星組新人公演『愛するには短すぎる』感想。見たのは9/5。
まだ本公演の感想もロクに書いてないのに何ですが。

「和くんとあかしのメイクが違いすぎて、画風の違う漫画家の合作を見てるみたいだった」
と言うのが、見終わっての第一声。
だって、和くんは御曹司を意識してかいつもより薄めと言うか柔らかい感じのメイクだったし、あかしはいつもどおり、つか金髪碧眼のイメージなのかむしろ濃いくらいだし。慣れるまで時間がかかりました。
何故かウメちゃんはどっちと並んでもあんまり違和感無かったです。

メイクはさておき、和くんのフレッド。
等身大、な感じでした。
正塚芝居はナチュラルさを求められるので、結果「等身大」な感じになるのかなと。
印象は、普通。普通に格好良かったし、普通に上手かった。
と言うか、フレッドって普通の人なんだなと再認識しました。真面目で真っ当、むしろ地味なくらい。本役のワタさんは力技で主人公、物語の中心として持ってきているんだなあと。(それが、研18トップスターの「等身大」ということなんだと思いますが)

キャリア、そして持ち味の違いで、新公のフレッド君がどんな奴に見えたかと言うと。
より真面目な「自分から何かを望むことは無かった」人間に見えました。
年のせいもあると思う。本役が青年期からの卒業、つまり色々未整理なものを抱えているけれどそれなりに大人で人生を楽しむことも知らないわけじゃなくて、この航海がモラトリアム最後の日々なのに対し、新公は今まで周囲の期待に応えることでいっぱいいっぱいで、未整理なものにやっと気づいて悩み多き青春時代に足を踏み入れてしまった、という感じ。
真面目で、若くて、センシティヴな悩める青年。
……もしかしたら、台詞だけ読んでいくとそっちのフレッド像の方が台本どおりだったりして、とちょっと思ったり(苦笑)。

対するヒロイン、バーバラはウメちゃん。
柄違いの役に苦労することが多かったように見える今までと比べ、今回は似合っているんじゃないかと予想していた。実際、自立した、でも寂しさや叶わなかった夢も隠し持っている女性、自然で時にぶっきらぼうな正塚台詞は合っている。
と言うか、似合いすぎる。
クラシカルな女の子であるとなみちゃんが正塚芝居をしたときの「敢えて」やっているような感じ、そこから生まれる色合いというか味があって、それがヒロインらしさになっているんだなあと思った。
要するに、甘くない。
勿論それがウメちゃんの個性であり、魅力的なバーバラでした。

それぞれのキャラクタはありだと思う。むしろ正しいかもしれない。
が、この、若くてまだ包容力は無くて自分のことでいっぱいいっぱいなフレッド君と、孤独を抱えつつも甘くない自立したバーバラの組み合わせだと、どうなるかと言うと。

ラブストーリーとしてなかなか盛り上がってくれません(苦笑)。
だって、甘くならないんだもの。さりげない台詞のやり取りだけじゃ。むしろ本公演では「いきなり古臭くなる」と不評の「愛するには短すぎる」主題歌デュエットになってやっと、ああこの二人愛し合ってるのね、と思えたり。
ちなみに盆回りのキスシーンは回りの歌い継ぎ4人に気を取られて見るのを忘れました(痛恨)。

くさしているように聞えるかもしれないけれど、決してそうではないです。
役者が違うと違う芝居になるんだなあとか、やはり本役に宛てて書かれているんだなあとか、トップコンビのラヴラヴ力ってすごいんだなあとか、当然と言えば当然なことを思いました。
黙って見つめ合うところも頑張ってはいましたが、そりゃあそこまで二人の世界を作れと言っても無理でしょう、ふつー(苦笑)。

もうひとり主要人物、アンソニー=あかし。
一番自由自在にイキイキしていたような気がするんですが(笑)。
基本的にはトウコさんのアンソニー踏襲なんだけど、自分のものにしているように見えた。と言うか、こういうキャラクタ似合うよね。お調子者で周りに呆れられたりして、でも実は熱いハートの友達思いのいいヤツ。

フレッドとのやりとりは、同期同士なおかげが気のおけない雰囲気が出ていて、いい感じでした。フレッドがより真面目君なせいか、アンソニーはよりお調子者に見えたりしたけど(笑)。和くんが台詞飛ばしたところ(あと2日)も何事も無かったように畳み掛けてナイスフォローだったし。
ちなみに「アンフェア」のところの振りは本公演と同じでした。変えてくるかと期待したのに。リフト(?)はかなりあかしが協力しているのが見えましたが。真面目で端正な和くんも彼なりにテンション上げて頑張ってた、んだと思います。「金持ちの友達を見つけるとか」の体当たりの顔芸にはびっくりした。あれちょっとやりすぎ(笑)。でもその意欲は買う。

あ、あかし氏は歌も頑張ってました。幕開きのソロも大丈夫! すごい上手いって訳じゃないけど、ちゃんと真っ当に歌ってました。
(すみませんヤンブラで「勢いで誤魔化し系?」とか思ったりしてたもんで。杞憂だった、良かった良かった)

何だかんだ言って、組替え直後の新公主演と言うのは大変だったと思います、和くん。
最後ご挨拶で「何度も自分に負けそうになりましたが」と言ったり、感謝の言葉を述べたとき泣いてしまって、湖月さんと言おうとして「こづっ」と詰まってしまったり。印象的でした。うん、頑張ったんだね。(詰まったときに「がんばれ」と客席から声がしたのは多分ワタさんだったんだと思う)ちなみにあかしが、あちゃー、という感じで顔を伏せたりしていたのも印象的でした(笑)。
すごく個人的な、勝手な思い入れで申し訳ないのですが、これから星組で活躍していくだろう和くんが、ワタさんの最後の公演で新公主演をしてくれて良かった、と思いました。
(あかしの新公主演を見たかったと言う思いもありますが、それはまた別の問題として)

そして、ラストシーンのフレッドのコートがベージュだったのを見て、やはりあの白は退団仕様だったのかなと思ったり。(結局そっちから頭が離れない)

その他のキャストについては別欄で。
ちなみに今回の新公のMVPは私的にはあかしとドイちゃんです。コロちゃんと華美ゆうかちゃん、そしてゆっちの話も書きたい。(以上次号予告)(いつ書くんだ)

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