TCAに出演していない月組さんが恋しくなり東宝遠征。
ウソです。帰省のついでにあわよくば見たいと寄ってきました。
10時に当日券に一応並んでみるもののどう見ても無理だなとぼーっとしていたら、なんとハイディさんご夫妻に声をかけられる。日本は狭い。あ、あの時眺めていた黒いGジャンの方々はさえちゃんの会でした(私信)。
結局さばきでチケットゲット。明らかに売り手市場だったのでらっきー。ちなみに隣席の方に「この公演はいつもこんなに売れているの? この前の組は劇場前でいっぱい売ってたから今日も簡単に買えると思ったのに」と聞かれました……。

さて、約1ヶ月半ぶりの月エリザ。
何か違う。何だろう。
劇場の違いのせいか閉塞感がある? 悪い意味でなく、凝縮された、ぎゅっとまとまった、という印象。
完成度が上がっている、と言えばいいのか。

キャスト一人一人が少しずつ、あるいは大きく変わっている様な気がする。
特に驚いたのは、ルキーニとフランツ。

閉塞した空間を掌握しているのは、ルキーニ。
ムラでは前方席でこそその瘴気にあてられたけれど、後方席ではそんなことはなかったのに。
今日は、2階席なのに掴まれた。

やっぱり、私今までルキーニという役を誤解してたのかなあ。誤解というか、星、宙、花しか見てないから、ダークな狂言回しでカッコいい役、だと思ってたんですよ。
でもそうじゃないと言うかそれだけじゃないと言うか。トートもシシィも、全て彼の物語の中だけに存在しているかもしれない、ような。
つまり。
ぞくぞくしました。きりやんルキーニ、素晴らしかった。(でもその素晴らしさは「きゃーかっこいい、惚れる」って方向じゃないんだろうなあ。その辺が何というか)

「えええっ?」と驚いたのは、ガイチ氏フランツ・ヨーゼフ。
シシィにめろめろ。
いや、ムラでも、お見合いの時はとろとろにとろけてたけど。でもこんなに生涯めろめろだったっけ?
夜のボートの場面も、孤独よりも愛ゆえにという感じ。愛しているから一緒にいたい、とストレートに。
これだけ愛を表現されれば、シシィの態度にも反映するというもので。
「陛下は私を愛してくださる」という歌詞が素直に納得でした。今まであんまりピンと来なかったんですよね、ここ。

フランツ・ヨーゼフが盛大に愛を表現するようになり、つーか終始妻にらぶらぶめろめろになり、さてトートは。
さえちゃん、痩せた? それともメーク変えた?
外見的に、シャープで骨ばった感じになってました。つまり、より男性的。
そして、佇まいも。
より冷たく、より厳然と、より人外の存在で。
より「黄泉の帝王」という呼ばれ方がなじむ存在になっていた。
シシィに対しても、ムラ初日に見た、初めての恋に慄く少年のような風情が感じられなくなっていた。いやムラでも後半はちょっと違うなーと思ってはいたんだけども。
どちらがいいというわけではないけれども。
むしろ、どっちも見られてお得、って感じでした(笑)。(ムラ初日のトートが可愛かったんで、今の人間的な感情の薄いトートは私的にはちょっと寂しいかも)

『TAKARAZUKA Cafe Break』で、さららんもゆうひさんもトートのことを、心の闇に忍び寄る存在、のように言っていたのですよね(私の理解ですが)。
エルマーは、エリザベートに殺意を抱いた瞬間の心の闇に「死」が忍び寄り、「死」が見えるようになると。
ルドルフは、国を思っての行動を父に認められず皇太子の立場が危うくなり己が揺らいだ不安と孤独に、「死」の姿が見えてくると。
その解釈にふさわしいトートという気がしました。自分から人に関わるのではなく、常にそこに居て、心に闇を宿した人が勝手にその姿を見て、引き込まれてしまう、というような。

フランツとトートが変化すると、エリザベートの物語の意味合いも違って見えて。
「死」との関係は「死=黄泉の帝王」という他者を相手にしたラブストーリーではなく。「この世界で安らげる居場所が無い」シシィ、あれほどに夫に愛されも救うことが出来ない魂の安らぎの場所としての「死」。その「死」に魅かれ反発し生涯を戦い抜いた末のたどり着くべき港としての「死」。
その「死」の腕の中で微笑むシシィ、という意味合いを感じたりしました。

そのあさこシシィ、レベルアップしてました。より女らしく愛らしく、完璧。美しく意志的なエリザベート。かっこいい。フィナーレの鬘も金髪でちょっとふわふわとムラと変えてきてました。
もっとも、二番手時代最後が女役として完璧、というのはどうなんだろうと微妙な気も……(禁句?)。

ところで。
今回、さららんが東宝でどこまでエスカレートしているか楽しみにしていたのですよ。
ところが。
あれ?
『最後のダンス』陰ソロがおとなしくなってました。そこでまず肩透かし。あれー、ふつーだよ。あのためまくった歌は何処へ。
そしてエルマー。いや、やっぱり顔歪めすぎだよーとか思うことは思うんだけど、やっぱりおとなしくなってないか?
見慣れたから? いやサトリちゃんにも「暑苦しいっていうから楽しみにしてたのにそれほどじゃないじゃないですかー」と言われたし、やっぱそうなのか。

エルマーが薄くなったというより、革命家チームのまとまりがよくなった、と言う気もしてます。
あくまでも私見ですが、ムラでは「暑っ苦しいテロリストやりすぎエルマー」「二枚目路線崩しません冷静にシュテファン」「影の薄いジュラ」が、てんでんばらばらの方向に突っ走っているように見えてそれがたまらなく面白かったんですが(で、引率のツェップス先生は大変ねー、とか思ってたんですが)。
今日は、キャラクターの違いはありつつ、それがひとつのチームとしてまとまっている、ように見えた。
まあそう見えると言うことは暴走していない、ということになるのでしょうか。どっちにしろこの4人の小芝居は相変わらず楽しいですが。
あ、キャトルに寄ったら月エリザのDVDを流してました。ハンガリー戴冠式のシーン、意外と下手端小芝居が映ってました。
「くるくる回るリュウさん」もちゃんと映ってましたよ、もずえさんっ!(私信)。

ところで、ムラから気になっていた「車椅子の少年」が榎登也くんであると判明。
いや、病院の場面ですごく細かい芝居を入れているのですよ。エリザベートの手を取ってとても感激している様子、は当然として、ヴィンディッシュ嬢の登場におろおろ、医師たちに何事か訴えかけたり、車椅子で前に出ようとして医師たちに止められたり。ヴィンディッシュが皇后様に危害を加えるんじゃないかと心配しているのかな、と思ったら、ヴィンディッシュにも同情的な顔をしたり、どういう物語が展開されているのか、気になる。
……ええ、ここもセンターがおろそかになっております。
白状しますと私、実はこの場面の意味が良くわかっておりません。シシィが「あなたの方が自由」と歌うのも、スターレイが泣くのもいまいち得心が行きません。困った。
わからないなりに一番くるものがあったのは、ビデオで見た花エリザなんですけどね。

そろそろこの辺で、と言うことで、最後に一言叫ばせていただきます。
マダム・ヴォルフの金髪カツラ見られましたー!!
まさにキューティ・ブロンド。これだけでももう1回見た甲斐がありましたわ(笑顔)。
(サトリちゃんも見たそうで。東宝では確立高い?)

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