そろそろショーの感想も書きます。

えーと。
このショーの白眉は赤いドレスの女=春野寿美礼様ですよね?
オープニングの最後、ずんずんずんずんせりあがってくるゴージャスな赤いドレス姿。客席への流し目投げキスサービスたっぷりに銀橋を渡る大輪のラフレシア(ラフレシア?)。
この場面、見ていて毎回頬が緩んでにへらにへらしちゃうんですけど。
だって、ご本人がすっげー楽しそうなんだもん。

初日は微妙な空気が流れていたと言う説もありましたが、私は最初からアリ判定でした。いやー、こういう存在感のある女役さん(笑)を見ると、ワタさんの隣に並べてみたくなるんだよなー(結構真顔)。
おまけに見るたびにノリがエスカレートしてるしなー。
初日は腰が引け気味に見えたエスコート役ゆみこ氏も、手をとってその手にキス、銀橋での去り際に投げキス、とすっかりノリノリだし。
もー笑って見守るしか(笑)。

但し、大輪の花・女装オサ様の隣に、ふーちゃんがにこにこして立ってるのはどうなんでしょう。女装トップスター様の横にトップ娘役を置いとくって、アリなんですか?
ふーちゃんはいつもどおりにこにこしてるんだけど、何だかなあ。前回のパンドラきりやんのときのように、男役だけ侍らせておけばいいのに。
それだけが、気になっております。

オープニングの後は樹里さんの楽しげなピエロ。22日は収録が入っていて「わー、TVだー!」とカメラに駆け寄っていて可愛かったー。「樹里ぴょんと、見に来てくれたみんなでーすっ!」ってアピールして(でも映る席でなくて良かったよ…)

で、その後のサーカスのシーンなんですが。
ここ、とても落ち着きが悪く感じるのは、私だけでしょうか。
いや、別にオサさんがふーちゃんに振られる役回りで、しかも恋敵がらんとむくん、だからと言う訳ではなくて。
コロンビーヌ、みんなのアイドル・ルイーズちゃん=ふーちゃん。箱から出てきて、ルイーズに片思いのピエロ=オサさん。ピエロはルイーズに花を捧げ、ルイーズは受け取ってキスを返し、ピエロは有頂天になって踊りだす。
けれどそこにルイーズの恋人アレキン=らんとむくんが現れ、二人はアツアツぶりを見せつけて去る。ピエロは嘆き虚しく箱に戻っていく、と言う場面な訳ですが。

不協和音。人形振りになる群集。
「今夜は君を離さないよ」と歌いキスを繰り返すアレキンのルイーズへの態度は所有権を主張するようで。ピエロとにこにこ踊っていたのにアレキンが現れると忘れたようにころっとついていくルイーズの態度は白痴美めいて。
そして銀橋でルイーズを思い嘆くピエロの慟哭は深刻で。
何だか不安感がぞくぞくと立ちのぼってきて。
そして、ピエロは箱に入って、パタンと蓋を閉じる。
おしまい。

シュ、シュールだ。シュールだよねえ?
え?そんなことないですか?

いや、わかってはいるんです。
私はこの場面に、オペラ『イ・パリアッチ』(そしてついでに『カヴァレリア・ルスティカーナ』)のイメージを見てしまっているんだ。
サーカスという舞台。花形コロンビーヌ、その夫(と言うか公認の恋人)、彼女を慕う若い男、という配役からのイメージ。
これから、彼女をめぐって流血沙汰のひとつもありそうな気分になってしまうのだわ。

でも、それ抜きでも何だかこの場面落ち着かなくなりませんか?
音楽は不安を煽るし、オサさんの歌はやたら深刻だし。

あと、ひとつには私のらんとむくんイメージが、必ずしも「明るい健康優良児」ではないせいもあるのかと。
元々、前回ショーでヘラクレスやっていたときも「花だからそういうポジションだけど、星とか宙とかに放り込んだら違うキャラ立てになるんじゃないか?」と思っていたし。芝居のギュンターの不吉さもはまってると思うし。
何だか、陰とかダーク面を感じるんだよなー。
でもたぶん少数派なんだろうなー(笑)。

その落ち着かない場面の後は、樹里さん猛獣使いと黒豹のお姉さんたち。樹里氏と黒ダルマに耳つき尻尾つきあすかちゃんとの絡みはすげー色っぽくてかっこいいんですが、色っぽすぎてさっきとは別の意味で落ち着かなくなります。宝塚初心者を引率しているときは特に(笑)。

雰囲気変わって、パリからニューヨークへ旅立つ若者3人。銀橋で慌しく着替えながらのナンバーですが、中堅・若手をこういう風に使ってくれるのは楽しいよね(何と比べてますか?)。
しかしその次のニューヨークのシーンも、ふーちゃん一人カップルにならない(なれない)役でいいんだろうか。一応ピンクの衣装で中央で楽しそうに踊ってはいるけれども。

その後の、オサさんのどか嬢中心のアフリカンな場面(何気にここのゆみこちゃんがイキイキしてて好き)、樹里あすか中心のジャズっぽい場面、そして総踊りの中詰になだれ込む、この一連の場面は好き。特に樹里さんあすかちゃん、かっこよくてたのしそーで、いいなあ。私的にはここが一番好きだなあ。

飛びますが、初舞台生ロケットは衣装も振り付けも可愛くてよいです(そりゃ去年の90円玉よりは)。ちょっとヒヨコさんみたい。

フィナーレは白。真っ白。エトワールの樹里さんが白い衣装で白い羽扇を手に初舞台生に囲まれて降りてくる。
……ファンは泣くだろうな。
階段降り、未涼、桐生、華形、望月と4人が若手グループで出てくるんですね。いいじゃん(また何と比べてますか?)。
しかし本当に真っ白だな……。

全体的な印象は「割とふつーのバラエティショー」。頭使わずぼーっと見られるから『マラケシュ』の同時上演には丁度いいかなあ、という感じ。
絵面はきれいですしね。特にプロローグ、黒い背景に光る一筋の階段、並ぶ黒燕尾の男役たち、そして曲調が華やかになると白く輝く舞台に早変わり、の一連の流れは好きです。黒い幕がぱっと取り去られるところの鮮やかさは目が覚めるようですよねー。

ええ。酒井氏はやはりショーだけ作っていただければよいのではないかと。

でもやっぱり一番の印象は赤いドレスのオサ様なんだけどな。いやドレスの迫力だけでなしに、思いっきりノリノリで楽しんでいる風情が。

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