バウ・パフォーマンス『熱帯夜話』見てまいりました。

幕開き、さえちゃんの登場はいきなり客席から。
私は結構後ろの席でちぇっとか思ってたんですが、ちょうどそこから登場。、しかもたたたっと舞台に向けて駆け下りる途中で一旦振り返るさえちゃん。
そこで「にこっ」と手を振る! うっわー。
今まであんまり良席って座ったことないので、トップスター様の舞台化粧笑顔をこんな至近距離で拝んだのは初めてで。結構チケット代の元取ったかなと(笑)

バウ・パフォーマンスってどういうんだろ?と思ってましたが、ストーリー仕立てのサヨナラショー、でした。

物語は、とある劇団の初日の風景から始まる。サエール=さえちゃんは劇団のスター。仲間たちは劇団員やプロデューサーたち。初日は大成功で、浮かれた一同は深夜無人の高層ビルに忍び込んで打ち上げ。
ノリで「友人の建築家キリヤーノ氏から聞いた」幻の90階を目指す彼ら。そこに、隕石で地球が滅亡するというニュースが……。
ストーリーの途中に、さえちゃん縁の歌や場面が挟まって。比重としては物語よりショーの方が高いかな。役名もカーリー=ほっくん、リュウ=越リュウ、アーチー=あーちゃん、とまんまだし。芝居でなくパフォーマンスなんでしょう。(ネーミングセンスはかなりベタだけど、まあそれもありかと)
途中の芝居も『学校の怪談』風の小芝居とか楽しかった。みんな芸達者だなあ。

名場面の最初はベルバラ。純白に輝くオスカルが美しくて美しくて。
(実は直前に変身写真館の前で樹里しぃまとのオスカルとアントワネット映像を見ていたたまれない思い(え?)をしていたので、イントロが流れた時点で「うわー」と間違った方向に反応しちゃいました(^^;。
でも、さえオスカルの美しさにそんな邪念は吹き飛びました。マジで)

話題のほっくんの女装はいけてました。一瞬わからなかったくらい。美人でかわいい、全然OK。ほっくんって地は意外と女の子度が高い人なんじゃないのかな? だから雰囲気的にOKなんじゃないかと。
さえちゃんのほっくんに対する、めちゃくちゃ情熱的な扱い方もツボ。
(エリザに備えてでかい相手役と組む練習?と一瞬思ったのは内緒)

最後はサザクロ〜絢爛のラテンメドレー。絢爛は結構客席降りが長くて、私の目の前でほっくんがずーっと歌って踊ってました。でもスエニョパティの時は舞台に戻っちゃってて残念。目の前にいたら絶対やったのに。

第2部は、いきなりエピソード『美賊・黒薔薇』を見せるショー。
さえちゃんは和服姿の女主人、、紫色のヴェルヴェットのスーツに身を包んだ長髪の美青年、黒いドレスの女、の三変化。
これだけでもうぎゃーって感じなのだが、ここ、歌がよくてねー。
それぞれの役で歌うんだが、その声がもう……魔性がしたたるセクシーヴォイス。あのかすれ具合がたまりません。
美青年が令嬢を無理矢理抱き寄せて、そんな声で耳元に囁くように歌いだす「だって一人じゃ寂しいでしょう?」のフレーズにくらくらきました。こりゃ堕ちる、堕ちるよ。
ここはさおたさんのしなやかなダンスも堪能。黒薔薇に仕える影、黒豹ですよ。黒薔薇様の足元に絡みついたりしちゃいますよ。
誘惑されるのは令嬢=あーちゃんとその婚約者らしい青年=ほっくんなんだけど、このさえちゃん(美青年姿)とほっくんの横たわっての絡みが……私は後方席だったからいいけど、あのまん前に座ったらどんな光景を見られたのだろうと思うと……すごい。
越リュウの探偵も、抑制された紳士が徐々に黒薔薇に魅入られてゆくさまが素敵でした。
そして最後、ひとり黒いドレスで歌う黒薔薇。その孤独と寂寥に陶然。

それが終ると日本民謡メドレー。
「彩輝音頭」。さえちゃん以外の出演者総出で歌い踊るコミカルな様子と、歌詞に込められた溢れる愛に泣き笑い。
そして、賑やかな和モノ集団がはけた後に、さえちゃん一人登場して「ローズ」。
……これ反則だろー! 泣き笑いが一気にボロ泣きになっちゃうじゃん。
しかも舞台上には今までさえちゃんが演じた役の姿が。
私でもこれだけ泣けるんだから、今までずっと見ていた人たちはえらいことになってるんじゃないだろうか。

その後のオチ、と言うかストーリーの結には正直「うわー生煮え!」と腹の中で叫んでましたが。
整理できてないだろうこれ。今まで説明しないで放っておいたものを、この場面だけで台詞で説明しようとするから訳わかんなくなってます。夢とか、子供の頃の自分との再会とか、私好みのパーツが見え隠れするだけに惜しい。
私なりに整理すると。この世界はサエールの夢の世界で、今宵熱帯夜でその世界を燃やしつくし、サエールは夢の仲間たちに別れを告げて大人の世界に旅立つ。そしてそれに彩輝直の宝塚卒業の意味を込める、ってことなんだろうけど。
でも、この話において仲間たち劇団員は実際に存在する歌劇団の仲間だし、夢の存在と断言はしにくくて、中途半端になってしまったのではないかと。(それ以前に道具立てにも問題が、というのは不問にするとして)
でも、藤井氏がさえちゃんのサヨナラに際していっぱいいっぱいの愛情をもってこの作品を作ったというのは感じられるので、そこはもう許す。
空回っても愛は愛!

最後、今までの騒動が何事も無かったように楽屋のサエール。
ひとり荷物を持って退場するのもこっちの通路。意外と美味しい席でした(笑)。

サエール抜きの稽古場の風景が繰り返され、さえちゃんが「そこに居ない者」として現れる、ラスト。
ただでさえ泣けるのに、個人的にやられました。
オレゴントレイルロード。知らない曲が多いこのショーで、最後の最後に反応できる曲が来ちゃったもんで。今まで曲と思い出が殆どリンクしなかった私がリンクできる曲。しかも白い衣裳できらきら輝いて。
(ビデオでしか見たことのないあのひとの隣にいたあなた)

カーテンコールは3回……もっとあったかな?
センターに一人立つさえちゃんが、両袖の出演者を手招きして呼ぶ姿がかわいいー。

何か、とにかく泣けました。涙だけでなく嗚咽してしまった……。
私でこれだけ泣けるんだから、ずっと見てきた人はもうたまらないだろうな。

ところで、今回うっかり気づいてしまったことがひとつ。
もしかしてほっくんって好みのタイプなんじゃないのか?(笑)
今まで、優等生っぽいところと、計算して三枚目を演じていそうなところが邪魔をしてセンサーに引っかかってこなかったんですが、実は暑苦しい骨太系になり得る素材?
もうちょっと学年が上がって個性が出で来ないとわからないけど、好みの男に育つ可能性があるかも、とちょっと期待してしまいました。(ちなみに同じカテゴリーに雪組の緒月くん・笑)

あと出演者で特筆したいのは、高翔さんのダンスと越リュウの歌!
リュウ氏って、こんなにいい声なんだ。良く通る男役声にうっとりでした。

***

ここまで書いて。
複数の感想を読んだんですが、あれって劇中劇オチだったの!?
私はてっきり「何事も無かったように再び始まる日常、みんなもとのまま。でも、サエール=さえちゃんだけがいない。彼だけが世界から消えて去っていく」って話と思ってました。
そ、そうか、言われてみれば確かに劇中劇オチと解釈した方が自然かもしれない。
でも、私的には「世界を残して去るもの」と言うことにしておきます。その方が好みなんで。

コメント

お気に入り日記の更新

日記内を検索