新国立劇場「マクベス」
 マクベス:ヴォルフガング・ブレンデル
 マクベス夫人:ゲオルギーナ・ルカーチ
 バンクォー:妻屋秀和
 マクダフ:ミロスラフ・ドヴォルスキー
 指揮:ミゲル・ゴメス=マルティネス
 演出:野田秀樹

野田秀樹演出「マクベス」。オペラ好きだけでなく、演劇趣味のお客さんも結構いたようで。

その演出ですが。変なことしなくてよかったなぁと、胸をなでおろしました。いや、演出が鳴り物入りの場合って、下手に浮いたりしがちなので。(以前パルマで見たマクベスは第2次大戦風で、客席から野次が飛んでました)

演出的なキモは魔女の扱いではないかと。カオナシ(@千と千尋の神隠し)軍団がわらわらと。白いマスクに黒い布で全身を覆い、袖からは細長い白い腕(骨?)が出てるんですが、このバランスがカオナシっぽい。地獄の釜がこんなに具体的かつ大掛かりにビジュアル化されたのを見たのは初めてです。この点については文句なく拍手喝采。舞台いっぱいに大釜があって、カオナシ軍団がヒキガエルだの臓物だのボンボン投げ込んでるんですよ。煙は上がるし、迫力があった。その後の王たちのビジュアル化も良かったです。

セットも、鉄板と針金(のはずは無い。細い鉄骨)で城が作られてて、これが色々と形を変えるんですが、閉じると(?)王冠の形してるんですよね。うまいなあと。

最後も、戦争が終わりカオナシ魔女たちは、悲しむ女たちになります。今までの腕を死者の骨に変えてかき抱くことで。

あと黄色い花畑も意味があったんだと思うけど、これはよくわからなかった……。

と言う訳で、原作を損なうような変なことはしていないしビジュアル的には新しいアイデアがあったりとなかなか面白かったマクベスなのですが、私の個人的な満足度は今ひとつ。私はマクベスと言うオペラはかなり好きな方なのですが、ドラマの中心は、マクベスとマクベス夫人の生き様に置いてほしいと思ってしまうので、その意味では食い足りなかったです。プログラムにもありましたが、この演出のキーポイントは「魔女」と「戦争」なんでしょうね。
(マイベストは去年スカラ座来日公演のマクベスかなぁ。ヌッチがノーブルな感じもあってよかったし、立方体を配したセットと演出も好きでした)

歌手は特に不満なし。バンクォーの妻屋さん、いつもながらの安定感があって好きです。

来年1月にキャストを変えての再演が決まっているそうなので、また見たいと思います。

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