ヒロイン、アンジェリーナが出てきてびっくり。
眼鏡っ娘ですか! 眼鏡に黒い地味なスーツで、眼鏡取ったら美人、ってことですか!
別に日本人向けって訳じゃないんだよな(笑)。舞台/プロダクション協力 モンテカルロ・オペラだそうです。
衣装は現代的。色彩はシンプル。
アンジェリーナ、王子ラミーロ、家庭教師アリドーロは黒。姉たちが赤なのは華美の象徴? 変身したアンジェリーナのドレスは、輝くようなスカイブルー。
セットは簡素。舞台の前方と後方を衝立と言うか襖のような黒い板で仕切って、それが動いて開閉して奥に部屋があるようなつくりになったり、全部取り払われて舞台全体が広間になったりする。
豪華な調度は無く、男爵邸ではテーブルと台所、王宮ではソファや庭の植え込みなどが、そこがどこだか象徴的に示す程度に登場するだけ。
演出はピエール・ルイージ・ピッツィ。やはり藤原の『カプレーティとモンテッキ』などを手がけた人。なるほど、あれもシンプルで光と影のコントラスト、少ない色彩を象徴的に使って立場の違いを見せた衣装が印象的でした。
『チェネレントラ』は所謂シンデレラの物語だけど、魔女も魔法も出てこない。
王子は従者と入れ替わり、身分でなく自分自身を愛してくれる相手を探す。娘は虐げられても明るく強く優しく生き、その美質を王子の家庭教師に認められ、王子とめぐり合う。
現実的なシンデレラストーリー。
それを、スタイリッシュな演出で見せられると、まるでハリウッドのロマンティック・コメディのようで。
素直にときめいちゃいました。
歌手陣はみな芸達者。
アンジェリーナ(チェネレントラ)=ヴィヴィカ・ジュノー
この人を見る(聴く)のは初めて。
美人!!(いきなりそれか)
最初の黒いスーツ(?)にエプロンも、変身後のスカイブルーのドレスも、最後のウェディングドレスも、似合うこと似合うこと。
勿論、容姿だけじゃない。柔らかく軽やか、かつ深みのあるメゾソプラノ。完璧なフィオリトゥーラ。
王子ラミーロ=ホアン・ホセ・ロペラ
この人は何度か聴いたことがある、はず。
コメディの中この人は割と真面目な感じですが、それが若い王子の役に合ってました。声も歌唱も端正で、それもまた王子。(容姿に華は無いけど、まあそれは仕方なし)
この二人なかなかお似合いでした。
最後、アンジェリーナを虐げた継父や義姉に、王子は怒りをあらわにするんですよね。その辺、若さと身分故の狭量さが見えるんですが、それを遮るアンジェリーナの柔らかさが良くて。良い伴侶になりそうだなという雰囲気でした。
でもそのアンジェリーナもただの善良な娘ではなくて。姉たちを許す理由として「高い地位にのぼるのだからそれにふさわしい行いをしなければなりません」と言うのに、納得。いや、前に見たときのことを忘れていたけれど、そうか、それならわかる、と思った。
ダンディーニ=ロベルト・デ・カンディア
王子の従者。王子と入れ替わって花嫁候補たちを試している……が、結構王子役を楽しんでる奴。まあ、フィガロ系?
この人も何度か聴いてるはず。すげーノリが良くて楽しかった! 見かけに騙され迫ってくる義理の姉たちへの態度とか、王子役が終ったときのため息とか、シニカルな味もあったりして。ほんと芸達者。歌唱の完璧さは言わずもがな。
ドン・マニーフィコ=ブルーノ・デ・シモーネ
アンジェリーナの継父。落ちぶれ男爵。実の娘二人のうちどちらかを王子に嫁がせようと夢見てるヒト。
この人は、聞いたことあったかなあ。忘れた(^^;。
カンディアとこの人が二人でコメディ部門の柱でしたな。ダンディーニが王子でないと正体をばらす場面のやりとりなんて、もう可笑しくって。歌唱面でもバリトン・バスの軽快なデュエットが楽しい。
徹底した俗物っぷり浮かれっぷりが気持ちよかったですわ。
アリドーロ=彭康亮
王子の家庭教師で、哲学者。優しく聡明なアンジェリーナを見出し、王子との出会いを導く。
終始真面目、シリアスなバス。この人は見ていていつも安心出来る人ですよねー。その低音も演技も舞台を引き締める存在感でした。
クロリンダ=高橋薫子/ティスベ=向野由美子
義姉ふたり。
すっげー可笑しかった。いや、美人だし、スタイルいいし(ほんとにドレスが似合うゴージャス美女だった)、声も歌も素晴らしいのに。いいノリしてるなあ。
高橋さんは、上手いのも美人で可愛いのも知ってましたが、向野さんは初めてだと思います。日本人でも実力と美貌を兼ね備えたキュートな女性歌手が育ってるなー。嬉しい嬉しい。
演奏も軽快で楽しかったです。
所謂、ロッシーニクレッシェンドって大好きなんですよねー。セビリアの1幕フィナーレと言い、このチェネレントラと言い。登場人物が勝手に混乱して怒濤のクレッシェンドでフィナーレになだれ込むのがもう最高に好きで。
堪能しました。
演出にも出演者にも全てに満足。久しぶりに見て『チェネレントラ』ってこんなに面白かったんだなーと感動。楽しかったー。
ただ、思ったけど、これって実はオーチャードホールでやるような演目ではないんだろうなあ。オケピがすかすかで最初驚いた。
本来はもっと小さいホールでやるべき? パンフの作品解説にも初演について「予算も規模も小さいヴァッレ劇場にふさわしいもの」が求められたと書いてあったし。もっと小さいホールなら、もっとヴィヴィッドに楽しさが伝わってきたかもしれない。
でも客は入ってるしなあ。このレベルの出演者を集めて舞台をつくるには、それなりのハコやらないと採算取れないんだろうなあ。
……あと、ハリウッドでもいいけどヅカでもいいかも。ロマコメでキャラ立ってるしバウにぴったりじゃん? と考え始めたら妄想キャスティングに突入して帰ってこられなくなりました。またかい(笑)。
眼鏡っ娘ですか! 眼鏡に黒い地味なスーツで、眼鏡取ったら美人、ってことですか!
別に日本人向けって訳じゃないんだよな(笑)。舞台/プロダクション協力 モンテカルロ・オペラだそうです。
衣装は現代的。色彩はシンプル。
アンジェリーナ、王子ラミーロ、家庭教師アリドーロは黒。姉たちが赤なのは華美の象徴? 変身したアンジェリーナのドレスは、輝くようなスカイブルー。
セットは簡素。舞台の前方と後方を衝立と言うか襖のような黒い板で仕切って、それが動いて開閉して奥に部屋があるようなつくりになったり、全部取り払われて舞台全体が広間になったりする。
豪華な調度は無く、男爵邸ではテーブルと台所、王宮ではソファや庭の植え込みなどが、そこがどこだか象徴的に示す程度に登場するだけ。
演出はピエール・ルイージ・ピッツィ。やはり藤原の『カプレーティとモンテッキ』などを手がけた人。なるほど、あれもシンプルで光と影のコントラスト、少ない色彩を象徴的に使って立場の違いを見せた衣装が印象的でした。
『チェネレントラ』は所謂シンデレラの物語だけど、魔女も魔法も出てこない。
王子は従者と入れ替わり、身分でなく自分自身を愛してくれる相手を探す。娘は虐げられても明るく強く優しく生き、その美質を王子の家庭教師に認められ、王子とめぐり合う。
現実的なシンデレラストーリー。
それを、スタイリッシュな演出で見せられると、まるでハリウッドのロマンティック・コメディのようで。
素直にときめいちゃいました。
歌手陣はみな芸達者。
アンジェリーナ(チェネレントラ)=ヴィヴィカ・ジュノー
この人を見る(聴く)のは初めて。
美人!!(いきなりそれか)
最初の黒いスーツ(?)にエプロンも、変身後のスカイブルーのドレスも、最後のウェディングドレスも、似合うこと似合うこと。
勿論、容姿だけじゃない。柔らかく軽やか、かつ深みのあるメゾソプラノ。完璧なフィオリトゥーラ。
王子ラミーロ=ホアン・ホセ・ロペラ
この人は何度か聴いたことがある、はず。
コメディの中この人は割と真面目な感じですが、それが若い王子の役に合ってました。声も歌唱も端正で、それもまた王子。(容姿に華は無いけど、まあそれは仕方なし)
この二人なかなかお似合いでした。
最後、アンジェリーナを虐げた継父や義姉に、王子は怒りをあらわにするんですよね。その辺、若さと身分故の狭量さが見えるんですが、それを遮るアンジェリーナの柔らかさが良くて。良い伴侶になりそうだなという雰囲気でした。
でもそのアンジェリーナもただの善良な娘ではなくて。姉たちを許す理由として「高い地位にのぼるのだからそれにふさわしい行いをしなければなりません」と言うのに、納得。いや、前に見たときのことを忘れていたけれど、そうか、それならわかる、と思った。
ダンディーニ=ロベルト・デ・カンディア
王子の従者。王子と入れ替わって花嫁候補たちを試している……が、結構王子役を楽しんでる奴。まあ、フィガロ系?
この人も何度か聴いてるはず。すげーノリが良くて楽しかった! 見かけに騙され迫ってくる義理の姉たちへの態度とか、王子役が終ったときのため息とか、シニカルな味もあったりして。ほんと芸達者。歌唱の完璧さは言わずもがな。
ドン・マニーフィコ=ブルーノ・デ・シモーネ
アンジェリーナの継父。落ちぶれ男爵。実の娘二人のうちどちらかを王子に嫁がせようと夢見てるヒト。
この人は、聞いたことあったかなあ。忘れた(^^;。
カンディアとこの人が二人でコメディ部門の柱でしたな。ダンディーニが王子でないと正体をばらす場面のやりとりなんて、もう可笑しくって。歌唱面でもバリトン・バスの軽快なデュエットが楽しい。
徹底した俗物っぷり浮かれっぷりが気持ちよかったですわ。
アリドーロ=彭康亮
王子の家庭教師で、哲学者。優しく聡明なアンジェリーナを見出し、王子との出会いを導く。
終始真面目、シリアスなバス。この人は見ていていつも安心出来る人ですよねー。その低音も演技も舞台を引き締める存在感でした。
クロリンダ=高橋薫子/ティスベ=向野由美子
義姉ふたり。
すっげー可笑しかった。いや、美人だし、スタイルいいし(ほんとにドレスが似合うゴージャス美女だった)、声も歌も素晴らしいのに。いいノリしてるなあ。
高橋さんは、上手いのも美人で可愛いのも知ってましたが、向野さんは初めてだと思います。日本人でも実力と美貌を兼ね備えたキュートな女性歌手が育ってるなー。嬉しい嬉しい。
演奏も軽快で楽しかったです。
所謂、ロッシーニクレッシェンドって大好きなんですよねー。セビリアの1幕フィナーレと言い、このチェネレントラと言い。登場人物が勝手に混乱して怒濤のクレッシェンドでフィナーレになだれ込むのがもう最高に好きで。
堪能しました。
演出にも出演者にも全てに満足。久しぶりに見て『チェネレントラ』ってこんなに面白かったんだなーと感動。楽しかったー。
ただ、思ったけど、これって実はオーチャードホールでやるような演目ではないんだろうなあ。オケピがすかすかで最初驚いた。
本来はもっと小さいホールでやるべき? パンフの作品解説にも初演について「予算も規模も小さいヴァッレ劇場にふさわしいもの」が求められたと書いてあったし。もっと小さいホールなら、もっとヴィヴィッドに楽しさが伝わってきたかもしれない。
でも客は入ってるしなあ。このレベルの出演者を集めて舞台をつくるには、それなりのハコやらないと採算取れないんだろうなあ。
……あと、ハリウッドでもいいけどヅカでもいいかも。ロマコメでキャラ立ってるしバウにぴったりじゃん? と考え始めたら妄想キャスティングに突入して帰ってこられなくなりました。またかい(笑)。
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