いい加減作品感想を書かないと公演が終っちゃうよ。
と言う訳で、まずはショー『ネオ・ダンディズム』の話(芝居は長くなりそうなので)。

で、既に書いた気もしますが、今回のショーは好きです。最後これでよかったーと思ってます。
が、周囲の反応を見ていると、どうも私、このショーは対しては点数が甘いみたいですな。

理由その1は、元祖『ダンディズム』を見ていないからかと。どこが再演部分かわからないので自己模倣に興ざめ、と言う事態にはならないということで。

理由その2は、やっぱ出演者が好きだから、ですかね。
ドリーさん、サトリさん、パクちゃんと観劇後に食事をしていたとき「パンパミーアが退屈」と言う話題になって「あれだけかっこつけて出てきたのにみんなで踊っておしまいなんて。対立して喧嘩になるとかドラマ盛り上げられるだろうに」と言われて目からウロコでした。
だってあの場面は、ワタさん見てワタちえ(下手兄弟分小芝居)見て、しぃちゃん見てすずみん見て、ワタウメがん見して、しぃみなみ見てすずももか見て、あかし見てドイちゃん見て、更にカマちゃん見て一輝くん見て、そうこうしているうちに気がついたらワタさんが「アーディオース」って歌いだしてエンディさんが帽子持ってきちゃうんだもん。退屈する暇無い(真顔)。
おそらくは一事が万事その調子なんだと思われます(笑)。目が曇ってる。

更にその3、これがワタさんの退団公演であり、宝塚での最後のショーであるということが大きいかと。
このショー、すごく「タカラヅカらしい」じゃないですか。宝塚は誰が見てもカッコイイところも古臭くてダサいところも、鋭くまっすぐに感情に切り込んでくるところも、色々持ち合わせていて、このショーにはそれが全て詰まっている。良くも悪くも。
ワタさんの最後のショーがそういう作品なのは、宝塚の、男役生活の集大成として、ありだと思った。正しく「タカラヅカのトップスター」であった、彼の人のラストステージとして、それはある意味相応しいだろう。
ま、最初の怒濤のチャイナと後半の山場オマージュがあるから、その他の微妙な場面も「ま、これもタカラヅカだよね」という気持ちで許容できるのかもしれませんが。

インタビューなどを見ると、様々な色合いの場面で構成するというのは演出の岡田氏が意図的にやっていることのようです。色々な年代の色々なお客様が見るものだから、それぞれの人が面白いと思う場面を入れたい、と言うようなことを言っているのを聞いた記憶が。
ある意味、紅白歌合戦的手法で、今時流行らないのかもしれませんが。
でも、今回はそれで良かったんじゃないかと、個人的には思ってます。

……もうひとつ言うと、期待値が低かったというのも一因かもしれませんが。ハイディさんとご一緒したとき「男役の集大成を見せてくれると楽しみにしていたらこんなセンスの無いショーで」とご立腹でしたが、私は最初から岡田氏だからダサいもんになるに違いないと思っていたので、なんだこんなもんかとむしろ安堵しました(失礼)。

と言う訳で、以下場面ごとに呟き。主にワタさん最後のショーと言う視点で。

オープニング。
大階段板付き男役勢揃い、青チャイナジャケットにソフト帽。いやーもー、これぞタカラヅカの醍醐味って感じだよなーと。
ワタさん登場以降は専らワタさんを見ているのですが、上手前方席にいると客席に腕を伸ばす振りのときしぃちゃんやすずみんの手がピンポイントで向けられてうっかり吸い寄せられます(下手だとれおんみらんのはず)。
ワタさんが銀橋に出てくるときの「一瞬の永遠」と言う歌詞が好きです。今この瞬間こそがそうだ、と聞くたびに思う。
ワタさんの白チャイナ、トウコさんの紫、となみちゃんの真っ赤なアオザイ。ポスターままの衣装が似合いすぎ。どう見ても堅気でない胡散臭くも迫力。
そして、となみがワタさんに支えられて大きく背をそらし、また体を起こしてゆるゆると首に手を回す仕草が好きだ。絡みつく白い腕。

ネオ・ダンディズム。
トウコ先生のダンディズム講座。その説得力ある声と滑舌がないと成立し得ないであろう場面。
いや、ここも結構好きなんですけど(笑)。ワタさんをはじめとして安蘭立樹涼柚希のダンディ5人とも大時代的なカツラと衣装に負けずに着こなしてる様子とか(そしてすずみんだけ(おそらく)こだわりのストレートロングリボン結びなしなところとか)。伊達に半年もベルばら演ってませんから、って感じでナイスです。ワタさんがソロで踊るところでの小さく横飛びするステップはオープニングのフェルゼンで似たのやってたよね?
こういう場面をモノにしてしまうのもまた星組クオリティだと思う訳で。回る盆の星娘(おすましモード)も眺め甲斐あり。

ダンディズムとは。
大真綺華和麻尋の4人が組長の引率で出てくるってだけで楽しいです(笑)(ref.理由その2)。みらんくんは安定しててアピールも程よく見ていて楽しい。ゆかりくんはヒゲをつけても水際立ったダンディな容姿とここぞというところで勢いでクリアする歌唱が見所、和くんのあごひげはキレイな顔を全然隠してなくてちょっとズルい(笑)。そしてしゅんくんはワンフレーズでも上手さを聞かせる歌、一番不利?なチョビ髭にも関わらずアピール飛ばす気合を買います。

パンパミーア。
かっこいいなあ(素)(夕日の中の後ろ姿を見て)。
なかなかそこまで見ている余裕がないのですが途中の場面で上手端に座り込むしぃちゃんの横顔がいい男でした。掛け声大会では慣れない風情の蒼乃夕妃ちゃんが頑張る「ろべるとー!」が微笑ましい。
最後にエンディさんが帽子を持ってくるのは退団者つながり?ひかちゃんともいいカップルでほっこりします。でもワタさんにアディオス言わせすぎ。そしてワタさんを見送るウメの切なくでも振り切るように笑う表情があまりに良くて、ついワタさんよりそっちを見てしまったり(駄目じゃん)。いい女になったなあ、ウメちゃん。

You and the Night and the music。
当然この場面も大好物ですが何か?(笑)この辺については機会があればまた後で。

キャリオカ。
……人間ミラーボール(口ぽかん)。
や、初日見たときはワタさんの衣装に、こりゃいくらなんでもスパンコールつけすぎだろと呆然としましたが、すぐ慣れました(笑)。東宝では正統派黒燕尾の場面も加わったし、これはこれで大好きです。
途中、ワタさんと上級生男役(何気に83期ゆうほ氏、84期みしろ氏が混ざっているけど違和感なし)だけの場面があることを誰もに指摘されます。ワタさんの左右に組長とにしきさんだもんなー、これもまた星組クオリティ。しかもはけるとき下手はにしきさん、上手は組長がワタさんと笑顔でアイコンタクトしてるし。
またここのワタさんがいい笑顔でねえ。自分が下級生の頃からずっといてくれた上級生なんだなあと思うと、何だかいいシーンのような気になってきました。ちょっと泣き笑い。
銀橋でワタさんがとなみに手を差し伸べて、となみが悪戯っぽいちょっと小悪魔入った笑顔でその手を取って、ワタさんが嬉しそうに笑って走り出す、その一連のシーンが好きです。雰囲気が「Night and Day」に似てる。

ドンキホーテ。
当然この場面も大好物ですが、また機会があれば書きます。
あ、娘役スキーの某Sちゃんと観劇したとき、キューティちゃんたちを見て「かわいー」と思わず声を上げてました。

惜別−オマージュ。
やっぱりこれは特別。
謝先生の振り付けは、その人を一人の人間に戻して見せるかのようだ。
男役とか娘役とかの、作り上げた型、枠、虚構をとりはらって、湖月わたるなら湖月わたるという存在そのものに。
その、謝マジックにかかったワタさんは、何だか子どものようで、「子ども」ではなく「子どものよう」で。
彼の後ろに世界は生まれる。前には何も無い。だから、彼はひとりさまよっている。時に、凍える我が身を抱きしめるように、肩を落として。
その彼が、人を、友を見出す。世界の中心に走り出る。差し伸べる手と笑顔に呼ばれて人が集まる。彼は笑う。無邪気に喜びを体一杯に表現する。
となみと二人並んで立つ姿が好きだ。立ち雛のよう。抱擁ではなく、ただ並んでにこにこ笑っている、その、しあわせのかたち。
れおんは、何だか見る度に真剣な、神妙な顔をしているように見える。喪失に、置いていかれることに耐えている少年。最後にくるくる回りながら舞台をよぎる姿は、流れ星のようだね。
ウメの存在感。少女とも少年とも大人の女ともつかない、それら全てを内包して超越しているような存在。光りを放っている。
しぃちゃんの笑顔がうれしい。私がその笑顔を見ることが出来るのがうれしい。その笑顔でワタさんを見送ってくれるのがうれしい。
コトコト。この場面でも娘役としての佇まいが崩れないことに、彼女の娘役芸の凄さを思う。ワタさんが子どものようなので、おねえさんのようだね。
すずみんが、いつもの作りこんだ男役がほぐれているのが、何だかカワイイ。あかしはいつもとあまり変わらないみたい。やんちゃな男の子。
みらんくんは、見るといつも真顔で踊っているように見える。真剣、又は無心。求道者のように。

トウコさんと、二人きりの場面が好きだ。空に投げ上げるときの二人の笑顔が好きだ。

最後、舞台に一人残って放心したように、でも微笑んで歩み出す姿が、好きだ。
寂しくないね。あなたは、あなたを待つ世界へ行くんだから。

暗いし、動きが激しいので、とてもみんな見切れなくてそれが残念なのだけれど。個にこだわると全体を見失いそうだし、本当に忙しいんだけれど(笑)。

ロケット。
ウメかわいー。
かつきちゃんとゆっちという人選が、渋いです。面白い。センターが娘役ならロケットの並び順は背の低い子が内側の方がいいと思うんだけどどうだろう。

All by myself。
エンディさんとみらんくんが実にいい表情をしているなあ。
この歌はワタさんも歌いたかったそうですが、トウコさんに歌ってもらって良かったんじゃないかなと、この場面を見てると思います。

黒燕尾大階段については、東宝初日に書いたので。

デュエット。
「愛している」の繰り返しが好きだ。
となみがワタさんの首に腕を回して抱きつく振りに、全ツシバの初めてのデュエットダンスを思い出す。二人の笑顔が眩しい。
最後一人で踊る姿に、檀ちゃんを見送った大劇/東宝シバのデュエットダンスの後の姿を思い出す。

フィナーレ。
コロちゃんのエトワールが嬉しい。がんばれー。
センター下りが、南海和麻尋、琴大真綺華と大勢で始まって賑やかでいいです。豪華です。派手に行こうぜ派手に(笑)。
となみの白いドレスは何気にスリットが深い。
唯一残念なのはワタさんのナイアガラ逆流が見られないことです。帽子があるので大きく前傾姿勢が取れないためと思われ。このショー最大の痛恨事(真顔)。

手短にと思ったのに結局長くなりました。
もうちょい書きたいことがありますが、機会があればまた。

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