ジャンルにとらわれる私が悪いのか(『花供養』宝塚日生劇場公演)
2004年9月18日 宝塚『花供養』植田紳爾作・演出。轟悠、音月桂、白羽ゆり出演
前半が終わって隣席のご夫人が不審げに一言。
「そんなに悪い話じゃないわよねぇ」
はい。席が埋まらないのは内容のせいじゃないと思います。
出演者が少ないとか、日本物だとか、歌も踊りも無いとか、集客力の無い要因がありすぎるかと。
で、その内容ですが。感想は無い訳じゃないのに、何だか書きにい。
舞台を見るとき、私は、現代作品とそれ以外ではちょっとスタンスが違う。
それ以外って、まあオペラとか歌舞伎(たまーに見る)のような古典系ですが。そういうときには、ストーリーの破綻はそれほどマイナスポイントにならない。作品が成立した当時の人とは感覚も常識も違うから、と割引して見ている。そんなことに文句を言うより、現代人には思いつかない斬新さ、突拍子も無さに素直に驚いて楽しむ。
だって私が最初に見たオペラは『夢遊病の女』でそれでも十分楽しくてオペラにはまったもんなー。(あの馬鹿馬鹿しさが許せれば何でもOK)
そりゃ、トゥーランドットのあのラストは無いだろうとか、ピンカートン最低男!とか、思いますけどね。(あ、どっちもプッチーニだ・笑)
何でこんな事を書くかと言うと『花供養』を観て、これもそういう観方をした方がいいんじゃないか、と思ってしまったから。
でもそんな古い作品じゃないんだよね。
出てくる人たちは宝塚の人で、見目麗しいんだけど、お話は日生と言うより芸術座が似合いそうな。
宝塚の感想として、書きにくいんだと思いました。
と、前置きが長いですが。
主役が誰だか、よくわかりませんでした。
信尋(音月桂)がお与津(白羽ゆり)への愛を告白する場面で「そうか君が主役か!」と思っちゃいました。
いや、政仁(轟悠)なのはわかってますけどね。出てきてはわが身の不幸を嘆いて我儘言ってるだけの人に見えたので。
終始近衛家が舞台で、御所で彼が何をどう苦労しているのか、頑張っているのかわからないからそう見えるのかもしれませんが。
あと、ぽかーんと口をあけてひっくり返りそうになったのは、最後4幕。
政仁様、出家して晴れ晴れとしてますが、それでいいの???
お与津が「お強くおなりください」って言ったのは、それでいいの???(お与津は微笑んでたけど)
皇室を護持するために耐え難きを耐え、忍び難きを忍んできたんじゃないの??? それをぽんと投げ出して、出家しちゃっていいの???
誰も不思議に思わないんでしょうか。いや史実どおりなのかもしれないけど。
何か、『ドン・カルロ(ヴェルディ)』で、ロドリーゴがフランドルを託して死に、エリザベッタが彼の将来のために別れを告げた直後に、先王によって墓に引き込まれ消えてしまうカルロ、で幕になったときのような気分でした。
だから、古典感覚で見るべきかと思っちゃったんだな。
(うっわー、これでいいの?ってオチの妙な肩透かし的カタルシス感覚は、ある意味楽しいですけどね。(例・『キャシャーン』))
筋と言うより、情緒とか場面場面を愛でる芝居なのかもしれないです。そういう意味では衣裳もセットも美しく、出演者も熱演、レベルが高く素晴らしかったと思います。
以下個別。
後水尾天皇(政仁)=轟悠
ええと、この人のお芝居を観るのも『バッカスと呼ばれた男』以来。(しかもよく憶えていません)
良かったですけど、上手かったですけど、なんせキャラクターに感情移入できなかったので……。
出家した後修学院離宮造った人だと思うとますます「所詮上流階級の悩みだよなー」と思えてしまって(でかい庭、でかい池、美観のための畑)。
お与津御寮人=白羽ゆり
美しいー!!
気品も美貌も見るからにお姫様。(横や斜めより正面向きが一番美人) 目の保養をさせていただきました。
でも、この人もいまいち良くわからん人でした。
出来すぎ、と言うか生身の人間ではない感じ。政仁・信尋兄弟の夢の投影みたいな人。白羽ゆりちゃんの現実感の無さ、不思議少女ぶりが遺憾なく発揮された感じ。
と言う理解で良いのかどうかは疑問なところですが。もっと現実感のある人がやっていたら全然違う話になったかも、と思います。
近衛信尋=音月桂
一番感情移入がしやすかった人。
一番ナチュラルな芝居をしていた人。と言うか、轟さんや専科の皆様と、桂ちゃんの演技との間に断層があるような気がしました。
いや桂ちゃんも同じように演っているんだけど、ベースが違うと言うか。
(となみちゃんは不思議少女ぶりでノーカウント。ハマコさんも元々色の違いを意図されているのでノーカウント)
型に違和感を持つか感動するかは受け取る側の素地もあるので、あくまでも私の感想ですが。
よし=未来優希
いや、ファンですから(笑)。
隣席の方に「誰のファン?」と聞かれ「未来さん」と答えたら、何だか微妙な表情で「まあ、上手いですものね」と言われました。(それじゃ期待されている答えは2択だ゛ったってことですか)
女役なのは知ってましたが、わー、可愛いじゃん。と驚き。
こってこての男役だとばかり思っていたら、外部商業演劇(芸術座や梅コマ……)でも今すぐ行けそうな。やっぱ、上手い人なんだわ。
キャラクター的にも一人庶民で色が違って、良かったです。
あとは、専科の方々の女役にちょっと、はーっと。
特に春日局の汝鳥伶さん。宝塚というより、歌舞伎役者の女役に見えた……。公覚尼の磯野千尋さんも忘れられませんです。
前半が終わって隣席のご夫人が不審げに一言。
「そんなに悪い話じゃないわよねぇ」
はい。席が埋まらないのは内容のせいじゃないと思います。
出演者が少ないとか、日本物だとか、歌も踊りも無いとか、集客力の無い要因がありすぎるかと。
で、その内容ですが。感想は無い訳じゃないのに、何だか書きにい。
舞台を見るとき、私は、現代作品とそれ以外ではちょっとスタンスが違う。
それ以外って、まあオペラとか歌舞伎(たまーに見る)のような古典系ですが。そういうときには、ストーリーの破綻はそれほどマイナスポイントにならない。作品が成立した当時の人とは感覚も常識も違うから、と割引して見ている。そんなことに文句を言うより、現代人には思いつかない斬新さ、突拍子も無さに素直に驚いて楽しむ。
だって私が最初に見たオペラは『夢遊病の女』でそれでも十分楽しくてオペラにはまったもんなー。(あの馬鹿馬鹿しさが許せれば何でもOK)
そりゃ、トゥーランドットのあのラストは無いだろうとか、ピンカートン最低男!とか、思いますけどね。(あ、どっちもプッチーニだ・笑)
何でこんな事を書くかと言うと『花供養』を観て、これもそういう観方をした方がいいんじゃないか、と思ってしまったから。
でもそんな古い作品じゃないんだよね。
出てくる人たちは宝塚の人で、見目麗しいんだけど、お話は日生と言うより芸術座が似合いそうな。
宝塚の感想として、書きにくいんだと思いました。
と、前置きが長いですが。
主役が誰だか、よくわかりませんでした。
信尋(音月桂)がお与津(白羽ゆり)への愛を告白する場面で「そうか君が主役か!」と思っちゃいました。
いや、政仁(轟悠)なのはわかってますけどね。出てきてはわが身の不幸を嘆いて我儘言ってるだけの人に見えたので。
終始近衛家が舞台で、御所で彼が何をどう苦労しているのか、頑張っているのかわからないからそう見えるのかもしれませんが。
あと、ぽかーんと口をあけてひっくり返りそうになったのは、最後4幕。
政仁様、出家して晴れ晴れとしてますが、それでいいの???
お与津が「お強くおなりください」って言ったのは、それでいいの???(お与津は微笑んでたけど)
皇室を護持するために耐え難きを耐え、忍び難きを忍んできたんじゃないの??? それをぽんと投げ出して、出家しちゃっていいの???
誰も不思議に思わないんでしょうか。いや史実どおりなのかもしれないけど。
何か、『ドン・カルロ(ヴェルディ)』で、ロドリーゴがフランドルを託して死に、エリザベッタが彼の将来のために別れを告げた直後に、先王によって墓に引き込まれ消えてしまうカルロ、で幕になったときのような気分でした。
だから、古典感覚で見るべきかと思っちゃったんだな。
(うっわー、これでいいの?ってオチの妙な肩透かし的カタルシス感覚は、ある意味楽しいですけどね。(例・『キャシャーン』))
筋と言うより、情緒とか場面場面を愛でる芝居なのかもしれないです。そういう意味では衣裳もセットも美しく、出演者も熱演、レベルが高く素晴らしかったと思います。
以下個別。
後水尾天皇(政仁)=轟悠
ええと、この人のお芝居を観るのも『バッカスと呼ばれた男』以来。(しかもよく憶えていません)
良かったですけど、上手かったですけど、なんせキャラクターに感情移入できなかったので……。
出家した後修学院離宮造った人だと思うとますます「所詮上流階級の悩みだよなー」と思えてしまって(でかい庭、でかい池、美観のための畑)。
お与津御寮人=白羽ゆり
美しいー!!
気品も美貌も見るからにお姫様。(横や斜めより正面向きが一番美人) 目の保養をさせていただきました。
でも、この人もいまいち良くわからん人でした。
出来すぎ、と言うか生身の人間ではない感じ。政仁・信尋兄弟の夢の投影みたいな人。白羽ゆりちゃんの現実感の無さ、不思議少女ぶりが遺憾なく発揮された感じ。
と言う理解で良いのかどうかは疑問なところですが。もっと現実感のある人がやっていたら全然違う話になったかも、と思います。
近衛信尋=音月桂
一番感情移入がしやすかった人。
一番ナチュラルな芝居をしていた人。と言うか、轟さんや専科の皆様と、桂ちゃんの演技との間に断層があるような気がしました。
いや桂ちゃんも同じように演っているんだけど、ベースが違うと言うか。
(となみちゃんは不思議少女ぶりでノーカウント。ハマコさんも元々色の違いを意図されているのでノーカウント)
型に違和感を持つか感動するかは受け取る側の素地もあるので、あくまでも私の感想ですが。
よし=未来優希
いや、ファンですから(笑)。
隣席の方に「誰のファン?」と聞かれ「未来さん」と答えたら、何だか微妙な表情で「まあ、上手いですものね」と言われました。(それじゃ期待されている答えは2択だ゛ったってことですか)
女役なのは知ってましたが、わー、可愛いじゃん。と驚き。
こってこての男役だとばかり思っていたら、外部商業演劇(芸術座や梅コマ……)でも今すぐ行けそうな。やっぱ、上手い人なんだわ。
キャラクター的にも一人庶民で色が違って、良かったです。
あとは、専科の方々の女役にちょっと、はーっと。
特に春日局の汝鳥伶さん。宝塚というより、歌舞伎役者の女役に見えた……。公覚尼の磯野千尋さんも忘れられませんです。
コメント