二枚目半は難しい。(星組『愛するには短すぎる』新人公演)
2006年9月13日 宝塚『愛するには短すぎる』新人公演の感想の続き。
ちなみにこれを書いている今は1ヶ月以上経過しております(苦笑)。せめて東宝の新公前にはと焦り中。
さて。
よく新人公演では難しいと言う正塚芝居ですが、その辺はあまり気になりませんでした。まあ今回は正塚芝居星組バージョンという感じだからなあ。自然な台詞回しでありつつ、常時テンション高めなあたり(笑)。
主要3人以外のキャストについて。
ブランドン=鶴美舞夕
カワイイおじいちゃんでした(笑)。
そんでもって、すごい上手い。動作とか台詞の言い方とか。あのまやさんの役で、きちんと笑いをとっていて拍手喝さい。基本的に本役踏襲なんですが、いい味出してた。
マーシャル船長=水輝涼。
緑野さんと二人、結構楽しみにしていた配役のひとつ。二人で「本役のしぃちゃんに似た感じになるんじゃないか?」と言ってたんですが、蓋を開けたら全然似なかった。本役はB型だけど新公はA型と言う感じ(それ本人まんまじゃん)。どっちも真面目に真面目にやってるんだけど、時に真面目が行き過ぎてちょっとずれてる本役に対して、ふつーに真面目な船長さんでした。
それは周囲のクルー達とのバランスのせいでもあり。3件目の盗難のとき、エリック=碧海りま君はリストをまともに読めないボケキャラだし(本役みきちぐは呑気な口調だけと普通に読んでいる)、マーガレット=羽桜しずくちゃんはレモネードのくだりで船長に迫ってるし(本役みなみちゃんは常時淡々)。そりゃ孤軍奮闘で大変だよなあ、ご苦労さま(苦笑)。
あと彼について思ったのは、実は笑顔が板についてないんじゃないかということ。
そう思って普段の公演を見ていると、ショーでも、笑うと妙に年相応と言うか困り顔が入ると言うか。シリアスな真顔は格好いいのに。キャリオカの黒燕尾とか、娘役ちゃんをエスコートするときの伏目がちな表情とか、大人の色男の風情があるし。でもパレードのダブルトリオも、上手のカマちゃんの自然な笑顔に比べて、何かぎこちない……。
妙なところが不器用だなあ。そういうのちょっと可愛いかも(笑)。
多分今回のキャストだとフランクとかめちゃ自然にはまったんじゃないかと思いますが、そうでない役をやるのも新人公演の醍醐味かと。
マクニール=夢乃聖夏。
彼も結構苦労してそうに見えました。
まず第一に、鼻の下が伸びてない!(笑)(でもそれが大事)
だから、「女好き」に見えない。ドリーの自殺騒ぎでオロオロする姿も、本公演でやってる謝り倒すクルーと同じに見えちゃうもんなあ、難しいんだろうなあ。
ドリー=音花ゆり。
と言う訳で、マクニールが女好きに見えないとドリーが空回るんだなという。
コロちゃん、すごく上手かったし、可愛かった。丸くてふくふくしてトランジスタグラマー。マリリン・モンロー系の、色っぽくて頭足りなそうだけどしたたかででもかわいい女の子を好演してました。本役のうめちゃんより役にあってたかもしれない(だから一層、マクニールが女好きに見えないのがバランス悪かったなと)。歌もちょっとだけど、良かった。
それにしても、となみの衣装をうめが着て、うめの衣装をコロちゃんが着てると、なんかすごいなーと思いました(笑)。
笑いを取るって難しいんだな(本公演見た人ばかりで初見の客がいないとは言え、「呪われた航海」でも「ヒロインだ!」でも笑いが起きなかった)、逆にドイちゃんすごいな、と言っていたら、緑野さんに言われました。
「イロモノだと割り切れればかえってできるんじゃないの?」
納得。
二枚目半は難しい。
では、純粋に二枚目役はどうだったかと言うと。
フランク=麻尋しゅん。
まずは、子役少年役女役以外が回ってきて良かったなあと。
出来も良かった。声や台詞回しは大人の男だし、悪そうでもある。アンソニーが借金を立て替えた後の去り際のニヤリ笑いも凄みがあった。但し、やはり童顔が残念ですが。持ち味や方向性に容姿が追いついてくるといいなあ、と思います。
デイブ=紅ゆずる。
すっとした二枚目で、良かったのではないかと。いや、ふつーに格好よかったこと以外は、正直あんまり印象に残ってないんだけども(ごめん)。演技をしている姿は『シバ!』の楽屋番と『龍星』のだらんしか記憶に無いので、今回でシリアス芝居もちゃんと出来るんだなと。
コロちゃんのドリーがデイブの後押し無しで一人で誘惑できそうな子だったから、余計影が薄かったのかも(笑)。
逆に、完全にイロモノと言うか脇キャラの方々も、最初に書いたドイちゃんを筆頭に大健闘でした。
ロバート・ストックトン=七風宇海。
これまたすごく良かった。外見も、短く立てたツンツンヘアでキャラ立ってたし、台詞とかふつーに上手い上に、特別な強調した演技はしていないのに何だか存在感と言うか味がある。これからが楽しみな人だ。
スノードン伯爵=一輝慎。
今のあのド金髪は本役である組長に倣ったんですか?(素)
演技も基本的に本役踏襲だと思うんだけど、素で楽しそうに見える(笑)。妻と愛人の間で焦りつつ飄々とした懲りない男、というキャラであれば老け役である必要もないし、実にイキイキとノリノリでやってました。
キャサリン=華美ゆうか。
そのスノードンの愛人。お芝居も良かったけど、特に、仮装舞踏会の歌がすごく良かった。心地よい美声で聞きほれました。
オレステス=天緒圭花。
これは、ちょっと苦労したかなと言う印象。本公演での役がクルーなせいか、偽クルーとして出てきても全然違和感がなくて怪しくない。やはりにしきさんのあの存在感は若者にはなかなか難しいんだろうなあと。
エレクトラ=初瀬有花。
が、こっちは本役のきんさんに負けてませんでした。恐かった。カツラ取って啖呵を切るところで客席がどよめいたもの(笑)。若い分、スケバン的な凄みがあった。
やっぱり娘役(女役)の方が出来上がるのが早いってこともあるんだろうなあ。
その他。
バンドメンバーはあれだけの出番ではあまり印象に残らず。が、体操のお兄さんが妙に大仰で暑苦しいと思ったら、デイモン=壱城あずさ、君だったか!
リリー= 妃咲せあらはふつーに可愛く。あれだけの出番で印象を残すコトコトはやはり上手かったんだなと。
避難訓練は新公でも気合入って楽しかったです。ザッツ星組クオリティ(笑)。
ちなみにこれを書いている今は1ヶ月以上経過しております(苦笑)。せめて東宝の新公前にはと焦り中。
さて。
よく新人公演では難しいと言う正塚芝居ですが、その辺はあまり気になりませんでした。まあ今回は正塚芝居星組バージョンという感じだからなあ。自然な台詞回しでありつつ、常時テンション高めなあたり(笑)。
主要3人以外のキャストについて。
ブランドン=鶴美舞夕
カワイイおじいちゃんでした(笑)。
そんでもって、すごい上手い。動作とか台詞の言い方とか。あのまやさんの役で、きちんと笑いをとっていて拍手喝さい。基本的に本役踏襲なんですが、いい味出してた。
マーシャル船長=水輝涼。
緑野さんと二人、結構楽しみにしていた配役のひとつ。二人で「本役のしぃちゃんに似た感じになるんじゃないか?」と言ってたんですが、蓋を開けたら全然似なかった。本役はB型だけど新公はA型と言う感じ(それ本人まんまじゃん)。どっちも真面目に真面目にやってるんだけど、時に真面目が行き過ぎてちょっとずれてる本役に対して、ふつーに真面目な船長さんでした。
それは周囲のクルー達とのバランスのせいでもあり。3件目の盗難のとき、エリック=碧海りま君はリストをまともに読めないボケキャラだし(本役みきちぐは呑気な口調だけと普通に読んでいる)、マーガレット=羽桜しずくちゃんはレモネードのくだりで船長に迫ってるし(本役みなみちゃんは常時淡々)。そりゃ孤軍奮闘で大変だよなあ、ご苦労さま(苦笑)。
あと彼について思ったのは、実は笑顔が板についてないんじゃないかということ。
そう思って普段の公演を見ていると、ショーでも、笑うと妙に年相応と言うか困り顔が入ると言うか。シリアスな真顔は格好いいのに。キャリオカの黒燕尾とか、娘役ちゃんをエスコートするときの伏目がちな表情とか、大人の色男の風情があるし。でもパレードのダブルトリオも、上手のカマちゃんの自然な笑顔に比べて、何かぎこちない……。
妙なところが不器用だなあ。そういうのちょっと可愛いかも(笑)。
多分今回のキャストだとフランクとかめちゃ自然にはまったんじゃないかと思いますが、そうでない役をやるのも新人公演の醍醐味かと。
マクニール=夢乃聖夏。
彼も結構苦労してそうに見えました。
まず第一に、鼻の下が伸びてない!(笑)(でもそれが大事)
だから、「女好き」に見えない。ドリーの自殺騒ぎでオロオロする姿も、本公演でやってる謝り倒すクルーと同じに見えちゃうもんなあ、難しいんだろうなあ。
ドリー=音花ゆり。
と言う訳で、マクニールが女好きに見えないとドリーが空回るんだなという。
コロちゃん、すごく上手かったし、可愛かった。丸くてふくふくしてトランジスタグラマー。マリリン・モンロー系の、色っぽくて頭足りなそうだけどしたたかででもかわいい女の子を好演してました。本役のうめちゃんより役にあってたかもしれない(だから一層、マクニールが女好きに見えないのがバランス悪かったなと)。歌もちょっとだけど、良かった。
それにしても、となみの衣装をうめが着て、うめの衣装をコロちゃんが着てると、なんかすごいなーと思いました(笑)。
笑いを取るって難しいんだな(本公演見た人ばかりで初見の客がいないとは言え、「呪われた航海」でも「ヒロインだ!」でも笑いが起きなかった)、逆にドイちゃんすごいな、と言っていたら、緑野さんに言われました。
「イロモノだと割り切れればかえってできるんじゃないの?」
納得。
二枚目半は難しい。
では、純粋に二枚目役はどうだったかと言うと。
フランク=麻尋しゅん。
まずは、子役少年役女役以外が回ってきて良かったなあと。
出来も良かった。声や台詞回しは大人の男だし、悪そうでもある。アンソニーが借金を立て替えた後の去り際のニヤリ笑いも凄みがあった。但し、やはり童顔が残念ですが。持ち味や方向性に容姿が追いついてくるといいなあ、と思います。
デイブ=紅ゆずる。
すっとした二枚目で、良かったのではないかと。いや、ふつーに格好よかったこと以外は、正直あんまり印象に残ってないんだけども(ごめん)。演技をしている姿は『シバ!』の楽屋番と『龍星』のだらんしか記憶に無いので、今回でシリアス芝居もちゃんと出来るんだなと。
コロちゃんのドリーがデイブの後押し無しで一人で誘惑できそうな子だったから、余計影が薄かったのかも(笑)。
逆に、完全にイロモノと言うか脇キャラの方々も、最初に書いたドイちゃんを筆頭に大健闘でした。
ロバート・ストックトン=七風宇海。
これまたすごく良かった。外見も、短く立てたツンツンヘアでキャラ立ってたし、台詞とかふつーに上手い上に、特別な強調した演技はしていないのに何だか存在感と言うか味がある。これからが楽しみな人だ。
スノードン伯爵=一輝慎。
今のあのド金髪は本役である組長に倣ったんですか?(素)
演技も基本的に本役踏襲だと思うんだけど、素で楽しそうに見える(笑)。妻と愛人の間で焦りつつ飄々とした懲りない男、というキャラであれば老け役である必要もないし、実にイキイキとノリノリでやってました。
キャサリン=華美ゆうか。
そのスノードンの愛人。お芝居も良かったけど、特に、仮装舞踏会の歌がすごく良かった。心地よい美声で聞きほれました。
オレステス=天緒圭花。
これは、ちょっと苦労したかなと言う印象。本公演での役がクルーなせいか、偽クルーとして出てきても全然違和感がなくて怪しくない。やはりにしきさんのあの存在感は若者にはなかなか難しいんだろうなあと。
エレクトラ=初瀬有花。
が、こっちは本役のきんさんに負けてませんでした。恐かった。カツラ取って啖呵を切るところで客席がどよめいたもの(笑)。若い分、スケバン的な凄みがあった。
やっぱり娘役(女役)の方が出来上がるのが早いってこともあるんだろうなあ。
その他。
バンドメンバーはあれだけの出番ではあまり印象に残らず。が、体操のお兄さんが妙に大仰で暑苦しいと思ったら、デイモン=壱城あずさ、君だったか!
リリー= 妃咲せあらはふつーに可愛く。あれだけの出番で印象を残すコトコトはやはり上手かったんだなと。
避難訓練は新公でも気合入って楽しかったです。ザッツ星組クオリティ(笑)。
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