前の欄の続き。
愛が薄い、という話。
あんたのご贔屓トップコンビと比べるなと言われればそれまでですが(笑・バカップルだからな)。
でも、虹人と照葉以外には、ちゃんと愛を見てましたよ。
一番は、やっぱり源博雅。帝の家臣。
天の鼓を手に入れようと理を曲げる帝を諌める目に、愛が見える。
道を誤る帝を止めることが出来ない悲しみが見える。
正義感とかじゃなくて、帝のため、なんだよね。帝のことが好きだから、間違ったことをして欲しくない。だから、どんなに拒絶されても恫喝されても、命が危うくなろうと諌めることを止められない。
事件後の帝の傍に、この人がいてくれてよかったなあと思います。
そのか氏、本当にいい演技してました。素晴らしい。
そして、樹。
照葉のこと、本当に好きなんだ。都で栄誉を得たいのも自分の望みじゃない、照葉のため。
裁きの場に虹人(人外)が現れ皆が呆然としている時、照葉を気遣い肩に手を置く樹の姿がたまりません。
照葉は樹のことなんか何とも思っていないのに。直前にも、自分の許婚である樹が殺されようとしているというのに、虹人の形見の鼓のことしか考えていなかった照葉なのに。(いやマジでひどいと思うぞここ)
虹人に対してだって、帝の甘言に乗って陥れようとしたことを悔やんで悔やんで。もしかしたら、だから自分も死んでも仕方ない、と思ったのかもしれない。
いい人だ。そんでもってかわいそーな人だ……。
まっつさん、きめこまやかなお芝居をしてくれてたんで、そんな思いの色々が伝わってきました。
伊吹。虹人の血のつながらない妹。
虹人に思いを寄せるけれど妹としか思ってもらえない、というのはベタなんだけど、あすかちゃんがやるとその切ない胸の内が伝わってくる。
虹人と照葉の仲を知るところ、照葉が虹人の子を身ごもっている事を知るところ……表情の変化が、ほんと上手いよねー。(それにしてももっときれいな着物を着せてもらってもいいんじゃないかと思うんだけど。何でこの子だけ地味なんだ?)
あと、照葉の侍女?響も良かったですわ。照葉を大切に思っているのが伝わってきて。花純風香ちゃんと言うのか。憶えとこう。
初見のときに書いたとおり、とても美しい舞台です。
私のヅカ歴はまだ浅いけれど、今まで見た中では屈指の美しさ。螺鈿のような背景、シンプルで抽象的、かつ立体的なセット。華やかな平安装束。どこか幻想的な雰囲気をかもし出す照明。
そして音楽。美しい中に郷愁や哀切さやふとした不安感を垣間見せる楽曲群。
演出的にも、場面場面は美しいです。
帝を中心とする宮廷。絶対的な権力と、それを取り囲む人々の危うさ、帝が沙汰を下すたびに賛美する、戯画的な中のおぞましさ。それを美しく怪しく見せている(『エリザベート』の、フランツの最初の場面の影響があるかもしれない)。
管弦を競う場面の、音と舞による見せ方。
(いや、上記以外にも「どこかで見たような」というのはあるけど、それはそれで魅力的ならOK)
惜しいと思うのは、一幕最後の虹人が幻の中で照葉、樹、伊吹らにすがり付こうとするが、帝が彼らを指すと人形のようになってしまい、虹人は誰にも見てもらえない場面。
ここ、すごくいいシーンなんですけど。その前に虹人の孤独がきちんと書き込まれていれば、すごくやるせない名場面になったと思う。
そう。
これだけいいのに、何でトンデモ作品かと言うと、ストーリーがアレなんだよなー(笑)。あと自己完結台詞もちょっと。副題にもなっている「ゆめまぼろしとこそ…」云々か意味ありげに繰り返されるんだけど、これが何を言いたいのかまたよくわからず(いや本当に読解力不足かもしれませんが)。
児玉せんせには一度ショーを作っていただきたいと思うんですが、どうでしょうか(ここで言っても)。一昨年のDCも絵面だけはものすごく美しかったし。美しい場面ばかりで構成されたショー、見たいぞ。
さて、『天の鼓』。
美しくて笑えて、更に視点をちょっと変えれば感動すら出来るかもしれないこの作品、一見の価値はありです。(見て金返せと言われても責任はもてませんが)
以下余談。
千秋楽はサバキで。圧倒的に需要過多でしたが、親切な人に拾っていただきました。見られて良かった。初見に比べて印象が随分上方修正されたからな。
終演後は緑野さんと遅いランチをしながら『天の鼓』語り。抱腹絶倒、帝さいこー!!そのかいい男!と大盛り上がり。
特に、星組でキャスティング始めて戻ってこられなくなる(笑)。見たい、見せろと喚きつつ、「自担組で見たくなるって、実は名作なのでは」と顔を見合わせて呆然(爆)。
その後、すずみんの今後や、ケロしぃがスルーされた訳(笑・緑野さん12/30日記参照)を真剣に語り合ったり。つーか、水だけで何時間粘ったんだ。
楽の挨拶で組長さんが「花組に始まり花組に終る一年」と仰ってましたが、ヅカ納めにふさわしい楽しい一日でした。(しかし、花青年館とバウとゆみこちゃんDSを宣伝して「これら全てご覧になることができます」。どこも同じこと言うんだ・笑)
***
「み」さま(12/31日記へのレス)
『おとめ』は「しい」ちゃんらしいですよ。でもお茶会プログラムに印刷された本人筆は「しぃ」でした。どっちでもいいの?
どちらにせよ私のとこも検索来てませんが(笑)。別に世間様が騒いでくれなくても構わないですけどね。私は堪能しましたから(笑)。
ま、一人で騒いでたら流石に寂しかったと思うけど、一緒にオペラを上げる同好の士が二人もいるしな(握手!)。
***
1/2追記。
緑野さんが1/2日記に『天の鼓』星組版の話を書いてくれました。わーい。
と言う訳で便乗御免(笑)。
虹人=ワタさん。照葉=檀ちゃん。出会った瞬間一目惚れ、理由も根拠もなくラブラブでOK! 檀ちゃんならきっと「鼓の命乞い」も愛ゆえの暴走に見えるはず!
そして、虹人のことで頭の中いっぱいで自分のことなんかこれっぽっちも見ていない照葉を一途に思う樹に、しぃちゃん。親友を愛する女の肩をいたわるように抱く男(でも気づいてもらえない)。ああいい人だ……。
帝=とうこさん。冷酷傲慢な、しかし奥底には少年の魂を持つ絶対君主。安禄山と違いただの腹黒い悪役じゃなくて、傷ついた姿や優しい瞳も見られるぞ!
博雅=ケロさんは言わずもがな。『長安』みたいに「皇帝を愛してるってそんなの脚本にないだろ」と突っ込まれることもなく、愛ゆえに命がけで主君を諌める役ですよ!おまけに帝、とうこさんだし。
見たい。真剣に見たい。心の底から見たい。とにかく見せろとのたうち回るほど見たい(いいかげんにしなさい)。
でも脳内上演したらちょっと気が済みました(それもどうかと)。
で。
このキャストならきっと私、虹人と樹について延々語るぞ。だってワタさんとしぃちゃんで、無邪気に何も考えていない天才青年と彼に憧憬と友情と嫉妬を抱く男(属性いいひと)だぞ。楊国忠語りを超えるぞ。エピソードがんがん捏造してSS書いちゃって、えらいことになるぞ。どこにもニーズもないのに(笑)。
あ、舞台上接点ないけど後日談では博雅の下で樹が働いてるそうだから、ケロしぃも夢見れるかも(見すぎ)。
……今はまだ、去年のまま夢見てもいいよね。
せめて今だけは過ぎてゆく昨日の夢に溺れてみよう、と。
……で、やっぱり名作なんでしょうか『天の鼓』。
愛が薄い、という話。
あんたのご贔屓トップコンビと比べるなと言われればそれまでですが(笑・バカップルだからな)。
でも、虹人と照葉以外には、ちゃんと愛を見てましたよ。
一番は、やっぱり源博雅。帝の家臣。
天の鼓を手に入れようと理を曲げる帝を諌める目に、愛が見える。
道を誤る帝を止めることが出来ない悲しみが見える。
正義感とかじゃなくて、帝のため、なんだよね。帝のことが好きだから、間違ったことをして欲しくない。だから、どんなに拒絶されても恫喝されても、命が危うくなろうと諌めることを止められない。
事件後の帝の傍に、この人がいてくれてよかったなあと思います。
そのか氏、本当にいい演技してました。素晴らしい。
そして、樹。
照葉のこと、本当に好きなんだ。都で栄誉を得たいのも自分の望みじゃない、照葉のため。
裁きの場に虹人(人外)が現れ皆が呆然としている時、照葉を気遣い肩に手を置く樹の姿がたまりません。
照葉は樹のことなんか何とも思っていないのに。直前にも、自分の許婚である樹が殺されようとしているというのに、虹人の形見の鼓のことしか考えていなかった照葉なのに。(いやマジでひどいと思うぞここ)
虹人に対してだって、帝の甘言に乗って陥れようとしたことを悔やんで悔やんで。もしかしたら、だから自分も死んでも仕方ない、と思ったのかもしれない。
いい人だ。そんでもってかわいそーな人だ……。
まっつさん、きめこまやかなお芝居をしてくれてたんで、そんな思いの色々が伝わってきました。
伊吹。虹人の血のつながらない妹。
虹人に思いを寄せるけれど妹としか思ってもらえない、というのはベタなんだけど、あすかちゃんがやるとその切ない胸の内が伝わってくる。
虹人と照葉の仲を知るところ、照葉が虹人の子を身ごもっている事を知るところ……表情の変化が、ほんと上手いよねー。(それにしてももっときれいな着物を着せてもらってもいいんじゃないかと思うんだけど。何でこの子だけ地味なんだ?)
あと、照葉の侍女?響も良かったですわ。照葉を大切に思っているのが伝わってきて。花純風香ちゃんと言うのか。憶えとこう。
初見のときに書いたとおり、とても美しい舞台です。
私のヅカ歴はまだ浅いけれど、今まで見た中では屈指の美しさ。螺鈿のような背景、シンプルで抽象的、かつ立体的なセット。華やかな平安装束。どこか幻想的な雰囲気をかもし出す照明。
そして音楽。美しい中に郷愁や哀切さやふとした不安感を垣間見せる楽曲群。
演出的にも、場面場面は美しいです。
帝を中心とする宮廷。絶対的な権力と、それを取り囲む人々の危うさ、帝が沙汰を下すたびに賛美する、戯画的な中のおぞましさ。それを美しく怪しく見せている(『エリザベート』の、フランツの最初の場面の影響があるかもしれない)。
管弦を競う場面の、音と舞による見せ方。
(いや、上記以外にも「どこかで見たような」というのはあるけど、それはそれで魅力的ならOK)
惜しいと思うのは、一幕最後の虹人が幻の中で照葉、樹、伊吹らにすがり付こうとするが、帝が彼らを指すと人形のようになってしまい、虹人は誰にも見てもらえない場面。
ここ、すごくいいシーンなんですけど。その前に虹人の孤独がきちんと書き込まれていれば、すごくやるせない名場面になったと思う。
そう。
これだけいいのに、何でトンデモ作品かと言うと、ストーリーがアレなんだよなー(笑)。あと自己完結台詞もちょっと。副題にもなっている「ゆめまぼろしとこそ…」云々か意味ありげに繰り返されるんだけど、これが何を言いたいのかまたよくわからず(いや本当に読解力不足かもしれませんが)。
児玉せんせには一度ショーを作っていただきたいと思うんですが、どうでしょうか(ここで言っても)。一昨年のDCも絵面だけはものすごく美しかったし。美しい場面ばかりで構成されたショー、見たいぞ。
さて、『天の鼓』。
美しくて笑えて、更に視点をちょっと変えれば感動すら出来るかもしれないこの作品、一見の価値はありです。(見て金返せと言われても責任はもてませんが)
以下余談。
千秋楽はサバキで。圧倒的に需要過多でしたが、親切な人に拾っていただきました。見られて良かった。初見に比べて印象が随分上方修正されたからな。
終演後は緑野さんと遅いランチをしながら『天の鼓』語り。抱腹絶倒、帝さいこー!!そのかいい男!と大盛り上がり。
特に、星組でキャスティング始めて戻ってこられなくなる(笑)。見たい、見せろと喚きつつ、「自担組で見たくなるって、実は名作なのでは」と顔を見合わせて呆然(爆)。
その後、すずみんの今後や、ケロしぃがスルーされた訳(笑・緑野さん12/30日記参照)を真剣に語り合ったり。つーか、水だけで何時間粘ったんだ。
楽の挨拶で組長さんが「花組に始まり花組に終る一年」と仰ってましたが、ヅカ納めにふさわしい楽しい一日でした。(しかし、花青年館とバウとゆみこちゃんDSを宣伝して「これら全てご覧になることができます」。どこも同じこと言うんだ・笑)
***
「み」さま(12/31日記へのレス)
『おとめ』は「しい」ちゃんらしいですよ。でもお茶会プログラムに印刷された本人筆は「しぃ」でした。どっちでもいいの?
どちらにせよ私のとこも検索来てませんが(笑)。別に世間様が騒いでくれなくても構わないですけどね。私は堪能しましたから(笑)。
ま、一人で騒いでたら流石に寂しかったと思うけど、一緒にオペラを上げる同好の士が二人もいるしな(握手!)。
***
1/2追記。
緑野さんが1/2日記に『天の鼓』星組版の話を書いてくれました。わーい。
と言う訳で便乗御免(笑)。
虹人=ワタさん。照葉=檀ちゃん。出会った瞬間一目惚れ、理由も根拠もなくラブラブでOK! 檀ちゃんならきっと「鼓の命乞い」も愛ゆえの暴走に見えるはず!
そして、虹人のことで頭の中いっぱいで自分のことなんかこれっぽっちも見ていない照葉を一途に思う樹に、しぃちゃん。親友を愛する女の肩をいたわるように抱く男(でも気づいてもらえない)。ああいい人だ……。
帝=とうこさん。冷酷傲慢な、しかし奥底には少年の魂を持つ絶対君主。安禄山と違いただの腹黒い悪役じゃなくて、傷ついた姿や優しい瞳も見られるぞ!
博雅=ケロさんは言わずもがな。『長安』みたいに「皇帝を愛してるってそんなの脚本にないだろ」と突っ込まれることもなく、愛ゆえに命がけで主君を諌める役ですよ!おまけに帝、とうこさんだし。
見たい。真剣に見たい。心の底から見たい。とにかく見せろとのたうち回るほど見たい(いいかげんにしなさい)。
でも脳内上演したらちょっと気が済みました(それもどうかと)。
で。
このキャストならきっと私、虹人と樹について延々語るぞ。だってワタさんとしぃちゃんで、無邪気に何も考えていない天才青年と彼に憧憬と友情と嫉妬を抱く男(属性いいひと)だぞ。楊国忠語りを超えるぞ。エピソードがんがん捏造してSS書いちゃって、えらいことになるぞ。どこにもニーズもないのに(笑)。
あ、舞台上接点ないけど後日談では博雅の下で樹が働いてるそうだから、ケロしぃも夢見れるかも(見すぎ)。
……今はまだ、去年のまま夢見てもいいよね。
せめて今だけは過ぎてゆく昨日の夢に溺れてみよう、と。
……で、やっぱり名作なんでしょうか『天の鼓』。
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