年下の男の子。(星組『ベルサイユのばら』)
2006年3月30日 宝塚本日18:30公演観て参りました。サバキで。
実は火曜日もサバキ待ちしましたが需要過多で敗退。しゅんちゃんの小雨の淑女ももう1回見たかったんですが、残念でした。
今日は需給がつりあっている感じでした。寒いせいで待ちが少なかったのかも。 ちなみにすずみんの淑女は金髪ボブ。あ、21日に書き忘れましたが、友会優先では金髪セミロングでした。前髪がぱっつんでサテュロスをちょっと髣髴としたり。
さて、3/14以来の柚希アンドレ。
良くなってました。少なくとも私の好みの方向に変わってました。
何と言うか、礼音くんらしさが出てきたかなーと。
言い方を変えると、可愛げが出てきた。格好よくて強引な年下男はあまり興味がありませんが、可愛げが加われば話は違う。
いやま、あくまでも私の主観ですが。そして私は「今日は柚ドレウオッチの日」と決めたにもかかわらず、1幕ラストでは銀橋のフェルゼンに、2幕ではオスカルを止めるベルナールにオペラを奪われた当てにならない奴ではありますが。
アンドレの最初の出番、ジャルジェ将軍とオスカルのやり取りに「うわーどーしよー」って顔してるんですよ。オスカルがぶち切れているのを見て、うわどうしよう俺何もできないよ泣き出しちゃったらどうしよう、とおろおろしているような感じ。それが何だか微笑ましいと言うか、可愛いなあと。
あ、ここオスカルを助け起こすときに髪を取り除けてやるのは柚ドレの規定演技のようです。その必要がなくてもやっている模様(笑)。で、オスカルは気づいていない(笑)。オスカルに対する愛情の表現としてこれはこれでいいなあと。
あと良かったのは「白ばらの人」。
銀橋ソロは前半日程から褒めてますが、今日はまた一味違いました。今までは格好いいなあスターさんだなあと言う感じだったのが、今日は「凛々しい姿遠ざかる」の「遠ざかる」の部分で切なさが爆発していて、聞いていてすごく揺さぶられた。持って行かれた。
全体的に、形よりもハートが見える演技、と言う印象になってました。
純粋な格好よさはひょっとしたら落ちているかもしれないし、強引でちょっと危険なタイプが好きな人は、前半の柚希アンドレのほうが好きかもしれない。
でも、私は今のアンドレが、人間味があって可愛げがあって、好きです。若いからこそ、死ぬ場面も痛々しくて。断ち切られた未来、と言う感じがして。
あと、そんな柚希アンドレにあわせたのか、より可愛くなっちゃってるトウカルも見所かも(笑)。小石の場面「んもう!」とか言ってますよね(空耳?)。
下手に大人ぶって格好つけたりせず、まっすぐに全力で相手を思う様子が見えた方がいいよね、年下の男の子は。
ともあれ、礼音くんらしい若くて生き生きして男の子な感じのアンドレで、これはありです。もう1回見る予定なので、また変化が楽しみです。
***
さて。
ここからはまた誰もついて来られなさそうな話をします(笑)。
柚ドレの日のはずが、私のオペラを奪った二人について。
【立樹ベルナールの話】
終演後、今日は見ていなかったサトリさんに「どうでした?」と聞かれ「何あの美形!」と答えた私。
だって、すごく格好よかったんだもん。見ていて戸惑うくらいに。今までもそりゃ格好よかったけど、3/21のアンドレ楽以来、今までと何か違う。シャープで端正で美しくて……うん、何だか落ち着かない(苦笑)。
でも、実はそれは一番大事なことではなくて。
私が何より胸しめつけられ苦しくなってしまったのは、ベルナールが可哀想だだということでした。演じているしぃちゃんがどうこうではなくて、ベルナールという人が。
見ていて、可哀想で可哀想で、もうどうしようかと。だってあの人つらいよ? すげーつらい立場だよ?
そもそも、アンドレとオスカルの死の場面から、つらそうで見ていられないくらいだったんですよ、今日は。
その前の、オスカルがパリに来るのを一旦は止めようとしたものの、彼女が市民側についたと知ったときの感謝と喜び、そしてロザリーがオスカルに感謝を述べる姿を愛情に満ちて見守る姿が嬉しそうだっただけに。アンドレが撃たれたのを見て飛び出していこうとするオスカルを止める様子がすごく苦しそうで(ここオスカルのトウコさんが泣き叫んで暴れるのが迫真だし)。アンドレが死んでオスカルを放した後、膝をついたまま立てないでいるのもまた苦しそうで見ていて胸塞がれて。
オスカルが撃たれたときも、本当は自分が駆け寄りたいくらいなのに、ロザリーを止めるためそれも出来ない。それがまた苦しい。立ち尽くして「オスカル」と呟く(マイク切れてるけど口元見ればわかります)姿も、オスカルの死に徐々にゆっくりと表情が変わって行き、一旦凍り付いてやがて天を見上げて慟哭するのも。
それだけの犠牲を払って、恐らくは彼ら二人だけでなく多くの人の命を代償に成し遂げたはずの革命が、変質し道を違えてしまった。その過程をつぶさに見てきたベルナールの苦悩はいかばかりか。ロザリーにそのことを説明する姿が、諭すようでも怒りをぶつけるようでもなく、苦しそうだ。一生懸命に納得させようとしているのだけれど、余裕が無くてつらそうだ。
それがもう、見ている私の胸に迫って、もう可哀想で可哀想で。思わず「私には貴方が痛々しい」と口走りかけました(お前最近痛々しいぞ、でも可)。いや実際サトリさんに説明するときに口走ったんだけど(やめろ)。
更にその勢いで、行けフェルゼンのところも可哀想で可哀想で泣きそうになったと言ったら呆れられました。だってあの人あんなに必死なのに結局駄目なんだよ?
と、話がずれました。
最後牢獄の場面では、割とベルナールは無表情、と言うか表情を抑えている。アントワネットにスープを勧めるときの笑顔も、「笑って見せている」感じで、一生懸命繕っている。ムラでは割と自然に笑顔で暖かく、アントワネットを励ますように言っていた印象なのですが。でも今の、東宝後期日程のベルナールはそうじゃない。自然に笑うには本人がつらすぎて、色々なものを抱えすぎて。
本当にもうあの人可哀想過ぎてどうしようかと(何度も同じことを言って失礼)。せめてロザリーがいてくれて良かった。本当に良かった。
と言う訳で後期日程のしぃベルナールにはがんがん揺さぶられて持っていかれました。やばい。完敗。SSはもう打ち止めのはずだったのに(はい?)
あんまり苦しかったのでフィナーレの薔薇タンで、あー、みんな元気そうだねー良かったねーと思ってしまった私は本格的に馬鹿。ちなみに今日の掛け声は「ラストナイトショー!」でした。
【湖月フェルゼンの話】
さっき「行けフェルゼン」も可哀想で可哀想で、ということは書きましたが。
ここではフェルゼンに感情移入するあまりメルシー伯の説教シーンがクリアできた話をします。いやほんとあのシーンが眠くもならず不快でもなくなってしまったという、半年前の自分が聞いたら信じないような話。
と言うか、この場面が『椿姫』2幕のジェルモンとヴィオレッタの場面に匹敵する見ごたえある場面になってます、私にとっては。怒られるかな。でも位置づけは似てるよね。
勿論、それは出演者の力のおかげなのは明白。メルシー伯とフェルゼンのかけひきと言うとちょっと意味合いが違う気がしますが、やりとりの緊張感が。
メルシー伯は、フェルゼンとアントワネットを別れさせようと決意して訪れる。フェルゼンは彼の訪問意図を察しつつ、友好的に彼を迎え、話を聞く。メルシー伯は大人の分別で正しい道を説いていると確信していながら、フェルゼンが示す率直な反応「大変だったでしょう」「お可哀想に」という共感に満ちた言葉についほだされそうになり、その都度気を引き締める。ついにメルシー伯がその真意を明らかにしたとき、フェルゼンはそれを非難する。しかし彼はわかっている。国の名誉も体面も王妃様には必要ない、と言う言葉は彼の本心ではあるけれど、それが大人の分別で測れば無謀で理に適わないことだということも知ってしまっているのだ。だからこそ彼は、一旦は否定したメルシー伯の言葉に動かされ、アントワネットとの別れを決意する。いや追い込まれてそうせざるを得ない。
……とか考えられるようになったらこの場面も消化できちゃうよな(半笑)。
勿論、繰り返しますがそれはそこまで見せてくれる出演者の力であるわけで。
終始、大人の分別をもってアントワネット(とフェルゼン)を導こうとしたメルシー伯が、最後の最後、アントワネットの子供時代の象徴であるステファン人形を返しに来るのが興味深いところです。
しかし、その時既にアントワネットは少女には戻らない。戻れない。
そしてその運命の皮肉の前にフェルゼンはただ立ち尽くすのみ。
本当、ここにきてベルばら完全消化ですよ。消化出来すぎて我ながら呆然。つか、きっと仲間内誰もついてきてくんない(苦笑)。
あ、あと今日は2幕でブイエ将軍に啖呵を切るオスカルにも持って行かれた。何だか格好よくてしなやかで強くて生き生きしていて泣けた。もう末期状態だな(苦笑)。
実は火曜日もサバキ待ちしましたが需要過多で敗退。しゅんちゃんの小雨の淑女ももう1回見たかったんですが、残念でした。
今日は需給がつりあっている感じでした。寒いせいで待ちが少なかったのかも。 ちなみにすずみんの淑女は金髪ボブ。あ、21日に書き忘れましたが、友会優先では金髪セミロングでした。前髪がぱっつんでサテュロスをちょっと髣髴としたり。
さて、3/14以来の柚希アンドレ。
良くなってました。少なくとも私の好みの方向に変わってました。
何と言うか、礼音くんらしさが出てきたかなーと。
言い方を変えると、可愛げが出てきた。格好よくて強引な年下男はあまり興味がありませんが、可愛げが加われば話は違う。
いやま、あくまでも私の主観ですが。そして私は「今日は柚ドレウオッチの日」と決めたにもかかわらず、1幕ラストでは銀橋のフェルゼンに、2幕ではオスカルを止めるベルナールにオペラを奪われた当てにならない奴ではありますが。
アンドレの最初の出番、ジャルジェ将軍とオスカルのやり取りに「うわーどーしよー」って顔してるんですよ。オスカルがぶち切れているのを見て、うわどうしよう俺何もできないよ泣き出しちゃったらどうしよう、とおろおろしているような感じ。それが何だか微笑ましいと言うか、可愛いなあと。
あ、ここオスカルを助け起こすときに髪を取り除けてやるのは柚ドレの規定演技のようです。その必要がなくてもやっている模様(笑)。で、オスカルは気づいていない(笑)。オスカルに対する愛情の表現としてこれはこれでいいなあと。
あと良かったのは「白ばらの人」。
銀橋ソロは前半日程から褒めてますが、今日はまた一味違いました。今までは格好いいなあスターさんだなあと言う感じだったのが、今日は「凛々しい姿遠ざかる」の「遠ざかる」の部分で切なさが爆発していて、聞いていてすごく揺さぶられた。持って行かれた。
全体的に、形よりもハートが見える演技、と言う印象になってました。
純粋な格好よさはひょっとしたら落ちているかもしれないし、強引でちょっと危険なタイプが好きな人は、前半の柚希アンドレのほうが好きかもしれない。
でも、私は今のアンドレが、人間味があって可愛げがあって、好きです。若いからこそ、死ぬ場面も痛々しくて。断ち切られた未来、と言う感じがして。
あと、そんな柚希アンドレにあわせたのか、より可愛くなっちゃってるトウカルも見所かも(笑)。小石の場面「んもう!」とか言ってますよね(空耳?)。
下手に大人ぶって格好つけたりせず、まっすぐに全力で相手を思う様子が見えた方がいいよね、年下の男の子は。
ともあれ、礼音くんらしい若くて生き生きして男の子な感じのアンドレで、これはありです。もう1回見る予定なので、また変化が楽しみです。
***
さて。
ここからはまた誰もついて来られなさそうな話をします(笑)。
柚ドレの日のはずが、私のオペラを奪った二人について。
【立樹ベルナールの話】
終演後、今日は見ていなかったサトリさんに「どうでした?」と聞かれ「何あの美形!」と答えた私。
だって、すごく格好よかったんだもん。見ていて戸惑うくらいに。今までもそりゃ格好よかったけど、3/21のアンドレ楽以来、今までと何か違う。シャープで端正で美しくて……うん、何だか落ち着かない(苦笑)。
でも、実はそれは一番大事なことではなくて。
私が何より胸しめつけられ苦しくなってしまったのは、ベルナールが可哀想だだということでした。演じているしぃちゃんがどうこうではなくて、ベルナールという人が。
見ていて、可哀想で可哀想で、もうどうしようかと。だってあの人つらいよ? すげーつらい立場だよ?
そもそも、アンドレとオスカルの死の場面から、つらそうで見ていられないくらいだったんですよ、今日は。
その前の、オスカルがパリに来るのを一旦は止めようとしたものの、彼女が市民側についたと知ったときの感謝と喜び、そしてロザリーがオスカルに感謝を述べる姿を愛情に満ちて見守る姿が嬉しそうだっただけに。アンドレが撃たれたのを見て飛び出していこうとするオスカルを止める様子がすごく苦しそうで(ここオスカルのトウコさんが泣き叫んで暴れるのが迫真だし)。アンドレが死んでオスカルを放した後、膝をついたまま立てないでいるのもまた苦しそうで見ていて胸塞がれて。
オスカルが撃たれたときも、本当は自分が駆け寄りたいくらいなのに、ロザリーを止めるためそれも出来ない。それがまた苦しい。立ち尽くして「オスカル」と呟く(マイク切れてるけど口元見ればわかります)姿も、オスカルの死に徐々にゆっくりと表情が変わって行き、一旦凍り付いてやがて天を見上げて慟哭するのも。
それだけの犠牲を払って、恐らくは彼ら二人だけでなく多くの人の命を代償に成し遂げたはずの革命が、変質し道を違えてしまった。その過程をつぶさに見てきたベルナールの苦悩はいかばかりか。ロザリーにそのことを説明する姿が、諭すようでも怒りをぶつけるようでもなく、苦しそうだ。一生懸命に納得させようとしているのだけれど、余裕が無くてつらそうだ。
それがもう、見ている私の胸に迫って、もう可哀想で可哀想で。思わず「私には貴方が痛々しい」と口走りかけました(お前最近痛々しいぞ、でも可)。いや実際サトリさんに説明するときに口走ったんだけど(やめろ)。
更にその勢いで、行けフェルゼンのところも可哀想で可哀想で泣きそうになったと言ったら呆れられました。だってあの人あんなに必死なのに結局駄目なんだよ?
と、話がずれました。
最後牢獄の場面では、割とベルナールは無表情、と言うか表情を抑えている。アントワネットにスープを勧めるときの笑顔も、「笑って見せている」感じで、一生懸命繕っている。ムラでは割と自然に笑顔で暖かく、アントワネットを励ますように言っていた印象なのですが。でも今の、東宝後期日程のベルナールはそうじゃない。自然に笑うには本人がつらすぎて、色々なものを抱えすぎて。
本当にもうあの人可哀想過ぎてどうしようかと(何度も同じことを言って失礼)。せめてロザリーがいてくれて良かった。本当に良かった。
と言う訳で後期日程のしぃベルナールにはがんがん揺さぶられて持っていかれました。やばい。完敗。SSはもう打ち止めのはずだったのに(はい?)
あんまり苦しかったのでフィナーレの薔薇タンで、あー、みんな元気そうだねー良かったねーと思ってしまった私は本格的に馬鹿。ちなみに今日の掛け声は「ラストナイトショー!」でした。
【湖月フェルゼンの話】
さっき「行けフェルゼン」も可哀想で可哀想で、ということは書きましたが。
ここではフェルゼンに感情移入するあまりメルシー伯の説教シーンがクリアできた話をします。いやほんとあのシーンが眠くもならず不快でもなくなってしまったという、半年前の自分が聞いたら信じないような話。
と言うか、この場面が『椿姫』2幕のジェルモンとヴィオレッタの場面に匹敵する見ごたえある場面になってます、私にとっては。怒られるかな。でも位置づけは似てるよね。
勿論、それは出演者の力のおかげなのは明白。メルシー伯とフェルゼンのかけひきと言うとちょっと意味合いが違う気がしますが、やりとりの緊張感が。
メルシー伯は、フェルゼンとアントワネットを別れさせようと決意して訪れる。フェルゼンは彼の訪問意図を察しつつ、友好的に彼を迎え、話を聞く。メルシー伯は大人の分別で正しい道を説いていると確信していながら、フェルゼンが示す率直な反応「大変だったでしょう」「お可哀想に」という共感に満ちた言葉についほだされそうになり、その都度気を引き締める。ついにメルシー伯がその真意を明らかにしたとき、フェルゼンはそれを非難する。しかし彼はわかっている。国の名誉も体面も王妃様には必要ない、と言う言葉は彼の本心ではあるけれど、それが大人の分別で測れば無謀で理に適わないことだということも知ってしまっているのだ。だからこそ彼は、一旦は否定したメルシー伯の言葉に動かされ、アントワネットとの別れを決意する。いや追い込まれてそうせざるを得ない。
……とか考えられるようになったらこの場面も消化できちゃうよな(半笑)。
勿論、繰り返しますがそれはそこまで見せてくれる出演者の力であるわけで。
終始、大人の分別をもってアントワネット(とフェルゼン)を導こうとしたメルシー伯が、最後の最後、アントワネットの子供時代の象徴であるステファン人形を返しに来るのが興味深いところです。
しかし、その時既にアントワネットは少女には戻らない。戻れない。
そしてその運命の皮肉の前にフェルゼンはただ立ち尽くすのみ。
本当、ここにきてベルばら完全消化ですよ。消化出来すぎて我ながら呆然。つか、きっと仲間内誰もついてきてくんない(苦笑)。
あ、あと今日は2幕でブイエ将軍に啖呵を切るオスカルにも持って行かれた。何だか格好よくてしなやかで強くて生き生きしていて泣けた。もう末期状態だな(苦笑)。
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