梅コマ『エリザベート』観に行きました。行ったのは11/21でしたが。

演出が変わってました。
いや、元々宝塚版と東宝版は違ってたけど。フランツに性病を伝染されるくだり。ナチスの影。ギリシアの島で父の幻と会う場面、等々。宝塚に無い場面があったのは憶えていたけれど。

今回のバージョンはハプスブルクの落日を描いた歴史ものでした。
そして、エリザベートの物語でした。
トートもフランツも脇役。

全部は憶えてないんですが。
大きく変わっていて印象的だったのは、ヴィンディッシュ嬢との場面。
ここが「精神病院では患者たち皆が皇后と認めるのはヴィンディッシュ。誰からもエリザベートは認められない」という場面になってました。
そりゃ、ストーリー変わっちゃうだろ。

あと一番びっくりしたのはエリザベートの死。
ルキーニに刺されそうになり、いったん防ぐがトートに呼びかけられ死を受け入れる、という場面が無い!
トート不在のまま、ルキーニはただエリザベートを暗殺する。エリザベートの死にトートの愛は関係ない。

そして、トートは最後、エリザベートを棺に納める。
戦利品を飾るように。
(この「棺の中のエリザベート」は冒頭にも出てくる)

これ、皇后と死のラブストーリーじゃないよなぁ。
エリザベートはエリザベート、死は死だ。
そして死はエリザベートだけでなく、ハプスブルクも殺すのだ。歴史の必然として。

……最も、愛がないと思ったのは、トートの山口祐一郎のミュージカルスターぶりのせいもあったかもしれないけど。
いや、上手いです。上手いんだけど、エリザベートという物語のトートという役であるよりも、ミュージカルスター・山口祐一郎!である瞬間が多かったので、その度に夢から覚めさせられるというか。
内野トートはどうなんだろう。見てみたい気もするけど、12月はそんな暇ないな(苦笑)。

セットは、ダークな陰鬱さ、病的な造形が増してました。
精神病院、看護婦たちの顔を隠す巨大な帽子。
夜のボートの場面、シシィとフランツが歩むのは棺の上。

それとは別に、バックに電光掲示板を使うのは、小池修一郎氏の趣味かなあ。
(cf.薔薇の封印)
次の月エリザもそんなふうになっていたらちょっと嫌かも。

あと、見ていて思ったこと。
やっぱりタカラヅカって、美しいんだなあ。
まず第一に出演者が。
いや、オペラ観るときは、元々出演者のルックスには期待してないから比較しようとも思わないんだけど(笑)。あれは出演者の基準が歌>>>>>>>>容姿の世界だから。
でも、一般のミュージカルと比べても、あそこはやっぱり美しさが絶対の基準なんだわ。
そうだよなー、一列でも前で見たくなるのって、宝塚だけだもんなー。
と、妙なことに納得した私でした。

これで21日に観たものの感想は終わり。
明日は星東宝初日だし、宿題はさくさく仕上げないとね(笑)。
あ、さすがに初日は行きません。マイ初日は27日です。

ところで、この日記、ブックマークに最終更新情報が出るようになったんですね。
便利かもしれないけど、古い日記にちょくちょく手を入れる私としては迷惑な機能だなあ。無くなってくれないかなあ(笑)。
今回のチラシ、ショーの3パートを表しているんですね。
左上、夜の街に赤い衣装のコムちゃんがPart1。右上の雪景色に白い衣装のまーちゃんがPart2。で、その下の全景がPart3で。

と言う訳で、ショーの感想。

『歌劇』座談会によると本当に3人で相談していないらしい。だからこうなっちゃったのか、と納得。
完全に3本立てで、しかも3本ともしっかりこってり作りこんである。
テイストの類似もさることながら、その「3本とも独立した作品として作りこんである」と言うところが胃もたれの原因かも。緩急が無いと言うか、常にハイテンションで気を抜けないと言うか。
リピートすれば印象が違ってくるのかな。
逆説的に、1時間を1本もののショーとして過不足無く構成するって大変なことなんだろうなあ、と思い知らされたショーでした。

1本のショーとして見た場合疑問符がつくけれど、パーツパーツは面白いし、力作だと思う。

Part1「Rose〜真紅に染まる夢」藤井大介

極楽鳥二羽は、悪夢への導入役ですか? まあ私は1階後方端席でしたが、前方席で見たら……。(いや悪意は全然ないですから!)

オープニング。舞台の色調は赤。そして黒。
……耽美なはずなんだけど、説明調の歌詞が好みでなくて。花組でもそう思ったんで、これが藤井氏の個性なんだなと納得。

世界と同じ、深紅に黒が指し色の衣装。薔薇の美少年、コム氏が踊る。
そこに現れる美女。まーちゃん。

このまーちゃんに驚き。
ビアズリーの挿絵から抜け出してきたような白と黒の衣装。そして雰囲気。
妖艶。退廃。何かに餓えたようなでも倦んだような目つきの大人の女。
勝手に清純派のお嬢さんだと思っていたら、こんな役も出来るんだ。

その二人が絡む。(女が札片ばらまいたソファーの上で!)
女を扱うとき、コム氏が「美少年」でなく「野郎」めいて見えるのがまた、どきどきと言うかはらはらと言うか。
乱暴ではない、が、気の無い手荒な扱い。
それをどう受け取っているのか、冷めた瞳のままの美女。

そして現れる薔薇収集家の男@轟氏。
そうなると今度は、美女と美少年の関係は共犯者めいて。
魔性の美少年と、冷めた瞳の美女が、男を罠にかける。

コム氏と彼に堕ちた轟氏がせり下がっていって(多分。記憶が薄れている)、もうおなかいっぱいー、という感じでした(笑)。
私的に最大の見所はまーちゃんの美女だったけど。こんなに魅力的な人だったなんて。
いやびっくりした。良かった良かった。

Part2「白昼夢― IMITATION DREAM・栄華/幻―」齋藤吉正

一転して白い世界。
雪原の白狼だそうなんだけと、耳つけてロケットされちゃうと、狼って感じじゃないよなあ(苦笑)。いや可愛かったけど。

惑う白い恋人達(コムまー)が綺麗で綺麗で。引き裂こうとする轟氏(なのかな?)も含め美しいです。

そして舞台はいきなり白い大都会(新宿だそうだ)。
白基調なんだけど、警官、ナース、ホストとみんなコスプレめいてどこかキッチュ。その辺がIMITATION DREAMってこと? 楽しいシーンでしたわ。

そして、白チャイナとのお姉さまたちと轟氏のチャンバラ!
一瞬「キル・ビル?」とか思ったけど、何か、この人たちがやっているとネタと思い切れないのは私だけでしょうか。端正さがお笑いを阻む。何だかマジだ。
まーちゃんの白チャイナもうつくしーです。(チャンバラには参加してません)立ってるだけで芸術品。

その後、となみちゃんが轟氏を誘惑しようとして振られてかしげちゃんに洗脳されちゃう?ようなシーンがあったりして。

気が付いたら舞台の上、いきなり真っ黒!?
黒羽つけた黒ずくめの面々がずらっと。
ブラック戦隊。いやーかっこいー!!
いや、ここ一番無邪気に喜んだかもしれない。堕天使とか黒天使とか言うより、どこかキッチュで特撮的なんだよね(笑)。
桂ちゃんの表情がいいです。こういう小悪魔っぽいの似合うなー。
若手路線男役に一人混じっているとなみちゃんもいいわー。毒のある白痴美。似合うー。
(『歌劇』によるとこの黒い人たちはカラスらしいのですが)

その中でやはり惑う白い恋人達と、追う白狼・轟氏。
彼女は消え、気づくと残った二人は同じ姿で。鏡のように踊る二人。
と言うオチでした。

Part3「夢の城〜夢は消えるのではない、ただ人が忘れるだけ〜」三木章雄

最初の紗幕に息を飲む。
って言うか、これジョン・マーティンの『吟遊詩人』じゃん! 確か、王を呪って断崖から身を投げる老詩人の絵。
なんでこんなとこでお目にかかれるんだ。舞台全面の大迫力で!

幕が取り去られると、城の中央階段まわりはウィリアム・ブレイク調。チラシの背景はこれだったんだ。左手のステンドグラスも美しいなあ。ゴシックと言うより、古い時代を模したラファエロ前派な雰囲気だなあ。楽しいなあ。
……あ、今その前を通り過ぎたのはコムさん?
そ、そうだよ。私はヅカ見に来たんだよ。
それなのに何でオペラグラスでセットを凝視してますか!?

どうやら、私の中のスイッチが「ヅカ観劇」から「絵を見る」に切替ってしまったようです。
ほんとーに、舞台美術の印象が強くてショーの記憶が途切れ途切れ……とほほ。

その途切れがちな記憶で、一番印象に残っているのはかしげさんの王子かな。
パート1,2では、なまじ美形なもんだからかえって耽美系衣装や鬘が似合わないような気がして見てたんですが、このいかにもーな王子様は、文句のつけようが無く似合ってました。デコラティブな衣装に金髪で長く緩いウェーブの鬘が美しくて。
お供の黒ずくめの少年@桂ちゃんとの映りもうるわしくて良かったです。(ワイルドの『幸福な王子』王子と燕であるとの由)

あとは、花嫁人形@まーちゃんと彼女に惹かれてその鎖を外すコムちゃんのシーン。まーちゃんの美しい人形振りと、コムちゃんの「人形に惹かれる多感な青年」振りが。
あとハマコ氏の歌はもっと聞かせてください(笑)。東宝では長くなっているといいなあ。(いや東宝は行かないけど)

パレードの衣装、男役の黒青変形燕尾が素敵でした。娘役の同色ドレスも。
(でも、ちょっとパレードには渋すぎるかなという気もしたけど)

打合せしないで作った割には、三本ともキャラクター配置が同じなんですよね。
トップコンビ+轟氏の三角関係(頂点はコムちゃん)。かしげちゃんは語り手、導入役。
そして物語の色調は耽美。
まあ、この布陣で見たい、作りたいと思うものが誰が見ても同じ、ってことなのかもしれないけど。
ある意味実験作だったのではないかと思います。

と言いつつ個人的に今回一番のヒットはまーちゃんでした。あんなに黒から白まで出来る娘役さんだとは知らなかったよ。

            ***

芝居の話の補足。やっぱり私が考えすぎで心が狭いだけかもしれない。
ラスト近くの「産むだけなら豚でも」で笑いが起こっていました。
そこ笑うとこなら、笑えるなら別にこの芝居は何の問題も無いんだと思います。
ただ単に趣味が合わないだけなんだろうなぁ。
せっかくハマコ氏の嫌な奴→でもいい奴に芝居は良かったのに、残念だ(って言うかあんたの問題はそこかい)。
雪組公演の話を。ネタばれとか配慮しないのでご了承ください。

21日の日記じゃ何が何だかわからないよね。
ショーではちゃんと轟様とトップコンビが三角関係だしな。奪い合われているのはコムちゃんだけど(笑)。

芝居のオープニング、踊るカップル3組。
かしげ&となみはいいとして、轟氏と組んでいるのがまーちゃん?
ってことはコムちゃんの相手は???
……女役の音月桂ちゃんでした。

そ、そうか、トド様降臨だとそうなるのか。
前回出演した花組公演は見ていなかったので、驚いた。
え? ってことは来年?

トド様と檀ちゃんがハッピーエンドで、わたるくんの相手役はまとぶんor礼音くんの女装だったらどうしよー!!!
そっ、それは勘弁してー、せめて檀ちゃんを挟んでの三角関係にしてー!
この際最後振られてもいいからさ……(弱気)。

と言うのが「せめて三角関係」の意味です。
まあ、今現在出ている公演情報では、多分そうなる可能性が高いと思うけど、不安だ……。
ま、あくまでも「私の」個人的な希望に過ぎないんですが。一般的な見解がどう、と言うのはわかりません。

そんなことを考えながら観ていたので芝居に集中できなかったんですが。
でも、なあ。集中できなかったのはそのせいだけじゃないよなあ。

ひとことで言うと、杜撰なお話でした。

ストーリーがご都合過ぎてめちゃくちゃなのもさることながら、微妙な問題の扱い方がいちいち粗雑だなあと。
男女関係の描き方が相当アレだよなー、とは『傭兵ピエール』の時も思ったんですが、宗教とか家族とか義理の親子とか捨て子とか臓器移植とか経済格差とか、こんな描き方しかできないならやめとけばいいのに、と思いました。

特に顎がはずれたのが、臓器移植のとこなんですが。
はしょってますが、だいたいこんな話。
・主人公の兄弟(トド様、コムちゃん)の母は幼い頃死んだ。彼女の遺言で、臓器は知らない人に提供された。
・幼い兄弟は臓器が誰に提供されたか知りたかったが、教えない規則なので叶わなかった。
・弟はその後レスキュー隊に入り、レスキュー隊では怪我や死亡事故に立ち会うことが多かった。
・弟はレスキュー隊にいたときに、臓器取引をしている汚い男(ハマコ)と出会った。
・弟はその後、男と偶然再会。彼に母親の臓器提供先が誰か教えてくれと頼む。←ええー!?
・実は弟がレスキュー隊に入ったのも、臓器の提供先を知る機会があると思ったから。←えええー!?
・男は頼みに応えて、臓器提供に関する証拠書類を持ってくる。「人に感謝されるようなことをするのは初めてだ」←ええええー!?

ええと。
「臓器取引をしている汚い男」は犯罪者じゃないの?
なんでそいつが正規の手続きで移植された臓器の情報を持っているの?
っていうか、その情報を教えることを「良い行為」として描いていいの?

……何か、すげー問題作のような気がするのは、私だけですか?

私は割とハッピーエンド好きなんで、ご都合主義自体には相当寛容なんですが。占いとか偶然のいい加減さは許せる(と言うか、この話に関しては既にどーでもいい)んですが。
ここはちょっとなー。いいんだろうか本当に。

出演者は、楽しく熱演で、その点では楽しめました。
と言う訳でさくさく個別キャスト話。

ジェイク=トド様
主役なんで、ストーリーの「ええーそれでいいの?」感を一身に背負っちゃった感が。特にヒロインとの関係が。
……あれでいいのかしら。
って言うか「この人が轟さん」と認識して見たのが『花供養』とこれだけなんで、私の中でどう位置づければいいかわからなくて、上手く語れないこともあるんですけども。

フィンセント=コムちゃん
ジェイクの血のつながらない弟。えーと、この人の方がまともな人間に見えました。まーちゃんに対して「兄の恋人」として対するんですが、自然でそれがかえって違和感あったり。

ジーナ=まーちゃん
ヒロインなんで、ストーリーの「ええーそれでいいの?」感を(以下略)。
でも、まーちゃん自身のすがすがしい持ち味でだいぶ救われたような気もしますが。

シモーヌ=桂ちゃん
空手は黒帯、でも恋には不器用な女の子。いや、異常にはまってた。可愛かった。
フィンセントの相手役なんだけど、抱き合ったときにコムちゃんを持ち上げちゃうあたりとか、いいわー(笑)。
でもこんなに似合っちゃっていいのかと言う気はする。まして前作はアメノウズメで、今回も女役ってどうなんだろう。

デニス=かしげちゃん
女優ブレンダのマネージャー。ブレンダに片思いの馬鹿で人のいい男、なんだけど、それだけじゃなくて。
誕生日のケーキのとこで、怒るブレンダの口元についたクリームを指で取って「甘い」ってにこっとして見つめるとこにときめきました。ちゃんとロマンチックもできる男なんだー、って感じで。
基本的にはベタでどーでもいいような話のバカップルなんだけど、好みだからOK。見目麗しいし(笑)。
かしげちゃん、巡業から戻って、上にトド様もいて三番手状態で、なんだかのんびり気楽に楽しそうにやってるような気が。(いや、実際のとこはわからんけど)

ブレンダ=となみちゃん
そのブレンダ。わがまま女優で喋り方とかも妙に作ってるんだけど、でもキュート。お姫様役者のイメージがあったけど、いや、上手いわ。元々の品があるから、下品にも嫌味にもならないし。ホテルで一人きりの誕生日のところなんて、寂しいのが伝わってきてほんと可愛いかったもん。パック顔なのに(笑)。(そしてそこにデニスが現れるのさ)

……しかしこのカップルが好きって『ラ・エスペランサ』でベニートとイネスに大喜びしていたのと通じるものがあるかも。

ジョルジュ=ハマコ氏
前述のとおり、役がなぁ……(嘆息)。上手いからそれなりに見せてくれてはいるけど。(そしてそれは全員に言える事なんだけど)
それにしても緒月くんが息子って! しかも子役って!(笑)これは、彼にとってもどうなんでしょう???
(でもこの二人親子に見えなくもない。いや雰囲気的に)

            ***

以下私信。

気がついたら21日の日記を「み」さんに紹介していただいている(^^;。
慌てて昨夜数行追記しました。こんな野次馬記録ですみません。

緑野さんに「それ萌えるとこなんですか!?(笑)」と突っ込もうとしたら既に撤回されてました。あらら。
えーと、それってあのひとそのものが妖精なんじゃないでしょうか? タカラジェンヌが妖精である以前に、ナチュラルに。ある意味天然もの。
(と、無責任に言い逃げて了)
雪組大劇場公演を観に行って、キャトルに寄って、あんまり混んでたんで直接外に出る出口から出たら、楽屋口に人だかりがあった。
あれ、出待ちしてるんだ? とふらふらとそっちへ。
そっか、ムラ最後のお稽古日なんだ。

と言う訳で、はからずもお見送りが出来てしまいました。

かのちかちゃん。ピンクと白の薔薇の花冠をつけて。同じ薔薇のブーケを持って。にこにこして。可愛い可愛い、ありえないほどかわいいかのちかちゃん。
同期と思しき3人と一緒でした。すずみんと、青空弥ひろくんと、あとひとり娘役ちゃんが、ごめん、わからなかった。かつきちゃんかなーと思ったけど。

みっこさん。濃い目のピンクの花冠を、手に持って。つけてこなかったのは恥ずかしかったのかな。照れたような笑顔で去っていかれました。ファンの方々に囲まれて、ご挨拶をしている様子でした。

聞きながら待っていた『ドルチェ・ヴィータ!』のCDが、ちょうど終わったあたりで、ケロさん。
濃茶のスーツに、鮮やかな黄色の薔薇の花冠。
私は一般ギャラリーの方にいたので、特に笑顔を向けられることは無く。でも、静かな落ち着いた表情で去って行かれました。かっこいい、と言うか美しい姿だと思いました。
(花冠はやっぱり娘役ちゃんの方が似合うもんなんだとは思いましたが、まあそこはそれ)
待っている方が多かったので、交差点の方まで移動して。白い会服を着た方ひとりひとりから一輪ずつ白い花を受け取っていました。その花が次第に大きな花束になっていくのを、私は遠くで見ていました。

拍手でお見送りすることが出来て、良かったです。
ほんとうにいままでありがとう。

ええと、長々待っていたので退団者以外にも大勢拝見しました。
檀ちゃん、とうこさん、しぃちゃん、まとぶん、ももかさん、組長副組長、嶺くん、あと忘れた。わたるくんは見られませんでした。
皆様元気で頑張ってください。東京にも観に行くからねー(笑)。

あ、会の皆様から花を受け取るケロさんの姿を見た知らないおじさんから「あれはトップですか?」と聞かれました。
「ファンの人すごいねぇ」と言ってました。

            ***

私信。
緑野さん、私も『歌劇』でとうこさんが「ワタルさんを手に入れようと追いかけるが叶わず次のターゲットをケロに」と言っていたのを見た時には驚きましたわ。この辺に書きなぐったことと近いこと言われちゃってるよ、ひゃーってな感じで。
公式設定と言うより、とうこさんの設定じゃないかと思ってるんですけどね。CSのナウオン(大劇のロビーで見た)では「荻田先生あんまり説明してくれないからよくわかんない」みたいなこと言ってたし。

            ***

今日は、雪大劇、出待ち、梅コマエリザとハシゴしたんですが、雪とエリザの感想はまた後日。

でも予告編ということでとりあえず箇条書きで吠えておきます(笑)。

雪組大劇場公演・芝居『青い鳥を捜して』
・とりあえず、かしとなのためにもう1回見てもいいです(えーそこなの?)。
・つーか、かしげちゃんのデニスが私の好みストライクゾーンでめろめろになりました。(注・私の好みは何パターンかあります)
・作品自体は……突っ込みどころ多すぎと言うか真面目に語る気力が失せると言うか。キャラクターと役者を見るだけならありかと。

雪組大劇場公演・ショー『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』
・くっきりはっきり3本立て。あのー、みなさんちゃんと打合せして作りました?
・嫌いじゃないけど、面白かったけど、3本とも色合いが似すぎてちょっと胃もたれ。耽美退廃デカダンサブカルバッドテイスト。
・第3部、三木パートの美術(横尾忠則)が私の好み直撃。見蕩れて肝心のショーがおろそかになる大失態。

雪組大劇場公演・全体の感想
・全体テーマは「悪趣味」?(良くも悪くも)
・「清く正しく美しく」は何処へ……。いや美しくはあったか。
・もう1回くらい見たいけど、いつ行けるんだ(東宝行きの予定と相談)。

でも実は終演後の心の叫び
・来年……って言うか来年? ええーらららら来年ー!!!
(植田先生どうかせめて三角関係にしてください、お願いしますー)

梅コマ『エリザベート』
・うわー演出全然違う。
・全然違う話になってるよ。
・……これが来年月組にフィードバックされちゃったりするんだろうか、小池氏。何だか不安だ。
来年の星バウの出演者が発表されたんですが。
正直、誰がどの役か見当もつきません!(笑)

あらすじに主要と思われる5人の人物が出ているのですね。
ちょっと整理してみました。

ジョニー・ケイス 米財閥の御曹司。スーザンの元婚約者。
スーザン・トレーシー 米社交界の花。ジョニーの元婚約者。ヘンリーと婚約中。
ヘンリー・ファーリントン 貧しい炭鉱夫から這い上がった青年実業家。スーザンの婚約者。
マイク・コナー 三流新聞の記者。ジョニーの学生時代の友人、ジュリアの恋人。
ジュリア・ガーネット ピアノ教師。スーザンの学生時代の友人、マイクの恋人。

で、この5人がくっついたり離れたりするコメディ、であるらしい。
『男女5人船物語』と私は個人的に呼んでますが。(元ネタで世代がばれる)

多分、ジョニーが主役でスーザンがヒロインなんだと思うけど。
主演は発表されているからわかるとして、発表された出演者から誰がその恋敵とか友人をやるのか、見当がつかないのは私だけでしょうか。
いやー、想像しがいがあるなぁ(笑)。
上級生からの出演がきんさんとみきちぐっていうのも面白げだ(失礼な!)。このストーリーなら、みきちぐ氏はヘンリーをやってくれてもいいと思うんだけどね。

とりあえず有り得そうなところで、スーザンを仙堂さんで想像すると、色々楽しくなってしまいました。

 完全主義で、ジョニー(すずみん/れおん)の大まかな性格に文句をつけまくって疲れさせ酒びたりにしてしまうスーザン。(「あなたってどうしてそういい加減なの! あたしもう我慢できない!」「我慢できないのはこっちだよ……」)
 成り上がりのヘンリーにうっとりして、周囲の反対を押し切って婚約してしまうスーザン。(「やっぱり男は甲斐性よ!」)
 でもその反面粗暴なヘンリーにうんざりするスーザン。(「デリカシーの無い男って耐えられない、もうイヤー!」)
 友人のジュリアがモテるのにジェラシーで、ジュリアの恋人にちょっかいを出すスーザン。(何よあんな娘私の方がカワイイわよと裏でふくれつつ、「あなたって優しいのね」とかきらきらした目で見上げてみたり)

……これだけ妄想できるって、しかもそれが楽しいって、実は仙堂さんのことがかなり好きなのかもしれない(笑)。
って言うか、私は仙堂さんがシリアスなお芝居してるところを見たことが無いような気が。だからこんなことになっちゃうのか。
(『王家』はエチオピア娘だったからシリアス組なはずだけど憶えてないし)

まあ、この時点で発表されているストーリーは全然別物になる可能性はあると思ってますが。とりあえずネタとして楽しいので遊んでみました。しばらく遊べそうです。

あとまあ、下級生ばっかりで本当にワークショップだなぁとも思ってますが。(すずみんとれおんくんは役替りで両方出る訳じゃないんですよね?)

とにかく観に行くことは私的に決定事項。
星組大好きだしな(笑)。

あ、中日王家の出演者も発表に。
こちらの配役も当分想像して楽しめそうです。メインどころが色々抜けているだけに(笑……えない)。
とりあえず専科のお二人が健在で何より(よかったー!)
月バウ見て参りました。
実は見たのは11/15。友達が友会に当たって誘ってくれたので。
そもそもこの日にバウを見る予定がなければ、汐美さんのディナーショーも行かなかったかもしれない。と言うことはゆうひくんのおかげか。

さて。
私はヅカ歴が浅いので、ジェンヌさんのキャラクター把握が一般的な見方とちょっとずれているらしい。
熱心に見るようになってから、最初にアンテナに引っかかった、印象に残った姿がデフォルトイメージになるので。
例えば、まとぶんは篁さま(花のいそぎ)で、次は皇甫惟明。なので私のイメージは「正統派の二枚目。主役をやると映える人」。
タニちゃんはサバティエ(白昼の稲妻)、モディリアーニ(1914/愛)。「下町の王子様。やさぐれプリンス」。

では、本日主演のゆうひくんのマイファーストインプレッションはと言うと。
……フィリップ王弟殿下(薔薇の封印)です。
「すごい美形。でも変ー!(喜)」って感じでした。
うわーごめんなさい。

いや、どうも今回『THE LAST PARTY』の感想が世間様とずれているような気がして、言い訳でした。
でもま、自分の目で見た心で感じたことしか書けないし。と言う訳でさくさく行きます。

最初に作品の話をすると、初見の宙では気づかなかった悪いところが気になった、って感じがありました。
やっぱり一代記って、エピソードの羅列で、盛り上がりに欠けるのかなあと。
(『送られなかった手紙』でも感じたことだけども)
特に前半ちょっと退屈でした。後半はゆうひくんの熱演で盛り上がりましたが。

が、その盛り上がりに水を差すのが、役と役者(スコットとOZORA)の二重構造。
せっかく涙を流しての熱演に、こちらも引き込まれていたのが、これはお芝居ですよ、と目を覚まさせられる。
「さて、このシーンをどう演じよう」と言って、みんな役者に戻ってるいちゃんがゆうひくんの衣裳の襟をなおしてみたりして。
物語に感情移入したままラストまで連れて行って欲しかった。

そこさえ変えてくれれば、かなり印象違うんだけどなー。
その後の、「Dear○○」とみんなが自分の演じた人物に呼びかけるところは、お話がいったん終わった後のエピローグと思えばまあ、許容範囲ではあるんだけども。(でもそこをカットして長めのフィナーレをつけてくれた方が楽しかったけど)

以上で文句おしまい。
とは言え、美しい話ではありました。主役は出ずっぱりだし、遠来の客二人(東京から来た。ひとりはゆうひファン)も満足してくれたし、よかったよかった。
美しく繊細な話なので、美貌で繊細さを持ち合わせた男役なら割と誰がやっでも見てみたいです。とりあえずさららんも似合うんじゃないかと思うし、個人的にはまとぶんもいいかもと。
(逆に私の好みだと、美しくないと辛い……)

以下キャスト話。

スコット=大空祐飛
すみません(と最初に謝っておく)。
やっぱり初見の宙の印象が強くて、私にとってはスコットはタニちゃんなんだわ。「プリンス・スコット」な感じ、「背中に羽が生えている」感じが。
ゆうひくん個人に対しても、クールビューティーなイメージが強くて、普通に青年の演技をしているのに見慣れるだけで前半かかっちゃったと言うか。
でもその分、最後の方、涙を流しての熱唱には打たれました。(あの曲のタイトルは『Life』でいいんですか?)
タニスコットはこの世を去るのが当然、と言う感じだったけど、ゆうひスコットは、生き続けることができたら何かが変わったかもしれない、と思いました。

ゼルダ=紫城るい
……期待しすぎたかも。
いや、良かった、良かったんですよ! 特に壊れていく過程が何とも。(かなみちゃんは壊れきったあとの方が良かった)
でも、華やかな「シンデレラ・ゼルダ」は難しいのかなあ。
追い詰められるさま、いっちゃっているさまは出来ても、華やかでかっとんでてなおかつキュートな大輪の花、って言うのはなかなか表現できるものじゃないのかもしれない。
多くを望みすぎたのでこんな感想になりましたが、よかったです。美貌や雰囲気もさることながら、歌が良かった! 声もすごくきれいだし特に『I am you, You are me』が、スコットと見詰め合って歌うとこに説得力がありました。
(叶わぬ夢だけど、タニちゃんとるいちゃんの組み合わせだったらどんな感じだったかなぁ)

アーネスト=月船さらら
正直、1幕が終わったときは笑いをこらえるので精一杯でした(失礼な!)。だって宙のはるひくんとあまりに持ち味が違いすぎるのに、同じようなキャラクターで。もっと変えて作ってくればいいのにー、と思いました。
が、2幕で評価急上昇。これはあり。十分あり。って言うか全然OK。いいじゃんいいじゃん!
だって、さららんのアーネストは、本当はスコットのことが好きなのがわかるんだもの。不良少年が精一杯背伸びしていきがって突っ張って。本当はスコットを認めているからきつく言う。弱さを認めたくないから傲慢さで自分を隠す。
ただ単に私が熱いキャラの方が好きなだけかもしれないけど(笑)。

マックス=嘉月絵理
いや、嘉月さん好きなんですが、上手いんですが、ふつうのいい人だったなあと。(なんとなく川平慈英に似てると思ったのは私だけですか。私だけですね)
スコットとマックス(とアーネスト)の関係が、宙と月では全然違うのが面白い。
宙は子供と大人だったけど、月はもう少し近い、微妙な感じで。
どっちもありなんだろうな。

シーラ=五峰亜季
この人だけ続投。シーラとの関係性も両スコットは違っていて。
宙では完全に大人でお姉さんだったけど、月では可愛らしさが増していたような。やっぱりお姉さんでスコットの支えなんだけど、でも恋人と言うか。

その他、全体的に脇の芝居のテンション、温度が高かった。
特に2幕冒頭の浮浪者の迫力がすごくてびっくり。面白ぞ君たち!
明らかに宙と違う(笑)。宙は後半日程、月は前半日程で見てるのに。
(ちょっとやりすぎな感もあったけど(^^;。ローラ(スコットの秘書)とか)

やっぱり、先に見た宙の印象が強くて。
エンターテイメント性にやや欠ける作品だとしても、私にとってはタニちゃん自身がエンターテイメントだったからなぁ(苦笑)。
月が先だったらどう感じたのか、今となっては想像もつかないんですが。
ファーストインプレッションは強い、と言うことで。

(あと、ファーストインプレッションと言えば、事前に読んだ『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック(村上春樹)』これに「若くてハンサムで成功してるってのはなんて素敵なことなんだろう!」ってスコットの台詞があったんですな。それでタニちゃんがその台詞を言うイメージがぱーっと浮かんできて……そんなシーンなかったけど・笑)

彼岸の人魚

2004年11月16日
前楽だったか、気になったことがあって。

フィナーレ、白スーツの場面。
汐美さん扮する男に寄り添う、白いドレスの娘、かのちかちゃん。
でも、男はドルチェ・ヴィータを見つけ、悪魔は娘の前に立ちはだかる。
男は二度と戻らぬ旅に発つ。娘は取り残される。

と、思っていたのに。

前方席で、初めて橋の上の娘の表情を見た。
彼女は、微笑っていた。

彼女も、悪魔が仕掛けた罠のひとつだったのだろうか。
白いドレス、白い肌、砂糖菓子の微笑、美しい罠。

(それとも、もう楽だからかな?東宝では確かめてみよう)

と、思っていたら。

彼女もまた彼岸の人魚。

今となっては、可愛らしい姿が瞼をよぎるばかりです。
幸多からん事を。
終演後、緑野さんとお友達、ドリーさんと合流。
お二人ともショーの余韻で目が潤んでいる。そりゃファンは泣くよね。
そしてお二人ともドレスアップして素敵でございました。(私のテーブルは最後の方にチケットを取った人たちだったせいか、すごく地味で寂しかったのよ。ま、私も何てことないスーツで、他人のこと言えないけどさ)

ドリーさんは宝ホに宿泊中とのこと。
「控え室と同じ階だから、もしかしたらジェンヌさんが見られるかも」
わーいわーい、と下心を抱きつつ、いそいそとお部屋にお邪魔。

そして。
宿泊階でエレベータの扉が開いたとき。
目の前に立っていたのは、すずみんでした。(+コトコトともう一人娘役ちゃん)

一同硬直。そそくさと撤収。
「もー、kineさんってば!」
「何で私なんですか! 緑野さんでしょー!」
ドリーさんのお部屋に転がり込んで大騒ぎの押し付け合い(何をだ)。
あーびっくりした。
本日最後の記憶が、すずみん……。
「いえ、コトコトってことにします」と、ドリーさん。
ひでぇな我々(笑)。

いや、私と緑野さんはすずみん好きだけど。でもこのシチュエーションでエレベータの扉が開いたらそこに!はネタだよな、ってことで(笑)。

でも、神さまはそんな私たちのことを見ていました。
多分ね。

そろそろ失礼、と言うことで、フロントに用があるドリーさんと3人で下りのエレベータ。
閉ボタンを押そうとして、人の気配にちょっと待ってみると。

駆け込んできたのは、すずみんでした。(+コトコトともう一人娘役ちゃん)

……何で、私たちがここに着いたときにすれ違いで乗った人が、帰るときに同じエレベーターに乗るんでしょう?
すげー、はずさない人だー。いや、はずす人だと言うべき?(注:すずみんは何もしていないことはわかってますが、我々の立場としては・笑)

6階から1階まで、エレベータの中。
我々3人と、ジェンヌさん3人の空間。
顔を上げるとつい笑いそうになって、ひたすら下向いてコトコトのブーツの飾りの造花を見てました。(でもやっぱり見たいので顔を上げる。そうすると笑けてきてまた俯く、の繰り返し←馬鹿)
どうか「緊張して顔を上げられず、動揺して震えていた」と解釈してくれたことを祈る。(その方がお互い幸せだよ……)

いや、私はすずみん好きですよ?
近くで見たら、やっぱりきれいだったし。
つーか、オフでも「タカラヅカの男役」していて感心した。
サービス精神も旺盛だし、こういう人にハマったら楽しいかも、と思います。
でも惚れてはいないけどな(笑)。

と言う訳で。
これはもう運命ですね、緑野さんの(笑)。
「だって前にも狙い撃ちでウインクされたんでしょー?」
緑野さんは、「すずみんきっと「ファンにストーカーされちゃったぜ」とか思ってるわ」って嘆くし(笑)。
ドリーさんは目に見えて落胆してるし(笑)。

楽しい夜、豪勢なおまけでございました(笑)。
それもこれも緑野さんとドリーさんのおかげ。ありがとーございましたー!

            ***

あ、しょぼいと聞いていたディナーショーのプログラム。
確かに小さくて紙質もぺらぺらで中のページはモノクロで、しょぼいと言えばしょぼかったです。
が、私が一番がっかりしたのは、オギーのコメントが無かったこと。
だってしぃちゃんのときはあの言葉職人オギーが素敵なコメントをつけてくれてたんだもん。
まあ、言葉なんて要らない、素晴らしいショーだったと言えばそうなんだけども。
汐美真帆ディナーショー『Good Bye, Good Guy, Good Fellow』行ってまいりました。
と言うか潜入しました。ご、ごめんなさい。

いや、最後のディナーショーなのに、本命ファンでもないし見てきた歴史も超浅い私は、招かれざる客だとは思ったんです。
でもチケット取ったのは11月に入ってからだから、見たかったファンの方の権利は(多分)侵害していないと思うし、一番後ろの席だったし、許してほしい……。(一番後ろでほんとによかった、ほっとした)

実際、宝塚のナンバーは殆ど知らない曲だった。でもそれはもう承知の上で。
それなら何で来たかって?
だって見たかったんだもん。としか言えない。

そして、見てよかったと心から思った。
とても素敵なショーでした。

と言う訳で私はこのショーについて語る言葉は殆ど持たないのだけれど、でもまあ一応感想など。

トークは最初と最後のご挨拶だけ、本当にノンストップのショー。

最初、ケロさんは高い台の上に黒燕尾で一人出てくる。
銀のラインと飾りボタンがついた黒燕尾。
いきなり黒燕尾。
ひそかに、私は汐美さんを、一番黒燕尾が似合う男役さんだと思っているのだ。(現役でなければビデオで見ただけの成瀬さんも素敵ですが。余談)
うっとり。
色々考えるのはやめて、私はここにいていいんだろうかと考えるのもやめて、ただただ見つめることにしました。
かっこよくて、うつくしい、魅力的な色男を。

衣装は、そのあともトレンチコートとソフト帽、デザイナーズっぽいやつ(コシノヒロコさんの?)、赤い闘牛士服、紫スパン、白で上着の裾の長いやつ、と盛りだくさん。
曲もバラエティに富んで、アップテンポになったりスローになったり、コミカルだったりしみじみしたり。
一瞬たりとも飽きる暇の無い、きらきらしたおもちゃ箱みたい。

出演者は、ケロさん以外は娘役4人。
もうもどらない素敵なあなた、と歌い踊る星娘たち。
客席の代弁者みたいに。

殆ど、聞いたことのない曲。でも、おぼろな知識でわかる。
これは、みんなケロさんに縁のある曲なんだと。
娘役ちゃんたちも、今までのケロさんの相手役の衣装を着て登場したり。
(『凍てついた朝』はビデオで見ていたのでかろうじてわかった。写真撮っているのも、そういうことで)

最後の方、エリザの『夜のボート』。シシィは南海まりちゃん。
ケロさんは白い衣裳、みなみちゃんはワインレッドのドレスと黒いベール。
年老いた皇帝、と言うより、人間らしい嘆きを聞かせるケロさんの歌。やさしくさとすようなみなみちゃんの歌。
素晴らしかった。
(ここはみなみちゃんもすごかった。君シシィできるよ!)

プログラムの最後は、このショーのために書かれた『Good Bye, Good Guy, Good Fellow』。
いい曲でした。娘さんたちの、タイトルを歌詞として歌う美しいコーラスが耳に残ってます。

最後はケロさん、何度も何度もカーテンコールで呼び戻されて、ボロボロに泣いてました。
照れ隠しにバイバーイ、とおどけて手を振るお茶目なケロさん。
可愛かったです。

見てよかったと心から思った。
本当にいいショーでした。

あと、思ったのは。
ディナーショーって、これだけのことが出来るんだ! ということ。

舞台中央の台の使い方が秀逸だと思う。
高さは1メートルくらいかな。基本的にはお立ち台?として使っているけれど、芝居っぽいシーンではバーカウンターになったりして。

そしてこの台は「距離」を表現するためにも使われていて。

『夜のボート』平舞台にはフランツ。台の上にシシィ。
二人の姿が重なることは無い。二人が触れ合うことは無い。
シシィは愛と慈しみに満ちた微笑で、地上のフランツを見つめ、背を向けて去ってゆく。

ディナーショーって、これだけのことが出来るんだ。
舞台の狭さも専用の会場でないことも全然感じさせない、素晴らしいエンターテイメントだった。
出演者もスタッフも、そして客席も渾身のディナーショー。

客席のジェンヌさんたち、劇団関係者、演出家諸氏がそれを目の当たりすることが出来たのも、大きな財産じゃないかと。
大きな財産を、残して行ってくれたんだと。そう思います。

そう。
客席のジェンヌ率が異常に高かったです。3割以上ジェンヌさんじゃないかな。
星組はワタ檀を筆頭に主な面子は殆ど来てたし。月組も多数。(14日にも来てたらしいゆうひくんもいた)
劇団関係者も入れると4割超えてたかも。藤井、齊藤、荻田の各氏は見ました。
私の席からはしぃちゃんとまとぶんが並んでいるのがよく見えました(遠かったけど)。この二人のツーショットって、ほんと普通に美人さんだなあ。
最後列の椅子席には、ショーから来たすずみんとコトコトが。コトコトもほんっと美人。ロビーではうめちゃん発見。かわええ。
しかしそんな中でもゆかりちゃんの美貌は異彩を放ってました。ただもんじゃありません。(しかしなんでおじさんばっかりのテーブルにひとりだけ?)

ほんとにもう、名前をいちいち挙げきれないくらいのジェンヌさんを見ました。
これだけの人が集まることに、また感慨。

知らない曲の中で、耳に残った言葉があった。
Brightest。
一番輝いている。
一番輝いているそのときに、やめちゃうんだなぁ。
それがジェンヌさんというものなんだなぁ。

Brightest。
見ることが出来て、よかったです。
末代まで自慢します(笑)。

追記。
歌で一番好きだと思ったのは『望郷の賦』。
娘が生まれたときのことを思い出すお父さんの歌。
ハートフルな、ドラマを感じさせる歌がいいよねぇ。ほんっとうまいよねぇ。と思いました。
雪組さんを観に行こうと思ったけれど、朝起きられませんでした(爆)。
だからって、朝から『マスカレード』をリピートかけて聞いているのもどうかって感じですが。(一緒に歌っちゃうのは更にどうかと)

主題歌CDを買う事なんてないと思っていたけれど、『ドルチェ・ヴィータ!』にあまりにはまって、発売日につい購入。
公演を見られない間のつなぎに、という目的だったけれど、これが良かった。

封を切って、まず、プログラムと歌詞が違うのにびっくり。
主題歌CD買うのは初めてなので良くわからないのだけれど、そういうもんなのかな。
どちらもショーの中で使われている歌詞ですが。確かに、全部収録したらすごく長くなっちゃうのかも。

歌も、違っていた。
まだ役に入っていない時期に収録したのか、非常にニュートラルな声。
淡々と、甘くうつろ。しかし美しく儚げで心惹かれる。ダウナー系のドラッグみたいな歌。
これもまたもうひとつのドルチェ・ヴィータ。

と、いう印象でした。

でも、今日聞いて感じたのは、哀しみ。
ひたひたとよせる波のような哀しみ。

千秋楽、泣いてしまって顔が上げられなかったとうこさんの姿が残像として残っているせいかもしれないけれど。

CDとプログラムで、「歌詞の違う部分を使っている」というより「歌詞が違っている」部分がある。
遠い国の絵本の、最後のページ。そこにあらわれるのは。
CDでは、寂しがりやの人魚。プログラムでは、悪魔。
でも、どちらにせよ、彼らは涙を流すのだ。

涙する人魚、または悪魔。
最初から思っていたけれど、今まで書かなかったことがある。

何故、汐美氏演じる男にディアボロの姿が見えたか、その理由。

それは、彼に彼岸が見えているから。彼が既に彼岸の住人になりつつあるから。
此岸にとどまっている、まだ此岸にいるべき人間には、悪魔の姿は見えない。

まあ、彼岸にいざなう悪魔が実は此岸にとどまる人間だということが、パラドックスな訳ですが。

で、私が思うことは。
荻田氏がワタさんのラストステージを創るとしたら、どんな風になるんだろうな、ってこと。
取り残される者それでも前を見て歩き出す者として今まで書かれていた人を、去る者として書くとしたら。
おそらくそれが書かれる可能性は低いので、より思うわけですが。次にオギーが星組を手がける機会は、そうすぐには回ってこないだろうから。

まあ、それはそれで、いいや。
既に書かれたものだけでも、十分いいものを見せてもらえたから。
叶わぬ夢を元手に色々と思い描くのも楽しいから。

            ***

一昨日の日記。あんなに書いたのに忘れてたことが。
千秋楽、花市場にて水兵ケロさんにペンダント?を渡す女の子(仙堂さんだよね?)。すごくラブラブいちゃいちゃな雰囲気が、なんか、可愛かったわ。

仙堂さんと言えばプロローグの白鬘縦ロールが大変似合って可愛らしいです。お人形さんみたい。と言うか下妻物語みたい。(映画は見てません。宣伝写真だけ)

            ***

昨日の日記、今読むとイタイと言うか中途半端というか、世迷い言だなぁ。
夜中の(夜明けの)4時にアップしたりするから。
うーんまあとりあえず晒しておこう。嫌になったら消します。
(苦笑・どっかおかしいんじゃないかと言う突っ込みは拒否しません。)

ちなみに私がしぃちゃんのもみあげチェックをし損ねるのは、表情を追うだけでいっぱいいっぱいになっているからだと思います。(私信、かな)
フィナーレの冒頭、白スーツケロさんの場面。
前楽くらいからすっかりサヨナラショーバージョンになっていた。
銀橋では、とうこさんもディアボロじゃなくて、見つめあったり寂しそうに微笑んだりしてたし。まとぶんとかもケロさんと見交わして笑ってたよね。
本来のエピローグとしても、サヨナラショーとして見せることもできる場面だった訳で。さすがオギー(と呟いたのは何度目?)。
「でも、しぃちゃんは真顔でしたよね」
「そうなんですよ! 今までどおりでにこりともしないんですー!」
「ケロは笑顔で視線送ってたのに」
「昨日まではあれが正解だったんでしょうけどねぇ」
「空気が読めないというか」
「真面目なんだろうなぁ……」
「いい人なんだろうなぁ……」

と言う会話を、緑野さんとしました。
そんなとこをチェックして気に掛けている我々って一体(笑)。
そう言や、大劇入口上の出演者写真を見て「しぃちゃんだけ歯見せて笑ってる」と言ったらツボに入ったのかやたらと笑わせてしまいました。緑野さんは汐美さんの写真を撮るためにそこにいたのに、手ぶれ促進して申し訳ない(^^;。

こんなにしぃちゃんにの事を人と語ったのは初めて。緑野さんをナンパ(違)したときは、まさか共通言語がしぃちゃんだとは思いませんでした(笑)。
ま、私が急速に星組ファンになったので、周りの数少ないヅカ友はついてきてくれないってことなんだけど。(友達が私のNo.2は礼音くんだと思っていたときには驚いた。いや礼音くんも好きだけど)

今日はしぃちゃんのお誕生日だそうです(昨日知った)。おめでとうございます。
と言う訳でしぃちゃんの話(迷惑な祝い方)。

私がしぃちゃんを初めてちゃんと認識したのは『1914/愛』。
『王家』の頃私はセンターしか見てなかったから。エジプト将軍3人並び(ワタしぃれおん)は目に美しかったけど、それが誰、とは認識していなかったんだな。
『1914』では、冒頭のロシア大公を追い出すシーンが気になって。シャガールとスーチンは支援してもらいたかったのにいいのか? と疑問を解明するためにオペラでこの二人、特にシャガールを追ってました。シャガールの方がスーチンよりわかりやすそうなキャラだったからと思われ。
(ってことは、きっかけをくれたのは谷センセってこと?)
そのうち、しぃちゃんを注目するのが癖、と言うか習慣になってしまったこの公演。
東宝楽の頃には、「ベラを待たせているから!」の笑顔に、ベラになりたーいと思うほどときめいてたりして(馬鹿者)。

もひとつ、舞台外でも衝撃(笑)がありまして。
確か、期間中盤くらいの東宝の出待ちだったと思う。いつものとおり無節操にきょろきょろしていた私。と、
うっわー、すすすごい美人っ!!
すごく感じのいい美人さんが笑顔で今目の前をっ!!

目をまん丸にして見送った、それが立樹さんでした。
ふつーにめちゃくちゃきれいなおねーさんで、えらく驚いた。
シェイプしたシルエットのパンツスーツが良く似合っていてかっこよくて、なんかほんと、普通にモデルさんとか、超ハイレベルなOLさんとか、そーゆー感じで。

それから楽近くの出待ち。ガードの皆様の後ろで眺めてたら、お手紙を受け取るときにファンの方一人一人に向ける笑顔が、舞台のまんまだった……(目眩)。

そんなこんなで、しぃちゃんは私にとってすっかり星組観劇の大きな目的のひとつになってしまった訳ですが。

ひとつ不思議なことがあって。
私にとってしぃちゃんは「女の人に見える率が高い」ジェンヌさんだ。
入り出の姿がおねーさんなだけでなくて、舞台写真とか見ても結構そう思う。(あ、でも『1914』の女装は一番「男役の女装」だった・笑)
入り出も、例えばかしげさんはとても美しい人だけど、それでもおねーさんというより「男役」の方が勝っているような気がする。私は、ですが。

ここからは、私の勝手な解釈なんですが。
立樹さんは、持って生まれた天然素材がそのまま出てるひと、なんじゃないかな。
(決して努力していないと言うことでなくて、作り込んでいないというニュアンスで)
入り出がふつーにきれーなおねーさんなのも、そういうことで。
舞台のままの笑顔で感動したけど、それって裏を返せば、舞台の笑顔が普段のまま、ってことかもしれない。
でも、天然素材でここまで魅力的って、すごいことだと思う。

不思議なのは、それなのに「私が」しいちゃんが好きということで。

だって、私のNo.1はワタさんなんだもの。
どう見ても男にしか見えない男役(笑)。
その超一流のイリュージョンに惚れてる訳で。だから素で喋る姿は敬して遠ざけたりしてる訳で(笑)。
男役さんに「女の子」が見えるとちょっと退く、と言うか困惑するんですわ。いつもはね。(スカステは入ってないけどCafe Breakで時々困惑している(^^;)

でも、しぃちゃんに対しては退かないって言うか、好き。つーか大好き(笑)。
我ながら不思議。
なので今はこの不思議を楽しんでおります。いつか謎が解けるかもしれないし、解けなくても全然問題ないし。
ワタさんとしいちゃんは、心の中の全然違う部分で、それぞれ好き、ってことくらいかな。今言えるのは。

と、最近まで結論付けてたんですが。(続くんですこの話(^^;)

グラフと歌劇に続いて載ったしぃちゃんのポートを見て。
グラフの方は、ステキだけどまあ「きれーなおねーさん」カテゴリーなんですが、歌劇が……ちょっと違う……ような。
しぃちゃん、っていうか、しぃちゃん!? って感じで、こんな貌を見せられたら結論が一瞬揺らぎました。
一瞬だけどね(笑)。

千秋楽。
コーザノストラのしぃちゃんは、博多から比べるとすっかりいい人風味が抜け悪い男に見えるようになって、私は感涙にむせんでました(大げさ)。
上手端にケロさんとしぃちゃんが出てきて、しぃちゃんがセンターに向かう場面。
ここでケロさんはしぃちゃんの肩に手を置き(後半は腕をつかむバージョンが多かった)、止めようとしているようにも「お前が行け」と言っているようにも見えたりしていたんですが。
千秋楽はいつもと違い、ケロさんはしぃちゃんに笑いかけ、しぃちゃんも笑顔(いつもの全開の笑顔ではない、男前な笑い)で応えて。
役の兄貴分弟分(なんだよね?)であると同時に、去る先輩と残る後輩、本人たちの空気も垣間見えて。
私の目には、見えないバトンが見えました。(夢見がちな目を持ってるからー)
しみじみと、いいものを見せていただきました。

この公演、芝居でもショーでもしぃちゃんはケロさんと組む場面が多くて、実は私はとてもうれしかった。
二人とも全然違う持ち味の男役だし、簡単に学べるとか言うものじゃないと思うけれど。
でも、ともに舞台の上にいることでケロさんのいいところ、魅力的なところから学んでくれたら、とてもうれしい。

いい男になってね。
揺らがせてくれるのは全然大歓迎だから(笑)。
(この半笑いっぷりは本気で期待してないみたいですよ、と他人事のように言って、おしまい)

(あ、私は上記コーザノストラのとこ掛算判定してません。ピュアファンみたいなこといってごめんなさいでもそう見えたんだもん
さすがに千秋楽終わって気が抜けたのかなぁ。ちょっと書く気力が失せてました。(実際にこれを書いているのは11/11)
半券数えたら10枚+新人公演1枚ありました(笑)。
とりあえず自分用メモとして、前楽〜千秋楽あたりのまだ書いてないことを箇条書きで。

【お芝居のこと】
・アドリブその1。
 とうこさんの声で「千秋楽バンザイ、東京公演もがんばろー」歌う鳥。玄宗がしれっとアンコールを要求し、では、と安禄山が言い始めると「もういい」って(笑)。なんだよーと言う感じのとうこさんが可愛い(笑)。
・それでも「安禄山にはお心を許さない方が」は言わなきゃいけないのか!(笑)場内爆笑。高力士おつかれさまです。
・アドリブその2。
 不老長寿の薬を「皆が試してみたいと申しております」と言う陳玄礼。その後ろで、はーいはーい、と手を上げる兵士の皆様がラブリーでした。
(小芝居できてよかったねぇ。いつもただ立ってるだけの大道具状態だもんね)
・アドリブその3。「思うは太真とともに」を、李林甫真顔で「思うは宰相とともに」。うっわー、最後に告った(爆笑)、と思いました(李林甫が。だってほんとは太真って書いてあったんでしょ?)。
・宴席、上手の楊家三姉妹。キャーキャーやってると思ったら、安禄山が目線飛ばしてんじゃん!(笑)楽しそうで大変よろしい。
・皇甫惟明帰還の場面、陳玄礼と楊国忠のアイコンタクト増量(嬉)。安禄山とも見交わしてる?
・公演期間後半から変わったらしい楊貴妃死後の玄宗。崩れ落ちて慟哭。前半の呆然としたままよろよろと歩き出す、より、わかりやすくなってます。実は私的に胸に迫るのは前半のバージョンなんだけど、むしろわかりやすくなった方が安心して見ていられるので、まあいいかと。(ここは崩れ落ちた玄宗に一礼して去る陳玄礼の方がツボ)
・楽を過ぎたとこで白状、その1。玄宗即位の場面で赤い衣装の唐の将軍4人が出てきた時点で、毎回既に切なくなります。もうこの並びは最後なんだなぁと思うと。
・楽を過ぎたとこで白状、その2。清明節のお祭りに宮廷を抜け出す場面が結構好きです。特に玄宗の「子供の頃祭りの行列に出て踊ったことがある、楽しかった」のところ。隆基少年の数少ない子供らしい思い出の一つなんだろうな、と思うと胸かきゅんとなります。(賛同者が皆無なのは承知の上)

【ショーのこと】
・前楽、上手端から見た光景、その1。
 プロローグで紫軍服ロン毛鬘の綺華れいちゃんが目の前で踊ってるー!!
 照明当たってないんですけどね(笑)。センターそっちのけで喰らいついてました。(あんた誰のファンだ)
・前楽、上手端から見た光景、その2。
 青の洞窟、礼音くん&まりえちゃんカップルが目の前!!
 ダンサーコンビはすごいです。跳ぶ高さ、手足の伸び、回転の力強さに目が眩む。センターそっちのけで見蕩れてました。(だからあんた誰のファンだ)
・サテリコン。楽にてやっと大真サテュロスをまともに見ました(今まで何見てたかって? そりゃ一番禍々しく毒々しい人です……)。
 うわー本当に手(指!)伸ばして誘惑してるー。誘惑しても大真サテュロスはどこか男前。これはこれで性別不詳で魅力的。
・でも実は私の野望は立樹VS涼(笑)。毒の塊のようなすずみんと、毒のかけらもないしぃちゃんの対戦カードが見たいー。
・青の洞窟。楽はオペラなしで見てました。何だか泣けてきた。
・わたるくんの出番としては青の洞窟が一番好きかもしれない。純粋な喜びに満ち溢れているから。(人ならぬ身ゆえの「純粋な」喜び)
・青の洞窟が終わると、あーもう終わっちゃうー、と毎回寂しくなります。
・フィナーレの群舞。すれ違いざまにケロさんの肩に手をかけるワタさん。
・掛け声合戦は「千秋楽」最後にワタさんが「サンキュー」で。

【ご挨拶のこと】
・組からのお花、同期からのお花は、みっこさんにわたるくんととうこさんから、ケロさんに檀ちゃんとえんでぃーさんから。
・退団する二人も泣いてましたが(みっこさんは最初の方から泣いてて、そのあとちょっと復活してました。ケロさんは最初にこにこしてたのに、何度か幕が上がるうちに泣いてました)、とうこさんがボロ泣きでした。
・顔が上げられないくらい泣いているとうこさんの手を汐美さんが握って、ずっと二人で手を繋いでました。
・しぃちゃん、いつもと同じ笑顔なんだけど、いつもと同じすぎて……あれは笑顔が貼り付いちゃってるのか?
・その隣には真顔が貼り付いちゃってるらしいまとぶんが。
・わたるくんは、普通に笑顔を保ってました。カーテンコールで幕が上がるたびに、二人を押し出すような感じなんだけど、なんとなく腕の伸ばし方が所在無げな中途半端な感じで。いっそ二人の肩を抱いてその大きな羽の中に入れちゃえ!と思ったけど、多分、そんなことしたら平常心でいられなくなっちゃったかもしれないな。

・わたるくんのご挨拶。
 学生さんの団体客が見てくれることが何度かあって、こうやって見た人の中から宝塚を目指す人、今度は自分でチケットを取って見にこようと思う人が出てくるかもしれない、未来の宝塚を支える人たちがいるかもしれないと思いながら舞台を務めた、と言うような話がありました。
 退団者を惜しんで涙するこの場で、未来にも目を向けさせてくれるいい話だったと思います。
(で、そういうことを言ってくれるワタさんに惚れ直す私・笑)
 あ、運動会では123レースが悔いが残るそうです。そう言ったとき参加者他2名の苦笑してうつむく姿がまた何とも(笑)。

【出待ち、お見送りのこと】
・敬意を表し、一応白いコートを着ていきました。
・待ってる間に目の前を嘉月絵理さんが!
・麻尋しゅんちゃんや祐穂さとるくんや音花ゆりちゃんや、その他判別出来なかった下級生の皆様が次々と目の前を! お花を運んだり、かいがいしく働いていた模様。
・しゅんちゃんはとんでもないスタイルの良さでした。ひゃー。
・袴姿の退団者は二人とも笑顔笑顔でした。
・みっこさん舞台上では大人の男なのに、素顔で笑うととても可愛らしかったです。知らなかったよ。
・檀ちゃんを見られました。きれー。
・ワタさんは相変わらず男前。
・すずみんは相変わらず帽子サングラスなしでファンサービス。今までこの人が顔を隠してるの見たことありません。
・しぃちゃんはシルエットしか見られませんでした。でも丁寧にお手紙を受け取っている姿にほのぼのしました。
・とうこさん、妙に出てくるのが遅かった。(フェアウェルの衣裳を作ってるのよ!とBe-Puさん)そういや私とうこさんの出を拝むのは初めてだ。可愛かったです。

【おまけ。馬鹿話のこと】
 色々喋りまくりましたが、一番ショックかつウケたのは、私が無意識のうちにすずみんと春野すみれさまを同一カテゴリーに入れてるってことですかね。(緑野さんに指摘された。いや自分でも気づかなかったよ)
 だって、私がすみれ様を初めて認識したのはラファエロ君@ミケランジェロなんだもの。「全ての女性は母であり恋人」とか言っちゃう妙な人(でもモテモテ)だったんだもの。
 ええと、どちら様にも失礼でしょうか(^^;。悪意は無いと言うかむしろ好意なのですが。
 それだけ印象が強かったんですってば。ラファエロ君。
 
文字数がいっぱいなので、しぃちゃん語りは翌日分に。(これ以上何を語ると!?)
千秋楽。
入り待ちは適当な時間に行ったので、汐美さんのお姿は見られませんでした。
でもわたるくんとみっこさんは見られたから、とりあえずOK。
白い羽?とやはり白い天使みたいなふわふわした触角?をつけて笑うみっこさん、かわいかった。
ワタさんは相変わらず男前さ♪ 黒が似合う

席は2階B席下手。いい席はもっとファンな人たちのために。
アドリブに笑い、泣き、東宝千秋楽の会場にももぐりこむぞー!と決意を新たにする。

ショーは、退団する方へのみんなの思い、退団する方の思いに溢れた、いい舞台でした。
いつも以上のスキンシップとアイコンタクトに溢れている。客席の拍手も長く、暖かい。
ショーの中で、ケロさんとみっこさんはそれぞれ薔薇を一輪もらっていた。みっこさんには、ドルチェ・ヴィータ@檀ちゃんから、花市場の路地裏で、さりげなく。ケロさんには、ワタさんから例のセレブと航海士が出会う場面で。
みっこさんはひたすら渋いまま。ケロさんは渡されてくにゃん、と倒れてくれた。細かい芸にありがとう(笑)。

ケロさんもみっこさんもかっこよくて、なんだかもう、ばかやろーなんでいなくなっちゃうんだよ、って歯噛みする感じだった。
特に、前楽上手端前方席で見たとき、コーザノストラのケロさんにうっとりして、心底思った。今更だけどさ。
でも、今日はそれ以上に、ありがとう、という言葉が頭を回る。
こんな素晴らしいものを見せてくれてありがとう。こんな美しいものを見ることが出来てありがとう。ありがとうありがとう。

千秋楽なんだけど。退団者挨拶もあったんだけど。
ディナーショーもあるし(ケロさんご本人も言ってました)、東宝も通う気満々だし(私が)、まだ終わった気はしていない。
(組長さん挨拶の、東京公演もよろしく、にはチケットがあれば通いますともさ、と心の中で突っ込んだけど)

今はまだ、夢の途中。

            ***

終演後、出待ちして、緑野さんとお友達とご飯食べて。
遅くまでお喋りしすぎて、車で送っていただきました。こんな田舎まで恐縮(^^;。私が車に乗らない人間なもんだから、ろくに道案内もできなくて。近所のコーナンの看板を見つけたときは、わーいコーナンありがとー!と歓声を上げましたわ。

なかなか、帰りたくなくてさ。
お喋りが楽しくて、昨日からずっと夢の中にいるようで、現実に帰りたくなくて、ついつい遅くなった。

『ドルチェ・ヴィータ!』のオープニングを見ると時々、ああ、あそこに行きたい、と思う。
誰か私をあの場所に連れて行って。美しい夢のような、悪夢のようなあの場所に。
もう帰ってこられなくてもいいから。

私は現実だけで生きることに飽きる人間で、だから舞台や物語が好きで、美しいものが見たくて。
でもたやすく日常と非日常のバランスを崩して日常お世話になっているひとたちに迷惑をかけそうになる、困った人間で。
『ドルチェ・ヴィータ!』との出会いは、そういう意味で大いに危険。と言うか、宝塚との出会い自体、危険だったかも。

でも、『ドルチェ・ヴィータ!』は。

パレード。
皆で主題歌『マスカレード』のバリエーションを歌いつぐ。
にこやかに、はれやかに、世界の理を語る。
ご丁寧に、念を押すように、今までと違う言葉であらためて語りなおしている。
明日よりも昨日。未来よりも別れ。
それがこの世界の理だと、微笑みながら歌う。
美しい夢を歌う、マスカレードの住人たち。

だのに。
最後に出てくる主人公の歌う歌、語る言葉は、だ。
新しい一日、朝のきらめき。
挙句に、太陽は惜しみなく君に降り注ぐ、って!

おかしい。
おかしくて笑いたくなる。
おかしくて、かなしくて、いとしくて、泣きながら笑いたくなる。

そうだね。
いつかは、いつかはさ。
伸ばした手が夢に届くかもしれない。
深い深い水底まで、太陽の光が届く日が来るかもしれない。
それで、そんでもって。
とらわれ人たちも淋しがりの人魚もみんなみんないっしょにしあわせになりましょう。

(と、言いつつ。
 それこそが「黄昏の王国のほろびゆくさま」だったりしてな、とも思うけど)

まったくもう、本当にいいのかこんな急に能天気で、と思う。
でもいいのか。「太陽の申し子」だもんな。(オギー確信犯)
そしてその歌詞を明るくはっきり堂々と歌いきるワタさんがもう、何と言うか……大好きだ
参った。
幸せだ。あの人を見てると。
もう一生ついてくともさ。

みんなみんないっしょにしあわせになりましょう。
そのためには、手を伸ばさんとな。

私も頑張らなきゃな、と思わされてしまう。
(思い出せば『1914/愛』も『王家に捧ぐ歌』もそうだったっけ)

ささやかでも、いるべき場所と、やるべきことと。
私の心の太陽(笑)に恥ずかしくないよう、明日からまた頑張りますわ。

生きるべき現し世もまた夢、なんだろうな。

今はまだ、夢の途中。
歩いていきましょうともさ。
朝早めに出て、プチミュージアム見て、11時と15時の公演ダブルヘッダーして、緑野さんとそのお友達と夕飯食べてお喋りして、家に着いたら日付変わってました(笑)。
けっこう疲労困憊ぎみ。でも明日も行く。

とりあえずひとこと。
久しぶり(10/19以来)に見て、『花舞う長安』を許せそうな気分になってきました。(許すの許さないのって何様だ、と言うのは置いといて)

私が考える問題点は、大切なことが3つ書かれていないことで。
楊貴妃が玄宗を愛するようになった経緯と、玄宗が楊貴妃を愛するようになった経緯と、玄宗が国のため働いたということ、の3つ。
でも、それは書かれていないだけで、確かにあったことと思えばいい。
そして何より、演者はそれをあったこととして演じてくれているから。書かれてはいないけれど、役の性根として見せてくれているから。私もそれを見ればいい。

そんな訳で、楽しんでまいりました。

しかし。
しぃちゃん楊国忠のキャラクターが変わってる! 
楊貴妃に皇甫惟明の死を告げるときの「お聞き及びかと存じますが」の無表情さ、その後の楊貴妃と無言で見つめ合う場面に、そうか楊国忠が死に追いやったんだな、皇甫惟明が長安に来た場面からつながってるんだな、と合点がいった!
と言ったら、誰も同意してくれませんでした。
私が夢見すぎってことですか。
本日コンビニで見つけておどろいたもの。

「アルフォンス・ミュシャ フィギュアミュージアム」
http://www.takaratoys.co.jp/takara_candy_toy/mucha/index.html

何があってもおかしくない世界なのは知っていましたが、こんなものまで出ているとは。
(情報遅いですね。検索したらあちこちのblogで話題にしてたし、オークションでも出てます(^^;)

私はコレクター気質ではないので(と言うか、整理整頓が苦手なのでコレクションが成立しない)この手のものに手を出したことはなかったのですが、思わず2箱買ってしまいました。彩色済みの「花」「アイリス」をゲット。

出来は……どうなんでしょう。全体の造型はなかなか美しく、雰囲気が出てます。彩色も「アイリス」は上品な感じで好み。「花」はもうちょっと柔らかくてもよかったかな、肌の色も濃すぎる(黒すぎる)気が。
顔は微妙な気もしますが、仕方ないんだろうな、小さいし。この大きさの割には良く出来てるんじゃないかと。
とりあえず彩色済みを5種類コンプリートしたいです。

ミュシャがありなら、何だってありじゃん? と思い一人盛り上がり中。
「ラファエロ前派の女たち」ベアタ・ベアトリクスとか、ギネヴィアとかー。
「ボッティチェリの『春』」三女神やヘルメス等々、全て集めるとジオラマ完成とか。
「システィーナ礼拝堂・ミケランジェロ天井画の5人の巫女」
http://gallery.euroweb.hu/art/m/michelan/3sistina/2ceil_ve.jpg
欲しいー! コンプリートして並べたい。少なくともデルフォイの巫女は欲しい。

ま、実際に出る可能性があるのは「アルフォンス・ミュシャ フィギュアミュージアム 2」だと思いますが。
(それでもいいです。次は芝居のポスターシリーズでお願いしたいです。トスカ@サラ・ベルナールとかー)

……あ。
「ロートレック ポスターシリーズ」もいいかも。
アリステッド・ブリュアンのフィギュアが欲しい。
(それ目的が違ってますよ!)
「ショーが、結局どういう話だったのかわかりませんでした、って言われたんです。
 ショーはただ場面があるだけで、話なんか考えなくていいのよ、って答えたんですけど」

宝塚初心者の感想を、Tちゃんから興味深く聞いた。
Tちゃんは清く正しく美しいヅカファン。最近はまとぶんがお気に入り。私よりファン歴は相当長いが、私のような妙なはまり方はしていない(笑)。
今回のショーに関しては、どちらも違うと思いながら聞いた。正解の物語は無いかもしれないけれど、でも確かに物語はあって。ネットの感想を見てても、百人いれば百通りの『ドルチェ・ヴィータ!』。いや一人の中でもどの場面を中心にするか、どの人を主役に据えるかで様々に色と形を変える物語がある。

と言う訳で、私の中のドルチェ・ヴィータを、さわりだけ。

主な登場人物は、4人。

ディアボロと、男(湖月氏)と、もう一人の男(汐美氏)と、ドルチェ・ヴィータ。
水に棲む寂しい悪魔と、孤独に流離う太陽の申し子。
愛に溢れた(笑)人間の男と、意志を持ち始めた美しいがうつろな人形。

四角関係、と言うか。対角線が二つ重なって、四角な関係。

ディアボロと男が、ひとつの対角線。
世界に拒まれ、愛を失いつづける者同士。でも、他は何から何まで違う者同士。ディアボロはただ見る者であり、男はさまよう者。最後の最後まで二人は触れ合わない。

もう一人の男とドルチェ・ヴィータがもう一つの対角線。
男は人間。ただのひと。でも、誰もが欲しがる愛という宝物を持っている。最弱にして最強のカード。狂った世界の真っ当なトリックスター。
ドルチェ・ヴィータは人形。ディアボロが繰り出す罠に過ぎない。でも、彼女が彼女自身の欲望を持ったら。己のうつろを埋めたいと言う欲望を持ったら。全ての男を惑わせ狂わせる凶器。

男@汐美氏のキャラ立てには、異論があるかもしれないなぁ。
私としては、彼にはディアボロが見えることの、一つの答えなのですけどね。
(愛と共感ゆえに、誰にも見えないはずの寂しい生き物が見えてしまった、と言う)

この4人が、出会ったり別れたり愛憎を抱いたり奪い合ったりしながら、世界の終わりを迎える物語。
私の中でラストだけは見えているのですが、ハッピーエンドにはならないと思います。
井辻朱美か恩田陸(@『ライオンハート』)の文章で夢想してます(笑)。

またしても便乗日記で恐縮ですが、このネタを緑野さんに漏らしたら、形にしてくださいよ、とお返事が返ってきた。
そうかな? 書いてみるかな? と生来のお調子者(笑)は考えて、具体的に言葉にし始めたのですが。

駄目でした(笑)。

具体的な物語にするほど、ディティールを決めれば決めるほど、それは『ドルチェ・ヴィータ!』から離れていく。違うものになる。
かと言って、単品で読む価値のあるものになるとは思えない。

曖昧に、断片のみを綴った方が『ドルチェ・ヴィータ!』とのつながりは保てるかもしれない。
でも、それじゃ書いてる本人にしかわからんよな(笑)。

と言う訳で、お手上げです。少なくとも人様にお見せできる形にはならない。
不定形のまま、私の中でしばらく転がしておくことにします。

むしろ、ほんの断片だけの方が、読んだ人が自分の『ドルチェ・ヴィータ!』を作り上げる素材になり得て、良いような気がする……。
と言う訳で、さわりだけ書き残してみました。

あと実は課題は人称。固有名を付け直すのは論外だけど、男ともう一人の男の区別をどうする?とか考えていたら、ますます形にならなくなりました(笑)。男Sと男Aじゃあんまりよね(苦笑)。

……今形になりそうなのは、むしろ「楊貴妃亡き後の玄宗と琳花」(そっちかい!)
素晴らしかったです。大満足しました。
私にとっては、ですが。

最初のシーンで、タニちゃんにオペラグラスを合わせた。
オペラ越しにまっすぐ貫いてくるそのまなざしにつかまれた。
オペラを上げても、目が離せない。表情の変化を、しなやかに動く手足を一瞬たりとも見逃したくない。
どうしよう。

と言う訳で、1回しかない観劇、潔くスコット=大和悠河だけを見つめることにしました。
他は全部捨て(笑)。ほとんど一人芝居のようなものと聞いていたので、それで話がわからなくなって困ることはないだろうと。
元々華がある人とは思っていたけれど、主役ということでその華が遠慮会釈なしで全開に発散されていてる感じだった。

大輪の華、大和悠河の輝きをバウホールと言う小空間で思うさま堪能できる2時間、贅沢でした。
ファンは必見。タニちゃんを魅力的だと思っている人は見て間違いはないです。
私は元々好きだし、更に今回はスイッチが入ってしまったんで、そうでない人がどう評価するかは、正直わからないけれど。

って言って終わりにしても十分な気もするんですが、もう少し感想を。

私は物語なんか見ていなかったのかもしれない。
ただ、きらきらぴかぴか光る美しいものが、転がって傷つき、曇り、それでも輝きを失わないまま最後には消えてしまうさまを見ていた。
いとしく、かなしく思いながら、ずっと見つめていた。
それは私にとって、濃密な時間だった。

スコット・フィッツジェラルドの一代記ではあるけれど、その生涯は青春の夢と栄光と挫折、そして青春の終わりが人生の終わり。
1幕の最後でスコット自身が「青春は終わり、人生と言う荒波に漕ぎ出さなければならなかった」と言っているけれど、そして実際に漕ぎ出そうともがいてはいたけれど。
結局彼は人生と呼べる営みを手に入れられないまま、果ててしまった。
何かを手に入れるには何かを失わなければならないと言うことを理解しないまま。全てを手に入れようと伸ばした手をおろさないまま。

しかも、幕を下ろしたのは彼自身。
彼の腕がひるがえり、物語が終わる。
自分が空を飛べることを忘れていたピーターパン。ふと翼の存在を思い出して、そのままこの世から消えてしまった。
そして彼は、彼が置き去りにした人々の心の思い出として永遠に残る。
そんな感じ。

20年代アメリカの寵児、プリンスと呼ばれたスコットの輝きを、そのままタニちゃんの輝きに重ねて見ていました。
タニちゃんが演じるスコット。スコットの中のタニちゃん。
きらきらした魅力的な青年。顔もスタイルも完璧ったら。
成功に喜ぶ無邪気な笑顔も、思うように書けない鬱屈も、スコッティに精一杯「お父さん」してみる姿も、ゼルダとの傷つけあいに怒鳴る姿も、落とした肩も疲れた瞳も。
いとしくて、切なくて、思い切り感情移入して見てました。
本当に主人公中心な芝居だからに、主人公に感情移入できれば勝ったも同然、ってことだよなあ。

できたらもう1回見たかったけど。もう1回見たら違った感想が出てきたと思うけど。
月バウを見るとき、私はやっとこの作品自体を見ることが出来るかもしれない。
って言うか、作品自体主人公の比重がめちゃくちゃ高い上にこんな見方をしたので、きっと月バウは全然違う話に見えると思います(笑)。

他のキャストについては語れるほど見てないんですが、ちょっとだけ。

ゼルダ=彩乃かなみ。
正直、最初は「月のるいちゃんで見たいなぁ…」と思ってました。
かなみちゃんが悪いわけじゃないけれど、ゼルダの常軌を逸した感じ、フラッパーガールぶりは、かなみちゃんよりるいちゃんのキャラでしょう。
最初の、ニューヨークに来て浮かれ騒いでいるあたりは、ちょっと人に合っていない感じで辛かった。
でも、ゼルダが壊れ始めてからは俄然良くなってきました。特に、精神病院に入ってからは繊細さ不安定さがすごく良かった。
演技力なんだろうな。

アーネスト=遼可はるひ。
でかっ。
一本調子な気がしたけど、そういう設定の演技なんだろうな。
フィッツジェラルドは蝶、ヘミングウェイは牛、と言われていたけれど、そういうことならこんなもんなんでしょう。(えーじゃあ月ではどうなるの?)

学生その他=珠洲春希くん。
かーわいー。いや、従者の邪悪な笑顔の印象が強いもんでちょっとびっくりした(好みの顔らしいです)。

あと娘役ではスコッティ(スコットとゼルダの娘)=咲花杏と、ローラ(スコットの秘書)=美風舞良が可愛かったな。

最後に。
時折「役者」の部分が出てくる部分は、余計じゃないかなあ。
最初発表された配役表に「YAMATO(スコット)」とあってどうするんだろうと心配していて、その心配ほどはうるさくなかったけど。
でも、クライマックスで「さあこの場面をどう演じるか」とか言われちゃうと、興ざめな気がして。全編スコットで通してくれた方が感情移入が出来て、私の好みで言うとその方が良かったなあ。
最後、役者が自分の役に対して、Dear ゼルダ、等々呼びかけるのはまぁ許容範囲だけど(後日談が救いになったし)「アメリカは今も戦い続けてる」まで言っちゃうと、涙も引っ込んでしまいました。
無理に普遍性を持たせようとしないで「スコットの物語」として完結して欲しかったなあ。
ま、作品を語れるほど見てたのかと聞かれると、怪しいんですけどね。

とりあえず、全体の感想としてはいいもん見せてもらいました。
月が楽しみです。
宝塚舞踊会行って参りました。
ワタさんと星組組子が出ていなかったら、絶対行っていない。
と言うか、どんなイベントだか全然知らないんで、非常に不安でした。
本当に踊りの発表会みたいなもんかな。きっとがーがー寝るぞ自分(^^;。

ところが、これが面白かったのですよ。

全体は3部構成。1部と3部は専科さんや上級生。間の2部は下級生中心で、専科さんや上級生もコミカルな演目。
きちんと日本もの化粧だし、衣裳は華やかだしセット(書割)もあるし邦楽生演奏だし、ちょっとした和ものショーでした。
2階席だったんですが、B席に音楽学校の本科生、予科生の皆様がずらっと並んでました。きれいなお嬢さんたちを見られて眼福でしたわ。

私の一番のお目当て、わたるくんの出番は第3部の最初。って、第3部は演目2つとフィナーレだけだから、トリの前、しかも一人で。さすがはトップさんだー、とどきどきで待つ。幕が開いたときの拍手も多かった気が。きっと私みたいなのが大勢いるんだわ(笑)。
『常盤津 夕月』とタイトルだけ見ても何のことやらですが、幕が開いてまず海と舟だったのが妙にウケた。今年はほんと、海づいてるんだ。
青天、白っぽい着物の着流し、顎も青く描いてる。昔何度か歌舞伎観に行ったときの日舞を思い出した。
腕には刺青ー!? かかかっこいい、もっと見せてください(馬鹿)。
ねじり鉢巻もよいんですが2階席からでは顔が見えづらくなってしまったので、すぐはずしてくれてよかった。
途中掛け声もあり。これがまた男前でねー。声まで聞けると思わなかった。

で。
これを避けて書く訳にはいかんのだろうな(苦笑)。
着流しの裾が割れると、赤い布が見えるんですが、あれってやっぱり褌、なんだよね。
上半身も深くはだけていて男らしく腹の位置にサラシが巻いてあって気になったんですが(これは下に肌色のシャツを着ていたことを後に確認)。
若干複雑な気分で見てたんですが。
着物、後ろで絡げちゃいますか?
えーと。
これって、普通の女の子だったら、超ミニスカートな丈だよな。
介添えしてるの、男の人だよな。
プログラムには「宝塚にとっても由緒のあるもので歴代の方々が踊られて云々」と書いてありますが、衣裳も同じようなもんだったんだろうか。春日野先生もこのようないでたちで踊られたと?
脚、上の方まできちんと白塗りです。筋肉質ではありますが、でも、細いよ。
えーとえーと。
えーとえーとえーと。
……

処理できない情報は放置することにしました(半笑い)。
基本的には全体の流麗な動きを鑑賞し(初めて認識したルキーニで、背中と腕の動きの色気に魅せられたことを思い出した)、ここぞと言う場面ではオペラ使って決め目線をアップでいただき、非常に楽しく拝見いたしました。

幕が閉まった後、隣の席の知らないお嬢さん二人が「あれは男だよね!」「男だよ!」と興奮して盛り上がっているのを再び半笑いで聞いていましたとさ。
ええ、あのひとは本当に男前ですとも。
既にイリュージョンの域だよな(文章おかしいです)。

と言う訳で、緑野さん「み」さん、私からはこのネタに触れてませんよ?(笑)
(勿論書かれるとは思ってましたが)
緑野さんとお会いして最初に言ったのは「素顔化粧で二人で踊られたら泣けますよね」でしたよ?
まあどうでも良いといえば良いことですが(終始半笑い)。

「このために来た!」と言う人が多いであろう今回の目玉、汐美・大空共演。
私はファン歴が浅くこの件について語る言葉は持たないのですが、それでもフィナーレの素顔化粧袴姿には泣かされました。あれは反則の域。泣く。
汐美さんが笑顔でさぁ……。
フィナーレは「清く正しく美しく」の曲にのせて。、第3部に出た人はそのままの格好でした。わたるくんの袴姿、見たかったな。

専科の皆様の本格的(おそらく)な日舞の評価は私には出来ませんが、美しいと思いました。
特に、手が。日本舞踊の手の使い方というのはひらひらとしなやかにやわらかく端正で美しいものだなあと。こういうのを「はんなり」と表現するのかなあ。
1部と3部は真面目な日本舞踊でしたが、3部の方がより派手なんかな。
最後の『長唄 菊』は松本悠里さんを中心に華やかでした。松本先生、少女に見えます。伝統芸能の世界ではあることだけれど、宝塚でそれってすごいと思う。
あとここはおじさま二人(萬さん箙さん)に見蕩れておりました。すげーかっこいい。

面白いのは2部だな。ここは何と言っても下級生!
2,3人で舞台に立っちゃうんだよ。せり下がりもしちゃうんだよ。
すごいすごい。贔屓の下級生が出てたら観るべきでしょう。
……と言っても下級生の和もの化粧顔はなかなか判別がつかないんですが(プログラムと全然違う)
私はどうしても星組の子を力入れて見ちゃうんですけど。
先入観や贔屓目かもしれないけど、他の組の子たちより芝居っけがあると言うか表情も頑張ってると言うか、「発表会でなく日本ものショー」という心構えが感じられるのは、気のせいでしょうか?(まあ比較的学年も上なのかな)
個人的には天霧真世くんと湖咲ひよりちゃんのカップルが、妙に姉さん女房風に見えて可笑しかったです。ひよりちゃんしっとりして大人っぽかったなあ。
鶴美舞夕くんと音海ゆうまくんがどっちがどっちかわかりませんでした。『長安』新公でも思ったけど、舞夕くんは素顔写真と舞台化粧のイメージがかなり違う。
あと2部では柚美さんの男役(チョビヒゲつき)と鈴鹿照さんの雷様(着ぐるみ……)は書いておかなきゃな。

取り止めがなくなってきました。
下級生、中堅、ベテラン(組長さんクラス)、トップ、専科とそれぞれの持ち味で、そういう意味でも面白い公演でした。(既に公演扱い)

            ***

余談(私信)。
いや、だから下手だとはこれっぽっちも。
何だか好きな人の似顔絵を上手に描けないような気分でヘコむ(笑)。
はい。緑野さんと「み」さんの歌話に便乗でーす。

結論から言うと、私も汐美さんの歌が下手だと思ったことはありません。

は? ワタルファンに言われても嬉しくないですか。そうですか(しょぼん)。
ちなみにワタさんの歌も「あーなるほどこの辺が下手だって言われるんだろうな」と思ったことはあっても、自分から「下手だ」と思ったことはありません。
(地声は高い人みたいだから、生来の音域と男役声の歌が合ってないんだろうな、とは思うけど)

それに。
今回の『ドルチェ・ヴィータ!』で私が一番好きな歌は、終盤のケロさんのソロとワタさんのソロなんですよ!
今までも何度か書いてますが、この2曲は私の感情を根元から揺り動かし、肺腑をえぐる。それだけの何かを私に与えてくれる。
だから大好きだ。好きというか、揺さぶられる。

『ドルチェ・ヴィータ!』は歌うべき人が歌い、踊るべき人が踊る適材適所なショー、というのはあちこちで言われていることですが、更に、歌い手の配置も適材適所ですよね。
歌い手と言うか、声。どの場面のどの歌を、どの声に歌わせるか。

物語全体を紡ぐのは、ディアボロ(安蘭)。
文句なしに上手い、と言うのは周知のこととして。
甘く昏く、時に優しく時に鋭く、様々に変化させながら、しかしその声は根本的には常に端正。その端正さが、悲しみと諦念を匂わせる抑制。物語のトーンを決めるにふさわしい。

オープニング、銀橋で歌う男役コーラス(英真、他)のざわざわとざらついた感触は、聞く者の心もざわめかせる。
男と女の出会いに、この世のものと思われぬハイソプラノ(仙堂)は、これが異界への誘いであることを暗示する。
その女(檀)の声は果てしなく甘く甘く。正にDolce。甘い毒にからめとられてどこまでも堕ちて行きたくなるドルチェ・ヴィータ。

花市場では、娘役3人(南海、花愛、華美)の声がアイドルグループのように甘く明るくきらめく。「女の子たち」の明るさが歌詞に秘められた残酷さを引き立てる。

サテリコン。金属的な高音(毬乃)。オープニング同様、通常とかけ離れたハイトーンは異界のしるし。不安と憧れをかきたてるセイレーン。
そしていよいよの破滅に際しては、ざらついた感触の低音が急き立てるように歌い、胸騒がせる(矢代、英真)。その存在感が運命の響きになる。

豪華客船。別れのデュエットダンスを彩る歌。人生の酸いも甘いも知り尽くした、大人の女の歌(矢代)。滋味に満ちた声はこれが別れであることも、それでも思い出は甘くやさしいものであることも知っている。
それが、青年の声になる(高央)。諭すように思い出に向かっていた声が、未来へのまなざしを持った声に変わる。別れの主旋律は、思い出から未来に変わる。友の旅立ちに捧げる歌。

青の洞窟。セイレーン(仙堂)は初めて甘くやさしい旋律をうたう。海神と少女の恋を言祝ぐように。でもそれはやはりセイレーンの声。そこは異界。やさしさの裏に人ならぬ身の残酷さが貼りつく。それを知るからこそ海神は少女を手放す。

そして、この声の万華鏡が織り成す仮面舞踏会において。
主人公(湖月)と、もう一人の主人公(汐美)の声は、生身の男の声だ。
生身の人間の体温がこもった、思いを伝える声だ。

歌が下手、というのはどういうことを言うんだろう。
音程が不安定とか、発声に無理があるとか?
でも、この物語においては、それすら人間の証じゃないか。

思いが揺れるから、声が震える。
胸が苦しいから、声が詰まる。

実際、オープニングの銀橋で音域的に無理があるのかワタさんの声が苦しそうなフレーズがあるんですが、そこを聞くと自分も胸締め付けられるようでぎゅっと苦しくなりますもん。
主人公の憧れと絶望が乗り移ったように。

冒頭に挙げた2つのソロは言わずもがな。毎回心臓つかまれてます。
特に汐美さんの声に。
あの場面にはあの声が必要だ。

思い込み激しすぎますか?
でも私はそう聞こえるし、そう信じてますから!
この二人のソロが大好きだと胸を張っていえるさ(そんなに気合を入れんでよろしい)。

と言う訳で、もし「今回の曲は相性が悪い(緑野さん談)」言うことで歌いづらそうだとしたら、それすら適材適所の一環、荻田氏の計算なんじゃないかと思ってます。
(ワタさんの痛い歌詞のソロが長いダンスナンバーの直後にあるのも同様の理由と推察)

あれ?
……結局これ「オギー賛小論文・ドルチェ・ヴィータにおける歌い手の使い方」だよ。
「歌が下手だと思っていない」って話じゃなくなっちゃいましたか。
いや、いいんですよ。高度で端正な歌は誰にでも歌えるものじゃないけれど、物語を伝えることのできる歌だって誰にでも歌えるものじゃないんだから。芝居の歌は台詞のうちだし!
(収拾がつかなくなったので言い逃げて退場)

あ「もう一人の主人公」は10/17日記参照。

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