館岡さんが、小物に見える。
なんつーか「頑固で曲がったことが嫌い」だから怒っているのではなくて、「功を焦っている」ように見えてしまう。坊やだからさ、って感じ?
元々そういう人が自然にそうしているのではなくて、作って虚勢をはっている感じ。同じエリートでも、余裕のなさを感じる。
何が違うんだろう???
やりすぎなのかな? 声を荒げたり、表情を歪めたり。見てると常に片頬歪めっぱなしみたいなんですけど。
長崎同心の中でもそれほど目立ってない。と言うかあんまり異物感がない。本役のしぃちゃんは一人浮きまくってたのに(笑)。
あかしも暑苦しい系のキャラだから似た感じになると思ったのに、意外だ。

と言う訳で、いきなり館岡さんから話し始めてしまいましたが。
星組新公、観て参りました。

不思議だ。
見やすい。気持ち悪くない。

演出・台詞はわずかながら改善されていました。
大きいのは、卯之助の足の説明。
子役の回想シーンでおしまちゃんの「足痛い?」という台詞が入ってます。そして伊佐次に真情を吐露する場面では、いつも庇ってくれた、の後に「足の悪いおいらをいつも助けてくれて。男は人前で涙を見せるなって励ましてくれて。その言葉が生きる支えだったんだ」という台詞が追加。
これだけでも大分マシだよなあ。本公演は「いつも庇ってくれた」の後すぐ「お前のおかげで今日まで生きてこれたんだ」と繋がるから、何でそうなのかわからなくて余計に気持ち悪くなってるからなあ。

後、最後の精霊流しの場面。
短くなってます。その中を、銀橋を長崎同心の4人が上手から下手に駆け抜け、伊佐次、卯之助が現れては上手に消えて行き、最後に館岡が舞台中央から現れ、卯之助の後姿を見遣り、立ち止まって手の中の銃に視線を落としてから卯之助を追っていく。
ここで銃にスポットを当てているから、最後の銃声の伏線になってるんですね。

新公演出は鈴木圭。あの素晴らしい新公ファントムの演出家。
だから、もっと変えてきてくれるかと期待したんだけどな。勿論改善はされてますが。
植田の御大だから、遠慮したのかな……残念だ。

でも、見ていて(あまり)腹が立たなかったのは、それだけじゃなくて。
やっぱり、若いからだな。
「若いからしょうがねーよなー」って。
ほら、同じように馬鹿で間違った行動をとっても、なんとなく許せちゃうじゃないですか。
年齢設定は同じでも、伊佐次=礼音くんと卯之助=しゅんくんは、本役より10歳は若く見える。

卯之助と言うキャラがダメだ、と騒いでいる私ですが。
しゅんくんの卯之助は、気持ち悪くありませんでした。
なんつーか、ちゃんとヒーローに見えた。

妙な卑屈さがないからかな。腹に一物、二心あっても、わざとらしくへこへこしてない。
だから、普通にかっこいい男の子に見えた。
まあ、若いから、無理矢理へこへこしなくても下っ端に見えるんだろうな。だからそんなことして格好よさを殺さなくてもいいんだわ。
腹芸もあんまりやってないようで、最初から確信犯で計算して行動しているように見えるんだけど、その方がすっきりするよな。本役のワタさんは虚実どこにあるかわからないぎりぎりの線で作っていて、多分それが演出家の意図するところなんだろうけど、宝塚の主人公としてはそうじゃない方が二枚目に映るんだよな。要するにやりすぎで気持ち悪い(ばっさり)。
スタイルが良すぎて衣装は似合わないけど、まあ別に似合わなくてもいいし。お芝居、やっぱり上手い。歌が上手い人だという印象があったけど、今回はちょっと力が入ってたかな。
伊佐次が囲いを抜け出してからは、ずーっと泣きそうな顔してるんだよね。泣きそうな顔で必死で走ってる。
……可愛いじゃねーかこいつ。

で「間違っていても若ければ許容される」って、新公演出の鈴木圭は多分わかってるんだよね(作品の世界観、主人公の行動が間違っていることも含めて)。
最後に伊佐次が死んで、卯之助が「伊佐治ーっ!」と絶叫するのは、だからでしょう?(本公演は卯之助が伊佐次を抱えたまま静かに幕が下りる)
その方が、卯之助の若さ、幼さが際立つから。

で。
薄々思ってはいたんですが。
やっぱり、卯之助って役はワタさんに合ってないんだよおおぉっ!(絶叫)
だから余計に気持ち悪く見えるんだよ……(がっくり)。

ファンだけど、いやファンだから余計にそう思う。
例えば、伊佐次がワタさんで、卯之助がとうこさんだったら、もうちょっとマシだったような気がするんだわ、私的に。
新公のキャラクターバランスって、それに近いよね?

伊佐次は礼音くん。
礼音くんは、礼音くんでした。
今までワタさんの役をやっていたときはそれほど思わなかったけど、何を演じても礼音くんなんだなと。いや、スターっていうのはそういうのもアリかとは思うけど。
本公演のあんぺも悪党には見えないけど、伊佐次も凶状持ちの大悪党には見えない。不良少年の親玉、根は悪い子じゃないんです、って感じ。
良かったのは、おしまとの関係。ちゃんとおしまに惚れているように見えた。つーか、初恋の女の子と再会して柄にもなく照れちまったぜ、って感じで、可愛くもあり。
演出も微妙に違うのかな。おしまちゃんをがしっと抱きしめるとことか、良かったなあ。格好よかった。
不良少年と言っても、子分たちも若いんで、十分兄貴分に見えました。

卯之助がヒーローに見えたのは、館岡のキャラが違っていたせいもあります、私にとっては。
本公演の館岡さんは、とにかく「正しい」んだよね。正しい人がいると間違っている人がより間違って見えてしまう。
でも、新公の館岡くんは、正義と言うより手柄という感じでそれほど正しくもなさそうなので。
そして卯之助が真っ直ぐに一生懸命なので。

だから、私が一番むかついて気持ちが絶対零度まで冷え込む台詞「卑怯な!」も、流せてしまいました。
だって、しょうがないよな。伊佐次を助けたくて半べそかきながら必死で駆けずり回って、やっと見つけて何とか助けられる!と思ったのに、物影から撃たれちゃあ、泣くよね。うん、八つ当たりしてもしょうがないよ。

最後、小船で二人きりの伊佐次と卯之助も、別に気持ち悪くなかったしなあ。
感情移入まではできなかったけど、普通に可哀想には見えた。
(両隣の人は泣いていて、泣く人は泣くんだなーと)

新橋演舞場芝居なのですが、役者の持ち味で少年漫画テイストで見られました。
うん。このキャストなら、それほど不快感なく見られるかも。
……かと言って、別に敢えて見たいとも思いませんがね。

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