姫路市立美術館特別展「ヨーロッパ幻想の系譜」に行ってまいりました。
http://www.city.himeji.hyogo.jp/art/

この美術館、好きです。
ここと出会えたのが、関西に来て良かったことのひとつだと思います。

って言うか、ベルギー美術のコレクションって、なんてマニアックな!
知人には「ベルギー美術って、フランドル絵画ですか?」と聞かれました。
そうだよなぁ。クノップフとかロップスとかデルヴォーとかが売りの美術館って、思いつかないよなぁ。マグリットはまぁ人気あるかもしれないけど。
私は大喜びですが(笑)。

1月「ベルギー美術の魅力展」で初めて来て、今回2度目。
「ヨーロッパ幻想の系譜」というテーマもめちゃくちゃ好み。19世紀後半から20世紀前半、象徴主義からアールヌーヴォー、シュールレアリズムあたり。

何が好きかって、現実離れして美しいから。
足元がおぼつかないような、不安を呼び起こすような、でもいつまでも浸っていたいような心地よい夢。

一番好きな空間は、モンタルドとクノップフの大作が斜め向かいにかかっている一角。
モンタルド「寓意的な情景」とクノップフ「天井画:絵画、音楽、詩歌」。クノップフは1月にも見ましたが、再会。
展示紹介でもここの写真が使われてます。
http://www.city.himeji.hyogo.jp/art/kikaku/index.html
でも本物はもっとずっときれいだから!

あと、この美術館のいいところは、空いていること。
と言ったら失礼かな。
でも、この2枚が両方視界に入るベンチにぼーっと座って、至福のときを過ごせました。
これだけでも姫路まで来た甲斐あり。

「寓意的な情景」は金の森。
金色の木々、ピンク色の花、やわらかにけぶる緑の草地。
静かに川は流れ、ゆったりとした衣裳をまとった人々の影。
時はたゆたう。
見つめているうちに、いつか森の中へ。
金の森を散歩。

こんな風に絵と向かい合えるなんて、滅多に無いことで。
神戸市立博物館のフェルメール「画家のアトリエ」も、人がいなければもっと幸せに見ることができたんだけどなぁ。ま、仕方ないですが。

あと、印象に残ったものについて。

・ルネ・ラリック「シレーヌ」
 多分、他所でも見たことがあると思う。でも美しさに息を呑む。
 
・ウィリアム・ドグーヴ・ド・ヌンク「夜の中庭あるいは陰謀」
 この青さ、暗さは感覚的に好き。

・アルフォンス・ミュシャ「サロメ」
 ジプシー娘のようなサロメ。

・フェリシアン・ロップス「古い物語」
 仮面を見つめる女の顔の寂しさ。
 
・フェルナン・クノップフ「裸体習作」
 クノップフの裸体画は触れたくなるような肌をしている。ぼやかされた輪郭がそうさせるのか。

・ジェームズ・アンソール「ホップフロッグの復讐」
 手前の人物はアンソール自身? それともただのサイン?
 それにしても HopFrog の復讐って何事?
 
・ルネ・マグリット「無謀な企て」
 成功しかけてるぞ。
 マグリットの空は、印刷で見ていた方が透明感がある。現物を見ると「あ、油絵だ」と思う。印刷ポスターで見慣れているせいか。

・レオン・フレデリック「春の寓意」
 妙に立体的。グレコのような、イタリア・マニエリズムのような固さ。

・オディロン・ルドン「エドモン・ピカール『陪審員』挿絵」
 つるりとしてやせ細った亡霊、って!(笑) 最高ー!
 
・ジョアン・ミロ「哲学者?」
 ごけぱん。
 
・ヴィクトル・ブローネル「誕生の球体」
 欧米では村上隆はこういう系譜で位置づけられているのかな?
 

・ポール・デルヴォー「海は近い」
 中央の電信柱を見て、横尾忠則の三叉路を思い出した。

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