「この人、組長さん?」
アシナヅチ@ハマコ氏を見ての母のコメント。
トップさんより学年下、と言ったら驚かれました。

と言う訳で、BSで『スサノオ』鑑賞。
ムラと東宝1回ずつ観たけれど感想を書きそびれていたんで、この機会に。

結論から言うと、結構好きです。
スサノオとイナダヒメのラブストーリーとして。スサノオの成長物語として。

孤独で傷ついて、それ故に棘だらけで乱暴な少年が、やはり一人ぼっちだけれどまっすぐな少女に出会う、a boy meets a girlな物語。
イナダヒメに「弟はお姉さんを愛していたの」とあっさり見破られて逆上するスサノオ。その怒りをまっすぐに受け止めて「暴力は愛の仮の姿」とスサノオの心を解きほぐしていくイナダヒメ。その姿が何とすがすがしくまぶしく、またうろたえるスサノオがちょっと微笑ましく。
ともに一人ぼっちだから、一緒に行こう、と言う二人。イナダヒメがスサノオの元にとたたた、と駆け寄る姿の初々しさ愛らしさ。
もう何もわからなくなった、と言いながら、それでもイナダヒメを傷つけたことは許せない、と偽アマテラスに挑みかかるスサノオ。
スサノオのために天上界に赴き、八百万の神々に、そしてアマテラスに対し静かに、しかし毅然とスサノオの悲しみを訴えるイナダヒメ。ここ、それらしい台詞はあまり言っていないのだけれど、アマテラスに対する態度がすごくいい。愛憎半ばする、と言うのも違うのだけれど、この人がスサノオの愛した、そしてその愛を受け入れてくれなかったお姉さん、と思って見ているんだと思う。

そこまでの積み重ねがあるから、最後、蘇ったスサノオがイナダヒメの言葉に剣を収めるのも、わかる。
……とは言え、ここはもうちょっとちゃんと描いてほしくはあるんですけどね。今までの積み重ねがあるからわかるとは言え、イナダヒメがスサノオを止めて、スサノオが我を取り戻す、と言うのをもうちょいじっくりはっきりとやってほしかったなぁと。いい場面なのに。
その前の場面。アマテラスがスサノオを蘇らせた理由「大和の力だから」に、うわーそんなこと言うからスサノオまたキレちゃうよ、あなたが大事って言ってやれよ、本当はそう思ってるんだろ?と思ったけれど。
でもそれじゃスサノオはアマテラスを卒業できないから。姉に甘える弟ではなく、一人の男として、人間として(神ですが)イナダヒメというパートナーの手を取ることを気づかせるために、敢て突き放したんだろう。
だから、スサノオがイナダヒメに気づいて、二人が結ばれるハッピーエンドはきちんと描いてほしかったなあ、と思ったけれど。

でもまあ主役二人の物語として、私はこの話が好きです。
この二人、スサノオとイナダヒメは、雪組トップコンビならではのキャラクターだと思います。傷ついた荒ぶる少年もすがすがしくまっすぐな少女も、
まさにあてがき。それがまた良い。(キムシンって実はあてがき上手いよね、主役級には)

まあ、妙に時事ネタを取り込んでいるあたりとか、「暴力」「平和」と言う生の言葉の使い方とか、主要数名以外全てモブとか、引っかかるところはありますけどね。

政治色については、取り込んでいる、それらしい事を散りばめているだけでメッセージではない、と思ってます。だって結論出してないじゃん。
その辺、ムラで初めて見たときはかなりうんざりしてたんですが、東宝ではあまり気になりませんでした。
当時、どこかのインタビューでコムさんが「大和の国のファンタジー」と言ってましたが(どこでだかちょっと思い出せませんが)、つまり、その言葉通り「ファンタジー」として演ることに決めたのではないかと。それが観る側にも伝わる、のではないかと思いました。

ムラでは体調不良や席が良くなかった(前の席の人に視界が遮られがちだった)こともありのめりこめなかったけど、東宝ではボロ泣きでした。
特にアシナヅチが死ぬあたりなんかもうボロボロで(笑)。
今日TVで見て、他の場面は大丈夫だったけど、やっばりアシナヅチの死からイナダヒメが歌うあたりは泣けた。
つーか、TVでアップにしてくれてわかったけど、演じてる本人も泣いてるんだ。それなのにこの滑舌のよさ、この歌。さすがだ。話にのめりこめたのはアシナヅチの名演のおかげも大きいよな。
……いや私、『春麗』以来ハマコ氏大好きですから(しぃちゃんはおろかかしげさんの印象も殆どないのに、知親@ハマコだけは良く覚えていた奴・笑)。

アオセトナ水さんは言わずもがな。「欲しいものを言ってごらん」でめろめろになり、「お前の連れは私の慰みものだ!」でうひゃーっとなりました(笑)。いやすごいかっこいい(うっとり)。
でも今回見たら、やっぱり悲しい存在なんだな、と。憎しみに囚われた影。

アマテラスは神々しい。ほんと神様。
で、それだけでなくて、スサノオに対する愛(慈愛、に近いような)があって、でもやはりどこか人間離れしていて。
要するにガイチさんやっぱ上手い、ってことなんだろう。

ツクヨミ、壮くん。きれいだ、本当にきれいだ。
いや実は私にとってこの役が一番不可解なんだけどね(笑)。前半のクールで傍観者的冷笑的にスサノオを眺めていたツクヨミと、スサノオの死に「俺の兄弟!」と嘆き叫ぶツクヨミと、私の中で上手くつながりません。
どっちかと言うと後半のへたれ気味のツクヨミの方が好きかな(笑)。ねーちゃんと弟が兄弟げんかして、どっちも勝手なこと言ってわけわかんねーよ、って感じの普通っぽさが。

ショー『タカラヅカ・グローリー』も楽しかったです。ショーになるとガイチさんの何でもできるっぷりやスマートなかっこよさに瞠目しました。
(……生で見たときは水くんにめろめろだったんだけどな。今日TVで見たらガイチさんの方に惹かれた。何でだろ)
コムまーも本当にお似合い。
そしてやっぱり、ハマコが歌いまくるとうれしい私なのでしたよ(笑)。(黒燕尾の場面で一人声を張り上げ歌い上げるハマコを「この人がさっきのアシナヅチの人」と説明したら、妙に納得したような様子の母)

あ、まちかめぐるはあんまり見つけられませんでした。ごめんなさい緑野さん(笑)。

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