この作品にのめりこめなかった理由をつらつら考えて見ると。
主人公たちの言う「愛」が、どうにも上っ面で薄べったく感じてしまったせいでもあったりします。

だって、亡くした恋人のメアリー・アンのことを語るローレンスが。
ニューヨークで詩人を目指していたローレンスは、メアリー・アンとニューヨークの貧しいアパートで同棲していたのだけれど、スランプに陥ってメアリー・アンに言ってしまう。
「お前がいるから詩が書けないんだ!」
当然、メアリー・アンはひどく傷つく訳ですが、そのことをシルヴィアに対して「人を愛することが人を傷つけてしまうなんて」みたいに言う訳ですよ。
ちょっと待て。それは愛でもなんでもないだろう。ただの身近にいる人に対する八つ当たりだろう。
でもシルヴィアも「あなたに愛されてメアリー・アンは幸せだったと思うわ」みたいに言っちゃう訳ですよ。
いいのかそれで。

いや、もしかしたら私の感覚が変なのかもしれないと思わなくもないんですが。更に、ローレンスとシルヴィアが問答無用のラフラブバカップルであればまあしょうがないかと煙に巻かれたかもしれないんですが。
でもふつーのバカップルだったし。
保釈されて再会したとき、ええっこのふたりいつの間にこんな仲になったの?と思ったくらい、1幕は普通のテンションで徐々に距離を詰める恋愛してたし。2幕では生徒たち+ロレンツォを目のやり場に困らせるくらいにはいちゃついてましたが。

こんな、普通に良くできている「楽しい」ミュージカルにそんなこと突っ込むべきじゃないよな、と思いつつ、ちょっと野暮なことを言ってみました。

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