さて、前楽は今公演私的最前列でした。
上手端で、パレードであかしくんと目が合ったのは前述のとおり。
その向こうがゆかりくんとみなみちゃんで、麗しい並びだわーと思って見てましたが、こちらのお二人には見てもらえませんでした(笑)。

しかし何より。
前方上手端はラダメスを見るのにブラボーな席でした。
最初から白い衣装で上手に向かって歩いてくるし(遠い眼差しが素敵、っていやここそんなこと言ってる場面じゃないから)。
「エジプトは領地を広げてる」も上手花道だし。いやここは下手のときも「わーこっち走ってくるー!」と美味しかったけど。
有名人だ!と見つかるのも上手。
アイーダと愛を確かめ合った後、月の満ちる頃の再会を約束して最高に嬉しそうな顔で走ってくるのも上手。
美味しい美味しい。

でも、特に良かったのは、1幕最後。
平和の意味をファラオに問われ、お聞きください、と「世界に求む」を歌いだすときの表情。
純粋な願いに輝く、少年のような顔。
ああ、この人はそういう人なのだと。
近くで仰ぎ見て、胸が熱くなった。

もうひとつこの席で期待していたのは、地下牢の場面。ここも上手せり上がり。
この、孤独と絶望から、アイーダが生きていることに希望を見出し、しかしアイーダの声に驚いて駆け寄るラダメス。もしかしたら私が全編中で一番好きかもしれない場面。
照明がかなり暗いので、近いと言っても7列目ではそれほどよくは見えませんでした。
でも、目で見えなくても、近くにいる、という存在を感じて。
全身全霊の演技を全身で感じ取れた、ような気がして。
貴重な経験でした。

ラダメスだけでなくて。やはり舞台が近いと、物語に飲み込まれる。『王家』は何回観ても毎回うるうるきていたのだけれど、圧倒され加減が違う。
それこそ、ナイルの流れに押し流されるように。

……こういう作品はぐだぐだ言わず、登場人物と一緒に彼らの織り成す感情とその物語の奔流に飲み込まれて押し流されてしまうのが正しい見方なのかもしれないと思いました。
今までさんざん語ってたくせに(笑)。

と言う訳で、ナイルに溺れて呆然としていた間の呟きをとりとめなく(結局書くのか)。

エチオピアが攻めてくる、の知らせに喜びつつも、目の前でエジプトの伝令が死ぬと痛ましげに顔を背けるエチオピア娘たち。

間近で見て気づいたこと。
・柚美さんて美人
・うめちゃんお化粧上手くなったなあ

美人選びで選ばれたうめちゃんの叫び。
「イシスの神よありがとーっ!!」
何だそれ(笑)。
ちなみに楽は「お先にごめんなさぁい」でした。これがいつものパターンですかね。

エレナさんの「きゃー、ラダメス将軍よーっ!」がパワーアップしていた(キンキン声になってた)。
ついでにその後のラダメスにたかる群集も当然パワーアップしていた。特に人の輪からはじき出されてムッとして、手前の男を突き飛ばして転ばせてでもラダメスに近づくももかさんがステキだ。

アイーダいじめが目の前ですごい迫力でした。怖かった(笑)。
でも這いつくばるアイーダが痛々しくも色っぽくてちょっと狼狽しました(不謹慎な!)。

凱旋の群舞は2階でセンターで見たときが最高にかっこよかったです。
いや、正直、振り付けは微妙な気もするんだけど、少なくともかっこいいって感じではない気がするんだけど、でもそのレトロ感と言うか微妙なダサさがまた良いと言うか、えーと。
……いいんだよこの人たちがやればかっこいいんだよ!(理屈放棄)
センターでピンスポを浴びるみらんくんはスターさんでした。そして彼はこの日は前髪センターパーツで決めてました(笑)。

***

ケペルとメレルカの話(しつこい)。

嶺ケペルの崩れっぷりが抑え気味になってました。
崩れはするんだけど、その時間が短いと言うか、崩れっぱなしではないというか。11日は「このまま行くと楽頃はどうなるんだろう」と心配してたんですが、明らかにそれよりは抑え気味。ああよかった。
でも、戦場での自失ぶりは増していたような。敵兵を殺した後、呆然とした顔をして、しばらくたって我に帰る感じがしたんですね(おーい戦場では命取りになるぞ)。
あと、援軍に駆けつけた後、ケペルは一瞬負傷したラダメスを心配そうに見るんですよ。メレルカはそんなことせず、すぐに敵に向かっていくのに。

対して、その大真メレルカはダーク度が増してました。
1幕終盤エチオピアの捕虜を引き出しに行くところ。「わかった」という感じの嘲笑と言うか冷笑。何故捕虜を連れてくるか、明らかにラダメスの意図を誤解してます(爆)。
アイーダに対しても、必死に父の命乞いをするのを嘲笑って突き放す顔がめちゃくちゃ楽しそうだ。友達の彼女だなんて夢にも思わないんだろうな(笑)。

ほんと面白いこの二人。

更に「人々は何でもすぐに忘れる」の場面。
前に見たときより、不満や苛立ちや怒りが強く表現されている気がしました。それをラダメスにぶつけている。ラダメスも、二人が苛立っていることがわかって、その怒りに誠実に答えようとしている。
ケペルとメレルカはラダメスの真意は理解できていないし、ラダメスも二人の苛立ちの正体を理解出来てはいないけれど。それでも友人同士が正直に思いをぶつけ合おうとしている。
そんな感情のやり取りが感じられました。
良くなった、と言うか私は好きです。こうなったのが後半だとしたら、この後半バージョンを見ることができてよかった。

あと、ラストのラダメス処刑の場面。
ラダメスが地下牢に沈んだ後、メレルカが胸に手を当てて彼の死を悼むように静かに佇むのに対し、ケペルは顔をゆがめ肩を震わせ、地下牢(と客席)に激しく背を向ける。
が、その後。ケペルは向き直り、姿勢を正し、胸に手を当てて静かに祈るように俯く。
……但し、その時点では暗転して舞台殆ど真っ暗なんですけどね(笑)。
前回見たとき気づかなかったよ。背を向けたままだと思ってたよ。
つーかオペラで追ってなきゃ気づかないよ!(追ったのか)
ここ向き直ってるのがわかると全然印象変わってくるんだけどなあ。見てる人が何人いるか(苦笑)。

とか色々変わったり気づいたりしたんで、ケペルが「真面目で繊細な常識人」に見えてきました。それもまた良し。

***

更にどうでもいいことですが。
今公演で私のお気に入りに嶺恵斗くんと音花ゆりちゃんを追加。

嶺くん……いや元々割と好きではあったんだが。でも今公演ならみらんくんにはまるのが普通だと思うんだが(笑)。まあ私の好みカテゴリには「濃い」「癖がある」と言うエリアがあるので。
とか言いつつ。「この人は何を考えてるのかしら。何を意図して演じてるのかしら」としげしげと見つめているうちに気がついたら好きに、と言うのは、しぃちゃん(『1914/愛』のシャガール)で通った道なんですけど。
またか、またなのか自分。

私的「音花ゆりちゃんはこんな子」。
・舞台顔は仙堂さんに似ている。でも仙堂さんよりほわんとしている。
・熱演系。もしかしたらやりすぎ気味?(それでこそ星組)
・フィナーレでは終始口をにぱっと開けた笑顔。白い歯がまぶしい(黒塗りだから余計に)。
こういう風に見えたんだが次回見たら全然イメージ違ったらどうしよう(笑)。

つーか、二人とも檀ちゃんMS出るんじゃないですか。行かねば(笑)。
いや元々行くつもりだけど、楽しみが増えました。(それとあとももかさんとゆかりちゃん。すげー楽しみ)

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