そのうちと書きましたが、吐き出さないと頭から離れないんで、とりあえず形にします。
気が変わったら修正したり、削除するかもしれません。
『ドルチェ・ヴィータ!』、博多座でどうも腑に落ちなかったことがある。
わたるくんが最後の最後、フィナーレのパレードの前に歌う短いソロ。失った愛を嘆く歌。
意味が良くわからなくて、なんか唐突だなあ、と思っていた。
それが、大劇場ですとんと落ちてきた。
この物語の中で、彼は喪失しつづけているのだと。
オープニングの男は、コルティジャーナと惹かれあい引き裂かれる。
花市場の船乗りは恋人と再会するが、彼女にはもう婚約者がいて「ほんのつかの間二人で踊る」ことしか出来ない。
『サテリコン』の男はドルチェ・ヴィータに翻弄され、サテリコンに翻弄され。最後、ドルチェ・ヴィータを腕に抱きせり下がっていくけれど、それは彼女を手に入れたのか? 腕の中にいるのはただの幻、美しい悪夢で、気が付いたら失ったのは自分自身ということではないのか?
船上、夕焼けの中で男は女と踊るが、それは最後のダンス。Arrivederci Roma、もう戻れはしない。
海神は目の前に現れた少女を愛し、しかし愛した少女を地上に返し一人去っていく。
(更に、退団者の姿。
退団者へのはなむけの場面が更に喪失感を刻む)
翻弄され、喪失しつづける主人公。
ディアボロの姿は翻弄する者として常に現れ、彼を見ている。
これって、あれだ。と思った。
『夜明けの天使たち』荻田浩一作・演出、湖月わたる主演。私はビデオでしか見ていないけれど。
主人公は何も知らない。知らずに運命に翻弄される。彼の素性を知って一番驚き、傷つき悩むのは彼自身。
他の人たちは誰も驚かない。「知っていた」「そうじゃないかと思っていた」翻弄されているのは彼一人だけ。
それでも彼は運命を真っ直ぐに受け止め、世界に手を伸ばそうとする。
けれど、伸ばした手は届かない。
心が通い合った少女は失われ、母も父も彼を拒絶し、弟も自らの手で失い。
それでも、彼は歩き出す。
彼は強いから。彼には生きていく力があるから、生きていくことができる。できてしまう。それしかできない。
遠くを見つめて、歩き出す。
その希望と絶望。
失いつづける主人公。
失いつづけ、心をえぐられ血を流しても、彼には生きる力がある。前に進む力がある。
だから、たとえ立ち止まって終わりにしたくても、進むことしかできない。
その慟哭。
そう思うと、フィナーレの衣装が彼だけ別のショーから借りてきたみたいなのも、世界から拒絶されている証のように見えて。
なんてね。深読みしてみました。
(でもこの読みの起爆剤は退団者の存在。ケロさーん!(泣))
気が変わったら修正したり、削除するかもしれません。
『ドルチェ・ヴィータ!』、博多座でどうも腑に落ちなかったことがある。
わたるくんが最後の最後、フィナーレのパレードの前に歌う短いソロ。失った愛を嘆く歌。
意味が良くわからなくて、なんか唐突だなあ、と思っていた。
それが、大劇場ですとんと落ちてきた。
この物語の中で、彼は喪失しつづけているのだと。
オープニングの男は、コルティジャーナと惹かれあい引き裂かれる。
花市場の船乗りは恋人と再会するが、彼女にはもう婚約者がいて「ほんのつかの間二人で踊る」ことしか出来ない。
『サテリコン』の男はドルチェ・ヴィータに翻弄され、サテリコンに翻弄され。最後、ドルチェ・ヴィータを腕に抱きせり下がっていくけれど、それは彼女を手に入れたのか? 腕の中にいるのはただの幻、美しい悪夢で、気が付いたら失ったのは自分自身ということではないのか?
船上、夕焼けの中で男は女と踊るが、それは最後のダンス。Arrivederci Roma、もう戻れはしない。
海神は目の前に現れた少女を愛し、しかし愛した少女を地上に返し一人去っていく。
(更に、退団者の姿。
退団者へのはなむけの場面が更に喪失感を刻む)
翻弄され、喪失しつづける主人公。
ディアボロの姿は翻弄する者として常に現れ、彼を見ている。
これって、あれだ。と思った。
『夜明けの天使たち』荻田浩一作・演出、湖月わたる主演。私はビデオでしか見ていないけれど。
主人公は何も知らない。知らずに運命に翻弄される。彼の素性を知って一番驚き、傷つき悩むのは彼自身。
他の人たちは誰も驚かない。「知っていた」「そうじゃないかと思っていた」翻弄されているのは彼一人だけ。
それでも彼は運命を真っ直ぐに受け止め、世界に手を伸ばそうとする。
けれど、伸ばした手は届かない。
心が通い合った少女は失われ、母も父も彼を拒絶し、弟も自らの手で失い。
それでも、彼は歩き出す。
彼は強いから。彼には生きていく力があるから、生きていくことができる。できてしまう。それしかできない。
遠くを見つめて、歩き出す。
その希望と絶望。
失いつづける主人公。
失いつづけ、心をえぐられ血を流しても、彼には生きる力がある。前に進む力がある。
だから、たとえ立ち止まって終わりにしたくても、進むことしかできない。
その慟哭。
そう思うと、フィナーレの衣装が彼だけ別のショーから借りてきたみたいなのも、世界から拒絶されている証のように見えて。
なんてね。深読みしてみました。
(でもこの読みの起爆剤は退団者の存在。ケロさーん!(泣))
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