るいちゃんも行くのか。

色々思うところはありますがオタクで妄想癖のある私の脳内では「陰謀渦巻く国を捨て自由を求めて新天地に去る王子と追いかけてきた姫君「置いていくなんて許さないんだから」強気な顔でにらみつける姫の目には涙、笑顔で抱き寄せる王子。草原を馬で駆けていく二人。重臣たちが慌てふためく中「行っちゃったな」とちょっと寂しげにしかし二人を祝福してすがすがしい笑顔で呟く弟王子」と言う、いがらしゆみこか原ちえこかというレトロ大河少女漫画ラストシーンが脳内上演されております。
いや、かしるいたにで兄弟王子と政略結婚でやってきた勝気な姫君、最初反発していたが二人の間で揺れ動く恋心、なんてのを見たいと言い続けてましたから。とりあえず今は深読みよりも妄想と言うか夢想で現実逃避中(引かれてる引かれてる)。

超今更ですが、宙コパの感想です。
書き散らかしてまとまらないので放置していましたが、アップしておかないと無かったことになってしまいそうなので。私的に。
見たのは8/5の2公演。もう1ヶ月も前なのか。

とか言ってリコの話から始まったりするんですが。

***

リコは、人間じゃないんじゃないだろうか。
この人は本当に年をとらないんじゃないだろうか。
時のたつのは早いと言うコンチータに「俺は年をとったなんて感じやしねえんだ」と怒るのも、本当に年をとらないからじゃないの? 年をとらないから、定命の人間の感覚が理解できなくて、苛立つ。
人外の生物だから、他の人間達と感覚が違う。誰かの命を奪うのも、誰かに恋をするのも。
彼は、ローラに本気で恋をしている。だけど、わからないんだ。クスリを使って無理矢理連れてこられた彼女が、自分に怯える理由が。ただ不思議そうに首を傾げるだけ。

この世ならざる人、人ならざるもの。

……なんてことを考えながら見てました、大和悠河演じるリコ。
いや、最初は、何考えてんだろうなー、何だかキャラがつかめないなーと思ってたんです。でも、観察してもよくわからない。
と言うより、現実感が薄い。普通に喋って、歩いて、相手に触れたりもしているのに、それなのに他の人たちと同じ次元に立っていないように見える。
その印象をより強くする原因は、圧倒的な美貌。ぴっちりと整えられたオールバック、ありえない小顔とスタイル。美しい。
そして端正。気障ったり凄んだりといった過剰な表現はない。表情はある。しかしあくまでも端正。
その全てがアンリアル、現実感が無い。
もしかして、こいつ人間じゃないんじゃないか?

そう思ったら全てがつながって腑に落ちた。
こいつ人間じゃないんだ。だから人間に見えないし、何考えてるかわからないんだ。
リコはローラに真剣に恋をしている、恋に落ちたように見える。少なくともその表情、その眼差しはピュアな少年のような、静かな情熱。
なのにやってることは薬物使用と誘拐監禁。
でもキスしようとしてローラが怯えているのを見るとそれ以上無理に迫ろうとはせず、手を離す。
このギャップも、普通の人間の感覚と断絶があるからではないかと。ちなみに星コパの安蘭リコがキスを途中でやめる姿はローラをいたぶって楽しんでいるかのようで、うわ怖、と思いましたがそれはそれで不思議ではなかった、わかりやすかったんですよ。

まあ人間じゃないというか「少女漫画に出てくる美形」的なアンリアルさでもあった訳ですが。そう思うと完全な一方通行ではなくて三角関係が見たかったかもしれない。普通に心優しくカッコイイ恋人と、理解しがたい存在だが自分を愛している美形悪役(悪役はちょっと違うか)との間で心ならずも揺れ動いてしまうヒロインの思い。

……伝わらない気がする。博多でジュンタさんに語ったときは我ながら完璧な説明だと思ったんだが(苦笑)。

ラリったようなタニリコ語りから始めてしまいましたが、以下キャスト別に参ります。

トニー/スティーブン=貴城けい
かしちゃん歌上手っ!
いや、普通に上手い人なのは知ってたけど。でも上手い。きれいに歌うだけじゃなくて「ダンシングフール」の最後のドスの効いたシャウトとか、すげー格好いい。や、初見のあととにかく歌を大絶賛してたら何故か誰もついてきてくれなかったけどな(苦笑)。他意はないですよ他意は。
スティーブン役は、もうちょっとほのぼのしたほわほわタイプで来るかと勝手に思っていたんですが、予想よりも普通に二枚目でした(一体何を期待してたんだ)(デニスみたいなイメージがあったらしい)。
「エルブラボー」の白シャツ海賊ルック剣を構えて高速せり上がりはコパカバーナにおける主役最大の見せ場だと思ってるんですが(星コパで買った舞台写真はこの1枚)、これがまた格好良かった。王子様が助けに来たよ!
上手いしきれいだし、格好いいし、そんでもって優しくて誠実。理想の彼氏、って感じだ。
なのにフィナーレ客席に向けての「皆さん立ってくだぁ〜さい!」がめちゃくちゃカワイイモードで顎外れました。さっきまであんな男前に決めてたのに、いいのか!?(笑)(褒めてます、褒めてますってば)

ローラ/サマンサ=紫城るい
綺麗で可愛い、そんでスタイルいいなあ。
一生懸命頑張って空回って上手くいかなくてしゅんとなったり、トニーに意地張ってみたりつんつんしてみたり、すげーかわいい。「髪の毛から藁がでてきそう」な程の田舎娘には見えなかったけど、これも持ち味。

で、この新トップコンビですが。
すげーお似合いでした。
何というか、トニーとローラ、スティーブンとサマンサと言うよりも、かしるいがお似合いで幸せそうで見てて楽しいなあと言う感じで。いや、作品をちゃんと見るという考え方からすると邪道かもしれませんが、でもコパはそんな大層な話でもないしな(あ、言っちゃった)。
フィナーレでニコニコ笑いあう二人が本当に良かった。きれいで可愛くて幸せそうだ。(枕詞のように「きれいだ」とつけたくなるのも新コンビ、と言うか宙組の持ち味かと)

コンチータ=遠野あすか
相変わらずの上手さですが、星版よりコメディ度が上がった感じ。周囲とのバランスか演出の変更か。エルブラボーのソロでわざと声を詰まらせてみたりとかね。
ところで、トロピカーナでリコがコンチータに「年なんだよおばさん」と言う場面、星組では他のおねえさまたち(きんさんとかしのぶさんとか)がコンチータと一緒に「まあああっ、ひどいわっ」と言う感じでショック受けてたんですね。コンチータに対しても「大丈夫?」と共感している感じで。でも宙はそうじゃなかった。宙のおねえさまは自分をおばさんなんて思わないから他人事と言うことなのか、それとも星がやりすぎなのか(後者かもしれない)(でもちょっとコンチータがさびしいそうかも)。

サム=蘭寿とむ
……えーと。
役の設定を若くするのもいいけどもうちょっと二枚目でも罰は当たらんのじゃないのか。いや、らんとむはおバカな僕ちゃん役にも全力投球で、きっちり笑いとってましたが、見る側としてはなー。
本編が若いのでラストはサマンサの兄弟とかで出てくるのかと思ったら、何故かパパのままだし。それじゃつながらないんじゃ。
それでも「美貌は伊達じゃない」で気障り、フィナーレでは一番はじけて出てくるらんとむさんがステキでした。

グラディス=美風舞良
キャスティングを聞いたときは正直驚いたんですが、キュートだし上手かった。「あたしはコパガールよ」のナンバーも歌い踊りこなしてました。小さい舞良ちゃんの後ろを頭に黄色い羽根つけた大きいるいるいがひょこひょこついていくのが可愛かった(笑)。今まであまり場が与えられてなくても、やれば出来る人だったんだ。
サム同様に若い設定になって、グラディスというキャラの位置づけ自体が中途半端になっちゃってましたが、それは彼女のせいじゃないしねぇ。
前述の「あたしはコパガールよ」でも、ローラが「王子様に会ったの?」と聞いた後のタメがないんですよ。2回ともそうだったんで演出家の指定なんだと思うけど、ここで観客に「え?ウソなの?」と思わせて次の瞬間更にそれを迫力でひっくり返す、面白いところだったのになー。グラディスとサムをどうしたいのか、全体的に意図不明な変更でしたわ。

スキップ=初嶺麿代、ウィリー=悠未ひろ
スキップがオカマじゃなかった(呆然)。
普通の、ちょっとカッコつけたお兄ちゃんでした。逆に星では普通だったウィリーはちょっとテンション変な奴。キョドったりルールどおり行かないと大騒ぎしたり。
……やっぱり個人的には逆で見たかった気もします。オカマじゃないのは残念ですが、カッコつけ振付師のともちも見たかったし、キョドり気味制服美人のはっちゃんも可愛かったんじゃないかと思うし(勝手なこと言ってごめん)。
二人の凸凹コンビぷりももう少し面白くなりそうで歯がゆい。きっと後半日程はもっと違うんだろうなあと思うと今回限りの観劇なのがちょっと残念。

あと、右京さんが随所でカッコつけてて見ていて楽しかった。ローラが店に来るところ、 彩苑さんと二人で追い返してました。「風と共に去りぬ」が大嫌いなんだ、という台詞が消えたのは近く大地真央様が博多座でやるからですか?
脇で気になったのは春風君。何だか目立つぞ君。

全体的に、まだ始まったばかりと言うのを考えても星組版より大人しいと言うかスマートな感じかなあ。より宝塚らしいと言えるかも。個性が出て良いかと。

うん、はるばる博多まで見に来てよかった。かしちゃんと宙組。

***

一ファンが、と言うか自分がこういうところで書けるのはこういう観劇感想とか妄想配役(は?)とか、そんなもんだと思っているのです、本来。5日はつい感情的になりましたが。
今回この件で色々掲示板とかブログとかを読んでまわりましたが、「そういうことは劇団に直接言うべきだ」というご意見があって、成程そのとおりだなあと。自分の気持ちのはけ口とか読みたい人が読んでくれればいいとかでなく、本当に伝えたいことがあるならば、確かにそうすべきだ。普段はそういうことはしない、無責任な一観客でありたい人間ですが、今回は考えてみようかと思いました(限りなく無駄に近いと思っても選挙には行くのと同じノリで)。

ま、それはそれとして。
博多で、TCAで「かしるいお似合い! 宙組きらきらしてる! かしちゃんすげーいいトップさんになるよ!」と感じた気持ちのままに、次の宙公演は楽しみに見に行きます。ちょっとその前にも色々あるもんで通いますとまでは言い切れないところがつらいですが。

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