1/21(土)11時の回を見て参りました。また立見です。
前回よりも悪い番号なのに内側の手すりがとれたのは、おそらく慣れていない人が多かったせい。「初めてだけどどこに立つの?」と口々に言ってました。小学校低学年くらいの女の子と母親の二人連れが居たけど、ちゃん見られたかなあ。
立見なんてしたことが無い人々をそれでも見たいと駆り立てる、それがベルばら(と言うかNHKをはじめとするメディア宣伝の力)なんだなあと痛感。
そんな中幕が開くと、客席からはミラーボールにため息、御覧なさいに歓声。こんな風に毎日満員の客席でやれるのはうれしいだろうなあ、とつい思ってしまって、絵の中から出てきたとなみアントワネットの姿に「きれいねえ」と言う声を聞いて、何だか目頭が熱くなってしまいましたよ。(初めて見る皆さんにどうですうちの子たちはステキでしょうと言う気分)(イタイと言うか大馬鹿)

さて、本日は水オスカル。(大変残念ながらきりカルは見逃しました)
これが良かったのですよ! 少なくとも私の好み的にはクリーンヒット。

が、少々不安が。
たいてい私が書いているものは「世間様の目から見てもそれほどはおかしくないだろう」と「こんなこと誰も思わないだろうけどそもそもこのこと自体誰も気にしてないから書いてもいいや」のどちらかであることが多い(と自分では思っている)のですが。
今回は「世間様の目から見て異端なのに関心を持たれていること」ではないかとちょっと気にしています。特に水くんファンの方にはどう見えているんでしょうか。私的には絶賛なんですが。
と、小心者らしく予防線を張った上で感想を。

プロローグの水色の軍服でまず、あ、きれいじゃん、と。
何と言うか、普通にきれいだった。コム氏の「花のかんばせビジュアル完璧」とも、かしげ氏の「貴族的な男装の麗人」と言う印象とも違うけれど、普通にきれいなお姉さん。
そして物語が始まって最初の登場。貴婦人達を叱り付けフェルゼンに帰国しろと言う場面。
男前、と言うか、ふつーに男らしい。声も低めだし(本人比では高いかもしれないけど)語調の強さも男役まんまに見える。これではフェルゼンも女性として見るわけが無い、男友達感覚と納得。
しかし、フェルゼンになじられてしゅんとなると。あれ、何だか乙女だぞ? 恋愛や女らしさについての表現が不器用で、それが何だか可愛らしい。

こういうって人いそう、と思いました。
バリバリのキャリアウーマン、又は、サークルの仕切り役女子大生とか。姉御肌で周りの男どもよりよっぽど男らしくて豪快で、誰にも女扱いされていないし本人も自分はそういうものだと思っている。でも実は恋には乙女で少女のように夢見がちで不器用。そんなお姉さん。実際にその辺にいそうだし、連ドラや少女漫画のヒロインにもいそう。
大芝居ではなくどちらかと言うとナチュラルな演技の人だから、そういう印象を受けるんだろう。でも熱いハートのある人だから、仕事に恋に悩みながらも全力投球で頑張ってる、と言う感じが好ましい。
1幕半ばの幕前芝居は「原作のジャルジェ将軍が出てくる場面の台詞を全部つぎはぎしてみました」という何が言いたいのかさっぱりわからない意味不明なシーンなんですが、これも水オスカルの熱血ぶりに誤魔化され、最後の「私は軍神マルスの子として生きます!」では、そうかがんばれよ、と思ってしまいました(私だけ?)。

そして、恋した相手の前では妙に可愛くなっちゃうので。
フェルゼンが「君は僕のことを」と気づくシーンも、普段はあんなに男らしいオスカルが恋する乙女モードを見せたら、そりゃわかるよね、と先々週のかしカルとは別の意味で納得。少女漫画によくある、友達として付き合っていた男の子に隠しておいた恋心をついさらけ出してしまうシーン、になってました。
アンドレに対しても同様。女らしく振舞うことに慣れていない女性が好きな相手に思いを打ち明けるぎこちなさ。「私を抱け」もためらいや戸惑いの混じったおずおずとしたニュアンスがあって、へえそうくるかと。対して「この戦闘が終ったら結婚式だ」は結ばれた安心感からかあっけらかんと明るく、言われたアンドレがかえって照れてしまうような。
アンドレの死後バスティーユになだれ込む辺りはホットに男らしく、普段の「オスカル隊長」に戻ったと言う感じでちょっと拍子抜ける半面、私怨という印象は無かったので、それもありかと。
そしてその分「もうお前はいないのか」ががむしゃらに戦っていたので忘れていた喪失感にこのとき改めて気づいたという感じで、かえって切なかったです。

あと水オスカルでいいなあと思ったのは、1幕最後の場面。
フェルゼンに「私を慕ってくれたその人は、白薔薇のような人でした」と言われたときの表情。これで自分の思いは報われたと言うような、深く納得した顔。
原作の、ドレス姿で舞踏会で踊った際にフェルゼンが自分をどう思っているかを聞き「これで諦められる」と言ったエピソードを髣髴とさせる表情でした。

と言う訳で、ナチュラルで細やかな芝居と熱いハートのバランスの結果、私の目には大変好ましく映った水オスカル。
が、トウコさんのアンドレとの相性はそれほどでも無かったかなあと。トウコさんとはむしろかしげオスカルの方が芝居の色合いが合っていたような気が。大芝居振りとテンションの面で。
小石につまづいての「待てアンドレ!」もかなり可愛かったのにバカップルに至らなかったのは、テイストが違うのでかみ合い損ねたからではないかと。……(小声で)しぃドレとならバカップル成立したんじゃないかと思うんだけど、どうだろう。ちょっと見てみたかったです。
でもわたるフェルゼンとのバランスは良かったと思うので私的には満足(をい)。

「小雨降る径」は、普通にきれいなお姉さんでした。
と言うか「女の人」に見えた。男役の女装でもなく娘役でもなく、「女の人」。リアル女性と言っては言いすぎだと思うけれど、でも敢えて言うならそんな感じ。対するワタさんは「男役」なんだけども、まあかなりリアル男性に近い(と言う幻想を見せてくれる)男役なんで、バランスは保っていたかなと。
ちなみに髪型は茶色のソバージュロングに青のターバンと言うかラインストーンつきのヘアバンド。せり下がりの微笑みは規定演技のようですが今まで見た3人の中で一番アクと言うか毒が無かったなあ。
あと、モンゼット夫人の愛の一言は「みずみずしい(はぁと)」でした。つまらないと言えばつまらない(笑)。

ところで。
過去3回、B席か立見での観劇のみ。そしてあと1枚のチケットもB席と言う辺りに「所詮はベルばらだし安い席で十分」と言う私のやる気の無さが現れております。
が。
出演者一人一人がこの芝居をものにしてきて、組子達のテンションが上がってくるのを見ると。やはり、前で見たい気がふつふつと。
だって遠くからオペラで覗いてばかりいたらモブが見られないし!(バスティーユが気になるのに特出さんは一期一会なのでオスカルと、結構細かい芝居が気になるベルナール見てるだけで手一杯)
そしてやはり、一幕ラストのフェルゼンの銀橋は一度くらい近くで見たいかな、とか思ったりして。あと薔薇タンの花道(すげーシャウトとテンション)も!
どうすんだよ今からじゃ東宝は更にチケット手に入らないよ。

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