フィナーレ、みらんくんから目線もらいましたー!
前方席下手端で、みらんくん真っ正面だったのですね。で、ひたすら見つめていたら(数回センターに浮気しましたが)、目が合った! らっきー!
……錯覚かもしれませんが私的にはそういうことで(笑)。

そう。
目線もらって浮かれるほど、今回のみらんくんはかっこいーよねー。

メレルカ@みらんくんは少年の雰囲気を残した青年。有能な戦士。基本的には明朗で真っ直ぐな人間。
だけど、彼はエジプト社会のエリート。それは恐らくは出自と実力で勝ち取った地位。だからエチオピア人への目線はとても冷たい。「同じ人間ではない」という事を疑わない。ラダメスの言葉も理解できない。いや、理解しようとしないのかもしれない。それはエジプト社会を、そこで生きる彼の価値観を覆すものだから。

若さと輝きと、冷たさと奥底の影の同居のバランスが絶妙で。普通にかっこいいのに、更に、嫌な奴にならない範囲でダークサイドをちらつかせているのがステキ。

それに引き比べーて♪、と歌ったら怒られるだろうけど。

ケペル@嶺くん、やーりーすーぎー!!!
壊れすぎへたれすぎ。へたれて泣きすぎ。
君、一応エジプトの将軍なんだから!
そんなに頼りにならない、見ている方が不安になる人格崩壊っぷりを見せちゃダメですってば!

……このままだとやりすぎるだろう、と嫌な予感はしてたんだけどな、先週(苦笑)。

多分、この派手な嘆きや感情の激し方は、初演踏襲なんだと思うんですが。

二枚目のまま感情を暴発させるって、技術なんだ。
泣こうが喚こうが絶望に崩れようが二枚目の範疇、「かっこいい」ビジュアルのまま演じられるって言うのは、所謂「路線系」の技なんだ。
今回しみじみ感じました。

できないなら、無理に暴走せず二枚目の範疇で収められるように演じればいいんと思うんだが。隣のみらんくんのように。(みらんくんは新公でケロさんの役をやって「美しく出ろ」と仕込まれたのが糧になっているのではと)
せっかく恵まれたスタイルなのに。黙って立っていればクールな美形なのに。
勿体無い。心底勿体無い。
誰か彼に教えてやってください。懇願。

と言いつつ。
そのへたれっぷりも笑えると言うか、ある意味かわいいんだけども。
ええ、何だかんだ言って好きってことです(笑)。
良房様(花のいそぎ)で前半の嫌味なエリート、後半のへたれたぶっ壊れ方に圧倒された挙句、フィナーレで「あ、あれ? 実はこの人かっこいい?」と慌てたことを思い出すわ。そうかあれは良房様特有じゃなくて、彼の引出しで演じるとこうなるんだ。

誰がやってるとか初演がどうとか忘れて見ると、ケペルとメレルカの対比は結構面白い。
1幕ラスト。エチオピアの解放を訴えるラダメスに、ただただ呆然、いや愕然のケペル。
驚いてはいるが、同時に訝しく、不審げにラダメスを見つめ返すメレルカ。

恐らく。ケペルはラダメスの真意を理解してしまった、のだと思う。彼の思いが自分たちとは全く違う所へ行ってしまったことを。だから壊れた。
メレルカは気づいていない。ラダメスの気持ちがわからない。だから訝しい。エジプトの若き将軍としてプライドを持つ彼は、同じ立場同じ気持ちのはずのラダメスがそれを否定するような言動を取ることが許せない。だから悲しく悔しい。でも、修復不可能なほど遠く隔たってしまったとは思っていない。
そして、当のラダメスも、戦友たちとそこまで心が隔たってしまったことに気づかない。信じる新しい世界を訴えるのに必死で、受け取る側の困惑と失望を思いやる余裕はない。
ケペルだけが気づいてしまった。
それは、メレルカの若さに対してケペルが年長だからでもあるし、元々の資質の違いかもしれない。脆さという爆弾を抱えたエリートのケペルと、動揺しない芯というか強さを持ち合わせたメレルカ。

ラダメス処刑の際の反応も対照的。激しく嘆き背を向けるケペルと、抑えた悲しみに佇むメレルカ。

今はまだメレルカにはわからないだろう。ラダメスの真意は。ただ、栄光を約束された名誉ある戦士であったはずの彼が、こんな最期を遂げた理不尽さを悲しむだけで。
でも、いつか。アムネリスの不戦の誓いがあり、日々が過ぎ、いつしかわかるだろう。そしてそのとき彼はひとつ成長して、若く傲慢なエリートというだけでない、よりいい男になっているだろう。

でも、ケペルは。この人はやっぱりこの事件で壊れたんじゃないか。敷かれたレールの上を走っていられた間は良かった。けど、自分の価値観に無いものを突きつけられて、受け入れられずに壊れてしまった。
この後、彼は元の有能な戦士に戻れないような気がする。このままわかりやすく壊れるにしろ、無かったこととして封印するにしろ、折れた心は戻らないままではないか。

それが「ケペル」と「メレルカ」でいいのか、と突っ込みどころはありますが。
でも、ドラマとして、それもありだと思った。
(ただ単に私の深読み癖が炸裂してるだけかもしれんが)

さて、エチオピア側もちゃんと見てます。
先週よりもわかりやすくなってるかな。

まとぶんウバルドは、孤独を抱え追い詰められていく亡国の王子、なのですが。
更に苦労性の長男でいいお兄ちゃんだったり。
1幕ラスト、アモナスロが引き出されてくる。アモナスロの命乞いをするアイーダを叱責しつつ、でもアイーダが立ち上がると彼女と父を守るためにエジプト兵の前に立ちはだかろうとする。それなのに次の瞬間にアモナスロに「命乞いなどするな!」と突き飛ばされる。お兄ちゃんは辛いよ、って場面です。
基本的に常識人に見える。だからこそ難しい現実が見えて苦悩する。
まとぶんの、基本的に正統派王子様、でも傷を抱えた不良少年も似合う持ち味に上手く嵌ったなーと。

対して、カマンテはその分の狂気を受け持っているキャラ。
常に攻撃的。でも、常にどっかいっちゃってる。
初演の「攻撃的」という特徴に、ゆかりちゃんの個性をすり合わせた結果こうなったのかな、と。ウバルドとの対比としてこれはこれであり。
つーか、ゆかりちゃんて美しすぎで、その演技とか役作りまで考えられなくなっちゃうんだけどな、失礼にも。(新公国忠が美しかったことしか憶えてない人)

考えを違えた妹と不満を持つ臣下と、そしてやはり囚われてしまった父と。
王子として責任を持とうとし、苦悩するウバルド。
そして、妹との決裂が決定的となり、父王に生きて帰れぬ暗殺を命じられたとき、彼もまた狂気に落ちる。
剣を手に「神に許されている」と歌う彼の顔は、既に正気ではない。最初から狂気を帯びていたカマンテは、ここに至ってウバルドと完全に同調する。

で。
やっぱりサウフェがよくわからないんですけどね。
しゅんくんの持ち味に合っていないんだと思う。可愛い素顔が目に付くけど、この人は骨太な男役なんだ。新公の皇甫惟明が、本役よりも博多よりも、誰より武人だったから、驚いたように。
カマンテとサウフェ、逆でも良かったのかもな。そしたら、王子を支えると同時に無言のプレッシャーで追い詰める生来の戦士と、狂気を帯びた繊細な青年、のコントラストが出たかもしれない。

色々興味深い役替りですが。
私、初演は2回しか見てないのに、中日は既に5回、更にまだ見る予定もあるんですよ。
ってことは中日が私のデフォルト値になるのか? それでいいのか?(特にケペル・笑)

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