本日3/21午後は、宝塚友の会優先公演でした。貸切扱いで終演後のご挨拶あり。
ワタさん曰く「皆様既にご存知かと思いますが、今日WBCで日本が優勝しました!」おおーと客席。
「この喜びを皆様と分かち合いたいと思います! それでは一緒に万歳三唱を!」
ええ、やりましたよ万歳三唱。いやあ星組だなあ(苦笑)。先日のしぃ茶でも「勝ちましたね!」って言ってたんで、きっと楽屋ですごく盛り上がっているんだろうと思います(あ、お茶会報告書かなきゃ)。
勿論それで終わりではなく「私達も皆様に夢と感動を与えられるような舞台を務めたいと思います」と言ってました。それに対して誰か客席から「星組世界一!」みたいなこと叫んでたような(笑)。

本日は立樹アンドレ楽でもある訳で。さてどうだったかと言うと。
ものっっっすっごく良かったっ!!!
18日はつまんないとか言ってごめんなさい。いやマジで申し訳ない。
と言うか、あのとき方向性が構築されたものをどんどん肉付けし膨らませてここにたどり着いたということなら。今日のアンドレ楽が完成形であるならば、今日この回を見ることができて良かった。本当に良かった(俺は今まで生きてきて良かったの勢いで)。

そう思ったのは私だけではなかったらしく、隣で観ていたジュンタさんは一幕終わりの時点で既に「あんまりしぃちゃんが素敵だから」泣いているし。終演後落ち合ったサトリさんは足元が完全にふらついてるし。
この素晴らしさを言葉で伝えることも書き残すことも到底不可能であると絶望に陥りながら、それでも感想を書いておこうと思います。

まず、ビジュアルに瞠目。
メイク変えた? いやそれもあるけれどそれだけじゃなくて。表情の作り方から違う?
端正で、美しい、大人の男。
……えーと、私はしぃちゃんのファンですが、顔で惚れたと言う訳でもないので、そう感じていることに戸惑いつつ。でも本当に格好よくて。
表情も、白か黒か明快なコントラストではなくグレースケールの光と影で。
何だか、こんなしぃちやん、初めて見たような。
芝居も、出すぎず抑えすぎず、何と言うか非の打ち所がない。ここがどうだとかあれが違うとか何も言う必要がなくただ見せてくれるものを享受すればいい。そんな感じ。

全体的な雰囲気からして変わっているので、具体的にどこがどう良くなったと言うのは難しいのですが。
最初の登場シーン、ジャルジェ将軍に殴られたオスカルに駆け寄るところ。前半が愛情だだ漏れ状態だったのに対して、後期日程では非常に抑えた感じになっていました。その抑え方が正しいと思いつつ、16日の時点では私は物足りなかった訳です。が、この楽では、抑えつつも秘めた愛情が切々と感じられて、すごく良かった。やられた。
この場面、ジェローデルはオスカルをじっと見守りつつ、彼女が剣に生きると宣言すると満足そうに微笑むんですね。が、アンドレはずっとただ見守っているだけで、オスカルの言葉に反応して表情を変える事はしないのです。ただ真剣に気遣わしげに見ている。これは規定演技のようなのですが、今回は特にその差、二人のオスカルに寄せる思いの違いがはっきりと出ている場面になってました。何と言うか、ジェローデルがオスカルの生き方に敬意を表しかつ女性として愛している(そして彼は近衛隊長として出会ってからのオスカルしか知らない)のに対し、アンドレはただオスカルの存在そのものを愛している、いや愛しているというよりオスカルの存在が彼の存在、と言うように見える、そういうことを表現したいのかなと。

小石の場面も初期とは違いました。オスカルが悩みを吐露している最中、アンドレはじっと考え込む表情をしている。それはオスカルには見せない顔。そして、明るい表情を「作って」豪快に笑いかける。オスカルの悩みを紛らわせてやろうとして意図的にやっている、というのが見える演技になってました。
これ実はお茶会でそういうことを言っていたので意図としては最初からそうだったものを、ここにきて的確に表現してきたんだなあと。
「白ばらの人」も正しい「白ばらの人」でした。ただオスカルへの愛情全開ではなく、秘めた思いとそれでも愛しぬくという決意を歌う歌。苦悩や切なさと、決意と前向きさのバランスが。
そして、何だかスターさんでした。いや、客席への目線の配り方とかがね、見せることも意識したような銀橋ソロだった。少なくとも私にはそう見えた。(今までは違ったのか)(いや今までもスターさんだったけど、でもちょっと違った)

二幕になると、余計な雑念は消えうせてしまって、ただ見てしまっていた。
今宵一夜は本当に良くて。「真実」と言うもの、オスカルとアンドレという二人の人間の真実が感じられて。
アンドレっていい男だったんだな、と初めて思った。愛情深い大人の、しかし限りなく深い情熱を秘めた、オスカルが身を委ねるに相応しい男。
本当にもう、ただ見ていた。ただ、オスカルとアンドレの物語を見ていた。
勿論、それはオスカルのトウコさんも素晴らしくて。
安蘭けいと立樹遥を見ているのではなく、オスカルとアンドレとして見てしまっていた。
いや、原作のイメージ云々まで言ったらどう判断すべきかはわからないけれど、でも。強く美しく誇り高く、しかし脆く激しく感情豊かな女性と、常に彼女とともにあり別ちがたく結ばれ、全存在を懸けて彼女を愛する男の姿として、ただ素直に見ていた。

それは、圧倒的な物語だった。
おかげで、バスティーユ以降、感覚が半ば麻痺してしまったらしい。いや、一生懸命見ていたのだけれど、頭にも感情にもその情報を咀嚼する余裕がなく、それまでの物語の余韻と言う感じで。
本当に、奇跡のようなオスカルとアンドレだった。

ま、最初からこれが出来ていればと思わなくもないんですが(苦笑)。私個人的には前半日程のいかにもしぃちゃんらしいアンドレも大好きで両方見られて得したとか思っている訳ですが、世間一般的には今の方か高評価だと思うし(少なくとも私の周りはみんなそうだ)。
でも、この自身のアンドレ楽にここまでもってきた、創り上げてきたということは素晴らしいと思います。良かった。本当に良かった。

それに、公演自体も白熱した素晴らしいものだっのですよ。
さっき書いたバスティーユ以降余韻ということと矛盾するようだけれど、でもみんな素晴らしかった。フェルゼンもアントワネットも、ジェローデルもベルナールもロザリーも、脇役の一人一人もみんな。
「何でこんなに感動しちゃうんだろうねー、ベルばらなのに」と終演後に涙と苦笑交じりで言い合ってしまった。
それはやっぱり、演じる側の熱意なんだろうなと。
だってあの人たち本気だもの。本気でベルばらは宝塚の宝物で、出演できてうれしい、誇りに思う、って思ってるもの。
観る側が斜に構えて客席に座っていたって、そりゃ負けるわ。
……まあ脚本が当社比でかなりマシなおかげもあるけど(全ツ版ではさすがにちょっと)。
とにかくこの日は、奇跡のような公演だったんだ。少なくとも、私にとっては。ただ単に個人的に何かスイッチが入ってしまっただけで客観的に見たらそれほどでもないんじゃ、と言われれば否定はしませんが。

終演後、ジュンタさんとサトリさんとサトリさんのお友達とそのお友達と5人でご飯食べたりしていたのだけれど。
駅で別れるとき、誰からともなく。
「万歳三唱しようか?」
ええ、やりましたよ万歳三唱。酒も入ってないのに(苦笑)。
立樹遥さんのアンドレに。そして、今日の公演に。
ありがとう星組。

***

感想が上手く書けないとSSをする癖(=頭で組み立てるより見えるものを写し取る方が早い)。
と言う訳で今回も「アンドレがどれだけ素晴らしかったかとても書き表せないー」と言いながら書いてたんですが。例によって感想文よりSSの方が早く出来ていたんですが。出来たらすげー甘ったるくて陳腐で自分で自分にげんなりしました。私もうガラスの馬車を笑えない(半笑い)。
公開もはばかられましたがでも私にこういうものを書かせたということが感想の表現になるので、やはり載せておきます。これ以上戯言は聞きたくないという人は読まないでください(もう読んでないか)。
http://kine.nobody.jp/verose5.html

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