星組『Young Bloods!!』の感想、1幕2幕とだらだら書きましたが。
結論として「今更ワークショップ?」と見る前は思っていた柚希バウは見事にワークショップであり、かつ興行として成り立っていました(と思う)。

これは既にある程度の経験を積んで自分の次のステップがわかっているれおんだからこそできたことだと認識していますが、かと言って「主演を経験したことのない人のための主演の場」としてのワークショップも必要だし、見たい。
だから、その場合、演出家に配慮があればいいのではないかと。演出家が主役中心に配慮する、又は演出家の人選(苦笑)に配慮する。主演者の魅力を引き出すことや成長させることに配慮する。
と、花と星の『Young Bloods!!』を見て思いました。
月は見逃して残念でしたが、日程が合ってチケットがあれば、雪と宙も見たいです。

と、真面目ぶった話はここまで。

気になった出演者については今までの途中でつらつら書いてきましたが、書きそびれた人について一人だけ。
アズ(『スカウト』に非ず・笑)こと壱城あずさくんが、見ていて目に付く、と言うか気になっておりました。何だか濃い客席アピールをしていて。
午後、隣の席で観ていたジュンタさんも思いは同じだったようで。
「あのアズって子、面白いね」
「うん」
「あの地味な顔でそう見えるってことは、きっと本人的にはすっごく気合入れてアピールしてるんだろうね」
……確かに!
例えば、みやるりのような目の大きいはっきりした顔立ちの子は、普通にやってれば表情豊かに見えるだろう。でも、アズくんは切れ長の瞳の黙って立ってればクールキャラだ。
それが、他人より暑苦しくアピって見えるってことは。
「きっと、人の3倍くらい気合入ってるよ」
「……面白いなあ」
「……面白いなあ」
と言う訳で、二人で壱城あずさくんにチェック入れて帰ってきました(笑)。

あ、アピール過多と言えばあかしですが、今回はあまりくどく感じませんでした。
私が慣れた(笑)と言うだけでなく、端っこでやっていると気になるアピールでも、二番手位置だと気にならないと、そういうことかなと。
いや、『長崎』のときに上手花道でガン見してたら見つめ返してくれた印象が強いもんで。嬉しかったけど、芝居中だからと言うかにもかかわらずと言うか、捕り手の格好で真顔でずーっと見つめられたので、犯罪者になったような気分で微妙に気まずかったです。
今回のあかしは、格好よかったです。普通に格好よくて物足りないくらい(笑)。
乾いた退廃の似合う黒タキ姿から、芝居ラストの暴走気味の熱血まで。良かった、面白かった(結局面白いのか)(いや興味深いと言う意味で)。

もひとつついでに、アピールつながりで。
星組の客席アピールは「楽しんでるかい?楽しんでってくれよな!」ということの表現のように感じました。「オレに惚れな」じゃなくて(笑)。弱肉強食でなくてお祭り上等と言うか。同じようにアピール過多でも、そこが花組との違いかなあと。あくまでも私見ですが(それ言ったらここで書いてること全部私見ですが)。

えーとつまり結局、楽しかったなあと(笑)。

***

ここからは恐らく私の感傷。

5/20の午後公演。幕が下りて一回上がる。ここまではお約束のご挨拶。
でも、拍手に応えてもう1回幕が上がった、そのとき、彼は客席に呼びかけた。
「若い血潮のたぎりを、感じていただけましたでしょうか?」(具体的な言葉は記憶違いがあるかもしれません)
客席からは肯定の拍手と盛り上がり。
知ってる。
私、その言い方知ってる。聞いたことがあるよ。

こういうときに真ん中に立つ人はどうするのか、何をどんな風に言うのか、ずっと見ていたんだろうなあ。
実のところ、本来の個性はだいぶ違うものがあると、私は見ているのだけれど。
でも、背中を見て育つって、こういうことなのか。

星組『Young Bloods!!』。
最近見たもので似たものを聞かれたら、花組『Young Bloods!!』ではなく『Across』を挙げるだろう。いや、2幕最後の場面のせいじゃなくて。
ダンスを中心にしたシンプルな物語と、バラエティショーという構成のせいだけでもなく。演出家に自分のやりたい要素もリクエストしてつくっていくこと、座長として他の出演者の成長も気を配ること。そんなことも含めてワークショップであり、センターで仲間を引っ張ったり支えたりすること(それを帝王学と言うのだろうか)も含めた新人公演のような、そんな気がした。
太陽が沈む。
きらめく星が昇る。とびきりの一等星が。太陽の残照を受けてもいるけれど、それとは違う色の、自分自身の輝きを持つ星が。
やがて君はもっと輝くだろう。自らの輝きにより磨きをかけて。
いつもと同じ夜が始まる、いつもと違う君、という歌詞に思いを馳せつつ、君の更なる成長と洋々たる未来を祈る。

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