですよねー」「この人が出演者でよかったです」とエールを送りあい、寒い中ほっこり暖をとっておりました。うれしいじゃないですか、たとえ社交辞令でも(いや私は本気でしたけどね)。

サトリちゃんとの間に湧いた妄想、の断片。
・路地裏の天使
・79期バウ
千秋楽のカーテンコール。
舞台が終る寂しさとともに、ここにいる幸せをかみしめておりました。
今までと違って、もう見納めなんだという名残惜しさで、終わりに近づくほど泣けてしまった。

ここまでも長い道のりだったし。当日券に6時半くらいから並んで、約6時間半?(笑)来たときはまだ人がいなくて早すぎたかと思ったけど、4席+立見15枚だったと知ってやっぱり早く来て良かったと。
同じ頃から並んでいた坂元さん&川本さんファンの方と「お互い頑張りましたね!」とエールを送りあっちゃいました。(オクでの高騰と「外部の舞台だと様子がわからないから」「宝塚ファンの人の様子がわからないから」とお互い不安で早く来てしまったらしい。結果正解)

まずは、楽のアドリブとか憶えている範囲で。

・ボクシングをやりたいというタックにスカンクが「この駄洒落で自爆してる筋肉バカが?」と複合技。
・細い棒を2本取り出すスカンク。結局曲がらず「二人で力をあわせればできないことはない!」
・老人が気合を入れるリンゴ「蜜増やしとした」「種抜いといた」「カロリー控えめにしといた」最後「元に戻っちゃった」。
・『一家離散』でスピードがダイブする紙に「祝・千秋楽」の文字。
・「ジョーダーン」と呼ぶタックに「書いてある」とジョーダン。胸には名札。
・それでもタック「ショーグン」ジョーダン「わざとだろ」。

アドリブじゃないけど、気合が入りすぎてたのかダンスの場面でウクレレとスピードが普段ぶつからないとこでぶつかってたりして、ちょっと冷やりとしました。

カーテンコール、まず駒田さんから謝先生(一番後ろで見てらっしゃいました)のご紹介。「頭の中が玩具箱みたいな人で、僕たちのタックです」って言ってたかな。噂によると楽もダメ出し用のメモを持っていこうとしていたらしい(^^;。
次いで全員からご挨拶。
最初はブルーシー@日比野さん。朴訥な感じのご挨拶でした。話しまとまらないのか長くなって、それも味(笑)。この公演とにかく大変だったらしいです。
スカンク@幸村さん。TSには何度も出ているけど、初めて長ズボンの役だったらしいですよ。子役専科?
スピード@福永さん。ダンスキャプテン、だそうです。「タック最高ー!!」と一言絶叫。(つい「星組最高!」を思い出す私)
スムース@縄田さん。駒田さんの紹介によるとマイペースな人であるらしい。そんな感じだなあ。
青年/ジョーダン@川本さん。2役はやっぱり大変だったようで「自分が今何をしているのかわからなくなった」とか。そりゃそうだろう、テンションの高い芝居だから大変だよあれ。
ウクレレ@しぃちゃん。本物の男と初共演、とご紹介。「足りない私を支えてくださった皆様、見に来てくださった皆様ありがとうございました」と無難にまとめてました。
ミュー@堀内さん。TVの上に飾っておきたい可愛らしさ、と紹介されて。私はもう大人で色々汚れてしまったので、この役は大変でした、みたいなことを言ってました。この言葉が一番印象強かったなあ。そうか、あれ演技なんだ。そりゃ演技に決まってるけど、すごいなあと。
タック@坂元さん。昨日もスタンディングだったのでいきなり駒田さんから「坂元健児から挨拶があります!」と言われたけどいきなりで何も言えなかったんだよね。今日はちゃんと挨拶してました。一旦客席に背を向けて出演者とバンドにご挨拶して、客席に向き直ってお礼。で、更に公演Tシャツの宣伝もして。「感動した人は買ってください。しなかった人はいいです」って……。
ここで「それ言ったらダイナシ」と突っ込む幸村さんが自然にしぃちゃんの肩に手をかけてるのが、あー仲良しなんだなあと。身長差で姉弟のように見えたけど(笑)。
最後、老人@駒田さん。Tシャツのこと「それ言おうと思ってたのに」。
そして「このメンバーで再演が」えええーっ!!!「決まるといいなと」お約束(笑)。
最後は坂元さんの音頭で客席も含めて三三七拍子で締め……のはずが、何故かはずす坂元さん。三三七拍子って三回で終るんですよー。

カーテンコール、何回あったかな。最後の最後に駒田さんが「感謝の印にもう1ステージ」えええーっ!!!「坂元健児が一人でやります」やっぱりお約束(笑)。
でも客席から「なんか歌ってー」と声がかかって、駒田さんが裏に行ったけど「もうバラし始めているそうです」って。で、おしまい。

カーテンコールの間中、しぃちゃんは終始笑顔でした。
いい笑顔で、本当によかったなあと。こっちも笑顔笑顔。

終演後、並び仲間の方から「立樹さんって普段はああいう喋り方なんですね」と言われました。ふつーすぎる挨拶にちょっと肩透かしというか苦笑したけど、ま、初めて見る人にいつものしぃちゃんを見てもらえて、それはそれでいいかと。(多分もう見る機会はないからどーでもいいことかも知れんが)
あと、トイレで謝先生とニアミスして「素晴らしかったです!ありがとうございます!」と思いの丈を伝えてきました(笑)。

終演後は出待ち、なのですが。
ここはムラでも東宝でもない。ので、会の人しかいないんですよ。ギャラリーが居ない。
いや、勿論他の出演者のファンは三々五々たむろしてましたけどね。会の皆様は少し離れた場所に固まってたから。
どこに居ればいいかわからない、と言うか、居場所無いんだわ。思い切り挙動不審の不審人物でした。うわーすみませーん(ここで謝っても)。
でも、皆様幸せそうで、しぃちゃんも寄せ書きと思しき色紙とかもらって嬉しそうで、ちょっと幸せのおすそ分けもらった気分でした(客観的には不審人物だけどな)。
(ちなみに、入りは当日券並びしてたので様子が見えました。クマのぬいぐるみウクレレ仕様がプレゼント(お揃いの黄色いタータンチェック、帽子、ウクレレ、おまけに背中に天使の羽!)。隣で並んでいた人と「すごいなー」と言い合ってました)

更に日比野さんを見つけて、お疲れ様でしたありがとうございましたーとエールを送り、幸村さんを捕まえてサインをもらい(サトリちゃんが「スカイステージで」って言ったけど何のことかわかってもらえただろうか)、打ち上げに向かう出演者を見送って。

「終ったねえ」「終っちゃったねえ」とサトリちゃんと二人。
そうだよなー、君がいなければここまで走れなかったよ。特に楽の当日券並びなんてムリ、絶対ムリ(笑)。Hotel Dollyに泊まって始発で出かけようと言うのに午前4時過ぎてもくっちゃべってて、ありえないよこの行動。
(ドリーさんご迷惑おかけしてすみませんでした&ありがとうございました)

「タックとミューのデュエット、歌いたいですね」「スムースとウクレレのも!ハモリ憶えようよ、楽譜ないかなあ」
……どこで歌うんだそんなもの。

「スムースがウクレレを女の子だと気づくきっかけはハモニカ買いに行くときだと思うんですけど」「えーそれちょっと早くない?」「だってここのウクレレめちゃくちゃ可愛いじゃないですか」「でも違うなー。じゃこういうシチュエーションで」(エンドレス)「薄い本出せますね私たち!」
……誰が読むんだそんなもの。

ええ、楽しかったです。色々な意味で。
そして、出演者の今後の舞台を見ようとチェックする、懲りない私たちなのでした。
こんな出会いも、楽しかったよ。
13:00の回、私はぎりぎりまでロビーにいて、ベンチに座ってぼんやり関係者入口を眺めていました(何を期待してるかわかりやすいね)。

そしたら。
人が出入りしてドアの向こうが垣間見えて。
そこにはスタンバイ状態のウクレレさんがいました。
……ラッキー!!(握り拳)

人が出入りしたんで、その後も何度か。開演前に心拍数上がる上がる(笑)。
いや、小さい劇場ならではだよねぇ。

この回は昨日と違ってやたらと泣けて、やっぱり席とか気分のせいかなあと思ったんですが。
夜ドリーさんと並んで見たときにはあまり泣かなかった。
……要するに、隣の人の反応を気にしたりしてると没頭できないから泣かないってことですか?(笑)

ちなみに、ドリーさんは青年@川本氏をチェックしてました。割とお好みらしいです。ジョーダンと2役なことに気づいたのは驚き。私と緑野さんは4列目で気づかなかったのに。流石。(ドリーさんばらしてごめん)
いや、かっこいいよね川本さん。

さて『タック』の話。
これってファンタジーだったんだ、と改めて気づいた。

いや、そりゃ天使が出てきたりするし、当然なんだけど。初見はそう思わなかったらしい。(普段もっと現実離れしたものばかり見てるからじゃないの?)

そのファンタジーを成立させているのが、それぞれのキャラクターの舞台上のリアリティなんだなと。現実と言うより、実在感としてのリアリティ。

天使であるタック。馬鹿で妙な男で、人間くささとイノセントの共存。

口の利けない少女、ミュー。誰にも言えない思い出したくない記憶ゆえ、言葉を封じた女の子。でも、可愛くて優しくて清らかな、天使のような少女。それを納得させる演技と外見、そして声。仕草の一つ一つが本当に可愛らしい。
(ヅカで言うならジジ@花ちゃん(レヴュー伝説)並みのすごさだと思います。この役を嘘くさくも嫌味にもならず演じるって)

チームのみんなも。10代の男の子。世間から見捨てられた暗い眼をした少年たちのリアリティ。いや、冷静に考えると、子供だ少年だと言われて違和感なく入り込めるってすごいなあと。勿論役者だから当然と言えば当然なんだけど。
そして、前に書いたウクレレの「男装の少女のリアリティ」も同じように作品世界を支えるパーツのひとつで。

見終わったドリーさんに「どうしてタックは天使なんだろう」と言われました。普通の人間でも同じテーマを語れるんじゃないかと。

上手く言えないし合ってるかどうかわからないけど。多分、ダメな人間の心にしのびこむには、ファンタジーが要るんじゃないかなあと。
背中を押して気持ちを変えさせるには、小さな奇跡が必要。
それは、作中の登場人物たちにもそうだし、見ている者にもそうで。
そこにどんな「ファンタジー」を持ってくるかは、好みの問題だと思いますが。
これは、舞台上のリアリティに支えられたやさしい寓話。

うーん、上手く言えてないなあ。
とりあえず、昨日書いた以外(ウクレレ以外って事ね)のMyツボリストでも。

・ミューの表情と仕草全部(いきなりそこかい!)
・少年たち。特に、笑っていたのが何かの気配に顔をこわばらせてさっとナイフを構えるスカンク。コメディリリーフ的な彼のシリアスな一面。
・リンゴを盗んで戻ってきたらタックがいて、慌てるみんな。特に、リンゴで気を引いてタックをかわし、更に足を踏んでそのリンゴを取り戻してしまうスカンク。
・『ICE CREAM MAN』セットから顔を出してコーラス?をするスムース、スピード、ブルーシー、スカンク(厳密にはここは役じゃないと思うけど)。シンメのスムースとスカンクの腕の振り、カウントの取り方が全然違うのがおかしい。いや悪い意味じゃなくてそれが面白いのよ。
・ボクシングをやりたいと言うタック。スカンクの「ボクボク言ってんじゃねえよ、ボクって年かよ」「この筋肉バカが?」アドリブとして「駄洒落で自爆してるバカが?」これに「見てたんだ」と返すタック。
・鉄パイプを軽々と曲げるタックに驚く一同。ぽいと投げ捨てたのを重そうに受け止める小芝居は途中から? 対抗して細い棒を出すスカンク、はいつもだけど、その後が色々。曲げて「細いね」と言われたり、曲げられなくて「元々曲げるつもりなかったんだよ」「棒ってのは真っ直ぐだから棒なんだよ」と言って「無理しなくていいからね」と言われたり。
・トレーニング。タックに対抗意識を燃やしアクロバティックなジャンプを披露するスカンク。「もう一回見せて」「すごいもう一回」とみんなにおだてられ調子に乗る、と思いきや「俺を鍛えてどうすんだよ!」とスピードに頭突き、タックにもボディアタックを試みるもかわされて地面にダイブ(笑)。
・ふざけすぎてみんなに冷たい目で見られて「で、チームってのは月に何回くらい集まってるの」と誤魔化そうとしても反応がなくへたり込むタック。ここ、みんな真顔でしらーっとしてるのに、スムースだけ笑っちゃってる。実はゲラ?
・ハモニカを手に入れて、ミューがお礼するようにハモニカを見せてまわるときのみんなの反応。ジョーダンは、お礼を言われることに慣れてなくて後ずさる感じ。スカンクも不器用そうに「お前のだよ」と言う感じ。ブルーシーは割と笑顔。スピードは照れくさそうに指で鼻の下こすって。スムースは普通に頷いてたかな。
・バンドの意味がわからない様子のブルーシーと、楽器を弾く真似をして教えてやるスムースの小芝居。

・青年の台詞。「寝言か独り言か頭がおかしいのか一体どれなんだ!」「(誰と喋ってる?に対し)こっちが聞きてえよ!」
・タックに何か言おうとしているのに興奮したスムースに押しのけられてわたわたしているミュー。
・ボクシング続けようよ〜とみんなでタックをマッサージ?しているとき、何故か一人スピードをマッサージしているスムース。これ途中からだよね。
・みんなでタックを騙しそうとしているのに、一人気づかないブルーシー。うっかりばらしかけてスカンクにボコられるブルーシー(笑)。
・タックに「まだスピードのこと怒ってんのか?」と気にするスカンク。友達思いのいい子じゃん。
・ミューとタックがいい雰囲気なのを察して気を利かせようとするスカンク。気づかずタックの隣ににこにこと座るブルーシー。「3人の絵面はどう見てもおかしいだろ!」とメガホン一閃が基本パターンでしたが「いつからお前タック狙いになったんだ!」てのもありました。
・最後の試合。これはもうツボとかそういうんじゃ全然ないんですが。老人の「人が心を持ったことが幸せと不幸の始まり」と言うフレーズがいつも何だかキます。
・最後老人が落とすハーモニカ。
・エピローグ『やさしさは何のために』を歌うミュー。初めてスカートで、色も今までの白じゃなくて淡くくすんだ上品なピンクのツーピースで、少し大人になったミュー。
・ミューにはタックは見えていないけれど、二人のデュエット。タックがミューの後ろに立って翼のように手をあげると、ミューも笑顔ではばたくように腕をひらひらさせる(思い出して泣けてきた)。

……ダメだ、好きなとこ書き出したらきりがない。
のでこの辺にしときます。(昨日分の日記で懲りたらしい)
しかし、どうも私は相当スカンクがお気に入りだった模様(笑)。
(ミューやタックは「ツボ」という言葉で表現しづらいからなー、主役だし。語るなら性根据えて語らんと)
前項の続き。

と言う訳で2幕の自分用メモ。

・タックをおだててだまくらかしてボクシングを続けさせるみんな。「お前は
天使」のところでタックを取り囲む皆の中、手前に座ってぱたぱた羽のように手を動かしてる後姿、かわいいじゃん。
・「Only 友情〜」のところの黒サングラス似合いすぎ(笑)。で、その後サングラスをずらしてそーっとタックの様子を伺う姿もツボ。
・でも試合になって「これでよかったのかな」と言うウクレレ。ここ『MY BEST FRIEND』のバリエーションなんだけど、スムースとのデュエットが良くて。曲もいいし声のバランスもいいし(ほぼ同じ音域なんだけどすごくお互いの響きが映える)ハモリがすごくかっこよくて。そしてミューのソプラノが重なって。
・タックに「ミューはあんたの闘う姿を見るのが好きなんだよ」って言い方(抑揚)もなんとなく女の子っぽいとサトリちゃんと意見が一致してます。
・『ホントのホント』いい。すげー一生懸命にタックに訴えかける姿がいい!(つーかここみんないいんですけどね。私も号泣)
・『ハードトレーニング』1幕ののんきなトレーニングとの対比がよい。ハードなダンスです。かっこいいです。
・コーヒー豆袋?をサンドバック代わりにしてのトレーニング。ここ、ウクレレ@しぃちゃんがマジで、声も目つきもあまりにマジで演技とは思えないくらいで釘付け。でも何気にウクレレだけタックのパンチを一人で持ちこたえられないのか、仲間に支えられてるんですよ(支えているのはブルーシーだっけ?)。気合はすごいんだけども。
・心を閉ざしてしまったミューにタックの試合を見に来てくれ、と訴えるウクレレ。もうここは言葉もありません。男(男役)だとか女だとかどうでもいい、演技だか本気だかわからない感情の爆発。見て溺れるのみ(私が)。そしてここはミューも、硬い無表情が次第に揺らいで、ウクレレが思いの丈をぶつけて去った後「タック」と小さく呟くのがまた。
・その後、夢を語り合っているみんなのところに戻ってきて。ブルーシーの「暖かい家庭を持つ」と言う夢に顔を背けてしまうウクレレ。
・ウクレレを引き止めるタック。ミューを連れてこられなくてごめん、と言って、ミューを自分と重ね合わせていらだって怒鳴ってしまった、と言うウクレレ。母への複雑な思いを吐露して、でも慌てて話をそらそうとするウクレレ。
・この「男のふりをしている理由を白状して慌てて話をそらす」パターンは1幕にもある。誰かに聞いてほしいけど言えないでいることだから。
・そして。くまのぬいぐるみを出して「お前はいい女だなあ」とぬいぐるみの台詞のようにおどけて言って、ウクレレに渡すタック。答えが声にならず目うるうるでぎゅっとぬいぐるみを両手で握りしめるウクレレ。多分、自分でも否定していたけれど、誰かに肯定して欲しかったことなんだろうなあ、と思う。女の子でもいいんだよ、大丈夫だよ、って。
・でもこの後「行くぞ」と言うタックに「おう!」と答えるウクレレ(笑)。いや、それでいいんだ。自分で自分が肯定できれば。問題は形じゃないんだから。
・最後の試合はただ見つめるのみ。(後方席でもずっとウクレレの後姿を見てたらしいですよこの人)
・タックがいなくなって動転して探し回るみんな。真っ先に出てくるウクレレ既に半泣き。
・見つからずに立ち去るときはもうだだ泣き(……つーか私もだだ泣きですけどね)。
・エピローグ、みんなで背中に羽をつけて楽器持って出てくるときは笑顔笑顔。この羽中途半端な大きさでドリーさんに「あれはどうなの」と言われましたが、私とサトリちゃんは全肯定(あの中途半端さが人間も天使もたいして変わらない、ってかんじでいいんじゃーん・笑)。でもあれは数年後と言うサトリちゃんと単なるイメージ映像と言う私はその点は意見が合いませんでした。総論賛成各論反対(笑)。
・カーテンコールも笑顔笑顔。共演者(チームのみんな)が道を作ってひゅーひゅー言ってるとこを笑顔で出てくるのだな。この辺既にいつものしぃちゃんで。

……ツボったとこメモ、と言いつつ、相当書いたな。
ここに書かれていない部分は、私的にはひっかからなかったか、うっかり忘れていると理解してください(いや誰もこんなとこまで読んでないから)。

***

前に「ウクレレの物語は完結していない」と書いたけど。

タックが去った姿を追って、ミューとチームの仲間たちはその名を呼んで叫ぶ。
そして、ミューは歌い、ウクレレが加わる。『With me』のバリエーションを、歌詞なしで。
この場面、歌っているのはミューとウクレレの二人だけ。二人は同じ音程を歌っている。
タックに手渡されたくまのぬいぐるみを握りしめて、ミューと同じソプラノパートを歌っているウクレレの姿が、答えなのかな、と思った。
スケジュール的にも金銭的にもかなり無茶をした。

前方席をとりました。
前の席でないと、見られないものがあるから。

クライマックス。最後の試合。
舞台中央にタックがいて、手前にロープが張り巡らされ、少年たちはそのロープの外側で試合を見守る。
つまり、客席に背を向ける格好になって、後姿しか見えない。

でも、前方席だと場所によっては、斜めから顔が見える。
初日の席が、まさにそんな席でした。

青いライトに照らされた、ウクレレ@しぃちゃんのきれいな、この上もなくきれいな横顔。
目を見開いて、静止している場面。でも、静かに泣いていた。
きれいだ、と思った。心から。
この光景を一生忘れたくないと思った。

見たかったから。どうしてももう一度見たかったから。

***

疲労困憊しました(笑)。

今回、初日や二日目ほどだだ泣きしなかったなあ。時間を置いたし、書くことで何か消化したのかもしれない。

2日目「女の子らしくなってる?」と思ったと書きましたが、今日はそれほど感じなかったです。ぎらぎらしてた。やっぱり舞台との距離の問題なのかなあ。
客席にガン飛ばして、ふふん、って感じの笑い方が異常にかっこよかったです。震撼。

でもスムースとは男女カップルに見えますけどね、特に後半(いや、ウクレレは本当は女の子だから見えてもおかしくないんだってば!)。
ハードな場面だと精悍な男の子なんだけど、楽しい場面になるとちょっと緩むんだな。この「緩む」感じが、しぃちゃん自身がなのか、「ウクレレがつい素を出してしまう」演技なのか、判別つかないんだけども(後者ってことにしとこうよ)。

隣の席の方とお喋りして坂元さんのファンと知ったせいか、しぃちゃんのソロの場面で手に汗握る見守りモードになってしまいました(爆)。
い、いやしょうがないよな、ヅカ内でも星組をみんなうちの子呼ばわりしてるのに、まして外部出演じゃ。ええ、痛いのは思い知りつつ。それにこのソロ全体のバランスから言ってちょっと長いよね、って禁句?(^^;

でも、そんな邪念(笑)を別にすると、歌がすごくよかった。
そりゃ最初から良かったけど、聞いたら更にすごく良くなっててびっくりした。後日サトリちゃんに言ったら賛同してもらえなかったので、日参している人は気づかない変化かもしれないけど、5日ぶりに聞いたらそう思ったのよ。

表情がね。
歌の表情も、顔の表情も。歌詞に込められた意味を伝えて。
俯いた表情とぽつりぽつり沈んだ響きが、次第に思い出す憧れと夢にきらめいて。でも、所詮は叶わない夢と荒れて、やっぱり諦めに沈んで。
特に印象的なのは、途中、座り込んで顔を上げる姿。空を見上げているのに、伏し目がちな瞳で。寂しさと、憧れと、あきらめの入り混じった横顔。心から惹かれた。(私的には上述の横顔と双璧かも)

ここだけじゃなくて、全体的に歌がより魅力的になっていたと思います。こなれてきたのかもしれない。自分のものになって意味や感情がより伝わってきたと言うか。

前方席は人を見る場所(そうなのか?)。
と言う訳で、ウクレレ@しぃちゃんのここが私的ツボリスト。
いや自分用メモですからお気になさらずに。

・登場、スムースに火を借りて少し手を温め、大事そうにウクレレを抱えなおす仕草。
・ミューを邪険に振り払うところ。
・ゴスペルの場面のダンス(ジョーダンと組んでの振りはちょっと微妙?)。
・リンゴを盗んで戻ってきたらタックがいて、わたわた逃げる姿(笑)。
・みんなでタックを追い出そうとするも失敗して、座り込んだままかぶっていたずたぷくろでタックの膝元をぺし、とはたくところ。
・「わかってんだそー」の言い方。
・「見てただろ!」のとこのポーズ。
・「しゃべるなよ」を最後に一人ためて言うとこ。
・『何のために生まれてきたか』全部! 最初の方の十字をきるような振り、客席にガンつける視線、指差し(上手センター寄りだと直撃)、せせら笑い、全部全部! このナンバー、曲的にもタックと少年たちの掛け合いがかっこいいっす。
・ミューのハモニカを壊して、しまった!という表情。
・「壊すつもりじゃなかったんだ!」とつい本音を吐露して逃げる姿。
(ツボと言うのとは違うけど、ここの持たざるものの幸せを説くタックの説教の「貧乏で体しかなきゃ」ってフレーズ、それ痛いだろ、言うなよーと思ってたんですが、時々すっとばされてるし脚本的には大した意味もないみたいだなあ)
・戻ってきてそーっとミューの様子を伺う姿。
・タックに背後からウクレレをかき鳴らされて「うわぁ」と飛び出すところ。
・ミューと仲良くしろと言われて「いーやーだーよ!」と心底嫌そうな言い方。
・タックに女だとばれた後の終始憮然とした表情(笑)。
・「ショバ代払わないニューススタンドに小便かけて嫌がらせ」という楽して稼げる儲け話に乗ら(れ)ないウクレレ。やべ、と言う顔で「オレはやらない」と取り繕ってそれでも何でだよーと言われると相手を蹴り飛ばして逆ギレ(笑)。この時点ではまだ誰もわかってないよなー、何あいつかっこつけてんだよ、てなもんで(笑)。
・でもその後の「それよりさ」とみんなを手招きする仕草が妙にかっこいいんですけど(やっぱり男役だなあ)。
・『叶わぬ夢』前述。
・ミューに「新しいハーモニカだよ」って、口調が妙に優しいじゃないか。
・ボクシングの賭け試合に出ると言うタック。荷物運びで鍛えているからと言うタックに、前半日程では、それとこれは「違うと思うんですけど」だったのが、後半は「違うと思うんだけど」になってた。ですでも良かったのに、微妙な嫌味っぽさが。
・ハモニカを手に入れるためにはショーウィンドウ壊せばいいじゃん、と言う仲間に慌てるウクレレ。どういう心境の変化、と言うよりミューのためにそれはまずいと思ったのかな。
・ボクシングのトレーニング。タックにつられてふざける一同を不安そうに見つめるミューと冷たーい目で見ているウクレレは、最高に小学校高学年女子テイスト(男子はふざけてばっかりー!ちゃんと掃除しなさいよー)だと思うのは私だけですか?(そしてそのウクレレと目が合って気まずそーに我に返るスムースが可笑しすぎ)
・しらっとした空気にへたり込むタックに「立てよ」と手招きするのは男前。でもその後はタックのペース(笑)。
・つーか、この辺の一連のシーンは楽しくて全部好きですが。
・試合に勝ってファイトマネーを手にハモニカを買いに行く場面のはしゃぎっぷり。どうしようここ可愛くなっちゃってるよ(別にどうもせんでも)。
・夢のビッグバンドを語るウクレレ。ここ、後半日程では声がひっくり返ってました。感情が溢れて制御できない、ってことなんだと思うけど。
・『為せば成る』楽しー、最高ー!(最上手でスムースと組んで踊るとこ、やっぱりなんとなく女の子だなあと)

あ、あれ?
字数が余ったから穴埋めに書き始めたのに、気がついたら足りなくなってきたよ(爆)。
と言う訳で、2幕から次の欄に続く(笑)。
と言う訳で、ウクレレの話。
昨日も書いたって? あれはしぃちゃん語りじゃないですか。今日はウクレレの話です。(違うのかそれ)(違います)

我ながら書き出すと暴走してるなあ。あとで我に返ってこの辺ごっそり削除、とかありうるかなあ(笑)。
何しろホテルドリーズの認定によると私はアルコール抜きで酔っぱらいなヒトだそうだから(開き直ったよこいつ)。

で、ウクレレ。
このキャラを好きになるであろうことは、見る前からわかっていた。

最初「男みたいな女の子で、周りから女だと思われてない役」と聞いていて。
月刊ミュージカルの対談で「秘密がある」と言うのを見て、あ、女だってことを隠している役なんだ? と思った。

昨日分にも書いたけど、その設定、すげーツボなんです。

男装の麗人、じゃなくて。小汚い悪ガキ、実は女の子、と言う設定。
伊達や酔狂じゃなくて、何らかの必然性があってそうしている。内在的な理由でも、働くためとか治安が悪いからとかの環境的な理由でも。
不良少年グループの一員ってことは、どうやらそうらしいじゃないですか。

あと、何らかの葛藤があると更にツボ。
そういう設定なのに『風よ、万里を翔けよ(田中芳樹)』にはまらなかったのは、あまり葛藤が感じられなかったからだな。
どんな理由であれ、女の子が男として生きてるってことはどこかで無理してる訳で。無理してるってことは、無理する理由があるってことと実際に無理してるってことで、何らかの葛藤があってしかるべきで。

と、思っていたら、スカステ稽古場映像情報が。
「女なんてうんざりだ」ってそういうことなんですか!?

……なんなんですかそのキャラ、その設定。
私のためなんですかっ!?(錯乱)(いや違うから!)

ツボ直撃通り越して、ぐさぐさ刺されました。
狼狽のあまり精神的に内向きスパイラルに入って微妙に鬱状態になりました(変な人)。

あと、あまりに設定が好みすぎて、いい加減な描かれ方してたら逆ギレしそうな気がしたので、見るのが恐くなった、と言うのもあり。

と言う訳で挙動不審やたらと妙なテンションで臨んだ初日。

結果。
予想をはるかに超えてました。

キツくて無愛想で荒々しくて。何かと言うと人やモノに蹴り入れてみたり。
でも、時折見せる、孤独な瞳。
斜に構えて、人一倍いきがって、突っ張って。

「男に混じって男として振舞っている女の子」としての舞台上でのリアリティ。
いや、フィクションではあるけど現実にはなかなかありえんだろう、って設定ですよね。私も漫画やアニメでしかお目にかかれると思ってませんでしたよ。
小汚いガキ、よく見るときつい顔立ちの美少年、実は女の子、と言われて「はいそうですか」と納得のビジュアル、声。

しかも更に、ミューとの関係性がストライクゾーンど真ん中でした。

「ミューを見てるといらいらするんだ」「何もできないくせに」と突き放しつつ、でも、傷つけた、とわかると気になってこっそり様子を伺って。
それに対し、ミューはいつも誰のことも憎んだり恨んだりせず、全てを許して。でもただ悲しそうな顔をして。
強気で他人に頼らず、でも実は脆い部分を抱えていて攻撃的になることで自分を支えている人間と、一見弱くてはかなげで、でも実はやさしさと清らかさという力を持つ人間、の関係性は、ツボです。
邪険にしつつも大切、突き放しつつも守りたい、と言うのが。で、結局支えられているのは一見強い方、と言うのが。
……いや、そんなことはっきり書かれているかって言うと、またちょっと夢見すぎかもしれないんですが(苦笑)。

最後、ウクレレがミューの肩を抱いて去っていくところ。すごい身長差でミューを抱えるように背をかがめているウクレレ、しかもだだ泣きしているのはウクレレの方、っていうのがもう、どうしていいやら(笑←いや笑わんでも。それに別にどうもせんでも)。

……なんなんですかこのキャラ、この設定。
私のためなんですかっ!?(だから違うから!)

まあ、そういう私の趣味を抜きにしても、すごいいい子なんだけど。
「ウクレレの物語」のクライマックスは、最後の試合の前、タックがウクレレだけを引き止めて二人だけで話す場面なんだろう。
タックも、ウクレレのことが心配だったんだね。どこか張りつめて、無理した生き方をしているこの子のことが。
ウクレレも、仲間たちには言えない部分を、タックには見せることができて。

タックがおどけて、くまのぬいぐるみ持って「ウクレレはいい女だなあ」って言って、そのくまを渡すところがいいシーンなのは、語るだけ野暮ですが。
泣くなよもう。(誰が?)(私がか(^^;)

……厳密に言うと「そんな言葉遣いやめろ」って言うのはちょっと私的にナシなんだけども。それはべつにいいじゃん、って。
ま、ウクレレの生き方の象徴としてそれを指摘するのは、アリなのはわかるけど。(結局どっちなんだ)

この子にはこれから幸せになって欲しい、と心から思う。
いや、ウクレレだけじゃなくて、チームのみんなも。
タックの言うとおり「いじらしいほど未来を求めている」。
この子たちみんないい子で、みんな大好き。夢が叶うといいね、と心から願う。
もちろんミューも。
そして、タックも。物語が終った後、どこかで幸せでいてくれますように。
みんなみんな、幸せであれと、心から祈る。
きっと、大丈夫だよね。
だって、天使が見守っているから、ずっと。


話を戻して。
えーと、つまり結論は。
好きな役者が、好きな作品の、好きな役をやっているって楽しいなあと言うことなんですけどね(笑)。

多分、タカラヅカの人を使う、って決めたからこういうキャラになったんだろうなあ。(で「タカラヅカの人」なら誰でもでなくて、立樹さんだからこういうキャラになった、と言う気もする)だとしたらやっぱりこのめぐりあわせに感謝だなあ。
十数年来の私のイメージを具現化してくれて。

だからサトリちゃんが聞いたという「ウクレレが女だって実はみんな知ってる」ってのは私的にはナシです。薄々気づいてる奴もいると思うけど、全員っていうのは絶対ナシ。
だってそんなのつまんないじゃーん。それじゃお姫さま状態で。
と言う訳で私は聞かなかったことにします(笑)。

私信。
サトリちゃん「やれたらやります」私も観たいです。一緒に行こー。
初日、席について。
プログラムの写真に絶句。
いや、すげー美人さんでねー。緑野さんもサトリちゃんも「誰これ」発言だったのよ(笑)。その後サトリちゃんは「やばい、まじやばい」って言ってたけど。
いや、出演者みんなその調子でいい写真だったんだけどねー、プロの写真家ってすごいなあと。堀内さんもすごいきれいなニュアンス美女でした。

って、いきなり書くことはそれかと言われそうですが。
とりあえず周辺から始めてみました(笑)。

さて。
ここからはファンモード全開で立樹遥さんを語らせていただきます(笑)。

こんなにおいしい外部出演って、今まで多分無いと思う。
歌もダンスも盛りだくさんで、9人のカンパニーの中でも準主役級だから、出番多いし。舞台に一人きりの場面でソロも一曲あるし。

何より、基本的に男役のままやれる役だし。
不良少年たちのひとり。彼らはチームを組んでこそ泥やかっぱらいで食い扶持を稼ぎながら、助け合って生きている。
しぃちゃんの役名はウクレレ。いつもウクレレを持っているから。
チームのほかの連中も、スムースとかスピードとかスカンクとか、本名じゃなさそうなのもいるから、ま、そう呼び合っているんしょう。
で、ほかの男の子たちは、ウクレレが女だって知らないんですな。男だと思ってる。
だから、舞台上では終始男の子として演技していて、無理なく魅力を活かせているなあと。
すごく恵まれた外部出演だと思う。

で、そんなウクレレのしぃちゃんですが、すごくかっこよかった。
最初に見た印象をひとことで言うと「精悍」。
今まで見たことのないような表情で。
孤独と、渇望と、やり場のない怒りにぎらぎらしている。
そういう顔をすると、あの大きくてつり上がり気味の目が、威力を発揮するのですよ。
裏町の不良少年だから、顔に汚しが入っているのだけれど、それがまた精悍さをひきたてて。
ばさばさの前髪を下ろしていて、その間から鋭い瞳がのぞく。
突き刺すようなまなざしに射抜かれる。

でも、ぎらぎらしてるんだけど、きらきらもしていて。
やり場のない怒りを抱えていても、世の中を拗ねてひねくれた目で見据えていても。それでも押し殺しきれないきらきらした輝きを持った少年(いや女の子だけど)。

……マジで目が離せないって。
初日はサトリちゃんのおかげでかなりの良席だったんで、目線来まくりでうわーもうどうしようかと。
いや今回は目線来たっていうのと違う気もするけど。むしろガン飛ばされたって言うか(笑)。

「周りから男だと思われている女の子(比喩でなく本当に周囲がわかってない)」って設定は、マンガや小説では時々あるけど。
生の舞台で、こんなに説得力のあるビジュアルで見られるとは思いませんでした。実はこの設定ツボなんで、個人的にすげー嬉しかったです(笑)。タックに女だとばれたときの憮然とした表情もツボ。

と言う訳で、すごいかっこいいんですが、かわいくもあったり。

ヒロインのミューは、ウクレレの後をちょこまかとついてくるんですな。どうも、ウクレレが女の子だってわかってて、それに楽器も持ってるし(ミューはお父さんの形見のハーモニカを持ってる)、仲良くなりたいらしい。
でもウクレレはミューに容赦なくて。「女なんて足手まといだ!」「ミューを見てるといらいらするんだ!」おまけに仲間と一緒に悪ふざけして、ミューのハーモニカを壊してしまう。
一旦立ち去るも、実は気にして戻ってきて物陰から様子を伺うウクレレに、タックがこっそり背後から忍び寄り、いきなり背中のウクレレをかき鳴らす。
ここ「うわああっ」ってびっくりするのがかわいくてすごいツボなんですけど(いきなりピンポイントだな)。
いや、素顔はかわいい人なんで、そういう意味でも魅力全開(言ってるよ)。

話があっちゃこっちゃしてどこに転がるかわからなくなってますが(笑)。

ダンスシーンもたくさん。
どうも、チーム6人の中でもアクロバット組とそうでもない組に別れているようでした。
3名ずつかな。しぃちゃんは当然アクロバット班でない。(そして何故か非アクロバット班の方が男性も背が高くて二の線だった(笑))
アクロバット班の人たちと踊ると流石にちょっと大変かなあ、とは思いましたけどね。(冷静に考えるとそれでも同じ振り付けで踊りまくってるってのはすごいんだけど)
でも「男の子のふりをして男の子に混じってがんばってるウクレレ」の役として、それはありだなあと。
そして、ダンスのときのふとした動きとか止まった瞬間とかに、微妙にタカラヅカを感じたのは私だけでしょうか? 何と言うか「決め」の感じが。

お芝居で好きな場面は全部ですが(何気に言ってるな)、一番は2幕の、タックの試合に来てくれとミューを説得しようとして感情を爆発させるところと、そのあとのタックと二人のシーンかなあ。
ナチュラルに感情を爆発させる芝居って、宝塚ではなかなか拝めないよな……。

で、翌日見て。
ちょっと印象が変わった。
あくまでも私の印象なんだけど。

初日見たときは「精悍な男の子」だったんだけど、何だか女の子度が上がって、かわいくなってた。

初日はテンションが上がって勢いと気合で迫力が増していたのか、2日目はややリラックスしていたのか。
それとも、初日は私が前方席で表情の印象が強かったのに比べて、2日目はやや後方だったので顔よりも全体が見えて、そうするとさすがに本物の男性よりは細くて女の子に見えた、ということなのか。
それともただ単に私の目が慣れたのか。
まあ、良くわからないんですけどね。

しぃちゃん、この作品に出てくれてよかったなあ、と言う話を延々書いた訳で
すが。じゃ、この作品にとってしぃちゃんの存在がどんなプラスになったかと言うと。
@niftyのシアターフォーラムが上手いこと言ってました。
http://forum.nifty.com/ftheater/news/2004/041016.htm
「宝塚歌劇団・星組に在籍中の立樹遥さんを迎えて舞台に華やかさが加わり」
舞台を見る前は、ふーん、と流していたけれど、これは正しかったと思う。
今そこで「えーっ?」って言ってるあなた!(笑)見ればわかるから!
しぃちゃんが、ってだけでなくて、宝塚の魅力ってやっぱり「華」なんだと思った。
ちゃんと他のお客さんに「あの宝塚の人もよかったよね」と言ってもらえるだけの役割は果たしていたと思います。

そしてそれは、現役のジェンヌさんを使うならその意味のある役を、と考えてくれた謝先生が素晴らしいんだと思う。
実は、月刊ミュージカルの座談会で先生がしぃちゃんを「下級生の頃から目が効く子だと気になっていた」「とても真面目なのでアクの強い個性的な人たちとの共演で新たな魅力が出るのではないかと」って言っていたのを読んだ時点で、結構ほっとしてたんですけどね。これなら安心して見守れるな、って。(たとえ東宝公演後に毎日お稽古で大変そうだったとしても)

と言う訳で、ありがとうリプライズ(笑)。

しぃちゃんのおかげでこんな素晴らしい作品を見ることができてありがとう。
しぃちゃんにこんな活躍、経験の場を与えてくれてありがとう。
(後は大劇場でもこの経験を活かせる場を……と切に願う(^^;)

……ま、結局ファンビジョンではあるんたけども。
で、それはしぃちゃんの、だけでなく、宝塚のファンビジョンかもしれないんだけども。
見ていて、面白い、と言うか、興味深いことがあった。

ミューと出会ったタック。ミューは口がきけないけれど、歌で思いを伝えることができる。心を通わせる二人。
「喋れないのにどうやって仲良くできるんだ」とミューを追っ払うウクレレに、それは聞こうとしないからだと言うタック。

でも、タックはこうも言う。
「君に話ができたら、みんなに君の思いをわかってもらえるのになあ」
君はいつか喋れるようになる。と言って、ミューが言葉を発するために手を尽くす。

あ、そうなのか、と思った。
言葉がなくても思いが通じることはある。
でも、基本的に、言わないと伝わらないんだ。

言葉なんて要らない、と言うのは美しい話だけれど、そうじゃないんだ。
と言うか、それだけじゃないんだ。
言葉がなくてもわかりあえることもある。それはとても美しいこと。でも、本当に伝えたいことがあるときは、ちゃんと言葉にしないといけないんだ。
これは、そういう話なんだ。

そう思って見ると。
話が動くのは、誰かが自分のハードルを乗り越えて言葉を発したときで。

「ミューのハーモニカを壊したのオレなんだ、だから協力してくれ」と言うウクレレ。
そんなこと言うつもりはなかったはず。理由を言わず8ドル手に入れられたら、黙ってハーモニカを手に入れてこっそり返していたはず。だって格好悪いじゃん。そんなことを気にしてるって知られるなんて。
でも、本当に何とかしたくて口に出せば。仲間たちも本当は、なんとなく気にしていたことがわかる。みんなでひとつの目的に向かって動き出す。

「ウソをついて、心が痛んだ」と言うスピード。
そんなこと言うつもりはなかったはず。騙したことをタックに責められて「誰かが助けてくれればこんなことにならなかったのは本当だよ!」と逆ギレして走り去って。意地になってそのまま。
でも、やっぱりそれっきりなんて嫌だから。友達だから。心が痛むから。信じてくれと叫ぶ。真剣な叫びは、落ち込んでいたタックを再び立ち上がらせる。

そして、圧巻は。
ミュー。タックの最後の試合。ボロボロになって戦う姿に何かを伝えたくて、その手段は言葉しかなくて。過去の傷に封印していた、言葉が戻ってくる。
「死んじゃいや。生きていて」
その言葉は、タックに存在の意味を悟らせる。

……滂沱の涙です(私が(^^;)。

「言わなきゃ伝わらない」と言うのはこの作品の根底を貫く思想かもしれない。
生きる意味とか、みんな翼を持っているとか、ややもするとストレートに語りすぎるきらいがあるのも、「言わなきゃ伝わらない」という思想の結果かも。

でも、それは「言っときゃわかるだろう」というのとは違うから。言わなきゃ伝わらない、伝えなくてはという真摯な姿勢だから。こっちのハードルも越えて、ストレートに心に響いた。
……いや、人によって好みによってその辺の評価は分かれるとは思いますが。

言わなきゃ伝わらない。
まあ、言えば伝わるとは限らないんだけれども。
それでも、まず言ってみなきゃ伝わらないんだな、と思った。

……なんか、全然違うものを最近見たような気が。
大事なことは語らない。言わぬが粋、つーか言わずとも察しましょう。
『ホテル・ステラマリス』の恋物語。

『タック』って正塚晴彦原作なんですよね?
今回は別の人が潤色しているけど、前身の『YESTERDAY IS …HERE』は「作」って書いてあるし。ネット漁って当時の観劇感想とか読んだけど、基本的に同じ話のように感じた。
……まあ、10年あれば作風も変わると言うことですか。それともやはり潤色なのか。


余談ですが。
緑野さんの1/21ステラマリス感想を読んで、実はへこんでました。
そうか、そうだよな、確かにウィリアムは不実な男だし、あの態度は書き方は「逃げ」だわ。それを一見美しげに書いた物語が好き、って、つまり自分がいかに不実な人間で逃げの人生を送っているかってことか。とうっかり気づいてしまったので。
振り返ると放置したままの壊したハモニカやついた嘘が累々と。がっくり。
余談終わり。


あと。
ハードルを乗り越えて誰かに何かを伝える、と言う意味では、ウクレレの物語は終ってないんだよね。まあ、主役じゃないから、作品中で完結していないのは仕方ないけど。
でも、見たいなあ、と思った。

ので、自分で書いてしまいました(爆)。23日帰りの新幹線の中でがしがしとすげー勢いで。そのまま24日未明にはサトリちゃんに押し付け。感想は書けないといいつつ、そーゆーもんは書く。変な奴。
サトリちゃんには公演期間中に公開しろと言われたが、どうかなあそれって。あんな素晴らしい作品に蛇足つけるなんて失礼なのでこっそりやるべきだろうと躊躇。
(長安は全然良心痛まなかったけど。ドルチェ・ヴィータは少々気が引けたが、多様な解釈を許している作品なのでまあいいかと思ったけど)
と言う訳で、もし万が一興味がある人がいたら直接メールください、と一応書いておきます。そんなに長くないテキストです、と言うか全然たいしたもんじゃないです。ははは。
サトリちゃん、とりあえずこんなとこでよろしく(笑)。
1/22の初日初回と、1/23の昼公演の2回見てきました。

実は感想が書けなくて困ってたんですが(困ったまま今日は26日)、自分が受けた衝撃を表現しようとするから書けないのであって、普通に感想を書けばいいんじゃん?と気づきました。

と言う訳で、感想。いつもながらネタばれとか気にしません。

とても美しい作品でした。

まず、よくできていると思う。
物語と脚本がいい。正しく盛り上がり、伏線はきちんと回収される。登場人物も一人一人キャラが立っている。1回見ただけで少年グループ全員のキャラ把握まで可能なのは、演者の力もあると思うけれどやはり脚本がいいんだと思う。笑ったり泣いたり胸締めつけられたりしているうちに、怒涛のクライマックスがやってくる。
ミュージカルとしてもいい。歌やダンスがとってつけたようでなく、物語上必要な表現になっている。登場人物の感情の発露であったり、物語のワンシーンを描いていたり。ボクシングのトレーニングシーンは秀逸、というかすごかった。曲もいい。素朴で荒削りな、けれど繊細で優しく暖かい世界を表現するナンバーたち。
そして、熱。出演者の、そしておそらくスタッフの熱。白熱する舞台に飲み込まれる。
と言うか、真っ直ぐなストーリーラインと的確なミュージカルシーンの配置が、熱を発散できる構造になってるんだな。クライマックスは魂を叩きつけるような歌と激しいダンスで、舞台に釘付けにさせられるから。

以下、キャラクタ&出演者語り。プログラムの順に。

タック=坂元健児
空から降ってきた男。パンツ一丁で地面に突き刺さってたのにはびびりました。そりゃミューも逃げるって(笑)。
お人よしで調子っぱずれの妙な奴。
言ってることは説教くさいんだけど、ユーモラスな持ち味でするっと心に入りこんでくる。かと言って聖人でも説教親父でもなく、ミューに拒否されてやさぐれるところは人間らしいダメさがあって。
坂元さんは歌もダンスもすごい人でした(両方すごいことに感動したらしい。普段ヅカばかり見ているから←をい)。この「タック」と言う物語を支える主人公を自然に演じてるってことは、お芝居も上手いってことで。白い髪は役作りですよね。良かったです。

ミュー=堀内敬子
口のきけない女の子。かわいい(端的)。
喋れないんだけど、心を許した相手には歌で感情表現できる女の子。これがもう天使の声でねー。かわいい。
容姿も、小柄で、金髪で(これも役作りかと)、他の子たちが茶や黒のダークな色調の衣裳なのに対し、ミューはいつも白っぽい服でね、つぶらな瞳につつきたくなるようなやわらかそうなほっぺでね、すごいかわいいんですよ。
つーか「不幸な過去ゆえに喋れなくなってしまったけれど心優しく清らかな女の子」ってすげーベタだよな。それにリアリティがあるって、すごいや。
堀内さん、歌の評判の高い人なのは知ってましたが、本当にきれいでいい歌を聞かせてくれました。何気にダンスも上手かった。

ウクレレ=立樹遥
……については後日項を改めて(笑)。
ここでひとこと書くなら、ミューとの対照がよかったなあと。小さくてふわふわほんわかしたマシュマロのようなミューと、大柄でシャープではっきりして鋭いウクレレの対照的なビジュアルが。

青年/ジョーダン=川本昭彦
フィナーレまで、一人二役とは気づきませんでした。あのメガネくんがあのお兄ちゃんだったなんて! のび太くんだと思っていたら二枚目じゃないですか! あーびっくりした。(プログラムにちゃんと書いてあったのに。写真しか見てなかったらしいですよ)
世の中を憎んで棘だらけのやけっぱちな青年、いい役だなあ。黒のロングコートが似合って、格好よかった。
前作『YESTERDAY IS HERE』では老人と青年はもっと穏やかな設定だったようで。老人ホームか何かの。見ていないから比較できないけど、私はこの設定でよかったなあと。タックの物語の聞き手として、かつての少年たちと重ねあわされる存在として。最後「変わることができるかな」と言う彼に思い切り感情移入して見てました。
それに対しジョーダンはとぼけた文学少年(なのか?)で、ほんと同じ人とは気づかなかった……。

スムース=縄田晋
少年たちのリーダー格、なのかな? 一番大人でお兄ちゃんな感じ。一番先に夢が実現しはじめる少年で、そういう意味でもリーダー格と言うか。
終演後緑野さんサトリちゃんと「ウクレレが女の子とわかって恋が生まれるとしたら誰とだ」って話をしてたんですが、私はスムースと即答。「だって他に二の線いないし」と言う失礼な理由つきで(笑)。

スピード=福永吉洋
一番無骨な感じの少年。タックがボクシングをやめると言ったとき、嘘をついてだまくらかして続けさせるずるさと要領のよさと、そのことに自分で傷つく不器用さと。「心が痛んだ」って歌うとこ、キました。
ダンス、アクロバット班ですよね。すげーと口開けてました。ウクレレをリフト、と言うかぶん投げてた(はい?)のもこの人だと思ったんだが、違うかな?

スカンク=幸村吉也
実は、スカステお稽古場映像から「この小さい人(失礼な)、気になる」と思ってました。(どこ見てんのかって? いや4回くらいリピートしたからさ)
小さいんですけどね、ダンスのキレと言うかバネがすごかった。小気味いいというか、かっこいい。小さいけど。いや小さいからこそか(しつこい)。
スカンクは、小柄で強気な突っ込みタイプ。タックとミューを二人にしてやろうと気を利かせたのに気づかないブルーシーに「その絵面はどう見てもおかしいだろう!」とすぱこーんと頭をハリセン……いやメガホンではたくシーンが好きです。

ブルーシー=日比野啓一
彼はボケだな(笑)。個性の強い少年たちの中で、一番普通かも。捨て子だけど自分の名前を親からもらった唯一のものとして大切にしていたり、夢も「温かい家庭を築くこと」だったり。でも、それが沁みる感じで。(いや実は彼が夢を語っているとき、「親」に引っかかりのあるウクレレの反応を伺ったりしちゃってるんですけどね私(^^;)
この人もアクロバット班。この三人はほんと迫力。

老人=駒田一
言ってることは説教くさいんだけど、ユーモラスな持ち味でするっと心に入りこんでくる。とタックと同じ表現をしてみる(笑)。うさんくささと真面目さのバランスが絶妙。
最後の試合のシーンの語りは圧巻でした。圧倒されました。

2回見たんですが、2回目は最初から泣けてきて困りました。ストーリーがわかってると、最初の少年達が暗がりで身をを寄せ合って暖を取っている場面で既に泣ける。それ、なんか変な人だよ。

初日はひたすら圧倒されて、2幕の後半「ホントのホント」あたりから泣きっぱなしで頭真っ白になりつつ、青年に感情移入して「変わることができるかな」に対する答えに固唾を呑んで身構えていたりした訳ですが。

2回目見ていたとき、ふと思った。
このチームの連中って、10代、多分15〜17歳くらいだよな。
てことは私、親になれる年じゃん。

そっか。糾弾される「大人」の立場なんだ。
大人の責任、なんてものにも気づいてしまった2回目観劇。

でも、そういうことも、ちゃんと考えたいと思った。
いや具体的にどうしたらいいか実は良くわからないんだが。(だめじゃん! ←いやとりあえず心構えだけは)
そんな気持ちにさせてくれる、この日でした。
今はどう言葉にしていいかわからないけれど、とりあえず。

こんなに心を動かされたのは久しぶりです。
観ることができてよかった、ありがとう。

……いや、映画のひとこと宣伝みたいで、何ですが。
でもこんないい作品のあとだから、真面目に正直に。

しぃちゃんは、かっこよくて、かわいくて、素敵で、すごく良かったです。
これから観に行く人、期待してください。
観に行く機会があるけれど迷っている人、是非観てください。
(特にヅカファンに見てもらってしぃちゃんの魅力を認識してもらいたいんだけどな。元々のファンしか見ないのかな。ちょっと残念)

……後で読んだら恥ずかしくなりそうだな。
そしたら消します。

でももうひとこと。
……私も今から人生やり直せるかな。

久々のオペラです。
最近宝塚ばっかり見てるもんで、オーチャードホールの間口の狭さに驚きました(笑)。

普段オペラを見るときはあまりオペラグラスを使わないのですが、今日は結構使ってました。
ヴィオレッタが美人ソプラノ・エヴァ・メイ様だったからかと(笑)。前にサントリーホールオペラ『愛の妙薬』をひょんなことで最前列で見て、すごく美人でチャーミングで感嘆して以来。そのあと、やはり藤原のトラヴィアータで来日するはずだったけど、キャンセルになっちゃったんだよね。

が、オペラを使っていた理由はエヴァ様の美貌だけではなくて。
今回の演出も、理由のひとつでした(演出家はロレンツァ・ゴディニョーラ)。
印象を一言で言うなら、とても現代的な演出でした。
舞台装置は具象的だけれどシンプル。
衣裳ももしかしたら若干時代を後にしているのかな。夜会のドレスもヴェルヴェットよりサテンで、質感もシルエットもスマート。召使のアンニーナが丈の短い足首の見えるスカートを穿いていて驚いたけど、その辺りも時代が新しい感じ。ヴィオレッタの田舎暮らしの衣裳もロングワンピース風上着の下はズボンだったし、アルフレードが最後に現れるところも割と普通の背広だった。

そして演技も。
大時代的でない、現代的な演技。
派手に見得を切ったり、よよと泣き崩れたりしない。だから、表情の変化や感情の機微をオペラで追ってしまう。

エヴァ・メイのヴィオレッタは意志の強い女性。
そりゃ、ストーリーは変えられないからジェルモンに説得されて身を引いてしまうのだけれど、それでも2幕のジェルモンとのやりとりでは毅然として対決している。
1幕の「そはかの人か〜花から花へ」も自分の意志で決めた自分の人生を引き受ける覚悟がある。前に、1幕ラストでアルフレードが現れて二人熱く抱き合う演出も見たけれど、このヴィオレッタはそうではない。アルフレードに惹かれてはいるけれど、遠くに聞こえる彼の声によろめいたりしない。
でも、そんな意志の強い覚悟を決めた=心を鎧った孤独なヴィオレッタだからこそ、逆にアルフレードの真っ直ぐな愛情に落ちるのもわかる。
「誰もあなたを愛していない。でも僕は別だ」って。ここ、ヴィオレッタがアルフレードに何故惹かれるか、今までで一番納得がいった。やっぱり現代感覚で作っているからだと思う。
3幕もそう。誰もこの世界では私を救えない、と歌うヴィオレッタは嘆きではなく、神への怒りの色が強かった。神と、運命と対決する個人。
ここ、ヴィオレッタの髪が短いのに驚いた。当時の社交界では鬘だったからか、それとも極貧に陥って髪まで売ってしまったのか。

この演出は、エヴァ・メイの柄にも合っていてより効果を生んだんだと思う。今風の美貌だし。
今までになくヴィオレッタに感情移入しました。2幕は泣きそうなほどに。
脇役だけれど、アンニーナ(竹村佳子)と医師グランヴィル(山田祥雄)もよかった。リアルな演技で演出意図に応えていたと思う。グランヴィル先生は一幕からヴィオレッタのことを心配して、よき友人に見えていたものね。

演出が奇をてらわないながら現代的であったせいか、色々なことを考えさせられました。何度も何度も見ているオペラなのに、新しい気づきがいろいろあったなあと。
新しい演出と言うのは、何も時代や土地の設定を変えたりすることじゃないんだな、目先を変えなくても新しい演出はできるんだな、と再認識しました。

エヴァ・メイは演技だけでなく、勿論歌唱でも舞台を支えていました。
元々プリマドンナオペラだから、比重が高いのは当然ですが。
最初、ちょっと声が小さいな、届いてこないな、と思ったけれど「そはかの人か」で最初は様子を見ていたんだなとわかりました。聞かせどころになるとちゃんと出してくる。
ヴィオレッタにしてはちょっと声が細いような気もしましたがそこは好みの問題で、滑らかな美声で完璧な歌唱でした。

そう。プリマドンナオペラだから、ヒロイン良ければ全て良しとは言え。
あとがちょっと寂しかったかな……。

アルフレード=佐野成宏。
調子が悪かったんだと思う。風邪でもひいていたのかもしれない。
1幕の次点で「あ、やばそう」と思った。
で、2幕幕開きのアリア。
カヴァティーナ「燃える心を」はあちこち歌いづらそうだったけど、それでも何とかまとめていた。
でも、その後のカバレッタでやってしまった。途中声が出なくてオクターブ下げるなんて、練習ではよくあるけど本番で聞いたのは初めてだ。
何も無理して歌わなくても、歌えそうもないならカットしちゃえば良かったのにな。
その後、2幕後半はだいぶ持ち直してました。3幕も問題なく歌えていた。でもやっぱり一番の聞かせどころでコケたのは痛い。
本来は力のある人だと思うので、また調子のいいときに聞きたいです。

ジェルモン=堀内康雄。
藤原のトラヴィアータでジェルモンと言うと、この人が多いような気がする。実は私は大味な感じがしてあまり好きな声ではなかったのですが。
でも今回「あれ、いつもと違う?」と思った。2幕のヴィオレッタとのやりとり、記憶にある声と違う。
悪くはないんだけど、声が細くなったと言うか普通のバリトンになっちゃったなあと。いや、今までの声が好きじゃない私がそんなこと言うのもなんですが。
でも3幕は今までの声に近い感じでした。単に場面によって歌い方を変えているんだろうか。

演技と言う点ではこの二人はいまいちかなあ。普通にやっているだけと言うか。いや普通にやってれば十分なんだけど、エヴァ・メイが良かったもんで。
あと合唱も色々小芝居やっていて面白かったです。逆にジプシーの占い女と闘牛士はあっさりめ。
現代的ということは、地味と言えば地味なのかもしれない。

あ、余談ですが、八百屋舞台で結構傾斜がついていて、大変そうでした。出演者ご一同おつかれさまです。1幕でこけた人、演出家本当に転んだのか最初判断に迷った。演出だったようですが。
檀ちゃんのミュージックサロンの詳細が発表になりましたな。

共演者が、百花沙里・嶺恵斗・綺華れい・音花ゆり。

やったっ! 私と緑野さんのご推薦メンバーが半分実現してるよ!(笑)

特にゆかりちゃんは嬉しいなあ。
ぜひぜひ檀ちゃんとたっぷり絡んでいただきたいものです。

あと二人は、ももかさんと音花ゆりちゃん。

檀ちゃんとももかさん……なんかすごそうだ。
これまたツーショットが見たいぞ(笑)。
しかしももかさんはDSマスターとお呼びしたい気が。

音花ゆりちゃんは『長安』新公で仙堂さんの役をやっていた子だな。
舞台姿が仙堂さんそっくりで気になってました。

何だかすげー楽しみになってきたぞ。
これは行くしか。
……いや元々行くつもりだったけど。

気がかりは演出が石田氏だってことですが。
まあ、ショーだから、さほど問題ないと思うけど。

しかし『DAN-ke schon!』って……(苦笑)。

***

「み」さんへの私信。
しぃちゃんDS『Luce〜陽だまりの足音』の感想は、4/12日記に書いてあります。
しかし、読み返すと、文体もノリも今とかなり違う……古い文章って恥ずかしいなあ(笑)。その辺の日付で後日記入予定のまま放置しているのも見つけちゃったし、どうしよう。
感想自体も今の私だったら違うものが見えて違うことを書くだろうなあと思います。まあそれなのに「行った」ことに意義があるのか。
構成、私は良かったと思いますよ。そりゃケロさんDSのような、出演者スタッフ客席全て渾身のショーではないですけれど。
コンセプトと言うか基本構成は『ドルチェ・ヴィータ!』に近い部分があったと思ってます。
一番暗い場面には、しぃちゃんは出てこない。他の出演者のやるせなく昏い場面のあとで、それを超えるように包み込むように、しぃちゃんが「光(=Luce)」を感じさせる歌を歌う、という「陽はまた昇る」的なところが。

……いや、「陽はまた昇る」を『ドルチェ・ヴィータ!』のキモだと思っているのは、もしかしなくてもワタ担(と言うか太陽キャラ好き)だけかもしれませんが。ははは(乾笑)。
『レヴュー伝説』作・演出 草野旦。

結論から言うと、このショー好きです。
私は草野ショーが結構好きなのかもしれない。『タカラヅカ絢爛』だって大好きだったもんな(笑)。
初めて見たショーがサザクロだったらしいので、刷り込まれてるのかも(よく憶えてないけど)。

レヴュー星に住む人たちはみんなレヴューが大好き。
一方、地球に住む貧しく寂しい少女ジジ。ジジが病で余命いくばくもないことを知った彼らは、ジジにつかの間の夢=レヴューを見せてあげようと地球に降り立つ。

……書いていてあまりの陳腐さに恥ずかしくなってしまうようなお話ですが。
でも、このべったべたなメルヘンが私のツボにクリーンヒット(笑)。

ヒロインのジジはもちろんハナフサ様。
やせっぽちの薄幸の少女。つぎはぎだらけのぶかぶかの上着、左右丈の違うズボンの裾から覗く細い足首。細い声で夢を歌う。愛への憧れを歌う。
これがめっちゃくちゃ似合って、可愛いったら!!

……すっごいなあ。
他の誰にもできない役だよなあ。

ジジの前に現れたエトワール座のスター、オーレリアンは、たかちゃん。
レヴュー星の王子様、だよね?
彼の前でジジは白いドレスの美少女に変身! 憧れのオーレリアンからダンスの手ほどき。最初は上手くいかないけれど、踊っているうちに二人の息はぴったりに。そしてなんと、オーレリアンは舞台のパートナーにジジをご指名。
ここ、銀橋で「見つけた僕のパートナー」「だれだれ?教えて!」「それはジジ」「うっそだぁ」「本当さ」みたいなやり取りを延々繰り広げているのですが。
その二人の可愛らしいことったら!!(溶解)

……すっごいなあ。
他の誰にもできないよなあ。

この少女漫画王道、王子様とちっぽけな女の子の初恋、をこんなに可愛らしくステキに見せてくれるなんて。
まさしくメルヘン。

ジジは自分の運命を知らない。
オーレリアンはジジへの思いを歌う。
初めて会ったときはただの少女だと思ったのに。君の命はもうすぐ終るだろう。だから僕は君に思い出をあげる。
歌うオーレリアンの心を知らぬげに、舞台後方にはジジの姿。
まさにメルヘン。ちょっと他所ではお目にかかれないようなメルヘン。

ジジのためのパーティ。黒燕尾の男たちと、大人っぽいドレスの女たちが踊る、美しいパーティ。
オーレリアンの腕の中、ジジは息絶える。「幸せすぎてこわいくらい」と言う言葉を残して。

ほろりとさせたあとで。
「ジジは星の世界に飛んで行きました」とナレーションが入って、にっこり。
まさにメルヘン。べったべたのメルヘン(笑)。

堪能しました。
と言うか、今更ながらにタカハナの素晴らしさに開眼しました。
こんなメルヘンを成立させてしまうなんて、すごい。

場面的にも、白い衣裳の男女の群舞(派手なリフト有り)とか、スパニッシュとか、きれいで好きです。
まあ、無意味にひたすら派手派手な衣裳で勢ぞろいした時は、出たー!と思ったけど。あと最初と最後のピクミンみたいな衣裳もちょっとどうかと思ったけど。ま、それも味ってことで(笑)。
ロケットの、ピンクに天使の羽とキャンディキャンディみたいな鬘、は私はなかなか可愛いと思ったけど緑野さんにはNGだったらしいです(笑)。

タカハナが素晴らしいのもさることながら、水くんとタニちゃんを対で使えるって言うのは、贅沢だなあと。
特出チームがローテーションしていた去年みたい。いや実際二人とも特出チームだけどね。
どっちかと言うと、ショーはタニちゃんの方が得してたかな。この人もメルヘンが似合うよね。白軍服の王子様っぷりにうっとり。草野氏も歌劇の座談会で「あなたの顔メルヘンぽいですもんね」と言っていた。
それに比べると水くんはもうちょい現実的、と言うか色男系だから、色気のないこのショーではちょっと割を食った気が。芝居と同じ、陽気で熱血な魅力しか発揮できなかったように思えます。

その他の人たちや若手は、残念ながら探すのが大変だった(^^;。はつねちゃんは目に付いてよく見ていたんだけど(好みらしいよ)。
はるひくんと悠未ひろくん、ファントムのフィナーレの方がまだ目立っていたような? 前回は短いけれど花ちゃんと絡むシーンがあったからなー。

このショー、最初は未沙さんと組長さんの客席登場から始まるんですが、17日は1階A席最前列だったので目の前を通ってくれました。衣裳や小道具もよく見えましたわ。お星様を吊り下げた小道具がかわいー。
アンファン、という白鬘の子供たちがこの二人(レヴュー星の女王様・ヨンヨンと、レヴュー作家クシダ氏)の周りでよくうろちょろしているのだけど、この子たちも可愛かった。せいなくん、瑠海くん、杏ちゃん、アリスちゃんの4人。

あと、今回退団の貴柳さんが素敵でした。特にスパニッシュ。目立つところで踊っていたけれど、めちゃくちゃかっこいい。

フィナーレ、パレードは記念撮影で締め。これも面白いなーと。

と言う訳で、このショーは好きなんですが、ひとつだけ要望。
もうちょっと若手も使ってください。つーか見たいです。せっかく美形ぞろいなのにもったいない。
とりあえずあひともをセンターに、プラス十輝・七帆・和の5人口で一場面希望。
『ホテル・ステラマリス』感想の続き。

恋愛ものとしては、かなり好みです。
もつれない、さらりとした、微妙な感情の機微を味わうラブストーリー。

これはヒロインであるステーシー@花ちゃんの力が大きいかと。
控えめだが有能なコンシェルジェで、オーナーの令嬢。ホテルとそれを取り巻く海や丘、家族同然の従業員、全てを愛している女の子。
ホテルの売却が決まって、平静を装って話していたのに、耐え切れず突然倒れて、泣き崩れてウィリアムに抱きつくところの、説得力。
すごいなあ、うまいよなあと素直に敬服。余計なことは言わなくても、演技力と存在感でステーシーに感情移入できる。

そしてウィリアムの婚約者、アリソン@かなみちゃんも上手い。特にラスト、ステラマリスを去るところ。淡々と、しかし相手の心を何度も何度も確かめずにはいられない女心。ウィリアムを愛しているけれど、ステーシーの頬にキスをして黙って立ち去る矜持。いい女です。

この二人がいいんで、その間にいるウィリアムにも説得力が。
アリソンとの関係は台詞だけを正直に受け取ると熱々なんだろうけど、そうは見えなかった。どこか嘘くさい。
アリソンとの場面は回想シーンとして途中に挿入されているので、観客はその前に既にステーシーに惹かれはじめているウィリアムを見ているからだと思う。

いっそ「派手な買収劇を繰り返す仕事と社長令嬢アリソンとの恋」を浮ついた世界として描き、「ステラマリスの人間味溢れる人たちとステーシーとの恋」を本来生きるべき人間らしい世界として描けば。
そしてその二つの世界の間で変わっていく男としてウィリアムを描けば、わかりやすくなったと思うけれど。
でもそうしなかったぬるさが、実は私は好きだったりするので、これでいいかと。
ただ、気持ちが変わっただけ。それ以上でもそれ以下でもない。

副支配人アレン@水くんはいいキャラでした。二枚目だけど、暑苦しい熱血漢。ええ、好みですとも(笑)。
ワークシェアリングで盛り上がる銀橋で「私は海の男、ついてきてよお願い」と歌う場面、大好きだ(そう「場面」としては大好きなんだよ……)。
しかし、ムジャヒド、ベニート、そして今回のアレン、みんな同じ系統のキャラだよね。
いや二枚目度は徐々に上がってますが。
でも、さすがに1年で3回続けて同じキャラは、ちょっとどうかと……もったいないじゃん。
ステーシーとの会話はいい場面でした。幼馴染ゆえの理解と諦め。「相当な温度差があることもわかっている」って……。

タニちゃんの役、ガイ・プレスコットは妙な男でした。
でもこーゆー本気かギャグかわからないキャラは似合うぞ。どこか作り物めいたスタイルの良さと美貌が妙な効果を生んでいると見た。私は楽しみました。
特に社長の自殺騒動でみんながロビーで慌てふためいているとき、何気にソファの上に立ってポーズをつけてるところがツボ(笑)。

ファンなら面白い、と言うかクスッと笑えるようなネタがいくつかあったかな。
組長副組長のキャラ立てがまんまだとか。
なぜ変わらなければいけないの、と言うステーシーに、生きているから、と答えるアレンとか。別れ際アリソンに、お会いできて光栄でした、と言うアレンとか。組替えを意識したり。
(じゃあ「私はいつまでもここにいるわ、ステラマリスがある限り」って……)

……と言う訳で、トータルでは楽しんだ、のかな。
文句をつけつつ、実は自分、正塚作品って好きなのかも、と思ってしまったりもしてました。何と言うか、感覚的に。色合いとか空気とかが。

ところで。前回決めた課題は達成しましたー。
珠洲さん七帆くんチェックに成功(成功って)。
つーか、二人とも「ステラマリスさよならパーティ」の私服は何事!?
赤い革ジャンにレザーパンツって。真っ赤なアロハって。君たち一体。
……かわいいじゃん(笑)。
おとぎ話でしか解決できないなら、リアルにえぐるな。

『ホテル・ステラマリス』作・演出 正塚晴彦。
チャリコンの前、1/17昼に見ました。
初見は1/9だったのですが感想を書きそびれていたので、もう1回見て、初見でひっかかったことを整理してから書こうと。
で、上記の結論。
極めて個人的な感想だとは思うんだが、一応書く。

ステラマリスは歴史と由緒ある、美しい海に面した絶好のロケーションのホテル。でも、世の趨勢についていけず傾きかけている。ついに外部資本の手を借りることになった。
と言う訳でファイナンス会社のエリート社員、ウィリアム(和央)がやってくる。ホテルのオーナーの娘、ステーシー(花総)は複雑な思いを抱きながらも彼に協力する。なんとかホテルを存続、再建しなければ。
と言うお話。

不況、傾いた会社、リストラ、変革についていけない従業員、という、現代日本で生きていれば耳、いや胸の痛い話です。
そして正塚氏の書く台詞、歌詞はリアルに痛い。「日々の糧を得ることだけを考えていた」「もうお前は要らないと言われたような」「何のための変革」etc.

でも。
何でそれが「ワークシェアリング!」の一言で解決、従業員一同一致団結しちゃいますか!?
初見のとき私は肩を震わせて笑っちゃいましたよ。
あんたらそれでいいんかい。

話の続き。
と言う訳で一致団結したものの、今度は別の事情が襲ってくる。
ホテルは閉じて、別の会社に売り渡すことになった。その会社はホテルのある海岸一体を開発してビーチリゾートとして売り出すつもりだ。
幼いころからホテルとこの海を愛していたステーシーはもちろん、ホテルとここでの仕事、そしてステーシーに愛着を感じ始めていたウィリアムにとっても胸が痛む話だ。
でも。ホテルは買い取られ、親子は負債から解放され、従業員たちも新しいホテルで働けるだろう。ウィリアムもレポートと再建計画でホテルの価値を上げたことで上司から評価される。
ステーシーは言う。「じゃ、何の問題もないのね。お仕事としては」
ウィリアムは答える。「……きっついなあ」
そう。そういうきっついことは現実にごろごろしている。でもどうしようもない。

だけど。この物語においては、海に発光性の珍しい生物が見つかり研究対象として価値があることが判明したため、開発は回避される。ホテルも助かる。

悩みはリアルだ。
でも、解決はリアルでない。
リアルな悩みに共感して胸えぐられた私は置いてきぼりを食らって途方にくれる。
だって現実にはワークシェアリングは魔法の呪文じゃないし、光る海もないから。

極めて個人的な感想、なのだろうと思う。
そもそも、こんなことで痛む私の心の弱さが悪いんだし。
勤め人の私と作家・演出家である正塚氏のリアル・アンリアルは全然違うんだろうし。
逆に私が気にならなかったエスペランサだって、ロマパリだって、そのリアルに反応して置いてきぼりを食らった人はいたかもしれないし。芸術関係の職についてる人とか、経営者とか。

極めて個人的な感想だとは思うけれど、一番引っかかったことなので、書いておきます。
(と同時に今週末同じ感想を抱かなくて済むといいなあと危惧する私)

でも。

おとぎ話でしか解決できないなら、リアルにえぐるな。
つーか、えぐらんでくれ、頼む。

と、思ったけれど、それは違うんだろうなあ。
問題はリアルで、解決はおとぎ話、というフィクションは有り無しで言えば有り、大いに有りだろう。
じゃ何故今回私はダメだったのか、と言うとやはり書き方の問題ではないかと。
リアルとおとぎ話の落差を、説得力を持って埋めてくれれば。
そうすれば、客は自分の「ワークシェアリング」を「光る海」を見つけられそうな気分になれるんじゃないか? 元気が出るんじゃないか?
少なくとも幕が下りるまでの間は、夢が見られるんじゃないか?
そうでないから置いてきぼりにされるだけで。

と言う訳で、書き方の問題の話。

なんか、冗長だなあ、と言うのが初見の印象だった。
いつまでオープニングが続くんですか? つーか、これ芝居じゃなくてショー? 前にビデオで見た『デパートメントストア』思い出すんですけど。
芝居だとしたら、ドラマで説明して欲しいところを歌とダンスで流されちゃうのが多すぎ。そりゃ、その歌とダンスは魅力的だけどさ。
ドラマが動き出すのは、ホテルの売却計画が決まってから。時間的には半分を過ぎている。

2回目見て、構成ってものを考えてないんじゃないか、と言う感想を持った。
何か書いたら、普通は一度通して読んでみる。物語じゃなくて資料や手紙だって同じ。通して読んで、ここ繰り返しでくどいな、ここはもっと説明しないとわからないや、こことここは順番変えたほうがわかりやすそう、とか考えて手を入れる。
その作業をやってないんじゃないか、と言う気がした。

例えば。
前半、主人公ウィリアムはホテルの査定に来たファイナンス会社の社員、という正体を隠したままホテルの従業員に再建プランを提案し、一同盛り上がる。このシーン結構長いけど、何の意味があるんだろう。

 部外者ウィリアムの再建プラン=部外者ゆえの思いつき
 ↓
 みんな乗ってくる(が真面目には考えていない?)
 ↓
 副支配人としてやってきたウィリアムの再建プラン
 ↓
 みんなやる気無し

この繰り返しには何の意味が?
その場のノリはいいけれどしんどい再建計画を地道にやっていくことにはそっぽを向く従業員のモラルの低さを示すため……じゃないんだろうなあ、多分。

そんなんだったら、例えば。

部外者ウィリアムのプランに乗ってきたのは一部の連中。後日ウィリアムは副支配人として乗り込むが笛吹けど皆踊らず。でもウィリアムがため息をついていると、あのときプランに興味を示してくれた人たちがおずおずと近づいてくる。「実現する方法を考えてみたんですけど……」
一部に味方を得て再建計画を作り上げることはできたが、人の問題は解決しない。リストラの噂が従業員たちの間をぎくしゃくさせている。自分はこれからもここで働けるのだろうかと不安を持つ人たちと、とりあえず頑張ってみようよと働きかける人たちの間の溝。そんなときに思いついたワークシェアリング。

とかね。いや素人が思いついた一例に過ぎませんが。

あと、ホテルの皆が主張する「人生の味わい深さ、本物のコンフォータブル」が本当に価値を持つのかどうかも、お話の中で証明して欲しかったよ。いや、あの老夫婦にとっては価値があるんだろうとは思うけど。

(あと関係ないけど、天候の荒れをホテル従業員のダンスで表現するのは止めた方がいいと思いました。個人的な趣味ですが、ボーイやメイド姿で激しく踊られても……自然現象を表現するなら冒頭シーンの白いドレスの波のようなシンプルな衣裳だろうと)

と、社会派ドラマ?としてはダメだった私ですが、恋愛ものとしてはまあ、いいんじゃないかなと。

だらだらと文句をつけっぱなしですが、次の欄に続く。
宝塚歌劇チャリティコンサート、行ってまいりました。

本当にひとりずつ持ち歌を歌うイベントでした。
練習が大変なのはわかるので、組を超えてとは言いませんが、せめてトップコンビのデュエットくらいあってもいいと期待したのですが。
ちょっと残念。

プログラムを書いておこうかな。

1.見上げてごらん夜の星を(和央、湖月、彩輝)
2.Life (バウ「The Last Party」より)(大和)
3.EVER GREEN(DS「Sweet&Chic」より)(霧矢)
4.八犬士のテーマ(バウ「里見八犬伝」より)(水)
5.Somewhere(「West Side Story」より)(樹里)
6.愛よその日まで(初風)
7.千の風になって(彩乃、宙組)
8.風になりたい(「国境のない地図」より)(和央、湖月、彩輝、宙組)
9.アムネリスの宣告(「王家に捧ぐ歌」より)(檀)
10.Home(「ファントム」より)(花総)
11.奇跡−大きな愛のように−(瀬奈)
12.心の翼(「テンダーグリーン」より)(安蘭)
13.はばたき(バウ「熱帯夜話」より)(彩輝)
14.世界に求む−王家に捧ぐ歌−(「王家に捧ぐ歌」より)(湖月)
15.Where in a World(「ファントム」より)(和央)
16.見上げてごらん夜の星を(全員)

思いつくまま箇条書き。

・入り口でペンライト(使い捨てのぱきっと折るやつ)が配られる。最後あたりで振れと言うことだな。
・「見上げてごらん夜の星を」大階段にトップ3人並び。和央さんを真ん中にワタさんとさえちゃん。和央さんの隣にワタさんがいると、昔の宙組みたいだ。
・「宝塚チャリティコンサート」の看板(司会(未沙、出雲)トークの時に上から吊られている)のデザインがめまいがするほどダサい。
・黙祷。
・トップバッタータニちゃんの「Life」が気合が入りすぎてすごいことになっていた。テンション高。いやそれも芸風と思えば私は好きですが。
・って、緑野さんとデイジーさん肩震わせて笑ってたのか。タニちゃん見るのに一生懸命で全然気づかなかったよ。そんなにおかしかった?
・水くんの八犬伝主題歌はちょっと選曲がアレだ。他のみんなは愛とか人生とかそんな感じのバラード系なのに。
・更にバックの電飾もひときわ派手になっている。草野氏(演出構成)の愛?
・つーか、いっそアオセトナさまで「欲しいものを言ってごらん」「ついておいでこの私に」と歌ってもらい、その間募金箱を持った下級生がお布施を集めればよいのにという案が(やらねーよ)。
・樹里、ガイチは流石に上手い。
・とは言えガイチさんの「愛よその日まで」ヤマト新たなる旅立ちの主題歌をこんなに高らかに歌われるとは。ちょっとびびる。
・瀬奈さんのさだまさし(「奇跡−大きな愛のように−」)も微妙な気が。
・檀ちゃーん!!(ドレス姿を拝むだけで眼福。去年の花組特出時に着てたような濃いピンクの総スパンのドレスですが、同じかなあ)
・とうこさん、白い衣裳(デザインは各組2番手+専科さんお揃いで色違い)。いや、白いとうこさん久々に見た気が。キレイだステキだ。
・銀橋を渡っていい人とダメな人の差は? 男役で銀橋に出てないのは水くん、きりやん、タニちゃんだけじゃん。みんな出してやればいいのに。
・震災復興のスライドは阪急電鉄の宣伝企画でした。阪急の駅しか映さないって、どうなのそれ。
・最後全員集合。せめてワタ檀を隣同士に並べろーっ!!(暴動起こす勢いで)
 どこまでも学年順にすりゃいいってもんじゃないだろう。わかってない、わかってないよ歌劇団!

ワタさんは「世界に求む」でした。
衣裳は『ドルチェ・ヴィータ!』フィナーレの衣裳の羽なしバージョン。
何だか、ものすごく懐かしかった。単純に「羽がないとこう見えるんだー」って感心してた部分もありますが。
最初はオペラでかじりついてましたが、途中で降ろしました。
手に力が入りすぎてオペラ壊すんじゃないかと思ったから(笑)。
私はこのためにここに来たんだと実感する瞬間でした。

去年さんざん見てたし、声も聞いてたんだけどな(苦笑)。
でも、緑野さんのお友達のデイジーちゃんも、水くんの時に涙ぐんだって言ってたし、そういうもんなんだろう。
好きな人の声を聞くために、ここに来ました、と。

最後は「見上げてごらん夜の星を」を全員で。
途中、さえちゃんが「皆様ライトをつけてください」みたいなことを言ったのですが、実はそのとき気の利く観客一同は既にペンライトをつけて歌に合わせて振っていました。
場内大爆笑。
ま、仕方ないよな、段取りだもんな。
さえちゃんが言わないと、あとの人も困るしな。
つーか、かわいいぞさえちゃん。

客席の皆様もご一緒に、と言うことで、私も歌いました。
だって、ワタさんと一緒に声を合わせて歌えるんだよ? そんな機会二度とないかもしれないよ?
機会は享受せねば(笑)。

終演後は、緑野さんと、ハイディさんご夫妻と夕食をご一緒しました。
お店の前に展示してあった、震災当時の花の道の写真を見ました。
……大変だったんだなあ。
私は、そのときは関東にいたから、当時のことは知らない、語る言葉もないけれど。

好きな人の声を聞きに来た、と書いておきながら。
このコンサートの主旨に一番あっていたのは、かなみちゃんが宙組のみなさんをコーラスに歌う「千の風になって」だったと思う。
私の墓の前で泣かないで、私はそこに眠ってはいないから、私は千の風になって空を吹き渡っています、という歌。
ただ単に持ち歌を歌う、のではなくて「この企画のために準備しました」というステージでした。

気になったのでちょっと調べました。
新井満と言う人が、友人の妻の追悼のために、作者不明の英詩を翻訳して曲をつけたものだそうです。
映画にもなってるらしいですな。

白いドレスが似合うかなみちゃんのしっとりした歌声と聖母のような笑顔(神々しいと言うより、生身の聖母)、そして同じく白いドレスの娘役たち、黒燕尾の男役たちの清潔で救済感のある、いい歌、いい舞台でした。
昨日11:00の回を見てまいりました。
ちなみに、評判がよかったと言うシリーズ前作(?)『なみだ橋えがお橋』は観てません。ので二番煎じ的なところがあっても気づかないと思います。

主演:蘭寿とむ、作演出:谷正純。
青天人情喜劇であのポスター、出演者の若さ、更に5パターンの役替りと不安要素の多い公演ですが。
なんだ、面白いじゃん! と言うのが端的な感想。
喜劇が喜劇として成立してるし、出演者もちゃんとやってて少なくとも気になるほど下手な子はいないし。特に娘役ちゃんたちは結構歌ったりしてるけど、みんなうまいぞ。
楽しかったです。

が、私が特に心惹かれたのは「喜劇」以外の部分だったりして。

貧乏神の貧ちゃん。
気が弱く要領が悪く縄張り争いにも破れ、働く気もない貧乏人・主人公八五郎に取り付くしかない哀れな貧乏神。
顔色悪く小汚いいかにもな貧乏神スタイル。申し訳なさそーに登場するも、逆に人間だろうが神だろうがたかりまくる八五郎になけなしの金子を巻き上げられる始末で(笑)。

でもですよ。
八五郎の結婚式に何とかして酒や肴をかき集めようとする友人連中を見て、人間は結婚できていいなあ、友達がいていいなあと一人寂しく「Lonely Poor God」と歌う貧ちゃん。
そんな貧ちゃんに八五郎はにかっと笑って歌い返す訳ですよ。
「Lonely Pure God」と。
そ、そう来るのかー!?
八五郎の馬鹿かつ男前な笑顔と、その笑顔を捨てられた子犬のような瞳でうるうると見つめ返す貧ちゃん。
すごいよ、なんだかロマンチックしてるよ!

うっかり感動しかけました。
この作品一番の盛り上がりシーンだと思うのは私だけでしょうか(いやそんなことはあるまい)。
つーか、私もこの二人くっついちゃうんじゃあるまいなと思いかけました、うっかり。

が、貧ちゃんのかわいいところはそれだけではなくてですね。
そこに現れる幽霊の小糸。
八五郎が墓場で酒盛りをした相手。いや、勝手に墓の前で色っぽいねーちゃんを思い浮かべてさしつさされつしているつもりで飲んでただけだけど。寂しい小糸はそれが嬉しくて八五郎のところへやってきた。
成り行きで3人で歌い踊りした後、八五郎が貧ちゃんと小糸に言う訳で。
「お前ら夫婦になりゃいいじゃねえか」
貧ちゃんは結婚できれば福の神になれるんだけど、女神様なんて貧乏神には高嶺の花、とさっき話してたので。
そんないきなり無茶な、と言いたいところですが、歌の間中貧ちゃんと小糸はずーっと目が合ってははにかんだりでも見つめ合って照れたりしてたんで、あ、こいつら一目ぼれしたんだ、とちゃんと観ている方にもわかってました。万々歳でOK。つーかこの惹かれあいがまたかわいくて微笑ましいぞ。
よかったねー。寂しい同士しあわせになってねー。

と思ったらそれではまだ終らなくて。
いきなり「僕たち心中するんです」と言って八五郎の家に現れた男女、徳兵衛とお初を見て、小糸の顔色が変わる。
実は徳兵衛はかつて小糸と心中しようとしたが、小糸が死んだら怖くなって逃げ出した男。
はっきり言って、どう見ても貧ちゃんはお子ちゃまです。多分女の子と付き合うのは初めて、これが初恋と思われます。
それに対して小糸ちゃんは元芸者。男と心中未遂の過去ありのおねーさんです。
そんな二人の前に愛する妻の昔の男登場だ、どうする貧ちゃん。

貧ちゃんは、小糸を見ていました。
ただ見ていました。
ただただひたすら、一生懸命に小糸を見つめていました。
その恨みも辛さも切なさもやるせなさも、わかってるんだかわかってないんだかわからないけど。いやよくわかってないだろうけど、それでも全身全霊で見つめていました。

……ええ、またしてもうっかり感動しかけましたよ。
いい話じゃん。つーか、こいつかわいいじゃないか!

捨てられた子犬の瞳を持つ男の子が好みなら、貧ちゃんを見てやってください。
いや、私はショタじゃないですけどね。そのつもりですけどね。
でもかわいかったんだわ。

と言いつつ、貧ちゃん@朝夏まなとくんのキャスティングは、1/8〜11だけなのでした。
キャスト変わったらまた違うんだろうなあ。
まだ下級生で若くて、声も微妙に男役らしくない故の可愛らしさ(貧乏神っつーか座敷わらし?って感じの)。でもソロも結構あったけどちゃんと歌えてた。貧乏神って実質2番手役だよね。よくやったなあと。
今回、八五郎@らんとむくんとの学年差が大きいので「兄貴と子犬」でしたが、学年が近いキャストだとどう見えるのか、ちょっと興味があります。(みわっちとみつるくんとか、どうなるんだろ)

感動的だったのは、小糸ちゃんの上手さのおかげも大きいと思う。
下級生ばかりの中、歌も台詞も群を抜いて上手い。声からして違う。

徳兵衛とお初が現れて、徳兵衛が昔自分を見捨てて逃げたことを暴く小糸。
でも、お初はその過去を承知で、徳兵衛を信じるという。
ここで罵り合いになるかと思いきや、ならないのですよ。
同じ世界の女同士、無言で伝わりあう共感と諦念。
この二人に梅川@城火呂絵が加わっての歌がねー、ぐっときました。
みんないい女だ。で、男どもは馬鹿で情けないけどかわいい。

……いや、もしかしたら喜劇として書いてるのかもしれないけどな。
でも小糸@華城季帆ちゃんも、お初@姿央みやびちゃんも、城さんもみんなよくて、切々ときました。
梅川というキャラクターとその使い方は途中までうざったく見えていたんですが(私が元ネタに疎いのも一因と思われ)、ここはよかった。

ヒロインたちで言うと、八五郎の妻となる延陽伯の初姫さあやちゃんもかわいかった。と言うか、一番の白塗りとぶっとんだキャラなのでこの役では素顔も普段の演技もわからんのですが、でもそのかっとびぶりがステキでした。
どっちがどっちかわからなかったけど、お咲とお里の聖花まいちゃんと七星きらちゃんも、結構歌えてたし演技ものびのびやってて楽しかったです。

と若手を褒めつつ、専科さん二人がいてくれてよかった。こういう人がいないとドタバタで暴走、上滑りしたんじゃないかと思う。汝鳥さん、若い子に付き合って(と言うと語弊があるが)テンション上げてよくやってくれたなあと。
最後、みんなで片足上げたポーズ決めるときにも、びしっとやってくれてました。素晴らしい。

そして主役の八五郎@らんとむくん。
上手かったです。出ずっぱりで台詞が多くそのテンションで舞台を牽引しなければならない役を見事にこなしてました。
いや、いっぱいいっぱいなんだとは思うけど、でも大変そうだなあと気になるほどではなく、ちゃんと主役として引っ張ってた。えらい。
八五郎は馬鹿でいい加減だけど男前でした。幽霊も妖怪も差別しない懐の広さとか、人が本当に困っているときには親身になる人情味とかが、こんな迷惑な男でも人に好かれる理由なんだろうなあ、ってちゃんとわかったし。いい男に見えた。

……でも私はこんな男が身近にいたら嫌ですけどね。
フーテンの寅さんみたいなもんで。作り話ならいいけど本当に近所や親戚にいたら困るだろ、こんな男(笑)。

最後、カーテンコールで「今回は出演者は16名と少ないので」とひとりずつご挨拶がありました。
これ、いい企画だと思う。だって顔も名前も知らない下級生ばっかりなんだもの。
延陽伯@初姫さあやちゃんの「マイブームは「あんけらそ」」に笑わせていいただきました。

雑談モード。

2005年1月9日 宝塚
え、私が悪いんですか?(緑野さん1/9日記参照)
だって、まだムラに足を踏み入れてないって言うから。
観劇評を読みたがっているであろう全国2000人(推定)の緑野ファンを代弁して、無理矢理連れ出した訳です。強行軍をさせたことは認めます。お疲れさまでした(^^;。
しかし、何故会っていきなりノバボサ雪新公語りなんですか。私が「トークショーいかがでした(実は9日に呼び出した目的の一つ)」と聞く間もなく(笑)。
よっぽどHotel Dollyで盛り上がったようで。ま、それはそれで何より。

さて。
と言う訳で、1/9は花バウと宙大劇をはしごしました。

花バウはすげー面白かったです。
迷っている人は絶対見るべき!
らんとむくんがちゃんと舞台のテンションを維持し物語を引っ張ってました。出ずっぱりで大変だろうに、たいしたもんだと思う。どうしようもない男なんだが、男前だった。
下級生が多い上に役替りで、正直見る前は「ワークショップ?」と思っていたけれど、ちゃんと面白かった。みんな舞台に上がっておかしくないレベルだった。
特に華城きほちゃん。上手かった。声と喋り方が群を抜いてた。
あと貧乏神がかわいー。朝夏まなとくん。まだ下級生と思われるのに、結構出番多くて歌って踊って、大活躍だ。で、かわいいしー。
……ちゃんとお正月にふさわしいコメディだってわかるポスターを作ればよかったのにね。

宙大劇も、まあ悪くはなかったです。
芝居とショー通じて一番の感想は「ハナフサ様上手い、そしてすごい」でした。
あと正塚氏は何故水くんに同じ役しか振らないのだろうとか。イメージ固定? 中日ロマパリも入れると今年3作目なんで、ちょっと別の役も観たかったなぁ。
これ、あと1,2回は見ると思います。
次回観劇の課題。
・珠洲さんを見る
・七帆くんを見る

***

詳しい感想は明日以降の分に書くとして、本日は雑談。
(面白かった割には、緑野さんと舞台以外の話ばかりしていたような気がする……)

檀ちゃんディナーショー(ミュージックサロン)出演者については盛り上がりましたさ


嶺くん、みらんくん、ゆかりちゃん、しゅんくんの4名をご提案。
バウ組は出られない、まとぶんDSメンバーも駄目だ、と大真面目に検討した結果です。
最初は王家の女官メンバーフル動員なんて案もありました(笑)。

最後ならば。最後の檀ちゃん主役のステージならば。
私も檀ちゃんの男役が見たいです。
マタドールも黒燕尾も軍服も見たいですが、是非、トレンチコートにソフト帽が見たいです。
コートの下はダブルのスーツでよろしく。
マフィアの幹部みたいな設定で、夜の女@ゆかり嬢と色っぽく絡んだり。
部下@嶺氏がトレンチコートを脱がせたり煙草の火をつけてさしあげたり。
刑事@みらん氏が現れて嶺氏と対決した後、幹部@檀氏が出てきてみらん氏を翻弄(いろんな意味で)するのもいいなー。早変わりで美女になるのもありだ。
そんなやりとりが繰り広げられている間、ステージの脇でギター弾き(ジゴロでもツバメでも可)@しゅんちゃんが歌っていたりするのも良し。時々センター芝居を見てにやりと意味ありげに笑ってくれたり檀氏とアイコンタクトしてくれたらなお良し。

あと、えみくらちゃんの時みたいに同期特別出演とかないのかしら。かしげちゃんが出てくれるとうれしいんだけどなー、公演中かー。

檀ちゃん、ENAKの会見記事読みました。涙ぐんでいる写真がとても素敵だ。
ワタさんが「今は何も言わずに笑顔で見守ってくれている感じ」と言うのがぐっときます。

***

汐美さんトークショー、報告感想拝見しました。
ドリーさんすごい。おつかれさまです。

「汐美さんを花に例えると」薔薇でいいんじゃないですか?
花には詳しくないけれど、暗紅色のあまり大きくない薔薇を思い浮かべました。派手で華やかではないけれど、ビロードの手触りを想像させるような花弁の薔薇。
若しくは、オレンジ色の薔薇。濃すぎない、ぱきっとしたオレンジ色。明るい色だけど、薔薇という造型に大人っぽさもあって。
ファンの方のイメージは違うのかな。違うんだろうな。
しかし、考えたら自分を花に例えるって難儀な質問ではないかと。一般人は滅多にそんなこと聞かれないけれども。

理想の男性は汐美真帆さんみたいな人ですか。そりゃこれから大変そうだな、と苦笑しつつ、それだけのことを言ってもいいだけのことはやってきた方だと思いますから。

***

インデックスを作ると日記の側でそこからのアクセス元が判明し、何が読まれ
ているかわかると言うことに気づきました。
へー、という感じです。どんなタイトルがキャッチーがわかる(そういう問題か?)。
しかし……「冬休み自由研究」で本当に冬休みの自由研究ネタを探している人、いるよねきっと。しかもこの時期になって切羽詰っているだろうに、全然関係ないこと書いててすみません。
と言うか、世間様では冬休みに自由研究なんかさせるんですか。夏ならともかく、こんなに期間が短いのに。いまどきのお子様は大変だなあ。

と言う訳でとりとめのないまま了。
観劇日記は後日。日常に戻るとなかなかまとまった内容のものが書けんです(苦笑)。
ま、ムラダブルヘッダーを日常と言うかどうかは見解が分かれるかもしれませんが。

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