『王家』感想続き。と言うか余談。

私はオペラも好きなもんで、オペラ原作だとついつい比較してしまうんですが。
今回、技法的に気になったこと。

それは、ストップモーションの使い方。
『王家』はストップモーションを多用しているんだけど、その辺にオペラの遺伝子を感じました。

いや、オペラでストップモーションが多用される、と言うことではないのだけれど。
オペラの舞台においては、アリアの間、時間は止まっている、と以前何かで読んで、納得したことがあって。
登場人物がアリアを歌っている、つまり自分の心情を吐露している間、舞台上の時間は止まっている。世界は現実の時の流れと切り離されている。
それを違う形で表現したのが『王家』のストップモーションのように感じました。

特に、冒頭のラダメス、アイーダ、アムネリス3人の「ナイルの流れのように」。それぞれの歌は誰かに聞かせるための言葉ではなくて。独白と言うより、心の中の声で。その間世界は止まっていて。歌っている者の目に見えるものだけが光が当たっていて。例えば、ラダメスが歌っているときのアイーダがたおやかに舞う姿は、ラダメスの目に映っているもので。

「三度の銅鑼」も。
思い悩むラダメスが歌う間、世界は止まっている。

いや、だから何だって訳じゃないですが、面白いなあと。

あとアイーダをいじめる女官のコーラス、笑い声の不協和音にオペラの遺伝子を感じました。つーかあれ混ざりたい(笑)。
……いや別に女官に混ざりたいんじゃなくてあのコーラスに混ざりたい訳で……恐れ多くて混ざりたいなんて言えませんよあのメンバーに(^^;>

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