言わなきゃ伝わらない。(『タック』)
2005年1月24日 舞台(宝塚以外)見ていて、面白い、と言うか、興味深いことがあった。
ミューと出会ったタック。ミューは口がきけないけれど、歌で思いを伝えることができる。心を通わせる二人。
「喋れないのにどうやって仲良くできるんだ」とミューを追っ払うウクレレに、それは聞こうとしないからだと言うタック。
でも、タックはこうも言う。
「君に話ができたら、みんなに君の思いをわかってもらえるのになあ」
君はいつか喋れるようになる。と言って、ミューが言葉を発するために手を尽くす。
あ、そうなのか、と思った。
言葉がなくても思いが通じることはある。
でも、基本的に、言わないと伝わらないんだ。
言葉なんて要らない、と言うのは美しい話だけれど、そうじゃないんだ。
と言うか、それだけじゃないんだ。
言葉がなくてもわかりあえることもある。それはとても美しいこと。でも、本当に伝えたいことがあるときは、ちゃんと言葉にしないといけないんだ。
これは、そういう話なんだ。
そう思って見ると。
話が動くのは、誰かが自分のハードルを乗り越えて言葉を発したときで。
「ミューのハーモニカを壊したのオレなんだ、だから協力してくれ」と言うウクレレ。
そんなこと言うつもりはなかったはず。理由を言わず8ドル手に入れられたら、黙ってハーモニカを手に入れてこっそり返していたはず。だって格好悪いじゃん。そんなことを気にしてるって知られるなんて。
でも、本当に何とかしたくて口に出せば。仲間たちも本当は、なんとなく気にしていたことがわかる。みんなでひとつの目的に向かって動き出す。
「ウソをついて、心が痛んだ」と言うスピード。
そんなこと言うつもりはなかったはず。騙したことをタックに責められて「誰かが助けてくれればこんなことにならなかったのは本当だよ!」と逆ギレして走り去って。意地になってそのまま。
でも、やっぱりそれっきりなんて嫌だから。友達だから。心が痛むから。信じてくれと叫ぶ。真剣な叫びは、落ち込んでいたタックを再び立ち上がらせる。
そして、圧巻は。
ミュー。タックの最後の試合。ボロボロになって戦う姿に何かを伝えたくて、その手段は言葉しかなくて。過去の傷に封印していた、言葉が戻ってくる。
「死んじゃいや。生きていて」
その言葉は、タックに存在の意味を悟らせる。
……滂沱の涙です(私が(^^;)。
「言わなきゃ伝わらない」と言うのはこの作品の根底を貫く思想かもしれない。
生きる意味とか、みんな翼を持っているとか、ややもするとストレートに語りすぎるきらいがあるのも、「言わなきゃ伝わらない」という思想の結果かも。
でも、それは「言っときゃわかるだろう」というのとは違うから。言わなきゃ伝わらない、伝えなくてはという真摯な姿勢だから。こっちのハードルも越えて、ストレートに心に響いた。
……いや、人によって好みによってその辺の評価は分かれるとは思いますが。
言わなきゃ伝わらない。
まあ、言えば伝わるとは限らないんだけれども。
それでも、まず言ってみなきゃ伝わらないんだな、と思った。
……なんか、全然違うものを最近見たような気が。
大事なことは語らない。言わぬが粋、つーか言わずとも察しましょう。
『ホテル・ステラマリス』の恋物語。
『タック』って正塚晴彦原作なんですよね?
今回は別の人が潤色しているけど、前身の『YESTERDAY IS …HERE』は「作」って書いてあるし。ネット漁って当時の観劇感想とか読んだけど、基本的に同じ話のように感じた。
……まあ、10年あれば作風も変わると言うことですか。それともやはり潤色なのか。
余談ですが。
緑野さんの1/21ステラマリス感想を読んで、実はへこんでました。
そうか、そうだよな、確かにウィリアムは不実な男だし、あの態度は書き方は「逃げ」だわ。それを一見美しげに書いた物語が好き、って、つまり自分がいかに不実な人間で逃げの人生を送っているかってことか。とうっかり気づいてしまったので。
振り返ると放置したままの壊したハモニカやついた嘘が累々と。がっくり。
余談終わり。
あと。
ハードルを乗り越えて誰かに何かを伝える、と言う意味では、ウクレレの物語は終ってないんだよね。まあ、主役じゃないから、作品中で完結していないのは仕方ないけど。
でも、見たいなあ、と思った。
ので、自分で書いてしまいました(爆)。23日帰りの新幹線の中でがしがしとすげー勢いで。そのまま24日未明にはサトリちゃんに押し付け。感想は書けないといいつつ、そーゆーもんは書く。変な奴。
サトリちゃんには公演期間中に公開しろと言われたが、どうかなあそれって。あんな素晴らしい作品に蛇足つけるなんて失礼なのでこっそりやるべきだろうと躊躇。
(長安は全然良心痛まなかったけど。ドルチェ・ヴィータは少々気が引けたが、多様な解釈を許している作品なのでまあいいかと思ったけど)
と言う訳で、もし万が一興味がある人がいたら直接メールください、と一応書いておきます。そんなに長くないテキストです、と言うか全然たいしたもんじゃないです。ははは。
サトリちゃん、とりあえずこんなとこでよろしく(笑)。
ミューと出会ったタック。ミューは口がきけないけれど、歌で思いを伝えることができる。心を通わせる二人。
「喋れないのにどうやって仲良くできるんだ」とミューを追っ払うウクレレに、それは聞こうとしないからだと言うタック。
でも、タックはこうも言う。
「君に話ができたら、みんなに君の思いをわかってもらえるのになあ」
君はいつか喋れるようになる。と言って、ミューが言葉を発するために手を尽くす。
あ、そうなのか、と思った。
言葉がなくても思いが通じることはある。
でも、基本的に、言わないと伝わらないんだ。
言葉なんて要らない、と言うのは美しい話だけれど、そうじゃないんだ。
と言うか、それだけじゃないんだ。
言葉がなくてもわかりあえることもある。それはとても美しいこと。でも、本当に伝えたいことがあるときは、ちゃんと言葉にしないといけないんだ。
これは、そういう話なんだ。
そう思って見ると。
話が動くのは、誰かが自分のハードルを乗り越えて言葉を発したときで。
「ミューのハーモニカを壊したのオレなんだ、だから協力してくれ」と言うウクレレ。
そんなこと言うつもりはなかったはず。理由を言わず8ドル手に入れられたら、黙ってハーモニカを手に入れてこっそり返していたはず。だって格好悪いじゃん。そんなことを気にしてるって知られるなんて。
でも、本当に何とかしたくて口に出せば。仲間たちも本当は、なんとなく気にしていたことがわかる。みんなでひとつの目的に向かって動き出す。
「ウソをついて、心が痛んだ」と言うスピード。
そんなこと言うつもりはなかったはず。騙したことをタックに責められて「誰かが助けてくれればこんなことにならなかったのは本当だよ!」と逆ギレして走り去って。意地になってそのまま。
でも、やっぱりそれっきりなんて嫌だから。友達だから。心が痛むから。信じてくれと叫ぶ。真剣な叫びは、落ち込んでいたタックを再び立ち上がらせる。
そして、圧巻は。
ミュー。タックの最後の試合。ボロボロになって戦う姿に何かを伝えたくて、その手段は言葉しかなくて。過去の傷に封印していた、言葉が戻ってくる。
「死んじゃいや。生きていて」
その言葉は、タックに存在の意味を悟らせる。
……滂沱の涙です(私が(^^;)。
「言わなきゃ伝わらない」と言うのはこの作品の根底を貫く思想かもしれない。
生きる意味とか、みんな翼を持っているとか、ややもするとストレートに語りすぎるきらいがあるのも、「言わなきゃ伝わらない」という思想の結果かも。
でも、それは「言っときゃわかるだろう」というのとは違うから。言わなきゃ伝わらない、伝えなくてはという真摯な姿勢だから。こっちのハードルも越えて、ストレートに心に響いた。
……いや、人によって好みによってその辺の評価は分かれるとは思いますが。
言わなきゃ伝わらない。
まあ、言えば伝わるとは限らないんだけれども。
それでも、まず言ってみなきゃ伝わらないんだな、と思った。
……なんか、全然違うものを最近見たような気が。
大事なことは語らない。言わぬが粋、つーか言わずとも察しましょう。
『ホテル・ステラマリス』の恋物語。
『タック』って正塚晴彦原作なんですよね?
今回は別の人が潤色しているけど、前身の『YESTERDAY IS …HERE』は「作」って書いてあるし。ネット漁って当時の観劇感想とか読んだけど、基本的に同じ話のように感じた。
……まあ、10年あれば作風も変わると言うことですか。それともやはり潤色なのか。
余談ですが。
緑野さんの1/21ステラマリス感想を読んで、実はへこんでました。
そうか、そうだよな、確かにウィリアムは不実な男だし、あの態度は書き方は「逃げ」だわ。それを一見美しげに書いた物語が好き、って、つまり自分がいかに不実な人間で逃げの人生を送っているかってことか。とうっかり気づいてしまったので。
振り返ると放置したままの壊したハモニカやついた嘘が累々と。がっくり。
余談終わり。
あと。
ハードルを乗り越えて誰かに何かを伝える、と言う意味では、ウクレレの物語は終ってないんだよね。まあ、主役じゃないから、作品中で完結していないのは仕方ないけど。
でも、見たいなあ、と思った。
ので、自分で書いてしまいました(爆)。23日帰りの新幹線の中でがしがしとすげー勢いで。そのまま24日未明にはサトリちゃんに押し付け。感想は書けないといいつつ、そーゆーもんは書く。変な奴。
サトリちゃんには公演期間中に公開しろと言われたが、どうかなあそれって。あんな素晴らしい作品に蛇足つけるなんて失礼なのでこっそりやるべきだろうと躊躇。
(長安は全然良心痛まなかったけど。ドルチェ・ヴィータは少々気が引けたが、多様な解釈を許している作品なのでまあいいかと思ったけど)
と言う訳で、もし万が一興味がある人がいたら直接メールください、と一応書いておきます。そんなに長くないテキストです、と言うか全然たいしたもんじゃないです。ははは。
サトリちゃん、とりあえずこんなとこでよろしく(笑)。
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