感想を書こう。(『タック』)
2005年1月23日 舞台(宝塚以外)1/22の初日初回と、1/23の昼公演の2回見てきました。
実は感想が書けなくて困ってたんですが(困ったまま今日は26日)、自分が受けた衝撃を表現しようとするから書けないのであって、普通に感想を書けばいいんじゃん?と気づきました。
と言う訳で、感想。いつもながらネタばれとか気にしません。
とても美しい作品でした。
まず、よくできていると思う。
物語と脚本がいい。正しく盛り上がり、伏線はきちんと回収される。登場人物も一人一人キャラが立っている。1回見ただけで少年グループ全員のキャラ把握まで可能なのは、演者の力もあると思うけれどやはり脚本がいいんだと思う。笑ったり泣いたり胸締めつけられたりしているうちに、怒涛のクライマックスがやってくる。
ミュージカルとしてもいい。歌やダンスがとってつけたようでなく、物語上必要な表現になっている。登場人物の感情の発露であったり、物語のワンシーンを描いていたり。ボクシングのトレーニングシーンは秀逸、というかすごかった。曲もいい。素朴で荒削りな、けれど繊細で優しく暖かい世界を表現するナンバーたち。
そして、熱。出演者の、そしておそらくスタッフの熱。白熱する舞台に飲み込まれる。
と言うか、真っ直ぐなストーリーラインと的確なミュージカルシーンの配置が、熱を発散できる構造になってるんだな。クライマックスは魂を叩きつけるような歌と激しいダンスで、舞台に釘付けにさせられるから。
以下、キャラクタ&出演者語り。プログラムの順に。
タック=坂元健児
空から降ってきた男。パンツ一丁で地面に突き刺さってたのにはびびりました。そりゃミューも逃げるって(笑)。
お人よしで調子っぱずれの妙な奴。
言ってることは説教くさいんだけど、ユーモラスな持ち味でするっと心に入りこんでくる。かと言って聖人でも説教親父でもなく、ミューに拒否されてやさぐれるところは人間らしいダメさがあって。
坂元さんは歌もダンスもすごい人でした(両方すごいことに感動したらしい。普段ヅカばかり見ているから←をい)。この「タック」と言う物語を支える主人公を自然に演じてるってことは、お芝居も上手いってことで。白い髪は役作りですよね。良かったです。
ミュー=堀内敬子
口のきけない女の子。かわいい(端的)。
喋れないんだけど、心を許した相手には歌で感情表現できる女の子。これがもう天使の声でねー。かわいい。
容姿も、小柄で、金髪で(これも役作りかと)、他の子たちが茶や黒のダークな色調の衣裳なのに対し、ミューはいつも白っぽい服でね、つぶらな瞳につつきたくなるようなやわらかそうなほっぺでね、すごいかわいいんですよ。
つーか「不幸な過去ゆえに喋れなくなってしまったけれど心優しく清らかな女の子」ってすげーベタだよな。それにリアリティがあるって、すごいや。
堀内さん、歌の評判の高い人なのは知ってましたが、本当にきれいでいい歌を聞かせてくれました。何気にダンスも上手かった。
ウクレレ=立樹遥
……については後日項を改めて(笑)。
ここでひとこと書くなら、ミューとの対照がよかったなあと。小さくてふわふわほんわかしたマシュマロのようなミューと、大柄でシャープではっきりして鋭いウクレレの対照的なビジュアルが。
青年/ジョーダン=川本昭彦
フィナーレまで、一人二役とは気づきませんでした。あのメガネくんがあのお兄ちゃんだったなんて! のび太くんだと思っていたら二枚目じゃないですか! あーびっくりした。(プログラムにちゃんと書いてあったのに。写真しか見てなかったらしいですよ)
世の中を憎んで棘だらけのやけっぱちな青年、いい役だなあ。黒のロングコートが似合って、格好よかった。
前作『YESTERDAY IS HERE』では老人と青年はもっと穏やかな設定だったようで。老人ホームか何かの。見ていないから比較できないけど、私はこの設定でよかったなあと。タックの物語の聞き手として、かつての少年たちと重ねあわされる存在として。最後「変わることができるかな」と言う彼に思い切り感情移入して見てました。
それに対しジョーダンはとぼけた文学少年(なのか?)で、ほんと同じ人とは気づかなかった……。
スムース=縄田晋
少年たちのリーダー格、なのかな? 一番大人でお兄ちゃんな感じ。一番先に夢が実現しはじめる少年で、そういう意味でもリーダー格と言うか。
終演後緑野さんサトリちゃんと「ウクレレが女の子とわかって恋が生まれるとしたら誰とだ」って話をしてたんですが、私はスムースと即答。「だって他に二の線いないし」と言う失礼な理由つきで(笑)。
スピード=福永吉洋
一番無骨な感じの少年。タックがボクシングをやめると言ったとき、嘘をついてだまくらかして続けさせるずるさと要領のよさと、そのことに自分で傷つく不器用さと。「心が痛んだ」って歌うとこ、キました。
ダンス、アクロバット班ですよね。すげーと口開けてました。ウクレレをリフト、と言うかぶん投げてた(はい?)のもこの人だと思ったんだが、違うかな?
スカンク=幸村吉也
実は、スカステお稽古場映像から「この小さい人(失礼な)、気になる」と思ってました。(どこ見てんのかって? いや4回くらいリピートしたからさ)
小さいんですけどね、ダンスのキレと言うかバネがすごかった。小気味いいというか、かっこいい。小さいけど。いや小さいからこそか(しつこい)。
スカンクは、小柄で強気な突っ込みタイプ。タックとミューを二人にしてやろうと気を利かせたのに気づかないブルーシーに「その絵面はどう見てもおかしいだろう!」とすぱこーんと頭をハリセン……いやメガホンではたくシーンが好きです。
ブルーシー=日比野啓一
彼はボケだな(笑)。個性の強い少年たちの中で、一番普通かも。捨て子だけど自分の名前を親からもらった唯一のものとして大切にしていたり、夢も「温かい家庭を築くこと」だったり。でも、それが沁みる感じで。(いや実は彼が夢を語っているとき、「親」に引っかかりのあるウクレレの反応を伺ったりしちゃってるんですけどね私(^^;)
この人もアクロバット班。この三人はほんと迫力。
老人=駒田一
言ってることは説教くさいんだけど、ユーモラスな持ち味でするっと心に入りこんでくる。とタックと同じ表現をしてみる(笑)。うさんくささと真面目さのバランスが絶妙。
最後の試合のシーンの語りは圧巻でした。圧倒されました。
2回見たんですが、2回目は最初から泣けてきて困りました。ストーリーがわかってると、最初の少年達が暗がりで身をを寄せ合って暖を取っている場面で既に泣ける。それ、なんか変な人だよ。
初日はひたすら圧倒されて、2幕の後半「ホントのホント」あたりから泣きっぱなしで頭真っ白になりつつ、青年に感情移入して「変わることができるかな」に対する答えに固唾を呑んで身構えていたりした訳ですが。
2回目見ていたとき、ふと思った。
このチームの連中って、10代、多分15〜17歳くらいだよな。
てことは私、親になれる年じゃん。
そっか。糾弾される「大人」の立場なんだ。
大人の責任、なんてものにも気づいてしまった2回目観劇。
でも、そういうことも、ちゃんと考えたいと思った。
いや具体的にどうしたらいいか実は良くわからないんだが。(だめじゃん! ←いやとりあえず心構えだけは)
そんな気持ちにさせてくれる、この日でした。
実は感想が書けなくて困ってたんですが(困ったまま今日は26日)、自分が受けた衝撃を表現しようとするから書けないのであって、普通に感想を書けばいいんじゃん?と気づきました。
と言う訳で、感想。いつもながらネタばれとか気にしません。
とても美しい作品でした。
まず、よくできていると思う。
物語と脚本がいい。正しく盛り上がり、伏線はきちんと回収される。登場人物も一人一人キャラが立っている。1回見ただけで少年グループ全員のキャラ把握まで可能なのは、演者の力もあると思うけれどやはり脚本がいいんだと思う。笑ったり泣いたり胸締めつけられたりしているうちに、怒涛のクライマックスがやってくる。
ミュージカルとしてもいい。歌やダンスがとってつけたようでなく、物語上必要な表現になっている。登場人物の感情の発露であったり、物語のワンシーンを描いていたり。ボクシングのトレーニングシーンは秀逸、というかすごかった。曲もいい。素朴で荒削りな、けれど繊細で優しく暖かい世界を表現するナンバーたち。
そして、熱。出演者の、そしておそらくスタッフの熱。白熱する舞台に飲み込まれる。
と言うか、真っ直ぐなストーリーラインと的確なミュージカルシーンの配置が、熱を発散できる構造になってるんだな。クライマックスは魂を叩きつけるような歌と激しいダンスで、舞台に釘付けにさせられるから。
以下、キャラクタ&出演者語り。プログラムの順に。
タック=坂元健児
空から降ってきた男。パンツ一丁で地面に突き刺さってたのにはびびりました。そりゃミューも逃げるって(笑)。
お人よしで調子っぱずれの妙な奴。
言ってることは説教くさいんだけど、ユーモラスな持ち味でするっと心に入りこんでくる。かと言って聖人でも説教親父でもなく、ミューに拒否されてやさぐれるところは人間らしいダメさがあって。
坂元さんは歌もダンスもすごい人でした(両方すごいことに感動したらしい。普段ヅカばかり見ているから←をい)。この「タック」と言う物語を支える主人公を自然に演じてるってことは、お芝居も上手いってことで。白い髪は役作りですよね。良かったです。
ミュー=堀内敬子
口のきけない女の子。かわいい(端的)。
喋れないんだけど、心を許した相手には歌で感情表現できる女の子。これがもう天使の声でねー。かわいい。
容姿も、小柄で、金髪で(これも役作りかと)、他の子たちが茶や黒のダークな色調の衣裳なのに対し、ミューはいつも白っぽい服でね、つぶらな瞳につつきたくなるようなやわらかそうなほっぺでね、すごいかわいいんですよ。
つーか「不幸な過去ゆえに喋れなくなってしまったけれど心優しく清らかな女の子」ってすげーベタだよな。それにリアリティがあるって、すごいや。
堀内さん、歌の評判の高い人なのは知ってましたが、本当にきれいでいい歌を聞かせてくれました。何気にダンスも上手かった。
ウクレレ=立樹遥
……については後日項を改めて(笑)。
ここでひとこと書くなら、ミューとの対照がよかったなあと。小さくてふわふわほんわかしたマシュマロのようなミューと、大柄でシャープではっきりして鋭いウクレレの対照的なビジュアルが。
青年/ジョーダン=川本昭彦
フィナーレまで、一人二役とは気づきませんでした。あのメガネくんがあのお兄ちゃんだったなんて! のび太くんだと思っていたら二枚目じゃないですか! あーびっくりした。(プログラムにちゃんと書いてあったのに。写真しか見てなかったらしいですよ)
世の中を憎んで棘だらけのやけっぱちな青年、いい役だなあ。黒のロングコートが似合って、格好よかった。
前作『YESTERDAY IS HERE』では老人と青年はもっと穏やかな設定だったようで。老人ホームか何かの。見ていないから比較できないけど、私はこの設定でよかったなあと。タックの物語の聞き手として、かつての少年たちと重ねあわされる存在として。最後「変わることができるかな」と言う彼に思い切り感情移入して見てました。
それに対しジョーダンはとぼけた文学少年(なのか?)で、ほんと同じ人とは気づかなかった……。
スムース=縄田晋
少年たちのリーダー格、なのかな? 一番大人でお兄ちゃんな感じ。一番先に夢が実現しはじめる少年で、そういう意味でもリーダー格と言うか。
終演後緑野さんサトリちゃんと「ウクレレが女の子とわかって恋が生まれるとしたら誰とだ」って話をしてたんですが、私はスムースと即答。「だって他に二の線いないし」と言う失礼な理由つきで(笑)。
スピード=福永吉洋
一番無骨な感じの少年。タックがボクシングをやめると言ったとき、嘘をついてだまくらかして続けさせるずるさと要領のよさと、そのことに自分で傷つく不器用さと。「心が痛んだ」って歌うとこ、キました。
ダンス、アクロバット班ですよね。すげーと口開けてました。ウクレレをリフト、と言うかぶん投げてた(はい?)のもこの人だと思ったんだが、違うかな?
スカンク=幸村吉也
実は、スカステお稽古場映像から「この小さい人(失礼な)、気になる」と思ってました。(どこ見てんのかって? いや4回くらいリピートしたからさ)
小さいんですけどね、ダンスのキレと言うかバネがすごかった。小気味いいというか、かっこいい。小さいけど。いや小さいからこそか(しつこい)。
スカンクは、小柄で強気な突っ込みタイプ。タックとミューを二人にしてやろうと気を利かせたのに気づかないブルーシーに「その絵面はどう見てもおかしいだろう!」とすぱこーんと頭をハリセン……いやメガホンではたくシーンが好きです。
ブルーシー=日比野啓一
彼はボケだな(笑)。個性の強い少年たちの中で、一番普通かも。捨て子だけど自分の名前を親からもらった唯一のものとして大切にしていたり、夢も「温かい家庭を築くこと」だったり。でも、それが沁みる感じで。(いや実は彼が夢を語っているとき、「親」に引っかかりのあるウクレレの反応を伺ったりしちゃってるんですけどね私(^^;)
この人もアクロバット班。この三人はほんと迫力。
老人=駒田一
言ってることは説教くさいんだけど、ユーモラスな持ち味でするっと心に入りこんでくる。とタックと同じ表現をしてみる(笑)。うさんくささと真面目さのバランスが絶妙。
最後の試合のシーンの語りは圧巻でした。圧倒されました。
2回見たんですが、2回目は最初から泣けてきて困りました。ストーリーがわかってると、最初の少年達が暗がりで身をを寄せ合って暖を取っている場面で既に泣ける。それ、なんか変な人だよ。
初日はひたすら圧倒されて、2幕の後半「ホントのホント」あたりから泣きっぱなしで頭真っ白になりつつ、青年に感情移入して「変わることができるかな」に対する答えに固唾を呑んで身構えていたりした訳ですが。
2回目見ていたとき、ふと思った。
このチームの連中って、10代、多分15〜17歳くらいだよな。
てことは私、親になれる年じゃん。
そっか。糾弾される「大人」の立場なんだ。
大人の責任、なんてものにも気づいてしまった2回目観劇。
でも、そういうことも、ちゃんと考えたいと思った。
いや具体的にどうしたらいいか実は良くわからないんだが。(だめじゃん! ←いやとりあえず心構えだけは)
そんな気持ちにさせてくれる、この日でした。
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