星新公『ベルサイユのばら』感想の続き。

主要キャストについては昨日分で書いたので、後はシーンを追って。
と思ったが、その前にこれだけは書いておきたい。

ブイエ将軍=彩海早矢。
なんなんだその胡散臭い美中年は!!(笑)
青帯ばっちりで目はぱっちり、と言うか一歩間違えるとぎょろ目。髭をたくわえ体型も補正してすっかりおじさまなのだけれど、ダンディと言うには胡散臭すぎる美形。
そしてすごいのはビジュアルだけでなく、その演技。本役さんが単純な頑固親父風なのに比べて、常に腹に一物ありそうな全て承知してそうな感じがまた胡散臭い。眼光鋭く言葉は重みがあり、若くて感情的な麻尋オスカルでは太刀打ちできません。市民達につくというオスカルの前に引き下がるときもどこか余裕があり、強大な敵という印象。革命大丈夫かなと心配させられるような。
そのキャラクタを作り出せたのは、技術の力でもあると思う。新人公演の中では実力者のあかし君。ブイエ将軍と言う脇役でも、きっちり存在感を、しかも独自のキャラ立てで出してきた。老け役を逆手に取り、若さが目立つ登場人物の中で異彩を放っている。
配役発表の時には、そんな脇でなくてもっといい役やらせてやればいいのに、と思ったけれど、あかしは転んでもただでは起きない奴だった。流石。
勿論、それは上手いからできることで。意図がありそれを表現する技術があるから実現することで。新公学年で、その両方があるというのは素晴らしいと思う。本公演での普段から小まめな客席アピールも含めて、これからもとても楽しみだ、あかし君。
ついでに、ブイエ将軍とのカーテン前芝居で登場するジャルジェ将軍=一輝慎くん。こちらは技術はまだまだで老け役もできておらず若いまんまでしたが、めちゃ暑苦しい体当たりの大熱演でした。オスカルと二人でこの父にしてこの娘あり。ブイエ将軍には完全に格負けしていたけれど、でもそれも面白かった。与えられた場面に全力投球する姿は新公を見る醍醐味ですよね。

では、カットされたシーンについてのメモも含めて、最初から。

・ご覧なさい。小公子=天寿光希。小公子はこのくらい若い子だと安心して見ていられる(笑)。可愛いし元気一杯溌剌。歌も上手かった。
・絵から出てくるアントワネット、オスカル、フェルゼン。ばらの青年Aが天霧、ぎんがみ、あかし、天緒っち。ばらの娘Aがしげちゃん、ふあり、ひより、花愛瑞穂ちゃん。ぎんがみふありは本公でも組んでますな。かわいー。
・シェーンブルン宮。マリア・テレジア=華美ゆうかちゃんはふつーに上手い。無理して老けようとはしていないけれど、ゆったりとした台詞回しと態度で堂々としたオーストリア女帝だった。メルシー伯=七風宇海くんも同様に上手。そして意味もなく美形な侍従長=紅ゆずる(笑)。
・夢の馬車。子アントワネット=蒼乃夕妃ちゃんは本役より大人っぽい。うめアントワネットの少女時代にはいいキャスティングだと思う。ビジュアルイメージが近い。
・ベルサイユ宮。どうもうめアントワネットは「アントワネット」という型をはめられて窮屈そうだ。ルイ16世天霧真世くんはなまじ美形なのでアブない人度が上がっていてちょっと恐い(苦笑)。
・プランタンは無くフェルゼンの銀橋ソロ。ばらのスーベニールだったっけ?れおんくん、すげー格好いい。
・そしてフェルゼンとオスカルのカーテン前芝居。つなぎの台詞は加えられているが本公演とほぼ同じ。自分の思いしか見えていないフェルゼンなだけに、オスカルの報われなさが際立つ。しゅんくんは恋するモードがとっても乙女、と言うか少女。
・庭園。ルイ16世の夜のお散歩。この場面が残っているとは思わなかった。天霧くんはなまじ美形なので(略)。
・運河。フェルゼンとアントワネットのデート。許されざる愛、と言う言葉の重みが本役とは違うような。本公演の方が大人なので、世間的な制約がより重い。それに比べてやはり新公は若いので、世間よりも何よりも二人の愛、許されなくても構わない、というニュアンスになっているような気がしました。
・ブイエ将軍、オスカル、ジェローデル、アンドレ、ジャルジェ将軍のカーテン前芝居。
・フェルゼン邸。メルシー伯の説教シーン。どうもこれは削ってはいけないらしい。そして「アン・ドゥ・トロワ」。
・庭園。アントワネットとフェルゼンの別れと、その後のフェルゼンとオスカルの会話。れおんもタイプは違えど「もー男って鈍くて馬鹿」という感じを出せる人だなあと(笑)。
・王宮。ざーますソング。モンゼットは花愛瑞穂ちゃん、シッシーナはしげちゃん。わ、若い子達がいっぱいいっぱいにやっていると寒くて大変。力ずくで笑える場面にしたタキさんやエンディ、しのぶさんきんさんらベテランの技はすごかったんだな。ブリジット=南帆サリちゃんの「衛兵隊なんだそうですよっ(意地悪)(楽しそう)」の言い方がひかちゃん踏襲で笑えた。そしてそんな中でも可愛くて目立つせあら。でもノリは誰にも負けてない。
・カーテン前、アンドレとジェローデル。
・宮廷大広間。アントワネットの歌と舞踏会はカットで、フェルゼンが愛を語り出立。今までアブない人に見えていた天霧ルイ16世が、ここに来て誠実な人に見えた。それを表現できる台詞と、演技の力。無駄に熱いジャルジェ将軍。誰よりも賢そうなブイエ将軍。
・銀橋。マントを翻し旅発つフェルゼンはやはり格好いい。
・プロローグ。1幕ものにまとめたんだから何も2回やらなくても。でも天寿くんの小公子は可愛い。
・フェルゼン邸。花祭りは無しでジェローデル来訪。デュガゾン=ぎんがみくん出番これだけか(泣)。シモーヌ=ふありが柚美さんの衣装がだぶだぶ気味で可愛かった。
・ジェローデルの回想で今宵一夜。しゅんくんテンション高(笑)。少年少女だなあ。
・ベルナールとロザリーのカーテン前芝居。みなみちゃん、髪型のせいもあってまんまる。でも可愛い。
・パリ市内、衛兵隊と市民達。市民に国王陛下とかジャルジェ将軍が混ざっているのが可笑しい。特に天霧くんは目に付くなあ。アラン=美弥るりかは元々可愛い子ちゃんだけど男っぽく作っていてなかなか良かったです。そして衛兵隊士では朝都まおが目に付く私。ファニーフェイスでまだまだお子様なんだけど、何だか頑張っているように見えるんだよなあ。市民では南帆サリちゃん(多分)に「みんな行くよ!」みたいな台詞がありました。
・アンドレの死。オスカルの取り乱し方絶好調。そしてぶち切れてバスティーユ。
・バスティーユではつい泣けてしまった。いや、作品がじゃなくて、たった1回の新公に賭ける下級生たちの熱気に当てられて、つい(年寄りは涙もろくなっていかん)。みやるりアランは意外と男役らしいいい声で「バスティーユに白旗が」を決めてました。
・回想終ってフェルゼン邸。また、本公演には無いフェルゼンの銀橋ソロ(いいなー)。知らない曲でした。
・アントワネットと夫や子供の別れ、ベルナールとロザリー、国境の村、行けフェルゼンと気前よくカットして、舞台は一気に牢獄。
・ラスト、フェルゼンのせり下がりは無しで、幕。

意外とカットされてませんね。フィナーレを除くとあまり長くないということか。
個人的には行けフェルゼンが見たかったなー。あと村の男女で普段台詞の無い下級生が小芝居してくれたら楽しかったかも(例えば紅ゆずるとか朝都まおとか)。
全体的に、カットによる出番の増減のせいもありますが、役の比重と言うのは演じ手によって変わるものだなあと思った新人公演でした。(そして恐らくは観る側の好みにもよるのだろうけど)

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