世界の鏡(ドレスデン国立美術館展@国立西洋美術館)
2005年9月6日 美術展上野の国立西洋美術館に行って参りました。実際に行ったのは9/4の午前。
日曜日なのに、空いてました。いやそれなりに入ってはいたけれど、入場制限もしていなかったしぎゅうぎゅうづめでもなかった。
フェルメールが来ているのに。
何年か前、フェルメールが4点揃ったときはすごかったぞ。大阪でしかやらなくて、当時関東在住だった私はわざわざ新幹線で行ったんだが、大阪城公園で何時間も並びました。会場内でも立ち止まって見られなかったし。
今回来日しているのは、『窓辺で手紙を読む若い女』。
タイトルどおりの情景です。実物は意外と小さくて、少し驚いた。ポスター等で大きく扱われているから、大きいような先入観があったんでしょう。
手紙を読む女の姿が窓ガラスにうっすらと映っているのは、本物を見て初めて気づいた。手前のカーテンが画面の三分の一ほどを覆っていて、こちらが見ていることに気づかれたらさっと閉められてしまいそう。窓のカーテンは赤、手前の織物も赤。差し色といえば差し色だけれど決して派手な印象は与えず、画面全体は明るいセピアの穏やかな色調にまとめられている。
そう。私は技法的なことはわからないけれど、フェルメールの絵の持つ穏やかさが好きだ。見ていると、静かでやさしい気分になる。
だから、今回ゆったりと見ることができてとてもよかった。
特にこの絵は、やわらかい色調に明るく穏やかな雰囲気を感じる。(もっとも、描いたときと同じ色合いかどうかはわからないけれど)
展覧会全体は「世界の鏡」の副題にふさわしく、バラエティにとんだ内容でした。12の部門から成るというドレスデン国立美術館の全貌を紹介するという意図があるのでしょう。
私としてはもう少しテーマを絞ってくれた方が有難がったかな。さほど興味の無い分野もあったので。
1.ドレスデンの「美術収集室(クンストカンマー)」
地球儀、天球儀、コンパス、定規……私に理系の素養があったらもっと面白かったろうと思いました。巨大な集光器とか、オブジェとして面白かったけど。分度器も美しかった。売店でこのデザインを模したペンダントが売っていて、もっと安かったら買ったかも。象牙球の細工の精緻さには驚き。
2.オスマン帝国−恐怖と魅惑
ヨーロッパのトルコ趣味。直接被害を受けなかったドレスデンでは殊更その異国情緒が魅力的に映ったようです。私もこのあたりの非実用的な武器は好きだ。(実用だったの?)
3.イタリア−芸術の理想像
カナレットの風景画が多数ありました。目を引いたのは工芸品。龍型装飾水晶杯、海豚付き貝殻型水晶杯、大きさと透明度、美しさがすごい。果物模様の貴石モザイク装飾箱のデザインは、ジノリのイタリアンフルーツを思わせました。
4.フランス−国家の表象と宮廷文化
ローズカットダイヤモンド装身具一式がすげー。
「ランス大聖堂におけるルイ15世の戴冠式」はロッシーニの「ランスへの旅」の戴冠式なのでしょうか(自分で調べろ)。
5.東アジア−驚嘆すべき別世界
東洋の磁器と、そのマイセンによる模倣(複製)がいくつか比較して置いてあってなかなか面白かった。鳥籠付き瓶が可愛らしい(でも我が家には置けないサイズ)。
6.オランダ−作られた現実
フェルメールと、それに並ぶ目玉と思しきレンブラントの「ガニュメデスの誘拐」がある。「ガニュメデスの誘拐」は見甲斐のある大作。何故ガニュメデスを幼児にしたのかわからないけれど。
エークハウトの「天国の梯子についてのヤコブの夢」が気に入った。やわらかな天使の佇まいが。
7.ロマン主義的世界観
フリードリヒの風景画が数点あったのですが、何だか以前見た象徴主義の絵画とも一脈通じるところがあるような? 特に「月を眺める二人の男」とか何となく不吉な感じで。風景に対し、人の想念というものが強く注ぎ込まれると似通った雰囲気が出てくるんでしょうか。
中では、ダールが気に入りました。特に「満月のドレスデン」の夜の月光の描写が。
途中、美術館外観や町並みの写真も展示されていて、見ているとドレスデンに行きたくなってしまいました。いいなあ、エルベの真珠。
そう言えば先週見た『アドリアーナ』、マウリッツィオはザクセン伯だから、縁がありますな。
日曜日なのに、空いてました。いやそれなりに入ってはいたけれど、入場制限もしていなかったしぎゅうぎゅうづめでもなかった。
フェルメールが来ているのに。
何年か前、フェルメールが4点揃ったときはすごかったぞ。大阪でしかやらなくて、当時関東在住だった私はわざわざ新幹線で行ったんだが、大阪城公園で何時間も並びました。会場内でも立ち止まって見られなかったし。
今回来日しているのは、『窓辺で手紙を読む若い女』。
タイトルどおりの情景です。実物は意外と小さくて、少し驚いた。ポスター等で大きく扱われているから、大きいような先入観があったんでしょう。
手紙を読む女の姿が窓ガラスにうっすらと映っているのは、本物を見て初めて気づいた。手前のカーテンが画面の三分の一ほどを覆っていて、こちらが見ていることに気づかれたらさっと閉められてしまいそう。窓のカーテンは赤、手前の織物も赤。差し色といえば差し色だけれど決して派手な印象は与えず、画面全体は明るいセピアの穏やかな色調にまとめられている。
そう。私は技法的なことはわからないけれど、フェルメールの絵の持つ穏やかさが好きだ。見ていると、静かでやさしい気分になる。
だから、今回ゆったりと見ることができてとてもよかった。
特にこの絵は、やわらかい色調に明るく穏やかな雰囲気を感じる。(もっとも、描いたときと同じ色合いかどうかはわからないけれど)
展覧会全体は「世界の鏡」の副題にふさわしく、バラエティにとんだ内容でした。12の部門から成るというドレスデン国立美術館の全貌を紹介するという意図があるのでしょう。
私としてはもう少しテーマを絞ってくれた方が有難がったかな。さほど興味の無い分野もあったので。
1.ドレスデンの「美術収集室(クンストカンマー)」
地球儀、天球儀、コンパス、定規……私に理系の素養があったらもっと面白かったろうと思いました。巨大な集光器とか、オブジェとして面白かったけど。分度器も美しかった。売店でこのデザインを模したペンダントが売っていて、もっと安かったら買ったかも。象牙球の細工の精緻さには驚き。
2.オスマン帝国−恐怖と魅惑
ヨーロッパのトルコ趣味。直接被害を受けなかったドレスデンでは殊更その異国情緒が魅力的に映ったようです。私もこのあたりの非実用的な武器は好きだ。(実用だったの?)
3.イタリア−芸術の理想像
カナレットの風景画が多数ありました。目を引いたのは工芸品。龍型装飾水晶杯、海豚付き貝殻型水晶杯、大きさと透明度、美しさがすごい。果物模様の貴石モザイク装飾箱のデザインは、ジノリのイタリアンフルーツを思わせました。
4.フランス−国家の表象と宮廷文化
ローズカットダイヤモンド装身具一式がすげー。
「ランス大聖堂におけるルイ15世の戴冠式」はロッシーニの「ランスへの旅」の戴冠式なのでしょうか(自分で調べろ)。
5.東アジア−驚嘆すべき別世界
東洋の磁器と、そのマイセンによる模倣(複製)がいくつか比較して置いてあってなかなか面白かった。鳥籠付き瓶が可愛らしい(でも我が家には置けないサイズ)。
6.オランダ−作られた現実
フェルメールと、それに並ぶ目玉と思しきレンブラントの「ガニュメデスの誘拐」がある。「ガニュメデスの誘拐」は見甲斐のある大作。何故ガニュメデスを幼児にしたのかわからないけれど。
エークハウトの「天国の梯子についてのヤコブの夢」が気に入った。やわらかな天使の佇まいが。
7.ロマン主義的世界観
フリードリヒの風景画が数点あったのですが、何だか以前見た象徴主義の絵画とも一脈通じるところがあるような? 特に「月を眺める二人の男」とか何となく不吉な感じで。風景に対し、人の想念というものが強く注ぎ込まれると似通った雰囲気が出てくるんでしょうか。
中では、ダールが気に入りました。特に「満月のドレスデン」の夜の月光の描写が。
途中、美術館外観や町並みの写真も展示されていて、見ているとドレスデンに行きたくなってしまいました。いいなあ、エルベの真珠。
そう言えば先週見た『アドリアーナ』、マウリッツィオはザクセン伯だから、縁がありますな。
コメント